2015/07/27 のログ
ご案内:「常世公園」に『人影』さんが現れました。
『人影』 > (いちまーい にまーい さんまーい……
 静かな公園。自販機があったが、その傍らに何か黒い影が座り込んでいる。円ドルユーロに(人の眼には見えない別の次元の硬貨)や元もあれば古銭もある。
 影がお金を数えている。
 お金の量はもはや小山のようである。
 お金を数えては胸元のポケットのような空間に次々とねじ込んでいるようにも見えるかもしれない。

 いちまーい にまーい さんまーい よんまーい ごまーい……

 っ ふっふっふっふっふっふっふっふっ    ……)

『人影』 > (ふっふっふっふっふっふっ………

 いちまーい にまーい さんまーい よんまーい


 うっふっふ……




    ななまーい…… はちまーい……

 くっくっく       きゅうまーい    うふふふふふふふふふふふふ…)

『人影』 > ( 目 が ぎらりと妖しく光る。)

「たりなーい」

(目があなたを見るだろう。目は直視している。)

「たりなーい」

(目があなたを見ている)

『人影』 > (あなたを見ている……)


「そこにいるのは、だあれ」

『人影』 > 「 だ あ れ 」
『人影』 > (だれもいないらしい」

「うそつき……おおうそつき」

(影は相変わらずお金を数えている。
 札を、硬貨を。

 いちまーい にまーい さんまーい……


 閑散とした公園に影がある。不定形のそれは酷く捩れた背格好をしているのだった。



 くっくっくっ……


               )

『人影』 > (きゅう   にーん

 じゅうまーい

 じゅういちまーい   )

『人影』 > 「ブーン」

(自販機があった。
 今日も元気に営業中だった。
 見知らぬ誰にだって売りつける行商人のような存在。)

『人影』 > 「ブーン」

(今日も常世学園は平和です)

ご案内:「常世公園」から『人影』さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に桐竹 琴乃さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 夜。
まだ尞の門限には遠い、それぐらいの時間。
バイトが少し遅くなって今ぐらいの時間だ。
手ぶらで、ゆっくりと彼女は歩いていた。
特に何をしている訳でも無く、公園をふらりと。
以前歩き回れなかった代わりにと言わんばかりに。
「んー」
この後は尞に帰るだけだ。

それなら、また歓楽街の方に出ようか、などと考えつつ。
ベンチへ腰を下ろす。

桐竹 琴乃 > ベンチの肘掛に頬杖を付く。
この時間だと、公園に人は居ないものの、通りはまだまだ人が通る。
そんな人たちをだらりと見つめながら。

この後をどうするか。
ぼんやりと考える。
とはいえやる事と言えば適当にコンビニで冷たいものでも買って自宅にさっさと帰るか。
このまま歓楽街辺りまでふらりと夜歩きをするかの二択であるので。
ぶっちゃけ何も考えずぼーっとしている。

気分がどっちへ向くか、という程度の違いである。
夜歩きに行くにはもう少し遅い時間がいいので時間つぶしでもある。
つまるところ暇を持て余していている、と言うワケで。

「まー」
どっちかを選ばなくても。
何か暇つぶしが出来ればそれでいいか、とただ、ぼーっとしていた。

桐竹 琴乃 > しかしこの夏というヤツは。
夜だろうが容赦なく暑い。
汗が噴き出るのではなく。

じわり。
じわりと。
背筋から這い寄ってくるような感覚。
不快感。
むわっ、という湿気と熱気。

今まさにそれに襲われている。
「……」
ベンチに座って数分後の出来事だ。
まだ汗は表面上は出てきていないものの。
背中はそろそろ浸食され始めている。
そこで大事な事を思い出す。
「制汗スプレー……ッ」
使うのを忘れていた。
買っておいて後で使おうなんて思っていたまま。
カバンの中に放置していた。
今更使っても効果は薄い。
もう吹きだしている。
「ぐ……」
数分前の自分を心で罵倒する。
何をしているんだ。
買った意味がないではないか―――、と。

そんな葛藤は。
今の所誰が知る由もない。

桐竹 琴乃 > 考えを戻そう。
んっ、と咳払い何かを一つして。
とりあえず汗は拭こう。
そう、思い。
きょろきょろと一応、適当ながら周りに誰も居ない事を確認し。
若干背中のシャツをたくし上げ、手に持ったタオルを滑り込ませる。

