2017/09/17 のログ
時坂運命 > 水着の件しかり、どこまで本気かわからないじゃれ合いが日常になりつつある現状。
突っ込みが大変になったら、その内激しさを増すのかもしれないが……
それは自業自得というものだろう。と、少女は楽しそうに笑って思う。
お互い、笑い事で済むならそれでいいのだと。

店員さんが見えなくなると、張り付いていた、もとい剥がれかけていた笑顔が完全に消えて、
どっと疲労感のこもった溜め息が漏れた。

「……アリカ君、洋服店とはこんなに恐ろしい場所だったんだね」

試着室を見上げながら、どこか遠い目をしてぽつりと呟き、試着室に入るだろう。
仮にここでからかわれても特に言い返さない、と言うか言い返せない。フォローされた事実がある以上は。

「うん。 ……あ、アリカ君、遠くへ行ってはダメだよ? 迷子になるからね? 僕が」

最後の一言が若干震えていた。もうこのシスターさんはダメかもしれない。
一人きりになった試着室の中で、選んでもらったスカートから試着を始める。
膝下丈のこげ茶色のプリーツスカートと、淡いきなりのブラウス、上にラフな草色のカーディガンを羽織って……。
鏡に映る姿は新鮮で、自分じゃないみたいだった。
一呼吸置いてから、

「――アリカ君、いる?」と、声をかけた。

真淨在処 > ちなみに、水着に関しては未だに諦めていない模様。勿論、見れるとしても来年の夏場になりそうだが。
気兼ねなく、変に裏表を作らず接する事は、いい気晴らしににもなるし…笑い事で済ませられる。

「…ってゆーかウンメイさん人見知りだっけ?そういう感じでもなさそーなんだが」

と、店員さんが離れてから、張り付いた笑顔が消えてどっと疲れた様子のウンメイさんに不思議そうに。
流石にからかったりはしない辺り、青年の空気は一応は読めるらしい。
ともあれ、彼女が試着室に入っている間、適当に待機してれば声を掛けられて。

「おぅ、真淨アリカはちゃんとここに居るぜ?だから安心しなよウンメイさん」

と、そう自然体で笑みとともに答える。何時もの余裕ある態度が消えている彼女と違い――
青年は矢張り何時もどおりの軽い調子のまま。ただ彼女の先ほどの様子もあり、からかいは鳴りを潜めているが。

時坂運命 > 「うーん……人見知りではないと僕も自分で思っていたのだけれど。
 初めての買い物で、雰囲気に呑まれてしまったと言うか、怖―― くはないけど!
 ……まぁ、その、断り方が分からなくて、あれよあれよとあの様さ。笑いたければ笑っておくれ」

聞かれると暫く腕を組んで首を捻り、思いつく限りの原因を上げてみた。
怖くは無い、あんなにニコニコと笑顔を向けて来る可愛い店員さんが怖いはずはないんだ。
と、ブンブンと頭を振って、からかわずそれ以上に不思議そうな顔をする彼を見ると、
ついつい投げやりに言って自分で自分を鼻で笑うのだった。

「それはそれで安心していいのかな?
 まぁ、君はこっそり覗くより、堂々と覗く派だと思うからいいけどさ」

いつもの調子で返される声に、ドアの向こうでクスリと密かに笑みを零した。
疑問は自己完結で済まし、試着室のドアを開けて彼の前に出る。
くるりとその場で回ると、プリーツスカートがふわりと風で揺れた。

「うん。こんな感じだけど、いかがかな?」

彼の率直な感想を求めて、首を傾げながら問いかける。

真淨在処 > 「んー…自分でもよく分からないって感じ?まぁ、俺が居る時はさっきみいたいフォローするけどさ?
流石にここは笑いどころじゃねーし笑いはしねーよウンメイさん。俺は馬鹿だけどそこは弁えてるぜ?」

と、笑いながらもそこはきっぱり口にする。何時もの彼女らしくないと言えばそう。
だからこそ、気遣いというかスケベ心やふざけた態度はあまり取らない。

「ああ、確かに俺はこっそりよりかは堂々と覗くなぁ。
まぁ、今はウンメイさんがさっきのやり取りで元気なさげだし、場所も場所だから控えてるけど」

言外に、時と場合によっては堂々と覗いていたのを示唆する。らしいといえばらしい。
さて、カーテンが開けば、そこには私服姿のウンメイさんが…!

