2017/05/16 のログ
八百万 頼 >  
ほなますます奇遇やなぁ。

(彼女が普段通らない道を通った結果自分と遭遇した。
 縁というヤツだろう。)

動いてはおるよ。
おるけど……どーもお札認識するとこが壊れとるみたいやなぁ。

(コードはしっかり繋がっているし、販売中のランプも付いている。
 故障しているところの目星は付いているが、特に調べるそぶりも見せず、ただ自販機に触れているだけだ。)

美澄 蘭 > 「ほんとね」

くすくすと、口元に手を当てて笑う。
先ほど頼が接していた女の子とは、振る舞いの性質がそれなりに異なるだろうか。

「…そう、故障なの…」

まじまじと、お札投入口を見つめて。

「…管理してるところに連絡してみる?」

自販機には大抵、何かあったときのための連絡先が記載されているものだ。
蘭は、その部分を指差して、頼の方を向いてことりと首を傾げてみせた。

八百万 頼 >  
そやなぁ、こっちで何とかするにしても、勝手に弄ると不味そうやからなぁ。

(そう言ってスマホを取り出し、操作。
 電話アプリを呼び出し、番号を入力。
 すぐに繋がった。)

あー、すんません忙しいとこ。
商店街の自販機のことです。
ええ、コンビニの横の――

(さくさくと話を進める。
 能力を使って直すと、何が原因か分からないのでそのままにしておいて欲しいと言う事。
 飲まれた千円札を回収するのは問題ないと言う事。
 千円札を回収出来るのであれば、待っていなくても構わないと言う事。
 そんな事を話して、電話を切る。)

――ちゅーことらしいからコンビニいこ。
ジュース奢ったげるから。

(スマホをポケットにしまい、自販機から手を離す。
 その手にはいつの間にか千円札が握られていた。)

美澄 蘭 > 「………八百万さんって、そんなことまで出来るの?」

「何とかするにしても」という言葉を聞いて、目を大きく二、三度瞬かせる。
蘭は、こういったものの中をいじるなど、考えもしない。

「………。」

頼が連絡先と話を進めれば、それを黙って待って…

「え、ジュースくらいなら自分で買えるし、別に………、………?」

遠慮しようとしたところで、いつの間にか頼の手に千円札が握られているのに気付く。
言葉は途切れ、蘭は不思議そうに、大きく首を傾げた。

八百万 頼 >  
ボクのチカラの副作用言うかなんちゅうか。
モノの構造捉えることは得意やし、機械の故障なんかはどこが壊れとるかわかるからな。

(場所が分かれば後は上書きするだけだ。
 初めて見る機械ならともかく、何度も何度も見て触っている自動販売機ならば、正常なものに上書きするなど朝飯前だ。)

良いから良いから。
はいいきましょー。

(彼女の背中をぽんと押して、隣のコンビニに入っていく。
 彼女が付いてきていなければ、入り口で笑顔を向けて手招きを。)

美澄 蘭 > 「ああ…だから前に美術館に行った時も、金属のこととか詳しかったのね」

「チカラの副作用」と説明を受ければ、「役に立つのは副効用って言わない?」と余計なことを言いながらも、納得した風で。
正確な理解かどうかは定かではないが。

「…え、ええ…」

背中をぽんと押されて、戸惑いがちながらも一緒にコンビニへ入っていく。

もらうばっかりでなければ…きっと、一緒にコンビニで飲み物を選ぶのも、無邪気に楽しめると思うのだけれど。種類も多いし。

八百万 頼 >  
モノの構造把握しても、わからんかったら使えんから。
結構勉強したんやで?

(言葉のアヤや、なんて返しながらコンビニの飲料コーナーの前に。
 炭酸が飲みたい気もするが、コーヒーが飲みたいような気もする。
 そもそもいまいち何が飲みたいのかよくわからない気分だった。)

美澄ちゃん何飲むー?
――そういや美澄ちゃん三年生やったよな。
進路とかそろそろ決めとかなあかんころちゃう?

(進路の事を言うなら、自分の方がよほどそう言う年度なのだが、それはそれ。
 他愛のない世間話のつもりで話題を振って、右手をコーラとコーヒーの前で往復させる。)

美澄 蘭 > 「凄い………でもそうよね、八百万さんの方が年上だものね」

少し、力の抜けたような顔で笑う。
家庭環境もあって、蘭が勉強してきたことといえば、もっぱら言葉のこと、社会のこと、そして音楽だ。
まるで正反対の領域。それをそこまで極める彼に、尊敬の念を持ちながら。

「んー…この季節だとノンカフェインの冷たいお茶で、美味しいのが色々あるわよね」

何を飲むかと尋ねられれば、特に気負わない風にそんなことを言いながら、ペットボトルのコーナーを見ている。

「………進路?
そうね………私、本土の大学に行こうと思ってるの。
まだ、社会科学系としか決めてないんだけど…私が「知りたい」ことの、補助線になってくれるのはそういう分野だと思うから。

