2015/07/10 のログ
シィレ > 「………?」

意識の端ぼやけた視界の中、一つの人影が映る。
本来ならば人影を見た時点で慌てて逃げ出すのだが、眠気がそれを阻む。

「……だ、れ…?」

しかし、回らない頭で目の前の現状を認識しようと声は発してみるのだった。
ぼんやりとした目線を、人影の方に向ける。

神代千早 > 「あーっと……」

会話を交わすにはやや距離があるが、特にその距離は詰めようとはせずに音量を能力で解決する

「学園のセンセなんやけど……ガッコ行ってるようには見えんし、言うてもわからんかな……」

「まぁ、夜の散歩に通りがかったどこにでもいる通行人ってとこやね。
そっちはだいぶ珍しいな……人魚? 池の中に竜宮城でもあるんかいな? 」

シィレ > 「……がく、えん……うん、なんと、な、く……わ、かる」

寝ぼけながら、たどたどしい口調でぼやけた相手に対し返答する。
“学園”。確か“制服”を着た人間たちが通うところ……だった気がする。
先生……。たしか、偉い人?だったような。

「……りゅう、ぐう、じょ、う……?」

りゅうぐうじょう、とは何だろうか。
どうやら池の中に興味があるような、そんな気配がする、が。

「え、と……いけ……わ、たし、の。いえ……」

神代千早 > 「へぇ、ここが家なん? たまには外に出かけたりするんかな? 家族とかおるん? 」

あまりメルヘンの香りのしない池を眺めながら、無遠慮に気になる事をガツガツと矢継ぎ早に質問する

シィレ > 「ふぇ? あ、え、えと……その」

矢継ぎ早の質問に思い切り戸惑う。
言葉をまくし立てられる質問は大の苦手で、というか人と接することそのものがそもそも苦手のはずなのだが、勢いに押され頭を働かせる余裕を失った。

「い、え……は。ここ、で……そ、そと、には……で、ない、の」

「え、えと……か、ぞく。は……その」

「……わか、ら、ない……」

そういえば、家族に関しての記憶はほとんどない。そのことに気付かされるのだった。

神代千早 > (オツムは子供らと同じくらいやろか? )

片言の返答を聞いて、そもそも思考が追い付いていないらしい事を感じ取る

「はー……いや、色々珍しいよって、つい聞き込んでもうたわ。
おおきにな」

「いやー広い家で羨ましいわ。
まぁ、今度またあらためて挨拶品でも持って寄らせて貰おかな? 
何か食うたらアカンものとか、欲しいものとかある? 」

と、少々おどけてぽつりぽつりと降り始めた雨を見て傘を開く

シィレ > 「……う、うん……」

“広い家”と、池を称されたのは初めてだ。
少しきょとんとした表情で女性を見る。

「ほ、しい……も、の?」

“欲しいものは何か”。そういえば、以前にも似たようなことを言われたような。そんな気がするが。
…うーん……。

「ほしい、も、の……」

小さな首を捻る。
が、やはり中々思いつくものではなかったようだ…。

神代千早 > 「なんや、ちょっとは欲が無いとええ女になれんで? 」

通じないであろう事が確実な冗談に、自分でクスクスと笑いながら傘に当たる雨音のノイズを能力でカットする。

「ま、またそのうち邪魔するわ。
ほなな? 」

千早はばいばいと手を振って歩きだす
千早の姿が見えなくなると、途端に雨音が思い出したかのように聞こえてきた

ご案内:「常世公園」から神代千早さんが去りました。
シィレ > 「…………。」

遠ざかる人影にひらひらと手を振る。
雨が身体を濡らし、ぼーっとしていた頭だっただ、徐々にはっきりとする意識で

「……あ、れ?」

……そういえば、人間?
人間と、話を?

