2017/10/26 のログ
■岡崎燐太郎 > 「そ、そうだよな……さっき通りで配っていてねー。そのまま被ってたらつい……」
筆記用具や私物が入った学生鞄にお面を突っ込む。
周囲がこの雰囲気だったので歩いていても指摘されることはなかったが本来は少女の反応が正しいのだろう。
「へぇ……」
面を外したら視界が開けて相手の顔がはっきりと見える。
そして左右の瞳の色が違うことに興味がいく。
「綺麗な目。それ、オッドアイってやつ?」
その瞳を覗きこむようにして黒の双眸で見つめる。
改めて見て確信を持てば瞳を指で示して尋ねる。
■美澄 蘭 > 「あら、そうなの?気付かなかったわ」
思案がちに軽く上目遣いをして、口元に手を当てる。
商店街に来る目的が割りかしはっきりしていたせいで、無意識にスルーしてしまったのだろう、きっと。
…しかし、オッドアイを指摘されると、少し表情が強張りを増す。
「………ええ、そうなの。
お母さんと、そのお母さんは両方ともこっちの色なんだけど…何か、中途半端に遺伝か何かしたみたいで」
と言いながら、口元に当てていた手の人差し指で、淡い空色をした左目を軽く指す。
両目とも淡い空色をしているという、母親の影響だろうか。肌も髪も右目も、一般的な日本人より色素が薄いようだ。
■岡崎燐太郎 > 「へえお母さんが……ハーフとか、そんな感じか」
確かに肌や髪が普通の日本生まれの人より色素が薄い。
となると単に外国の人との混血かあるいは……
「でもそれも良い個性だと思うよ。オッドアイってなかなか見ないし、両方とも綺麗な色だ」
異邦人の中にもあまり見かけず、珍しい部類であると思う。
少女は中途半端だと言うがそれでも自分はそう感じていると言って。
「俺なんかは髪が二色だとか、そういうのもないから。いいと思うけどなぁ」
■美澄 蘭 > 「………まあ、そんな感じ」
すっと、視線を落とす。
正確にはハーフなのは母親で、しかも異邦人とのなのだが…流石に初対面で、名前も知らない異性相手にそこまで話す気にはならない。
それでも、良い個性だと言われれば、視線を相手の顔に戻して…
「………ありがとう。
この島なら、そういう風に言ってもらっても、割と素直に受け止められるわね」
と、表情の硬さは抜けきらないながらも、口元に笑みを作った。
■岡崎燐太郎 > 煮え切らない返答だったが内情を探る気はなく頷きを返す。
「詩的な表現はできないけど、さっき言ったことは本当。だからそうしてくれた方が嬉しいね」
釣られるように口元を綻ばせる。
気のきいた言葉は言えないが本心を言ったのは事実。素直に受け取ってくれるのが何よりだ。
「そういえば、ええと……」
ハロウィンの話題を思い出して続けようとするが言葉が詰まる。
相手を呼び方を知らなかったのだ。
「俺、岡崎、二年の。名前、聞いてもいいかな?」
相手の学年も知らぬまま素性を名乗り、同時に尋ねる。
■美澄 蘭 > 「ふふふ…」
「詩的な表現はできない」と自白する相手に、柔らかい微笑が口から零れる。
…が、それは束の間のこと。
「…あ、ごめんなさい」
少し気まずそうに、相手から視線を外した。
それでも、相手が名乗ってくれれば、少し恥ずかしそうな様子ながらも視線を戻して。
「岡崎さんね?私、美澄 蘭(みすみ らん)。3年生よ」
こちらも、やや気まずそうな様子ながらも名乗りは素直だった。
■岡崎燐太郎 > 「美澄さん、ね……あ、下の名前は燐太郎。まあ岡崎で大丈夫」
三年生……年上だったか。
元々同年代だと見た目で詳しい年齢はわからない上、学園の生徒となれば外見だけで判断できない者もいるので僅かに意外そうに。
「美澄さんはハロウィン何かするのか? さっきはハロウィンのこと考えてたらしいけど……」
出会い頭にした会話を思い返して改めて訊く。
