2018/01/20 のログ
ご案内:「商店街」に久遠寺 精斗さんが現れました。
■久遠寺 精斗 > 「この辺りはお店屋さんが多いんだねえ」
ふわふわと休日の商店街を歩いていく影一つ。
柔らかな髪を風に遊ばれながら、お構いなしに口元に微笑みを浮かべて。
休日ゆえに休養日の張り紙がされた商店を眺めながら、他の人よりもゆったりとした足取りで。
結局、寒さが落ち着いて一般的に新学期と呼ばれる頃になってからの入学が決定した久遠寺精斗は残り2か月半のモラトリアム期間をそれなりに満喫する事にしていた。
まずは学園周辺の探索から。
そう銘打って散歩に出たものの、既に帰り道はあやふやである。
「やっぱり地元とは違って活気があるなぁ
毎日がお祭りみたいだね。」
現状迷子に片足を踏み込みながらも、穏やか暢気にお散歩ゆっくり進行中。
■久遠寺 精斗 > ふらふらと、というよりはふわふわと。
地にしっかり足を着けてはいるものの、何処か宙に浮いて漂っている様に歩いている男の子。
時たまに営業中の店の前で足を止めては、それがどういう店なのか、にこやかに眺めてはまた歩き出すを繰り返して。
「うん、この辺りの事はだいぶ分かったかなぁ」
アーケード街を抜けて一休み。
街灯の下で、さながら街路樹の様に自然と佇みながら道行く人々を笑顔で見送る。
本当に色んな住人が居るんだなあ、と感心しきった様子で感想を口にすると、ふいに虚空へと目を向ける。
■久遠寺 精斗 > ふわふわとしたオーラを漂わせたまま佇む事数分。
いつの間にか小鳥が数羽彼の頭や肩にとまっていた。
それらを驚かさないためにじっとしていれば、更に数羽飛んで来る。
そのうち野良猫なんかも寄ってきて、大道芸人みたいになってしまっていた。
「困ったなあ……」
流石の彼もこの事態には困惑を覚えた様で、微笑みを浮かべたまま文字通り立ち往生してしまっている。
出来れば座ってる時にこうなって欲しかったなあ、と困るのベクトルはやっぱりどこかズレているけれど。
■久遠寺 精斗 > 身動きとれずに困っていたら、肩から上が鳥だらけになってしまっていた。
流石に初めのうちは微笑ましく見ていた通行人も、少しぎょっとした顔で遠巻きに歩いていくようになっている。
驚かすつもりはどちらにも無い男の子は、ただただ困り切って笑みを浮かべるのみ。
そうこうしているうちに、小鳥の尾羽が鼻を擽ってくしゃみを誘い始めた。
絶体絶命のピンチに、穏やかな笑みの横を一筋の汗が伝い落ちる。
この状態でくしゃみをして一気に鳥たちが飛び立てば、何だか凄くびっくりさせてしまうのではないだろうか。鳥も、通行人たちも。
「ふ、……ふあ……」
それでも容赦なく鼻はむずむずするし、くしゃみを食い止める術は男の子には備わっていなかった。
■久遠寺 精斗 > 「──はっちゅ。」
進退窮まった彼に出来たのは、出来る限り声量と動きを抑えたくしゃみをする事のみ。
それでも頭は揺らぎ、その事に驚いた小鳥たちはいっせいに彼から飛び立って行ってしまう。
「……ああ。」
飛び去る姿を申し訳なさそうに仰ぎ、ごめんねえ、と小さく謝罪の言葉を口にして。
そうして俯いて足元で丸くなる猫を見れば、少しだけ安堵した様子で再び微笑みを口元に浮かべた。
「君は驚かなかったんだねぇ。」
■久遠寺 精斗 > 小鳥たちに気を配っているうちに、随分と日も傾いて来ていた。
男の子は肌寒さを覚えながら、ゆっくりとその場にしゃがむと丸くなっていた猫へと声をかける。
「僕はそろそろ行くねえ。
こんな所で寝てたら風邪引いちゃうかもだし、起きた方が良いよ。」