「……あっ」

それに気づいた時には、すでに件の人影は公園におらず。
ただただ、しばらく呆然としているのだった……。

ご案内:「常世公園」からシィレさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > 「はー……」

囮作戦、初手ブッチである。

一応メールで「公園に行く」とは言っておいたが、待ち合わせもせず敢えてブッチした。
と言うのも……まあ出来れば程度ではあるが、今手に持っている物を見せたくなかったからだ。
手に持っているのは……長木刀。刀身の箇所を見れば、五尺以上。
霜月流では長刀(ちょうとう)術と呼ぶ、大太刀の遣いの練習のための物だ。
ではなぜ公園かと言うと、先に括流先生に会ったらそのまま確保してしまえ、と言う考えである。

霜月 零 > 「なっげぇ……使いづれぇ……」

軽く素振りしてみたが、これがまた非常に使い辛いのだ。壁にガンガン当たるとか言うのもあるが、長い分遠心力などが働きやすく、制御が難しいのである。

「ったくよー……っと」

目的その2を思い出す。あわよくば括流先生と会いたかったのだ。そのまま確保するつもりで。
ただ、その時に変な呪法を使われてもたまらない。祓うだけ祓っておこう。

「天を我が父と為し、地を我が母と為す。六合中(くになか)に南斗(なんじゅ)、北斗、三台(さんたい)、玉女(ぎょくにょ)在り。左に青龍、右に白虎、前に朱雀、後ろに玄武。前後扶翼す。急々如律令」

念じる。
前後左右を四霊獣に見守られることで己を守る、陰陽道式の身固式の咒だ。

これでまあ、下手な呪い程度なら何とかなるだろう。
そう考えて長木刀にもう一回手を伸ばす。

霜月 零 > 上段から唐竹に振り下ろす単なる素振り。
太刀でなら何千何万と繰り返した動き。
だというのに……これがしんどい。

「クッソ、長さ違うだけでこうも変わるかよ……」

これを自在に操ったとかいう奴らは化け物か。改めてそう思う。
が、出来ない事はないはずだ。

「せめて最低限、使える様にならねぇとな……」

素振りを繰り返す。まずは力の流れ方を把握しなくてはならない。
うっかりすると先端に集まる力に流され、転げそうになってしまうのだ。

霜月 零 > ある程度素振りを繰り返したら、今度は突きに移行する。
霜月流長刀術は大いに大太刀を振るうが、長い得物はそれだけで「突き」と言う攻撃が非常に強くなるのだ。
大石神影流創始者大石種次、通称大石進は5尺3寸の長竹刀を用いた左片手突きによって多くの剣豪を制したとされている。
長い得物で突く。それはただそれだけで、非常に有利になる振る舞いでもあるのだ。
とは言え、雑に突いては意味はなく、当然しっかりと狙った箇所を素早く起こり無く突かねば意味がない。
なのでまあ、古典的かつちょっと見た目に間抜けかもしれないが。

「……これで良し、と」

木の枝から、紐で石を吊り下げる。サイズは拳大。
突けばこれは大いに揺れ、次の狙いが定め辛くなる。それをまた突くという稽古である。

霜月 零 > 「……ふっ!」

突く。石は横に揺れる。
実はこの時点で駄目である。正しく突けば、石はただ前後に揺れるだけなのだ。
石自体が完全な円形ではないため後で揺れながら左右にもブレるのではあるが……初動で横に行くのは、しっかり中央を突けていない証左である。

「(ちっ……)」

思わず悪態をつきたくなるが、言っている暇はない。
左右に揺れる石。それをタイミングを計って……

「ふっ!」

突く。

外れた。

「……マジかよ」

がっくりと肩を落とす。

霜月 零 > 思った以上に制御が難しい。
さっきも感じたばかりではあるが、長くなった分力の置き場所もまた変わってくるのだ。
寧ろ、太刀に慣れているからこそ難しいのかもしれない。

「つっても、なあ」

とは言え、やらないわけにはいかない。木刀に振り回されているようでは、本物を手に取った時使い物にならないからだ。
正眼に構え、じりじりと間合いとタイミングを計る。

「……!」

突く。そして即座に引く。

必ずしもそうとは言えないが、武術を識る者とそうでない者の最も分かり易い違いとして、技の打ち終わりの姿勢が挙げられる事がある。

素人は技を「打ち切って」しまう。打って、その後野放しにしてしまうのだ。
分かり易く言えば、パンチを振り切ってしまい、結果隙を産む。
なので、武術は主に、特に突き技は「引く」。
打って即座に引き、構えに戻す。
これによって、相手の次の動作に対応できるようにしつつ、自らも連続した攻撃に繋げられるようにするのだ。
なので、この引く事自体は当然なのだが……