「おぉ…!修道服姿を見慣れてるからか、やっぱ新鮮だな!
うむ、ちゃんと似合ってると思うぜ?
まぁ、買うかどうかはウンメイさん次第というか財布の中身氏抱けども」

ともあれ、彼女もある程度お金は今回確保してると思うし、買えない事はないと思うが。
彼女の私服姿をきっちり堪能すれば、何処かほっこりとした表情になっていただろう。

時坂運命 > 「……ありがと。
 まぁ、こんな不甲斐ない失態は今の内だけさ、すぐにこの生活にもなれるからね!
 ――でも、困った時はお願いします」

気遣いはくすぐったくて、言葉にしづらい気持ちが頬を緩ませる。
暫くの沈黙の後、それは聞こえるかどうかという小さすぎる感謝の声だった。
取り繕うようにはっきりと言った強がりも、流れるような敬語で台無しだ。

「はぁ、僕のことは気にしなくていいけどさ、確かにここで騒いだら迷惑になるね」

時と場合によっては覗くのか。ちょっと見直したらすぐこれだと、あきれ顔で溜息を吐き。
さて、お披露目の時。反応を窺ってじーっと彼の顔を見ていたが、感想を聞いてほっとした。

「そ、そう? ……ふふん、そっかそっか。じゃあこれは買おう。
 お金の方は問題ないよ、多少派手に使っても当面は困らない額はあるからね。
 後はズボンと、上の服……かな?」

彼がどう言う気持か顔を見ればわかるけど、会話は手短に済ませてすぐに試着室に戻って行く。
試着室ではすぐに、またごそごそと着替えを始める物音がする。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
真淨在処 > 「どーいたしまして、ってな?まぁ、ウンメイさんもここでの生活に慣れてくれば自然と平気になるっしょ」

頬を緩ませる彼女に、青年は代わらず笑みのままそう答えて頷いてみせる。
微かに聞こえた感謝の言葉は覚えておこう。ただの感謝とは少し違う。
とはいえ、ウンメイさんのこういう一面が知れたのは幸いだ。今回お買い物が一応の目的でなければ気付けなかったかもしれない事で。

「ウンメイさんの事を気にするな、ってのは無理な話だなぁ。ま、弁えてるって言ったろ?
”今回は”覗きとかしねーからそこは安心してくれていいぜ?」

と、ケラケラと笑ってのたまうのだ。彼女の中でこの青年の評価のアップダウンは激しそうだ。
とはいえ、これが道化師であり青年の自然体なのだからしょうがない。
らしいといえばらしいし、自分から良い場面を潰している気がしないでもないが。

「ああ、次にどっか出かける時には私服姿をお願いしたいもんだぜ。勿論修道服も悪くはねーけどさ?
少なくとも、変に目立つ事もねーんだし、私服買うなら着ないと意味ねーしな」

”次”を期待している。というか望んでいる。別にそれは悪い事ではないだろう。
実際、ウンメイさんの私服姿はいいモノだし、それを望むのは当然で自然な流れだ。
それに、お金の方も大丈夫そうなら買っても問題ないわけだし。

「あーーそっちも見てみたいかな。俺としてはそっちの方が本命というか是非見たいというか」

まぁ、別に無理にとは言わない。この後も商店街の散策は続くのだし。
後日、改めて見せて貰うというのもそれはそれで楽しみとなる訳で。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
時坂運命 > 「なるさ、ならなきゃ困る。そうなる様に努力する。
 ――まったく、君って本当ーにバカだよねぇ」

弱みを見せるのは少女的には死活問題と考えるほどの問題だったが、相手がこの調子では意地を張るのも馬鹿らしい。
今回は、なんてわざと口にする道化師に対して、少し大きめの声で言うのだった。
呆れ半分、笑い半分、毒と言うには棘のない言葉。
何を思ってバカだと言うのか、それは少女にしかわからないところ。

「学校は勉強する場所だからいつもの僕で行くけど、休みに出かける時はね?
 せっかくだし着ようかな――っと!」

ドア越しに会話を続けながら、もう一着の着替えを進める。
濃い色のスキニージーンズに、サイドに黒のラインが入った薄手の赤いパーカー。
下に着た黒いシャツはそれなりに胸元が空いてるが、許容範囲内。
鏡に映る姿は先ほどとは違った新鮮さがある。
あるのだが――

「……なんと言うか、これは恥ずかしいのでは?」

普段スカートしか履かないからか、足や腰のラインが分かるスキニージーンズは違和感が半端なくて。
これであってるのかな?何かの間違いでは?と首を捻っていた。

「ねぇアリカ君、これ大丈夫なのかな?」

まだ実物を見てない相手に尋ねて何の意味があると言うのか。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
真淨在処 > 「ああ、馬鹿だから”怖いもの知らず”なんだぜ?俺。ま、これも芸風みたいなモンだな」

彼女が弱みを見せたとして、それを目の当たりにした青年はこの調子だ。
ある意味で全くブレていないというか、良くも悪くも一本芯が通っているというべきか。
彼女の呆れた様子にもめげないし落ち込まない。バカなのも否定はしない。

「ふむ、まぁ私服はプライベートで着るモンだからねぇ。休みに着るのも不自然ではないしいーんでない?」

試着室の中と外。会話を続けながらもう一方の試着も始めた彼女のお披露目を待つ。
とはいえ、どちらかといえばジーンズなどのパンツルックが好みの青年としてはこちらが本命みたいなもの。

ただ――…

「いやいやウンメイさん?まだ俺はその姿を見てないから、その質問には答えられないってばよ」

と、彼女に苦笑気味に指摘しておく。そう、透視が出来る訳ではないのだから見ないと分からない。
ただ、少なくとも似合わないなんて事はないだろうなぁ、と彼は確信しており。

