2017/05/08 のログ
ご案内:「商店街」に神納木 紫鶴さんが現れました。
神納木 紫鶴 > 「はてさて、この島のものの揃えと言うのは如何なものなのでしょうか」

少し独り言を言いつつ、商店街を見て回るメイド服の女性。
この学園都市そのものにまだ不慣れなのか、きょろきょろと視線は落ち着かないが、動きそのものは非常に落ち着いており、整った立ち振る舞いをしている。
…………だがメイド服である。思いっきり目立っている。

「街並み自体は大して変わったものではありませんね……ふむ」

言いながら裏路地の方にまで視線を伸ばしているメイドさん。
めっちゃ めだつ。

神納木 紫鶴 > 「この裏路地は……あちらの方に繋がっているのですか。なるほど」

一つ一つの裏路地まで、この商店街の全てを見て回ると言わんばかりに確認している。
しかし、その中で商店を見ることも忘れない。
本屋に入っては全ての本をざーっと確認し。
八百屋に入っては、揃えている素材の鮮度などを確認している。

「あら、こちらのお店の方が少しお高いですけれど、その分質がいいですね……どちらに致しましょうか」

首をひねりながらちょくちょくと考え込むメイドさんである。

神納木 紫鶴 > 「(質がいいものを使い、良質な料理を提供することが一番のご奉仕……と言いたいですが、必ずしもそうではありませんからね。
旦那様のご負担まで考え、資産とのバランスのとれた料理を提供せねば……しかして、余りケチケチとしてはご主人様、旦那様の名に傷がつきますれば、適正なラインの見極めをこなさねば……)」

特に食品類はやはり関心が強いようで、立ち止まって眺める時間が長い。
鮮度、品質、値段、全体の品ぞろえなどを各店ごとに記憶し、その中でどの品をどこで購入するのが一番いいのかを組み立てていく。
そうしながら、店員に微笑みかけるのを忘れない。ここで愛想を悪くしてしまっては、それこそご主人様の不名誉に繋がると考えるからだ。
……それはそれとして、視線が集まっている事には少し困っている彼女ではある。メイド服を着ているのが悪いのだが、彼女にとってこれは制服。譲れないところでもあった。

神納木 紫鶴 > 「(…………どうしましょう)」

ちら、ちら、とこちらに向けられる視線が少し不快である。
メイド服を着ている以上目立つのは仕方ないのだが、好機の目線と言うのはどうしても不快感を伴う。
それでも、メイド服は自身にとって絶対の制服、正装。そのジレンマに悩む紫鶴である。
何より……

「(どのように応対すべきなのでしょうか……)」

愛想よく頭を下げるのもいいが、それはそれで余計に人を集めそうである。
いっそのこと誰か話しかけてくれれば話は早いのかも知れないが……

「(早めに撤収すべきなのでしょうか……しかし、まだまだ地理の把握がすんでおりませんし……)」

神納木 紫鶴 > 内心頭を抱えながらも、商店街を探索して回る。
この探索の細かさが彼女を不審者じみて見せている要因の一つでもあるのだが、それにも理由があった。
即ち……有事に使用する最適のルートの模索、である。

「(この裏路地は……成程、向こうの道へのショートカットになりますか。ここならば、ご主人様に万一のことがあっても時間を短縮できますね)」

メイドたるもの、ご主人様に最高のご奉仕をするのは当たり前。
ただ、家事回りをこなすだけでは凡百のメイドと変わりなし。出来るメイドとは、家事全般は当然ながら、緊急時の対応から、ご主人様の護衛、話し相手など、あらゆることに通じていなくてはならない。
その百般こそが「メイドの嗜み」である。
少なくとも、紫鶴はそう考えている。なので、地理を完全に把握するのは当然のこと。
ご主人様が行きたいところへの最短ルートを模索するだけではなく、更に景観、治安なども踏まえて、ご主人様が口にせずとも求めている道を割り出すまでがメイドの務め。
故に、家事が終わって本来フリーの時間に、こうやって島を探索して回っているのである。

神納木 紫鶴 > 「ふぅ……」

そんなこんなで、商店街を一通り……と言っても、裏道まで全て……見て回り、軽く一息つく。
島の中の学園都市と言うことだったが、想定よりもかなり広かった。
品ぞろえの面でも充実しており、選択に困る事こそあれど、あれがあるないと困ることはあまりないだろう。

「環境としては上々。しかして、治安の面では不安アリ、ですか」

一方で、一部の学生が異能をよくないことに使っていたり、一部の場所はスラムのようになっていて犯罪が横行しているという話も耳にした。
あそこでまた誰かが怪我したらしい、また風紀が出動していた……そういう治安面で不安を感じざるを得ない風聞が聞こえてくるのは喜ばしくないことである。

神納木 紫鶴 > 「落第街……さて、どう考えますか」

落第街。この島の中でも、特段に治安が悪いとされる場所。
本来なら「近寄らない」が正解だが……。

「(もし、落第街の裏流通にご主人様が望まれる品があるならば、それを手に入れるのもメイドの務め)」

紫鶴が使えている主人は、魔術の研究をしている。
つまり、表に出てこない希少な魔術書やマジックアイテムなどが入用になる可能性もゼロではないのだ。

「一応、地理の確認はしておきますか」

それと、そこにある裏流通も。
難易度が高く、危険度も高い仕事だが……そこまでこなしてこその、メイド。
一つ決意を新たにし、彼女はその場を後にした。

ご案内:「商店街」から神納木 紫鶴さんが去りました。