「(引きづれぇ……)」

引くのもまた、難しかった。

霜月 零 > 長い分、流れた力は自分の体から遠い場所に行く。
なんでもそうであるが、大体自分の体の中心から遠い箇所にある物は扱いが難しくなる。当然、刀も例外ではない。
突きと言う行為は、当然刀の先端に力を集中させる攻撃だ。
故に力は遠くに流れていく。それを瞬間的に引き戻すのは、単なる太刀でそれを行うより難易度が高い。

「大太刀っつーのは、かなりのじゃじゃ馬だなこりゃ……」

手に取って、使ってみて初めてわかる「使い辛さ」。

そもそも大太刀は、武器として見た時に、通常の太刀に比べ優位な点を持っている。

まず長い。間合いの有利を取れる。
そして重い。重さは特に打ち下ろしの威力に繋がる。

故に、そこだけ抜き出せば、もっともっと流行っていい武器のはずなのだ。
だというのに、何故大太刀はメジャーにならなかったのか。
その理由が……それに伴うデメリット。

長いという事は、力が流れやすく扱い辛いという事。
重いと言う事は、それを振るうにも操るにも必要な力が増えるという事。

この二点が、大いに足を引っ張ったのだろう。

霜月 零 > まあ、長さで言えば槍の方がもっと扱いやすいというのもあるが、この「長くて斬れる武器」と言う物自体は「長巻」と言う武器に変化する事で生き残った。
逆に言えば、ありのままの大太刀はあまりに使い辛く、人を選ぶ武器だったのだろう。

「使えるかね、俺に……」

つい弱音が出る。最低限使えればいい、と言う低めの目標設定をしていたのだが、それが逆に、それすら出来るか危うい自分への失望にも繋がっていく。

「……イカンな」

首を横に振る。こういう弱気は己を制限する、と言われたではないか。

前向きに考える。逆に言えば、大太刀を自在に操れるようになれば、それだけで得られるものは大きいのだ。
実際、扱い辛いと言うだけで、大太刀自体は使いこなせれば強力な武器である。
かの二天一流、宮本武蔵が佐々木小次郎と決闘をするにあたって、己の普段の得物ではなく、佐々木の大太刀よりも長い櫂を武器とすることで間合いの利を潰しにいったという伝承がある。
これは、宮本武蔵ですら、大太刀の間合いを相手取るのは難しかったという事でもあろう。
そう考え、後ろを振り返るのではなく、得た先を夢想して喝を入れる。

霜月 零 > 「別に大太刀をメインに使う気はねぇが……これから先、使えた方がいい場合もあるだろ」

大太刀は場所を選ぶ武器でもある。いくら峰を摘まんで短く遣っても、それなら素直に小太刀を使えばよかろう。
が、逆に言えば、遠間を求められる相手にはこれ以上なく有効な「刀」だ。

「諦めねぇぞ……」

当初の目的は半ば霧散している。別の意味で、恋人を呼んで無くてよかったかもしれない。

結局それから数時間の間、ひたすらに稽古を続けるのであった……

ご案内:「常世公園」から霜月 零さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にエルピスさんが現れました。
エルピス >  栞と分かれた後、先程買った服を早速着てみる。
 軽いフリルの付いたふんわりブラウスに、紺色のコルセットスカート。
 いわゆる、男の子の心を殺す――射止める服、の謳い文句のアレだ。勢いでつい、買って着てしまった。
 
 着る時にも物凄くドキドキして――それは置いておいて、兎に角着てみた。

 (うぅん、周りの視線がなんか気になる……
  勢いで着てみたけどー……)