時坂運命 > 「芸風って……」

さっきは真面目だったのに、ふりをしているように思えるそれも、バカだなぁと思うわけで。
まぁ、真面目なだけじゃ面白くないから、じゃれ合うにはちょうどいいのだけれど。
それが彼らしさだと納得して、「はいはい」と流していた。

「休日だけはお洒落ができる、となるとついつい遊び歩いてしまいそうだぜ」

軽い会話の後は、少しの間沈黙が流れる。
もっとも過ぎる突っ込みを受けて、それもそうだと頭を抱えること数十秒。
大きく深呼吸を二回繰り返して、意を決した。
――バンッ! と、勢いよくドアを開け放ち。

「どうかな? 似合ってる……かは、うん。
 えっと、あー……あとはね!もう一枚薄いロングティーシャツを買って。
 それで、えー、あー……」

言葉を切らないように色々考えてみたが、思ったより早く言葉が尽きて視線は彷徨う。

真淨在処 > 「そりゃ道化師ですし?芸風みたいなもんだろーさ。別に変な事じゃあないだろ?」

まぁ、むしろ元から変な青年と言えなくも無いからこれが通常運転とも言える。
まぁ、じゃれあうだけで済むかは今後次第が、それはそれとして退屈はしない…かもしれない。多分。

「いーんじゃないか?休日の贅沢の一環みてーなもんで。普段は基本修道服なんだろーから息抜きみてーなもんさ」

勿論、彼女からすれば矢張り修道服がメインの服装ではあるのだろうけれど。
無論、だからこその贅沢と言えなくも無い訳で。さて、こちらの指摘に無効は沈黙を返す。
そのまま、こちらも沈黙してから数十秒。いきなりバンッ!と、ドアが開け放たれた。

「―――ほぅ…。」

そして、姿を見せた彼女のパンツルック姿をじーーーっと眺める。
無駄にシリアスな空気でしかも無表情だ。どうでもいい事だがこういう顔だと青年割と顔立ちは悪くない。
ややあってから、ウンウンと頷いてみせる。表情が崩れて軽薄なそれに戻り。

「似合ってるっつーか、むしろ俺の中ではストライクっつーか。
あ、バイクに乗る時はその服装でお願いしますマジで。スカートだと風で捲れるし」

と、そんな事もお願いしつつ感想はシンプルだ。シンプルだからこそ変な虚飾が無い。つまりマジ感想だ。

(と、いうかウンメイさん本当にこういう方面不慣れっぽいなぁ。…可愛いからオッケーだが!)

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
時坂運命 > 「道化師なら変ではないね、変なのは君その物だけど。
 まぁ、それくらいが君らしくて良いじゃないか」

その芸風で貫くなら、生温かい目で見守ろう。巻き込まれたら突っ込みを入れるのも悪くない。

「ふふっ、息抜きねぇ。 うん、そう言う考え方も人間らしくていいのかもしれない。
 アリカ君がバイクに乗せてくれるらしいし? 僕の人生は今充実しているんだろうねー。
 こう言うのを『りあじゅー』って言うんだっけ?」

雑談なら簡単に言葉が続くのに、慣れないことをするとこうも言葉が途切れるのは何故なのか。
そう真顔でじっくりと見られると、余計に声が出なくなるし、変に頬が熱くなる。
耐えきれなくなり、うんうんと頷く軽薄顔を見て声を上げた。

「あー、もう! そんなに見ないでよ!
 ――あ、うん。わかったけど、わかったけどさぁ……」

似合ってるとか、ストライクとか、お世辞抜きにしか聞こえない言葉に悪い気はしないがそうじゃない。
恨めしそうにジト目で彼を見て、文句ありげな言い草で口を尖らせていた。

「はぁ。 じゃあ、着替えたらレジに行くから、先に行っててね?」

大きいため息をつくと、さっさと試着室に戻りいつもの修道服に着替え直す。
数分経てば、おなじみの格好に戻った少女がレジに行って、店員さんとぎこちないやり取りをしながら会計を済ませるだろう。

真淨在処 > 「――うん、そもそもこの常世島って、むしろ奇人変人の方が多いと俺は思うんだよなぁ」

笑顔でサラリと口にする。あちこちから総ツッコミを食らいそうだが的外れでもないと青年は思っている。
あと、貫いているといえばそうだが、気分で方針転換もするので面倒な道化師でもある。

「――”人間らしい”?…んー、リア充なのは主にカップルとかそういうのが多いんでない?
ま、ウンメイさんの人生の充実に一役買ってるなら何よりだわな」

ケラケラと笑って。そして、慣れている事も慣れていない事もあまり変わらないのがこの青年だ。
あと、何か彼女は少し恨めしそうだ。おかしいな、普通に本心から口にしたのだが。
こういう所が天然と評されるのだろう。微妙な女心というものには少し疎い。

「いや、見るだろフツー。見て減るもんでもないし、どストライクなんだから見るだろ」

何を言ってんの君?という表情で首を傾げる。基本彼女に悪戯される側だが…。
こういう場面ではある意味で無双している青年であった。ブレないせいかもしれない。

「はいはい、じゃあ店の外で待ってるとするぜ」

彼女の言葉にはいよ、と手をヒラヒラと振ってから一足先に店の外に出て待機していよう。
ちなみに、店の外からでもぎこちない会計の様子が見えていたりする。
それを見て楽しげに笑っていたのは内緒だ。彼女がこちらに来る頃には何時もの軽薄なそれ。