………そういえば、八百万さんって何年生なの?」

結局、さっぱりとした飲み心地のノンカフェインのお茶のペットボトルを手に取り。
そう尋ねながら、頼の方に視線を向けた。

八百万 頼 >  
年上言うてもちょっとや。
かわらんかわらん。

(彼女の正確な年齢は知らないけれど、中学生ぐらいと言う事は無いだろう。
 であればせいぜい三つか四つの差であり、その程度大した差ではない。)

お茶か、お茶もええな……。

(彼女の答えのお陰で選択肢が増えた。
 右手がお茶、コーラ、コーヒーを頂点とした三角形を空中に描く。)

本土。
ちゅうことは、会おう思てすぐ会えるんは後二年ほどやなぁ。
――ボク?
ボクは今年で四年生やで。

(自分はこの島に残るつもりだ。
 こっちの方が色々便利だし、何より面白い。
 結局コーラを買うことに決め、赤いラベルのペットボトルを取り出しながら答える。)

美澄 蘭 > 「…そう?2年くらい差があれば、結構色々積み上げられそうな気がするけど…」

去年末19歳だと聞いたから、そのくらいの歳の差だろうと。

(………早く、大人になりたい)

改めて、そんなことを思う。
…といっても、自分の思いに浸りきるほどではなく、頼が買うものを決めれば、足並みを揃えてレジに向かおうとするだろう。

「4年生ってことは…今年で卒業、よね?
八百万さんは、こっちに残るの…」

異能の副産物とはいえ、それを活かすために勉強を頑張ったのなら、いくらでも道は開けていそうに思うが。
…とはいえ、頼が本土に戻るのならば、今年1年が最後になるかもしれないし、どちらが良いという話ではない。

どう感情を処理したら良いのか。蘭の語尾は、尋ねるというよりは、彼女自身の複雑な感情を息として吐き出すように溶けていった。

八百万 頼 >  
今の二年差なんて、十年も経ったらそんな大した差でも無くなるやろ。
人生あと何十年もあるんやから。

(自分が先に歩いた二年は、彼女がこれから歩く二年だ。
 それを考えれば言うほどの差も無いと思うし、年数よりも何をしたかだ。
 笑ってレジの方へ歩く。)

今年で卒業――出来たらええなぁ。
もしかしたら留年するかもしれんし。
――あと二年ほど言うたやろ。
卒業しても残るつもりやで。

(レジのお兄さんへペットボトルを渡し、彼女にも出すように促す。
 そうして会計を済ませながら、自身の進路を口にした。
 出来るだけ彼女を安心させるような声で。)

美澄 蘭 > 「………まあ、確かに、そうだけど………」

やっぱり、微妙な顔をする。
年若い少女には、このわずかな差がやはりもどかしいのだ。

「…勉強頑張ってて、「力」のことも分かってるなら、留年することもないと思うけど…

あ、でもわざと留年する人もそれなりにいるんだっけ、ここ」

蘭は、少なくとも今はそういうことを考えていない。何気ない口調に訝りが混じる。
自分が「異質」になる島の外に対して、不安を持っていないわけではないのだが。

「卒業したら…八百万さんは、何になるの?」

何となく、そんなことを尋ね返して。

「あ、お会計は別で」

さりげなく、付け足した。自分が選んだペットボトルはまだ出さない。

八百万 頼 >  
そんな気にせんでもええ言う事や。

(へら、と人懐こい笑顔を向ける。
 実際、たとえば魔術に関しては彼女の方が詳しいのだし。)

まだ勉強したいことあるヤツは残ったりするなぁ。
ボクはまだどっちか分からんけど。

(特に遣り残した事があるわけでも無いし、かと言ってこのまま卒業するのはなんだかもったいないような気もする。
 彼女には言っていない「本職」の都合もあるし、あと一年弱で決めなければならないのだ。)

――何なるんかなぁ。
とりあえず知り合いが会社やる言うとるから、そこ入れてもらおうとは思っとるけど。

(卒業してからの展望も特にないのだ。
 自分の異能であれば、文字通り働かなくても暮らしていけるし、本土に戻る必要も無い。
 ただ暮らすだけならひたすら留年しても良いわけだし。)

美澄ちゃん、オトコノコが奢る言うのは断らん方がええで……。

(自分の分の会計を別にする彼女に、遠い眼を向ける。
 人によってはそれで傷付いたりする男も居る。
 自分はそうでもないのだけれど、むしろ店員がかわいそうな人を見る眼を向けてくるのが悲しい。)

