2018/10/28 のログ
ご案内:「商店街」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 「…いえ、私は御母様がいらっしゃるまで御子様の御相手をしていただけですから。ええ、本当に。どうか、次は御子様から目を離されない様にしてくださいね。それでは、任務がありますので」

商店街での巡回の最中、商店街の大通りで泣き叫ぶ幼児と目が合ったのが運の尽き。
此方の制服にしがみつき、特注の黒い制服を鼻水と涙まみれにされながら、幼子をあやし、抱き抱え、保護者を探し回った。
漸く見つけ出した母親に子供を引き渡し、作り慣れた営業スマイルで一礼して別れた後――

「……疲れた。子供の考えてる事は分からん……疲れた」

探している間中、此方にしがみついていた子供の重さで筋肉は悲鳴を上げている。
別れを告げた時「ばいばいおねえちゃん!」と言われた事が心にビシバシと突き刺さっている。
取り敢えず、何か甘い物が飲みたい。そんな欲求に誘われるまま、自販機でココアを購入して脇に置かれたベンチに深く腰掛けた。

神代理央 > 冷え切ったベンチに腰を下ろすと、臀部にひんやりとした木材の冷気が伝わってくる。
それに思わず身震いしながら、手に持つには少し熱い缶を握りしめてプルタブを捻った。

「…やっぱり休日に制服を着るものじゃないな。いや、風紀委員としてはどちらにせよ保護しなければならないんだが…」

委員会の先輩が所属する部活の講演会に参加した帰り道での出来事。確かに、私服であっても迷子は保護したかも知れないが、風紀委員の制服を纏っていると周囲の人間は【風紀委員が保護しているから大丈夫だろう】と言わんばかりに無関心を貫いていた。
それを悪い事だとは言わないが、余計な疲労感が溜まってしまったのもまた事実。私服で来れば良かったと切実に後悔しているところであった。

「本庁に報告は……まあ、いいか。迷子一人親に引き渡したくらいで、通信課の手間をかけさせることもあるまい」

牧歌的な任務の方が疲れるとはどういうことだろうかと溜息を吐き出しながら、甘ったるいココアをちびちびと口に含んだ。