 時折きょろきょろしながら、公園を歩いている。その様は、ちょっと小動物っぽいかもしれない。

ご案内:「常世公園」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > 「……ふぅ……あ」

散歩の途中、一息つきに来たところで少女を見つける。
先輩のようなそうでないような。

あ、でもちょっとかわいい服着てる、とか思って。

「エルピスー」

少しだけ控えめに声を上げ、ゆっくり近寄ってきた。

エルピス > 「あっ、うん、満!」

 声を弾ませて手を振る。
 今日は元気そうだ。いや、怒られるレベルで抜けだしているのでは思いつつも微笑む。

「え、えっと、こんにちは。元気?」

相楽 満 > 「うん、まぁなんとかな」

にへ、と笑顔を浮かべたまま近くへ。
だが近くに来て、頭をブン、と下げる。

「……こないだはごめん、エルピス。
 あんときは俺、ほんと自分のことしか考えてなかったな」

謝った。
先日、エルピスが気を悪くしてしまった件だろう。

エルピス > 「う、うん。もういいよ。
 ……で、次にあったら、だったよね。
 取り敢えず、話す前に……何か飲む?」

 立ち上がって自販機の前に立ち、サイフを取り出す。

相楽 満 > 「……ん。
 あ、じゃあ……たまにはコーヒー飲もうかな」

同じく財布を出し、エルピスの後ろで待機。
怪しい飲み物には手を出さない。

エルピス > 「うん。コーヒーだね――あっ」

 硬貨を入れようとした所で、サイフを落としてしまう。
 自販機の下に、財布と硬貨、カードがばらりと散らばらった。

「ご、ごめんっ。ちょっと待っててっ」

 慌ててて拾い始める。自販機の手前にあるものは直ぐに拾ったが、奥のものが拾えない。

「う、うーんっ……」

 頑張ってよつんばいになって手を伸ばす。
 ……非常に無防備に取り出そうとしているのだろう。
 少しみれば、コルセットスカートの中身が覗けてしまう。
 スパッツだ。

相楽 満 > 「あ、あー……
 こりゃ大変……」

ちょっとだけ拾うのを手伝ったりもしつつ。
そんな体勢だし、当然のようにスカートの中身もバッチリ。

たっぷり三秒だけそれを眺めて眼福、と心の中で手を合わせた。

「よし、ちょっと待てよー」

スカートの中身から目を離すと、自販機の脇へと移動する。
よっこらしょ、と実にじじくさい掛け声とともに、軽々と自販機を持ち上げた。

「これで取れるか?」

エルピス > 「あっ、うん。ありがとう。
 えへへ、満は力持ちだね……」

 花の綻ぶような笑みを向けた後、改めてコーヒーを2つ買って、その内の一つを渡す。

「おまたせ。それでね、ボクの身体だけど、
 細かい事を除けば、死にかけた所を、こうなる事と引き換えに生き延びた。ううん、生まれ変わったのかな。
 ――と言っても選択するような余裕はなかったけど……簡単に話せば、こうなるよ。」

 思い出せば辛いのだろう。消沈した面持ちで過去を語る。

「誘拐されて悪魔合体の素体にされてね。
 それで身体が暴走して、大きな怪我と異形化、そして破壊をまき散らちゃったんだよ。」

相楽 満 > 「さんきゅ……ってお前の金で買うのかよ!
 そりゃダメだろ、ほら」

コーヒーを受け取ってから、そのお金を取り出してエルピスに差し出す。

「……悪魔合体って、またすげーなぁ。
 なるほど、それでその体にな……
 ……エルピスはエルピスで辛かったんだな」

ふむ、と嘆息した。
事情があった。
この子に意志は関係なかった。

それなのに先日、あんな言葉を吐いてしまったことをまた後悔した。

「……生き延びるため、か」

小さく呟く。

エルピス > 「うん。今でこそ悪魔合体の後遺はないけどね。」

 だからこそ、否定された気持ちになった訳。
 ――けど、今更それを穿り返す気は、あまりない。
 
「だから、ボクが満に言える事は、あまりないかも。
 ……役に立てなくて、ごめんね。満。」

 頭を下げる。受け取ってポケットに入れた硬貨が、小さく響く。

相楽 満 > 「……ちょっとさ、考え変わったんだよ、俺」

役に立てない。
そんな言葉に、ぽつりと返す。

「今俺さ、死にたくないって気持ちでいっぱいなんだ。
 生きたいってだけじゃない……何があっても死にたくないって」

言葉を切り、エルピスを見つめる。
かわいらしい少女の姿、女性らしく主張する体のメリハリ。
自分がここまで変わってしまうことは想像は出来ないが。

「……もしさ、今やってる方法で治せないってわかったらさ。
 エルピスを助けてくれた科学者さんか技術者さんかわからないけど、その人紹介してくれないかな。
 土下座してでも、どんな体になってでも……何が何でも生き延びたいって思うんだ」

否定したような言葉を吐いてしまったけれど。
生きたいと願えば、死にたくないと切望すれば、自分の体にこだわったりなんて出来ないはずだ。
そういう意味でも、自分はまた死に甘えていたのだろう。