美澄 蘭 > 「………まあ、得意分野なら、そんなに負けてないとは思う…けど」

人懐っこい笑顔を向けられて、ちょっとぎこちなく言う蘭。
実際、英語の読解力ならそんじょそこらの大学生には負けないだろうし…魔術も、その中に入れていいかもしれない。
専門でやっているという認識はないため、あまり自信は無いのだが。

「勉強かー…確かにそれもあるのよねー…
魔術は名残惜しい部分がないって言ったら嘘だけど…くくる先生の魔方陣学が取れたら、十分かなぁ」

「まずは確率物理学きっちりやらないとだけどね」と、少し寂しげに笑いながら。
進路のために別のものを…別の世界を切り捨てる、柔らかい苦みを胸に抱いて。

「…ってことは、立場的には卒業したらもう「働く」ことになるのよね…」

しみじみと、感慨深そうに。
どこまでも、対照的だと思いながら。

「………?
大人の人に甘えるのと…同じ学生っていう身分の人に甘えるのとだと、話が違うでしょう?」

心底困った、よく分からない、という感じで眉を寄せて、頼に視線を返す。
別に相手を困らせたかったわけではないけれど、甘えたまま、流されるままも良くないと思うのだ。

この少女は、「男女平等」を限りなく真に受けて育ってきたのだろう。こういうところにも、蘭の育ちの良さは表れていると言えるのかも知れない。

八百万 頼 >  
せやろ。
人それぞれ得意なことはちゃうし、そんなもんや。

(負けてないと思えるのなら充分だろう。
 世の中にはそれすら見付からない者も居るのだから。
 自分の分だけ会計を済ませ、横に退く。)

ボクはなんかやりたいことあるわけでも無いしなぁ。
勉強したいって気持ちも特に無いし、それやったら働いた方がなんぼか楽しそうやし。
どっちかって言うと、そんな後ろ向きな理由や。

(特にやりたいことも無いのだから、進学する理由も無い。
 そう言う意味では彼女の事をうらやましいとすら思うのだ。)

世の中には、女の子に良い顔出来んのを恥やと思うもんもおるんやで。

(奢ると言う申し出を断ろうものなら、烈火の如く怒り出す器の狭い人間が。
 そう言う男に引っかからないと良いのだけれど。
 ちょっとだけ不安そうな視線。)

美澄 蘭 > 「それは、そうね」

「得意なことは人それぞれ」でひとまず納得したのか、表情の曇りはひとまず晴れて。
頼が退いた後に、自分で会計をした。

「働きたい…気持ちもあるんだけどね。
私の場合、その目標のための下地が全然出来てないから…」

「そのために大学に行くの」と、会計を済ませてから頼の方に向き直る。
その顔は至って真面目で、それでいて無邪気だ。
…が、頼の警告には、眉をひそめて。

「………私、近くにいたいと思う人とは、対等でありたいの。
支配されたくないし、支配したくもない」

そう、トーンこそ控えめながらも、きっぱりと言いきった。
言外に、「それを理解してくれないならしょうがない」という表明しているようだった。

けれど、その瞳はどこか寂しげでもあって…何かを、覚悟しているようにも映るだろう。

八百万 頼 >  
(彼女が会計を済ませれば、コンビニから外へ出る。
 晴れてはいるが日差しはそこまで強くなく、風が気持ちの良い天気だ。)

ほならボクよりよっぽど上等や。
やりたいことあるんはええことやで?

(それに向けて動いているのだから尚更だ。
 何も恥ずべきことはない。
 そう言う言葉を彼女へ向けて。)

そう言うヤツも居る言う事や。
人間色々居るからな、美澄ちゃんみたいに思うもんもおるやろ。
――うん、ごめんなぁ。

(対等である、と言うのは難しい事だと思う。
 何よりそう思うと言う事は、彼女が自分より格下とか、それに近い感覚を抱いていると言う事だ。
 実際そんな事は思ったことも無いし、立場はともかく人間に下とか上とかは無いだろう。
 だからこそ「奢る」と言う様な彼女にそう思わせてしまうような言葉をかけたのは自分のミスだ。
 そう思ったから、素直に謝ることにした。)

美澄 蘭 > コンビニから出て、再度日傘を開く。
さほど日差しが強いわけではないが、それでも蘭の色素では、長時間当たるとこたえるのだ。

「…あとは、自分に恥じないように頑張るだけ、だものね。
八百万さんより上等かは…分からないけど」

空いた手を胸元において視線をそこに落とし、柔らかく笑んだ。

「…よっぽど弱ってなければ…そういう人とは、距離を取れるとは、思うの。

………どうして、八百万さんが謝るの?」

しかし、頼に謝られると、戸惑いがちに視線をさまよわせながら、最終的に視線を落とした。
無茶とも思えることを言ったのは、自分の方のはずなのに。

八百万 頼 >  
自分に恥じんように言うんは結構難しいけど、美澄ちゃんなら大丈夫やろ。
がんばり。

(きっと彼女なら自分自身どころか、それこそそんじょそこらの大学生にすら負けないような努力が出来るだろうと思う。
 結果だってきっと付いてくるはずだと、激励を。)