「お、来た来た。じゃあ次は…んー惣菜店行くか?小腹も空いてきたし」

時坂運命 > 「否定はしない、と言うべきなのだけれど。 僕はいたって普通の真面目な優等生だからね?」

その枠に入れないでとでも言うようにプイッと顔を逸らして言い、クスクスと笑う。
向けられた笑顔が無駄にさわやかに見えたが、それも道化師の仮面なのだろう。

「ふふふっ、そうだよ。人間らしい。
 ふむ、りあじゅーってそっちの意味で使うんだね、また一つ勉強になったよ」

オウム返しに繰り返し、笑みを深めて頷く。
リアルが充実している学生の真なる意味を知り、なるほどと納得したりもした。
彼が変なところで鈍いというか、天然なのはもう諦めたと匙を投げたが、それでも忠告はする。

「アリカ君、良い男と言うものは婦女子をそんなにまじまじと見ないものなんだよ?
 それがどすとらいくだろうともだ」

いいね? なんて年下が年上ぶるように人差し指を立てて言う。
その後は、急いで着替えを済ませて会計に並び、財布を少し軽くして、
かわりに大きめの紙袋を下げて店の外に出た。
辺りを見渡すまでもなく、ちゃんと店の前で待っていてくれた彼を見つけると駆け寄り、

「お待たせ。 うん、そのお店ってどのへんかな?」

お店の場所を彼に聞きながら、隣に並んで歩き店へと向かおう。

真淨在処 > 「――え、それツッコミ待ちかよウンメイさん。自分でそう口にしてる時点でアレだぜ?」

説得力無いぜ?と、言いつつジト目で見てみたい。彼女は確かに優等生ぽい。
…が、真面目な人はそもそも悪戯な面をそう簡単に見せないと思う。自分はもう散々彼女のそういう面を見ているから。

「…成る程ねぇ。いやいや、勉強になる事でもないと思うんだが…まぁいっか」

(人間らしい、か。この場合”アイツ”は適用外なんだろうなぁ)

と、心の中で苦笑気味に零しながらも顔はヘラヘラとした何時もの軽薄さのままで。
そして、彼女の忠告にもほぅほぅと笑顔で頷いているが、多分真面目に聞いてるかは怪しい。

「ウンメイさん、良い女と言うのは黙っていても男を惹きつける何かがあるんだぜ?」

と、もっともらしい返しをしつつ楽しげな笑顔は続行中だ。
さて、彼女が紙袋を片手に店から出てくれば「こっちだぜ」と惣菜店に案内しよう。

「…と、ここだな。肉屋なんだけど揚げ物も店で作って売ってんだよ。名物は「大判コロッケ」。デカいサイズだから一個で満足ボリュームだなぁ」

と、やがて辿り着いたのは、庶民的で飾り気の無い、如何にも商店街にありそうな肉屋さんである。
ガラスケースに肉が立ち並び、その一角には揚げ物も数種類。
中でも目立つのが、青年が行った「大判コロッケ」。名前の通りに大判の如く大きい。
丁度出来たてのそれを店主が並べた所だ。

「おーっす、おっちゃん。大判コロッケ二つ頼むわ」

と、気さくに声を掛けて注文。どうやら顔なじみらしい。

時坂運命 > 「おーっと、今のは割と本気だったりするんだぜ? 流石の僕もちょっと傷ついたよ」

傷ついた割に楽しげに声を立てて笑い、肩を竦めてやれやれと言わんばかりに彼を見た。
このシスター、先生の前や学業成績だけは“真面目”な生徒で通っているから性質が悪い。

「逆に言うとね、人間ではない者が人間らしい生活を送ることで、人間に近づけることもあると僕は思うんだ」

苦笑する顔を、その目を覗き込むように見上げ、笑みを絶やさずに言葉を連ねる。
少女には何かが見えたわけではないはずだ。そのはずだ。

「――かく言う僕も、軽ーく人間やめちゃってそうだろう?
 こんな可憐でか弱いシスターさんなんて、現実じゃそうそう拝めないぜ?
 まぁそれはそれ、これはこれ。 僕は知らないことがまだまだ多いから、何事も勉強なんだよ」

冗談っぽくウインクを飛ばして笑う少女は、惣菜屋への道を行きながら、返される言葉を戯言と受け取って楽しげに笑い。

「そう言われてしまっては強く怒れないじゃないか、この策士さんめ」

と、お小言は案外簡単に終わってしまうのだった。
案内された先にあったのは、昔ながらなイメージのお肉屋さん。

「良い匂いだねぇ……」

少女は興味深そうにお店を眺めながら、注文される声を聞くと財布を準備する。
今回はこちらが奢る、そう言う約束なのだと。

真淨在処 > 「この程度で傷つくタマでもねーだろうがよーウンメイさんは。まだまだ短い付き合いだけどそんくらいは分かるぜ?」

と、楽しげに笑う彼女にこちらもこちらで自信満々に断言する。
ちなみに、この道化師もこの性格で成績は割と上位キープだから同じくタチが悪い。

「まーそういうもんなのかねぇ。…んーー…」

笑みを絶やさずにこちらを覗き込むように見上げてくる瞳。それを赤い瞳で見下ろして視線が交錯する。
彼女には何かが見えただろうか?見えなかっただろうか?互いの瞳は何も語らない。