「……ダメ、かな。
 研究者さんもヒマじゃないだろうし……難しいと思うけど」

エルピス >  
「ううん…………ううん。そっか、何かあったんだね。
 分かった。ボクもちょっと一肌脱いでみるよ。
 でも、義理を感じてボクの頑張りを選ばなくてもいいからね。そこだけは、約束して欲しいな。」

 エルピスは少し唸る。
 彼に何が有ったかは知らない。だが、確かな意思や執念を感じ取った。
 
 ――多少の仕草でも揺れる髪や胸は、エルピス女性である事を主張してる。
 ともあれ。

「……ちょっと待っててね。今、電話してみるから。」

 そう言ってスマートフォンを取り出し、電話を掛ける。
 何やら色々を話していた模様。エルピスの言葉には怪しいものはない。

「……おまたせ。
 えっとね、ボクの身体の開発に関わった【主任】か【副主任】
 どっちか一人なら、会ってくれるみたい。」

相楽 満 > 「……んー、それは約束するけど……
 エルピスも、俺がほかの方法で今の体のまま助かったとしても、俺のこと嫌いになったりしない?」

少しだけ不安そうに、苦笑を浮かべたまま尋ねた。
先日のこともあって少し怖がっているように見える。

「さんきゅー、助かるぜ。
 ……最終手段だけど、ちょっと気が楽になったよ」

ほんの少しだけ、落ち着いた笑顔になった。

エルピス > 「うん。しないよ。
 元々なんか違うって言うぐらいだから、最終手段ぐらいで良いよ」

 くす、と微笑む。

「でも、どっちに逢うかは今決めて欲しいな。
 何時逢うかは任せるけれど、あっちの方も準備とかあるみたいで――」

相楽 満 > 「う……ご、ごめんって」

微笑んではいるが、過去の失敗を抉られたような気がして謝った。

「……じゃあ、その主任さんってほうで。
 一番偉い人のほうが話が通じやすそうだし」

そう答える。
どんな人が頭に浮かんでるかはわからないが。

エルピス > 「あっ、ううん。別に他意はなかったんだけど……」

 謝られると、ちょっと申し訳なさそうに困惑の様子を見せる
 特に意識していなかったのだろう。ううん、と唸った。

「うん、了解。それじゃあ主任さんって伝えておくね。」

 表情を戻し、くすりと笑ってコーヒーを飲む。
 コーヒー缶を傾けて、んく、んく、と飲む様は、ちょっと女の子らしい仕草。

相楽 満 > 「……さんきゅー、エルピス。
 一応治す算段も立ってはいるけど、ほぼ確実な手段が控えてるってだけですげー気楽だわ」

ちょっと疲れた様子で笑顔を浮かべ、同じくコーヒーを口に。
入れたと同時に渋い顔をする。

「……初めて飲んだけど、コーヒーってにっがいな……」

ちょっと大人びたところを見せてみたかったらしい。
大失敗だ。

エルピス > 「んもう、格好つけなくてもいいのに。
 この前だってそうだけど、無理にカッコつけても余計に心配させちゃうよ。」

 再び困惑げな苦笑を見せて、隣に寄る。
 そうしてからポケットからごそごそと探って取り出したのは、ミルクキャラメル。
 それも手渡そうと、するだろうか。

「口直しに、いる?」

相楽 満 > 「あー……えーと、まぁちょっと飲んでみたかったってのもあって」

この歳なら高校生だ、大人の味のコーヒーは少し気になるところでもあったのだろう。
しまらない苦笑を浮かべながら、キャラメルを受け取る。

「ありがとよ。
 ……女の子っていろいろ持ってんだなぁ」

キャラメルを口に入れながら呟く。
自分のかばんの中をのぞくと、タオルや酸素缶、ノートやペンは入っているが、気の利いたものなど何もない。

エルピス > 「おっ、女の子って。
 ボクは心は男……あー……うー……」

 そこまで言って顔を赤くして、目を伏せる。
 やはり女の子と意識させられると、恥ずかしいみたいです。

 伏し目がちに満を見上げ――上目遣いになりながら、ちびちびコーヒーを飲んでいます。

相楽 満 > 「あー……」

心は男、と言われて申し訳なさげにするが。
上目遣いで見上げられると、うん、と首を縦に振った。

「……元が男だからか、男子のツボ抑えた女子って感じでヤバいわ、エルピス」

真顔のまま言い切った。