猫からしてみれば余計なお世話も甚だしいが、その言葉で目を覚ましたのかもそりと起き上がるとあくびを一つして何処かへと歩いて行った。
それを見えなくなるまで見送ってから、彼はまたのんびりと歩き出す。
■久遠寺 精斗 > 数十メートル進んだ先で、ふいに腹の虫が鳴く。
そういえば昼から何も食べてなかった、と思い至ってふわふわと食事処を探し始めて。
その数十分後には、満腹になった代わりに見事迷子になった男の子の姿があったそうな。
ご案内:「商店街」から久遠寺 精斗さんが去りました。
ご案内:「商店街」に狗隠さんが現れました。
■狗隠 > ちょっとしたトラブルでこちらの学生街近辺へと出現して早1週間が過ぎた。
早々に落第街やスラムへと戻るつもりだったが、何故だかどうして現在まだこの辺りに居る己。
そんな自分自身に戸惑いつつも、おそらく根にある人としての好奇心のせいなのだろうな、と思う。
商店街を一人歩きながら、落第街方面と違った生活感や日常を切り取ったかのような趣ある人の営みを横目に。
「……矢張り、あちら側とは随分と違うものだとつくづく実感するな。」
怪異である己は本来こっち側に居ないほうが周囲にも己にも都合が良いのだろうが。
まぁ、こちらとしてもトラブルで偶々この周辺に飛ばされただけなのだ。
決して意図的に来た訳でも何でもない。僅かに無意識の吐息を漏らす。こちらは眩し過ぎる。
(…やれやれ、怪異としての自分に少々凝り固まりすぎている感があるなこれは…)
そんな自己分析が出来る程度には冷静さはあるし余裕もあるのだろう。そして執事服にももういい加減慣れてきた。
適応能力は人とそう変わらないのだなぁ、としみじみ思いつつ。まぁ、エセ執事で武装執事なのだけど。
■狗隠 > さて、歩いていると矢張りというかどうしても視線が時々向けられる。
この島の住人なら風変わりな格好の者にもかなり慣れている筈だが…。
(…いや、まぁ我ながら帯剣した執事というのもそうありふれた感じでもないとは思うが)
周囲の時折向けられる好奇と猜疑の視線を受け流しつつ歩く。平和な商店街の光景は怪異であれ少し和む。
あまり拒否反応が無いのも、死者の想念が寄り集まって核と成しているからだろうか?
「……しかし、どうしたものか。あちらに戻るにも最低限金銭は稼がなければいかん」
まさかバイトをする訳にも…そもそも、住所不定無職でしかも怪異だ。非合法バイト以外どうしろと。
求人雑誌もちゃっかり読んでみたりしたのだが、そもそも面接でアウトになりそうだと思い当たり早々に諦めた。
「…とはいえ、空腹を感じるのは貴重な経験だな。こういうのも悪くはないものだ」
歩きながら軽く腹を押さえる。死者の想念を糧としているので、死者が出ないこの辺りでは自然と弱体化する。
唯一、誤算というか幸運なのは弱体化してるお陰で怪異の気配が最小限になっておりバレ難い事か。
■狗隠 > 「…まぁ、空腹は我慢するとして。矢張り金銭は如何ともし難いからな…。」
人の世界でお金は色々と入用だ。魔術を利用すればあちらに帰還も可能ではあるが…。
風紀委員会の本部も近いこの辺りでは極力怪異と察知されそうな真似事は避けたいもので。
(…そもそも、弱体化までしている現状で連中とぶつかれば、こちらが滅ぼされるだけだ)
問題はあれこれある。落第街が無理なら異邦人街に紛れ込む、という手もあるにはあるが。
流石にここ最近、地理の把握としてこの周辺を歩き回って少々拾うが溜まっている。
と、良いタイミングでベンチを発見し、そこに腰を落ち着けて一息零す。