「……ハイ、アウトー。か弱いシスターさんはもっと控えめだと思いまーーす」

と、言いつつ右手を伸ばしてウンメイさんの頭を軽く撫でた。
勿論、髪型やカチューシャを崩さないように絶妙の力加減で。

「策士というか、ここぞという機を逃さないようにしてるっっつーかそんな感じなだけなんだがねぇ」

笑う。天然入ってバカでスケベで軽薄。だがここぞという場面は逃さない。それだけだ。
さて、肉屋さん名物の「大判コロッケ」を二つ注文。袋に入れて貰うのではなく、直ぐに食べられるように紙に軽く包んで貰うだけにした。
それを受け取りつつ、サイフ――は出さない。彼女の奢りと今日は決まっているのだ。
その”ルール”は破らない。だから、「ゴチになるぜウンメイさん」と、笑って礼を述べるのみだ。
ともあれ、支払いが済めばコロッケの包みを片方彼女に手渡すだろう。

「んーー食べ歩きもオツだが、どっか座って食べる方がいいかねぇ。ウンメイさん的にはどっちがいい?」

時坂運命 > 「ほほーぅ、君には僕がそう見えると。 ――まぁ、その通りだから君の目は正しいんだけどね?」

ジト目でジロリと見るのも数秒、あっけらかんとした言葉で締めくくる。

「そうそう、そう言うものだよ。 そうであって欲しいものだと、僕は祈っているよ」

こちらを見返す赤い瞳の中に、世界が反射し映り込む。
にんまりと笑みを深めて一言呟いた後は、すぐに視線を外して前を向いた。が、

「言うに事欠いてアウトとはなにさ、僕は一般人で優等生で真面目でか弱いぃー……もう!」

か弱い!この細腕を見てみたまえ!なんて訴えかけようとしたところで、何故か頭を撫でられ、
頭上に『?』を浮かべながら大きくて頭を振って逃げるのだった。

「逃さないようにしているはずが、タイミングが絶妙に喜劇的なリズムを刻んでいるせいで残念すぎるんだぜ?」

そのタイミングじゃダメだと真顔で返す。「狙ってるのかい?」なんて半笑いで追撃をかけつつ、
紙に包まれた大きなコロッケが受け取られるのをわくわくしながら見守り、おじさんに言われた金額を払って。
彼から差し出された包みと言葉に「うむ、くるしゅうない。」と楽しげに笑って受け取った。

「…………。 えっ、あ!そうだね! じゃ、じゃあ座ろうか?うっかり落としたら悲しいからね!」

完全にコロッケに目を奪われ反応が遅れたが、キリッと表情を引き締めて言った。

真淨在処 > 「ま、ウンメイさんが鋼鉄メンタルかどうかまでは流石に俺も分からんけどなー?
ただ、この程度で傷付く程にヤワには見えなかったつぅか。あ、性格とか内面的な方な?」

笑って補足する。まぁお互い言いたい事をズバズバ言えるのは悪くない。

「祈る、ねぇ。だったら何時か神様にゃ悪いが個人的に祈って貰いたいモンだねぇ」

などと軽口を叩く。深い紫色の瞳に世界が鏡映しにされる。
小さく笑ってこちらも視線をはずす。他愛も無い視線の交錯。紫と赤の視線は何も語らぬ。語るのがむしろ野暮か。

「そうやってムキになってちゃ美人が台無しだぜー?」

と、頭を撫でていたが、彼女が首を振った事で空振りしてしまった。残念。
ただ、頭を撫でる時間は終わったが軽口は終わらないのであった。
ついでに、「ああ、ウンメイさん手足はほっそりしてるけどスタイルはいいよなぁ」と、真面目に頷いている。

「んーー…そうかも?でもウンメイさんもその方が楽しいだろ?」

首を傾げて口にする。喜劇上等、ここぞという所は逃さないのに変わりは無い。
それに、何だかんだでこのシスターさんの色んな面を拝めているのだから喜劇も馬鹿に出来ない。

さて、支払いも終わってお互いに大判コロッケの包みを手に彼女は――ああ、もう今すぐにでも食べそうな勢いだ。

「んじゃ、あっちに確かベンチあった筈だからそこで小休止がてら食おうぜ?」

と、彼女を促してテクテクまた移動。ベンチが見えてくれば、二人で並んで座るとしよう。

「んじゃ、食べますか。いただきます、と。……んむ、相変わらずイイ仕事してるぜおっちゃん」

大判コロッケにかぶりつく。衣は厚みが絶妙で中は出来たでホクホク。
元から味もしっかり付いているのでソースとかも必要ないくらいだ。
おまけにサイズがサイズなので、小腹を満たすには十分だろう。