おそらく学校でも何らかの催しは行われるだろうし、自分は機会があれば参加するつもりで。
「去年は何やったかなぁ……」
■美澄 蘭 > 「わざわざありがとう。
…でも私、異性を下の名前で呼ぶことは基本的にしないのよ」
「望まれれば別だけど」と、相手が自分に合わせて下の名前まで名乗ってくれれば、そんな風に言って少しだけ申し訳なさそうに笑う。
…が、ハロウィンの予定を聞かれれば…
「………!」
目を丸くして…黄みにも赤みにも乏しい頬に紅が宿った。
「………そ、そうね…去年までは、音楽実技の発表会の準備で忙しくて、余裕無くて………
…イベントにも、一人で顔出す気にはなれなかったし…」
水中で酸素不足にあえぐ魚かのように、しばし口をぱくぱくさせた後、俯いて。
「………何か、一緒にできたら、幸せかなぁって…思う人は、いるんだけど………」
消え入りそうな声で、そう言った。
■岡崎燐太郎 > それまで大きな変化のなかった頬に紅が宿ると一瞬戸惑いを見せて、そのあとに続く言葉を聞く。
学校での行事といっても全ての関係者に都合を合わせられるわけでもないのが現実。
委員会などに所属していない自分にはいまいち実感が湧かないものの、
彼女のように他にやるべき事があると行事に参加できないこともあるのだろう。
「いいじゃん、それ! 多分誰かが仮装大会とか企画するだろうし、そういうのに誘ってみるのはどう?」
今回は楽しむことができるというのを聞き、つい勢いを増してしまう。
せっかくやるなら出来る限り多くの人が楽しめた方がいいと、自分なりに考えたアドバイスを提示。
■美澄 蘭 > 様々な生徒・教師が、様々なスケジュールで動くこの学園。
全員が同日に、一カ所に集まることなどまずない。
「………そ、そうね…イベント、調べて…ああ、でも相手にもスケジュールとか聞かなきゃ………」
威勢良く応援してくれる燐太郎の言葉に、しどろもどろさと頬の赤みを増し増しさせながらも頷く。
「………ありがとう。ちょっと、勇気出たかも」
顔は俯きがちながらも、その分上目遣いで燐太郎の顔を見て、ぽつりと。
■岡崎燐太郎 > 「うんうん、ハロウィンは人と回るにはいいイベントだからなー。お菓子とか、仮装とか」
乗り気な姿勢に見える美澄に安堵を覚える。
ひとまず参加できずに悔しい思いをする、なんて事にはならずに済むだろう。
「いいっていいって。当日美澄さんが頑張ってくれたら。」
自身の力で少しでも取っ掛かりができたならそれだけで十分といえる。
「まー、何かあったら手伝うよ。出来る事なんてそんなに無いけど」
含み笑いをしあっけらかんとして言う。
一応こうして関わりを持った身。必要とあらば手を貸すのが道理だと思っている。
「……と、そろそろ行くかな。街も見られたし……
美澄さんもハロウィン楽しんで。じゃあ、また」
ふと歩道に立つ時計に目をやれば電車の時間だった。
すっかりハロウィン気分は味わえ、人の助けにもなれただろう。
美澄にも楽しむよう伝え、帰路を歩いていく。
■美澄 蘭 > 「そうね…お菓子、か」
「もうトリックオアトリートなんて歳でもないけど」とぽつりと言って、くすりと笑う。
頬の赤みは、幾分落ち着いただろうか。
「…そうね…最近ちょっと後ろ向きな感じだったし」
「良い思い出になったら、そのおすそ分けくらいはしたいわ」なんて、はにかみがちの笑みを見せる。
「ええ…それじゃあ、またね」
燐太郎の背中を見送って…携帯端末で時間を確認する。
「…ちょっと早いけど、帰って色々したら丁度良いかしらね」
無論、「色々」の中には、ハロウィンの予定を組むことも含まれているだろう。
蘭は、やや早足気味に、商店街を後にしたのだった。
ご案内:「商店街」から岡崎燐太郎さんが去りました。
ご案内:「商店街」から美澄 蘭さんが去りました。