エルピス > 「ツボ……? 
 え、えっと、よくわからないけど……昔からこうだし……
 と思いたいけど、最近は感情が動きやすい気がするかも……。」

 ううん、と、微妙な反応を見せる。
 照れよりも先に、何を言っているんだろうみたいな思考が先に来る。
 取り敢えず、性格を【作っている】訳ではなさそうだ。

相楽 満 > 「マジか……じゃあ天然で男を落としそうだな、エルピス……」

戦慄の表情でコーヒーを含む。
キャラメルの甘さとちょうどいい。

「感情が動きやすい……ってどういうこと?」

そこがひっかかった。

エルピス > 「も、もうっ。確かに昔から女の子っぽい……って……言われた事は多いけど……」

 ちょっと恥ずかしそうだ。
 が、引っかかった部分を指摘されると、今度はううんと不思議そうに唸るだろうか。

「ううん、よくわからないかも。
 でも、なんだろう。感情的になる事は増えた気がする。
 単純に環境の変化かもしれないけど……今でも女の子の身体って、慣れないし……」

 サイボーグの身体でも、と、再び恥じらいを見せて呟いた。

相楽 満 > 「なんかこう、たまーに居るよな、小動物っぽい男子って。
 明らかに女装が似合うタイプの男子……」

まじまじと、恥じらう少女を見る。
間違いない、女子だ。

「よくわかんねーけど……心がだんだん体に追いついてきたのかもしれないなぁ。
 エルピス、心だけは男子のままで居たいって思ってる?」

コーヒーを飲みながら尋ねる。
もしかしたら自分も同じ姿になるかもしれないのだから。

エルピス > 「うぅ、満まで……」

 更に顔に朱が増す。
 間違い無い、そのタイプが女の子になっている。

「……わかんない。この身体は便利だし、誰かを救ける事も出来るから、
 嫌いじゃないし、戻りたい訳じゃない、けど……うぅ、ん……」

相楽 満 > 「このまま女になっていくのがイヤってわけじゃなくて、単純に心が男のままだから違和感あるってだけか……
 複雑そうだなぁ」

でもまぁ女子でもやっていけそうだな、などとちょっと失礼そうなことを考えている。
魅力的な容姿に所作だし。

エルピス > 「あははは……
 ま、うん。今はあんまり気にしないで頑張るよ。公安委員会のお仕事もあるし……」

 軽く苦笑を浮かべつつ、飲み干した缶コーヒーを缶入れにすてる。
 
「うん、ボクはそろそろ行こっかな。
 満も、あんまり無理しないでね。調べごととかなら、手伝えるから。」 

相楽 満 > 「そーだな、変に考えて怪我しても大変だし。
 ……ホント、怪我だけは気を付けろよ?」

少女の体だ、たとえ機械でも武器を所持していても心配は心配。
自分もコーヒーを飲み終え、缶を握りつぶして畳んでゴミ箱へ。

「おう、気を付けてな。
 ……ちゃんと治ったら、エルピスにも報告するから。
 今日はありがとう」

ひら、と手を振って見送る。
なんともありがたい友人がいたものだ。

エルピス > 「う、うんっ。気をつけるよ。
 ――分かった、それじゃあ吉報、待ってるから。」

 ん、と軽く屈んでからぴょんと跳ねると同時に飛行ユニットを起動。宙に浮く。

「えへへ……またねっ、満!」

 そのまま空を飛び、どこかへと去るだろうか。

ご案内:「常世公園」からエルピスさんが去りました。
ご案内:「常世公園」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。
日恵野ビアトリクス > 「あ゛――……」
蒸し暑い夏空の下。
石膏のように白い肌に汗を滝のように流して、
ジャージ姿のビアトリクスが疲労困憊といった体でベンチに寄りかかっている。

(少しランニングしただけでこれか……)

完全に息が上がっていた。

体力をつけなければならない。それはひしひしと感じていた。
そのため少し前からウォーキングやランニングを少しずつやっていた。
そう、毎日少しずつ。
しかし毎シーズンのように試してはいるものの
この手の体力づくりがうまく行った例はなかった。

この間保健委員に叱られたばかりなので
熱中症で倒れないようには細心の注意を払ってはいるが……