「これ、この辺りの商店街のコロッケでは一番人気なんだよなぁ。ウンメイさんどうよ?」

と、彼女の食べっぷりを見てみたい。口に合うかどうかが矢張り気になる。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
時坂運命 > 「僕の心は文字通りアイアンメイデンの中で絶賛引きこもり中だから、銃で撃っても傷つかない自信があるよ。
 だから、君は思ったことをそのまま僕にぶつけると良い。そう言うのを受けとめるのもシスターさんの役割だからね。
 ただ――」

にっこりと微笑んで戯言を紡いでは、一つ区切る様に小さく息を吐き。

「個人的な祈りは、神様が許してくれなきゃダメだろうね」

苦笑して言った。逸らした目は、けして合わさずに。
自分で作った妙な空気をかき消すように、わざとらしくムキになって声を上げた。

「その台無しにした張本人が何を言っているのかな?
 こら、アリカ君!君はどうしてそう言う時ばかり真面目な顔になるんだい?
 喜劇を見て楽しいことは楽しいけど、シスターさんとしてはたまには君にお灸を添えるのもやぶさかじゃないんだぜ?」

ムキニなったシスターさんは、頬を膨らませて空いている片手を伸ばして彼を頬を引っ張ろうと試みる。
喜劇を見て笑うけれど、今回はそればかりではないと言うことらしい。
一度収まったはずのお小言が再熱している。

「ん、わかったよ」
と、左手に持ったコロッケを一瞥し、彼の後に着いて行った。
彼がベンチに腰掛けてから、ちょこんと隣に腰掛ける。
出来たてらしいコロッケを美味しそうに食べる彼の様子を横目で見ながら、
少女は小さく齧る様にしてコロッケを食べる。

「これは、はふっ……とっても美味しいね!」

サクサクの衣に、ジャガイモの甘みがしっかりと味わえるコロッケは、太鼓判を押すほどに美味しかった。
頬を緩めて目を細めては、感嘆の息が出るほどに。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
真淨在処 > 「アイアンメイデンの中ってそれ死んでね?…じゃ、ウンメイさんも祈りで解決しない愚痴があったら俺に言えよ?
シスターさんの役割は理解してるつもりだが、一方的にぶつけるのはフェアじゃねーし」」

と、冷静に指摘する青年である。処刑具のアレだと思っているらしい。
軽薄で賑やかしかと思えば、不意に真面目?なツッコミをする事もあるのだ。
まぁ、彼女がこちらにぶつけてくれるのは今はツッコミくらいしかないだろうが。

「そりゃ手厳しい。もうちょい融通利かせてくれてもいいんだけどなぁ」

と、こちらも苦笑気味に呟きつつ、同じく視線は合わさないままで…が、説教が再燃した。

「んーー…ウンメイさん、色んな表情見せてくれるからいいよなぁ…いてっ!?」

お灸を据えられかねなくてもこの調子だ。しかも割と本心だからしょうもない。
軽薄な調子で、おふざけと本心を平等に語るのがこの道化師の厄介な所でもある。
…まぁ、結局その調子だから頬を抓られているのだけれど。それでも楽しげだ。

さて、仲良く並んで座りつつお食事タイムである。男子なのもあり既に半分程度コロッケは平らげている。
まぁ、急いで食べる物でもないし、ノンビリしていこう。一口また頬張り。

「お、ウンメイさんの口に合ったなら何より。おっちゃんも喜ぶだろうぜ。
暇な時は偶に肉とかのついでにコロッケ買ってやってくれな?」

と、ケラケラ笑う。彼女のマンションから多少距離はあるが来れない程でもないだろうし。

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
時坂運命 > 「おい、僕の心がすでに死んでいるみたいな言い方をするのはやめてもらおうじゃないか。
 僕には特に愚痴なんてないけれど……もし仮に出来てしまったら、面白おかしく君に話すとしよう」

的確なツッコミだったが、キラリと目を光らせて言い返す。真面目な顔をしているが所詮冗談の延長線上の話だ。
彼の言い分にはキョトンと目を丸め首を傾げた。
しかし、フェアじゃないと言われては否定することは出来ず、やれやれと頷いて返す。

「まぁ、祈らずとも君が人として、それらしい生活を送ればいいだけのことだ。
 なぁに、難しいことじゃない。 こうして談笑して、コロッケを食べているこの時間こそ、まさにその答えなんだから」

と、諭すような口で言う最中、ぐにーっと頬を引っ張ってニッコリと笑みを作る。
全く反省しそうにない道化師の楽しそうな顔を見て、溜息と共に手を離した。

「もう、君はまったくもってアリカ君だな」

そんな意味のわからない文句を言いながら、うかつなことをしないように気を付けてコロッケを食べる。
かぷ、かぷと、食べるのに随分と時間がかかるが、隣の彼ものんびり食べてくれているようなのでマイペースにこちらも続けた。

「そうだね、んぐ。 買い出しの帰りとか、ちょっとお腹が空いた時にでも」

ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
ご案内:「商店街」に真淨在処さんが現れました。
真淨在処 > 「ああ、今は無くてもいずれ生じるモンだろ?そーゆのって。もしくは自覚してないか。
…ま、ウンメイさんは溜め込むタイプではねーか…」

