商店街 2018/11/14

2018/11/14 のログ

冬桐真理 > 「･･･今、孫を見る目だったな」

傍から見ていたらわかるこの空気。
何ともいえないものを感じ取ったがそこはあえて触れないことにしたようだ。
やがて甘さと香ばしさを乗せた香りが漂い始める。

（確かにこれは、重そうだな･･･）

添えるのならば珈琲か、緑茶か。迷うところだ。
ちなみに珈琲派である。ハードボイルドと云うものらしい。
そうこうしているとまた考え込む姿。
即決タイプではないのかもしれない。

一歩引いて俯瞰しているとぶつぶつと聞こえてくる悩み。
やれやれと言わんばかりの溜息が出る。

「･･･別に今しろとは言わん。気になったら試してみればいい。
それに外食してカロリーの話はナンセンスだろう」

多分弄れば弄るだけ反応しそうだな、とそんなことが脳裏を駆ける。

厨川児鹿 > 「…気付いてますとも、はい。慣れてますから。」

ふふっ、と少しだけニヒルに笑った。本当にいろいろあったらしい。
漂ってくる香りにすんすんと鼻を鳴らす姿は、まるで小動物のようである。

「…そうですね！気にするだけ野暮というものです！
　あ、ありがとうございます…あちち、あちあち。
　……よっ、と。はい、どうぞ！」

受け取った大判焼きを真っ二つ…にはならなかったので少し歪に割り、
躊躇うことなく大きい方を差し出してくる。

冬桐真理 > 「ああ、ありがとう」

湯気の上がる大判焼きを受け取る。少し歪に割れたそれはやや大きめに見えるのは遠近感によるものだけではないのだろう。
先ほどまでとは少し違う、どこか柔和な響きの言葉が出る。

「さて、では実食といこうか――うむ･･････甘いな。だが、美味い」

齧り、咀嚼し、飲み込む。
しばらくして満足げに頷きながら賞賛の言葉が出た。
そのまま二口目、三口目へと――熱いからか少しずつだが食べ進める。

厨川児鹿 > 「……んまーい…♪」

ほふほふと口から湯気を立てながら、実に美味そうに食べる。
濃厚なチョコクリームに、噛みしめればコリコリと砕けるアーモンドの香ばしさ。
少し焦げ目を付けて焼き上げた生地の表面はさっくりと割れ、
チョコクリームの重厚な滑らかさに一定のアクセントを加えている。
焼き立ての熱さも、傾いた陽を望む寒空には、それさえ味の一部として組み込まれるかのよう。

「……はぁ、美味しかった……やっぱり食べて正解でした…
　あ、これお代の100円です。ごちそうさまでした！」

ぺこん、と頭を下げてきちんとお礼を言う。
割り勘なので礼を言うのも若干ズレている気がしないでもないが。

「…あ！そういえば、お名前を聞いていませんでした！ボクとしたことが……
　ボクは『厨川　児鹿』と申します！14歳の1年生徒、所属は風紀委員庶務です！」

冬桐真理 > 「別に良かったのだがな、受け取っておこう」

お辞儀とともに差し出された代金を受け取る。
実に礼儀正しいものだ。

「あたしは冬桐真理。ここの一年生だ。もしかすれば授業で同じになるやも知れんな」

丁寧に自己紹介をされこちらも短いながら返す。
「こじか、か」と確認するように反芻する。

ふと時計を見遣る。
時刻はそこそこに進んでおり、もう夕飯の用意を始めているだろう時間帯。

「さて、あたしはそろそろ戻ろうか。同室者だからな飯がないと文句を言われる」

包み紙は敵問いに丸めて踵を返す。
目指すは魚屋。早いところメニューを決めなければと思い出したところだ。

「さて、あたしはそろそろ買い物を仕上げるところだ
――それじゃあな、体には気をつけることだ」

厨川児鹿 > 「いえ、金銭の遣り取りは誠意と常識を持って行えと両親からの教えですので！」

ぺこ、とまた頭を下げた。

「冬桐さんですね、そういった機会があったらその時はよろしくおねがいします！
　……おっと、そうでした！早めに帰らないと！」

いそいそと自転車の停めてある場所まで走り、手押しの体勢へ。
そうして再び冬桐のところまで戻る。

「はい、さようなら！ご心配ありがとうございます！
　最近は何やら怪しい噂も聞きますから、夜道にはお気をつけて！
　何かあったらご相談下さい、風紀委員が力になります！」

ぴし、と姿勢を正し、最後にもう一度一礼して、からころと自転車を転がしていった。
その日の夕飯は、案の定いつもより少なめになったという。

ご案内：「商店街」から厨川児鹿さんが去りました。

ご案内：「商店街」に冬桐真理さんが現れました。