2017/10/25 のログ
ご案内:「商店街」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 放課後、カフェテラスで勉強していたらシャープペンシルの芯が切れてしまい、商店街の文具店に足を運ぶことになった。
買うものは決まっているので、用事はあっという間に済む。
今日は同好会での合わせ練習の予定は無い。しかし帰るには中途半端な時間だ。
(…何か、家で切れてるものあったかしら…)
何となく、商店街のあたりを見回す。
■美澄 蘭 > そうして初めて、商店街にオレンジの彩りが増えていることに気付く。
(…そういえば、もうすぐハロウィンだっけ)
ハロウィンの仮装の対象になるような存在が実際に現世に現れても…そして、そういった存在が心を休めるだろうモデル都市・常世島においても、商売やお祭りのタネはそうそう滅ぼさないのは、なかなかに面白いものだと蘭は思う。
街の一角のオーナメントに、近づいてみる蘭。
■美澄 蘭 > 前世紀末から、蘭の故郷たる日本でも徐々に浸透したハロウィン。
幼少期には、蘭の家族にも一応声がかかった地域行事に、母が選んでくれた衣装で仮装をして、父に連れられて赴いたりもした。
色素が薄い蘭は西欧のお伽噺の少女、あるいは妖精のモチーフの衣装がよく似合い、随分褒めてもらったことを覚えている。
その写真をこの年頃に見ることになったりすると、今より随分丸い顔立ちと幼さが、無知故の無邪気さやらと共に想起されて何とも恥ずかしい気持ちになったりする。
蘭が、「異物」のまま成長し…「学業」という社会の物差しに適合して一部の人々から反感を買う前の温かさもほんのりと思い出される…ビターチョコレートのような苦みを伴う思い出だ。
「………。」
蘭は、懐かしさと、それだけではない情緒を込めて、オーナメントを見つめる目を細める。
■美澄 蘭 > 常世祭の発表会に合わせて貸衣装の予約も二度ほど経験しているから、ハロウィンの催しの存在は知っている。
ただ…「少なくとも」「一人では」、参加してどうこうしようという気分にはならない。
………では、誰と?
「………、」
オーナメントを見つめながら…蘭は、躊躇いがちな、それでいてひどくもの言いたげな…物欲しげな強さを宿した溜息を吐いた。
ご案内:「商店街」に岡崎燐太郎さんが現れました。
■岡崎燐太郎 > 放課後、暇を余し校内をうろついていたらハロウィンの季節だと誰かが話していたのが聞こえた。
周りに常に妖精だ魔物だがいる環境なのですっかり忘れるのはいつものこと。
そんなわけで少しでもハロウィン気分を眺めようとそのまま商店街へ訪れた。
「……お、やってるやってる。」
人の通りに流されながらイベントに備えた品揃えの店を覗いていく。
この島でわざわざこのような催しをやるのも妙な気持ちになるが、青少年の学生が多い以上こういった息抜きも必要なのだろう。
「なんだかんだ、イベント事はしっかりやるからな……いつものことか」
春には花見、夏には花火や海水浴……季節ごとに質の高い催し物をやっているなとふと思い返す。
装飾がされた街の風景も見ながら歩いていると、前方に深刻そうに溜息をつく少女を見つけ。
「あの、どうかした? 落し物?」
相手の心情を察する能力もないため正直に見たままわいた疑問を告げる。
こんな所で重い溜息をつく理由といえば財布かなにかを落としたのかと。
■美澄 蘭 > 「ふぇ!?」
物思いにふけってしまって、周囲に意識が向いていなかったらしい。
変な声を出して声のした方に振り返る。
日本文化圏においては長身の部類に入る少女の顔の高さに近いところに、カボチャのお面をした男子学生の姿があり、
「………。」
少女は、奇妙なまでの真顔で、目を丸くして口を閉ざす。
5秒くらいそうしていただろうか、やがて我に返ったようにはっとすると、
「…ううん、大したことじゃないの!
もうすぐハロウィンだなーと思って、色々思い出したり、考えたりしちゃっただけで…」
と、妙に慌てた口調で。
■岡崎燐太郎 > ちょっと驚かれた。声のかけ方が悪かったか?
とか思いつつ、目を丸くする少女に小首を傾げて。
「……ああ! そうかそうか! いや店の前で溜息なんかついてるから、困ってんのかなって思って」
とりあえず返答があって一安心。
続いて納得がいった顔で話しかけた意図を説明。どうやら困り事ではなかったようだ。
と、ここで苦笑とともに頭を掻いて気付く。お面付けっぱなしであると。
「あ……これか……?」
うっかりしていた。こんな物を付けていては当然さっきのような表情にもなるはずだ。
顔にかけたそれを銀色に光る手で外し、素顔を見せる。
「ごめん、これ付けてたの忘れてた……びっくりさせたかな」
少し気まずそうな顔で反応を伺う。
■美澄 蘭 > 「お店っていうか…ハロウィンの飾りね。
やっぱり目を引くし…それで色々考えちゃって」
「心配させちゃってごめんなさい」と、困り眉ながらも笑顔を返す。
「………。
あ、ちょっとね。イベントを楽しむ人に、学校帰りに正面から顔を合わせると思わなくって」
面を外す無機的な右腕と、そして現れる素顔を、色違いの意思ある瞳でまっすぐに見て。
それから、自らの無礼を恥じるように少し視線を泳がせながら、そんな風に答えた。