無自覚が一番タチが悪いのだ何事も。…まぁ、青年も天然なところは自覚が無いのでつまりある意味でタチが悪い。

「それらしい生活ねぇ。まぁ普段どおりすごしてればいいだけってこった」

人らしい生活、だがそれは無理な話だ。自分は良くても”あちが”がそうは行かない。
仮初で何時崩れるか分からないとしても、ただ自分の方は人として在るしかないが。

…なんて事を不真面目に戯言の延長として頭の中で考えながら頬を引っ張られていた。
手が離されれば、軽く摩りつつ…でもまぁ。

「…説教してくれる相手がこうして居てくれるだけありがたいわな…。」

独り言のように呟いて笑う。その笑みはおふざけの無い素に近いものだった。
…まぁ、それで道化師が矯正されるかどうかは別問題だが!

「…何か俺の名前が新手の単語になってね?…ま、俺は俺だから”在処(ここ)”に居るんだし。この名前はそーゆーもんさね」

笑う。名前に意味があるとしたらきっとそうだ。アリカとはすなわり在るべき場所なのだから。

ま、浸るのはこのくらいにして大判コロッケをのんびりと食べようか。
彼女が食べるペースに自然と合わせているのは気遣いであろう。
こういう気配りも出来るから、ただの道化師や賑やかしとも言い切れないのだ。

時坂運命 > 「僕は君みたいな天然君ではないからね? 断じて違うからね?」

ムッと顔を顰め、そこは譲れないと言わんばかりに念を押して言う。
それがわざと茶化しているのかは判断が難しいところだ。

「そうそう、楽しく愉快な日常こそ素晴らしき青春の日々ってね」

きっと彼にも抱えている問題がある、多分、きっと、絶対に。
確信に近い勘が少女の中にあった。ただ、それを訪ねる時は今ではないと、同時に理解もしていた。
今はただ、この時間を大切にして、静かに見守ろう。

「おやー? アリカ君ってば、もしかして僕に叱ってほしくてあんなことをしていたのかなぁ?
 んー? 甘えたいならもっと素直に甘えればいいんだよ?」

零れた言葉を聞いて、一拍の沈黙を挟んだら、にまにまと小悪魔通り越して悪魔な笑みを浮かべた。
食べかけのコロッケを握りしめながら、身を乗り出して一気に距離を縮める。
彼が逃げなければ鼻先がつきそうなほど顔を近づけて、心底楽しそうにからかうのだろう。

「うんうん、良い名前じゃないか。色々使い道があって、色んな意味があって。その意味を君自身が自覚している」

羨ましい限りだよ、と相槌を打ちながら、もうじき食べ終わるコロッケを名残惜しく思ったりもして。
気遣いに気付いてのことか、彼より少しでも早く食べ終わろうと、無駄な努力をするのだった。

真淨在処 > 「…でも、さっきの店員さん相手にキョドったりとか実はウンメイさん人見知りだったり?」

まぁ、彼女は天然ではないだろう。むしろ自覚しつつそれを自分の中で消化していくタイプに思える。

「まーこの常世島は普通の青春とは少し方向性が違うだろーけどなぁ。ま、青春に変わりはねーか」

抱えるモノは深いし切り離せないし、ついでにどうしよーもない。
いずれ、このシスターさんに話す時が来るのだと…ああ、先を見通す目を持たない青年もそれは確信していた。

「…甘える、ねぇ。…じゃ、そうしようかねぇ」

身を乗り出して一気に距離を縮めてくるシスターさん。鼻先が近づきそうな距離まで接近されれば。
そのままキス…は、しない。ただ額をコツンとぶつけて密着。そのまましばし動かない。

「…んーー…ウンメイさんに甘えたら溺れそうで怖いなぁ」

呟く。今日はらしくない事をチラホラ口にしてるなぁ、と道化師は思う。
彼女だけでなく、青年も青年で少し彼女相手だと調子が狂うみたいで。

やがて、そっと額を離すだろう。彼女がコロッケを食べ終えるのを待ちながら。

「――名前に意味があるのはウンメイさんも同じじゃね?」

と、小さく笑って口にしつつ。あ、どうせなら飲み物もついでに買えばよかったと後悔。

時坂運命 > 「だ、だから、あれはぁ……ほら」

言いかけて歯切れが悪くなり、一度視線を下げて遠くのお空を見た。それ以上言葉は続かない。
彼の考えるところは確かに近いのかもしれない、不自然なほど気持ちの切り替えが早く、それはきっと愚痴になる前に少女の中で終わってしまうのだから。

「普通の青春と言うと、夕日に向かって走ったりするあれかな?
 ふむふむ、ここでの青春がどんなものなのか、どうかご教授願いたいものだね」

何処までも明るく、楽しげにうなずいて少女は笑った。
どうかこのありふれた日常がもう少しだけ続くようにと願いながら。

「――! ……、えっと。これは?」

からかって慌てふためく顔を見ようとでも思っていたのか、額が重なるとパチリと瞬きをして、動かない様子に戸惑う。
その先に何が続くのかと不思議に思いながら待っていると、思ってもみない言葉が返って来た。
それを聞くと、ふっと小さく笑い