うん、ほなら安心やな。
――いやぁ。
こういうとあれやけどな。
多分美澄ちゃん、他の人に引け目とか感じやすいタイプやろ。
せやのに空気読めんようなことばっか言うとったなぁ思てな。

美澄 蘭 > 「………ありがとう」

激励されれば、はにかむような笑みを零すが…頼の指摘には、「うーん」と小さくうなって眉を寄せ、唇を尖らせ。

「難しいのよね…
多分嫌がられるなとか、思うんだけど…空気に流されっぱなしで後で後悔するのは、自分だし…」

悩みに悩んで、たまに意図的に壊すらしい。
「断らない方が良い」が分からなかったのは素だろうが。

八百万 頼 >  
自分曲げて好かれるより、嫌われてでも自分貫きたいタイプ?
生きるの大変やで、そう言うの。
――でもボクそう言うの、好・き・よ?

(ばちこーんとウインクを飛ばす。
 普段から閉じてるのか開いてるのかよくわからない目だから、よくわからないかもしれない。)

引け目感じやすい言うんは、よく言えば向上心がある言う事や。
そう言う性格との付き合い方間違えんかったらどこまでも伸びるタイプやからな。
謙遜しすぎには要注意やで?

(買ったコーラを飲みながら歩く。
 こんな天気の日は散歩が気持ち良い、と考えたところで思い出した。)

――そういやデートの話忘れとったな。
どこ行く?
て言うか今から行く?

美澄 蘭 > 「そう、ね…自分が間違ってると思うことに迎合したくないっていうか…
大変だと思う…っていうか、実際大変だったし…」

中学校の時にそのせいでえらい目にあったりもしている。
それでも変わらないのだから、本当に性分だ。

「………冗談っぽく言うけど、嘘は言ってない、ものね?」

ウィンクを飛ばされれば、そう言って苦笑い。
「あのとき」との整合性を考えれば…きっと、多分。
ウィンクなのは一応分かった。

「…別に、向上心があるのが特別って、思ったことはないけど…
そうね、上は上で見てるとして、自分の積み上げたものは、大事にしていくわ」

こちらは歩き飲みをしない方針なのか(相手が相手なのもあるだろう)、ペットボトルの入った袋を提げたまま添うように歩く。
…そこから、デートの話を振られれば…

「あっ、そ、そういえばそうね…!」

わたわたと、少し頬を赤らめて動揺する。

「きょ、今日は流石に…講義の課題もやらなくちゃいけないし…

………今週末で、どう?頑張って都合付けるから…」

「気になってるミュージカル映画があるの…」と、頬を火照らせて俯きながら、消え入りそうな声でぽつりと。

八百万 頼 >  
美澄ちゃん、結構ガンコやからなぁ。

(彼女がこうと決めたときに意思の強さは、良く知っている。
 ――良く思い知らされた、と言うべきか。)

どうやろ?
ボクウソツキやからなぁ。

(にんまり。
 いかにも嘘を吐いています、と言う顔。
 だからこそ、彼女にも伝わるはずだ。
 自身はそう言う顔で嘘は吐かないと言う事が。)

今週末なら、今んトコはなんもないな。
ええよ、ミュージカル映画。
見たことないから、楽しみやわ。

(無理はせんでもええよ、と。
 その後は他愛も無い世間話だったり、課題とかテストとかの話だったり。
 適当にぶらぶらと歩いて、彼女がどこか行くところがあるのなら適当に別れるし、帰るのならば途中まででも送っていくだろう。
 ――この散歩は世間一般ではデートと言わなくも無い、と言う事は黙っておこう。)

ご案内:「商店街」から八百万 頼さんが去りました。
美澄 蘭 > 「意志が強いって言って欲しいわ。頑固って言うと、頭が固いみたいだもの」

くすくすと笑って。

「嘘つきかも知れないけど、「そういう」嘘はつかない人だと思ってるわ」

にんまりと笑われても、動じない。
「あれ」を見せてまで、こんな嘘を吐く理由も、彼にはないはずだし。
真面目な相手には応えるのだと、彼自身が言ったのだから。

「…ミュージカル映画、見たことないの…?
セリフと歌が混じる展開って結構独特だけど、大丈夫かしら…」

少し不安げにしたりもしたが…結局、他愛もない日常話を最寄り駅まで楽しんで、別れた。「デート」という認識は薄いけれど、そういう「共にあれる時間」が、蘭にとって心弾むものだったのは確かで。

おまけに、楽しみな予定が、1つ増えた。

ご案内:「商店街」から美澄 蘭さんが去りました。