「なんだいそれ? ……でも、本当に甘えたいなら溶けてしまうほど、どっぷりと浸けてあげよう。
 僕はこう見えて、世界的な悪女かもしれないぜ?」

おかしそうにクスクスと笑みを零して首を傾いだ。
距離が開けばベンチに座り直し、残りのコロッケをぺろりと食べきってしまう。

「……うん、僕は時坂運命。名は鄭を現すって感じにウンメイさんは意味があるかんじはするねぇ。
 さて、ご馳走様でした。 後はバイク屋さんだっけ?」

真淨在処 > 「…ウンメイさん?正直に認めた方が楽になるぜ?むしろ嘘や誤魔化しはシスターさん的にマズくね?」

と、笑顔で言う青年である。彼女に比べたら切り替えはさてどうなのか。
ただ、人らしく在る為にはそういうのも必要なのだとしみじみ思う。

「それ、何年前のドラマの話なんだかなぁ。ま、ご教授するのはいいけどそれはまた今度な?」

こういうのは少しずつ、小出しに楽しんでいくのが長続きするし飽きない。彼女だって楽しい時間は長い方がいいだろう。
そう、こういう他愛も無いやり取りが、後に思い返して大切だと思えるような…うん、矢張り今日はらしくない。

「…んー、流石にいきなりシスターさんにキスをかますのはいかんでしょーよ?
だからこの辺りで妥協。…悪女でも聖女でもどっちでも構わんさ。
道化師だって甘えたい時もあるって話。じゃあどっぷり甘えさせて貰うかなぁ。ちなみに割とマジなんでよろしくー」

と、言いつつ今はそういう時間ではないので身を離して一息。うーん、このシスターさんは矢張り魔性があるのではないか。

「ふむ、考えたらお互い個性的な名前だよなぁ。分かりやすいけど…そだなぁ、後はウンメイさん用のヘルメット買ってくかぁ」

軽く伸びをしてから、彼女を促してゆっくりと立ち上がろう。
彼女は洋服はもう買ったし、こちらも今回はヘルメットを買えば買い物は一先ず終了だ。

「取り合えず、また時間取れそうなときにウンメイさんに連絡するかもだぜ。
冬とか突入すると寒さが厳しいからなぁ。急ぎはしねーけど、バイクで二人乗り(タンデム)は速めにやりたいし」

(何よりウンメイさんの私服姿を長時間拝みたい!)

と、まぁそんな訳で。足をバイク用品店のある方角へと向けながら。

「じゃ、行こうぜ?ウンメイさん」

道化師はシスターと共に歩き出そう。きっと彼女の好む暖色系のヘルメットを買う事になっただろう。
その後は、多分商店街の店をあれこれ案内と貸して楽しく時間を過ごしたかもしれない。

時坂運命 > 「それを今言うのかい? あー……うん、正直少し上がっていたよ。
 初対面の人相手に、まさかあそこまで言葉が出ないとは自分でも驚くくらいだった。
 買い物と言う行事がまさかここまで大変だとはびっくりだよ!」

なんでそんな笑顔なのさ、と眉を潜めて思ったが口には出さない。
もう降参だと白旗を振って、認めてしまった方が楽になるのは違いないのだから。

「あれ? おかしいなぁ、最近の流行りだと思ってたのだけれど。 ん、それも約束だね?」

はて?首を傾げて考え込んだが、まぁいいやと片付けて次の機会を待ち遠しく思う。

「それはダメだね、平手打ちと天罰が同時に下ることになるかもしれない。
 いやいや、聖女ならまだしも、悪女だったら女郎蜘蛛のように、捕らえた獲物は二度と離さない……なーんて恐ろしい結末が待ってるよ? 考えなしな行動は気を付けたまえ。
 まぁ、僕は敬虔なる神の信徒、聖女とまではいかないけれど君を甘やかすくらいは出来るだろうさ。
 その時はコーヒー1杯で手を打とう」

間をおかずに、にっこりと笑顔で返すダメの二文字。
ガードはそれなりに堅いが、甘やかす代償はコーヒー1杯と割とお手軽なシスターだった。

「覚えやすくて良いけどね?
 うーん……なんだか、今日は本当に僕の買い物にばかり付き合わせちゃった感じだね…」

洋服、ヘルメット、コロッケ…と。改めて考えれば明白だった。
今度何かお礼を考えないとなぁ、と内心で呟きながら立ちあがり、

「うん、僕は気長に待っているから、いつでも連絡すると良いよ。
 タンデ?……うん、まぁ了解だ」

聞きなれない単語に首を傾げたが、行こうと言われれば微笑んで隣を歩き出す。
ヘルメットを買って、これでバイクに乗れるとちょっとはしゃいでみたり、他の店も回って見たり、
今日という日は楽しい思い出として記憶に刻まれることだろう。

ご案内:「商店街」から真淨在処さんが去りました。
ご案内:「商店街」から時坂運命さんが去りました。