思考は戻っていないのだがまあ本人は気づいていない。

桐竹 琴乃 > 誰が見ていないとはいえ、こうやってたくし上げる、というのはこう。
何か何か。
少しだけ焦りながら。

そしてその焦りと言う奴は。
汗を拭き出させると言うに関して非常にこうかはばつぐんだ。

それに気づくのは数分後の琴乃であり。
残念ながら現在進行形の琴乃には気付ける状況では無い。

若干の挙動不審さを以って大方タオルで拭い終われば。
ばさっと服を下した。

誰にも見られていない。
見られていないはずだ。

桐竹 琴乃 > 若干の焦りと共に。
少しの間また周りを見回せば。
特にこちらを注視している人は琴乃の視点からは見つけられない。
「……ふー」

額の【汗】を拭う。
……。
汗?

桐竹 琴乃 > 彼女を包み込む擬音を表すなら。
【ゴゴゴゴゴゴ】が適当であろうか。

適当もクソもないのだが。

どうでもいい身体特徴をここで挙げるのならば。
彼女の発汗は。
【背中から至り額へ、そして腹部その後、その他の部位に至る】である。

詰まる所。
「あーーーーーーー」
誰も居ない(と思っている)ので声を上げた。
また背中から汗が拭き出していた。
「だからっ」
発汗スプレーッッ!!

頭を抱える。
今非常にどうでもいい事で時間を潰している奴がここに居た。

桐竹 琴乃 > 「むむむ……」
唸りながらまた先ほどと同じ行動をとる。

一人無駄に焦りとテンションが上がっているせいでこれまた発汗作用が非常に高いがとはいえ拭き取らねばシャツが汗で張り付く。
それを放置しておけば結果は目に見える。

背中に張り付いて凄い気持ち悪い。

それは避けねばならない。
もはや最初の帰るか夜歩きするかなどと考えている暇ではない。
とにかく汗を駆逐する。
一汗も残さず(とりあえず背中だけでも)
最近読んだ漫画のフレーズ何かを頭に響かせる辺り、まだ余裕はありそうだった。

ご案内:「常世公園」に蘆 迅鯨さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 少しの時間を置いて。
背中の汗を再度吹き終わり。
今度は忘れずに制汗スプレーを吹きかける。
冷たい感触が背中に行きわたり、少し気持ちがいい。
そしてぱさ、と服を下した。

「っふー……」
一息つく。
額の汗だとかはまあ、拭きやすいので後で適当に拭えばいい。
とにかく背中に先に出るのだけはご勘弁願いたいがもう体質なのでしょうがない。

「む、無駄に疲れた」
がっくりと肩を落とした。
自業自得であるが。
この琴乃と言う少女、自業自得が多すぎであった。

蘆 迅鯨 > 夜の常世公園を訪れる、黒いフードの少女。
彼女――蘆迅鯨<ルー・シュンジン>は、昼間は落第街へ、その勢いで夕刻からは歓楽街へと散々遊び歩いた挙句、この時刻まで寮に戻っていなかったのである。
「(寮は寮で人も多いし……いっそのこと今日はここで寝てもいいか)」
などと思いながら歩いていると。
「(……ん?)」
汗を拭いていた少女の姿が目に入り、思わず心中の呟きを洩らす。
少女に精神系の異能への耐性がなければ、それら心の声はテレパシーとして彼女の脳内に直接届くだろう。

桐竹 琴乃 > 「っ……?」
一瞬、びくっとする。
確かに頭に何かが響いた感覚。
琴乃は魔術、異能に関してそれほど詳しくは無く、また身を以って感じる、と言う事は余りなかった。
「……声?」
反芻すればそれは誰かが何かを見つけてあれは……?という感覚に近い声だったような、と。

きょろきょろと、辺りを見回す。
そこには。
黒いフードの少女が居た。
少しだけ、注視する。

蘆 迅鯨 > 先程まで汗を拭いていた黒髪の少女が、こちらを振り向いた。
茶色の瞳にまっすぐ見据えられると、こちらからもまた相手の顔をよく見て。
「タハハー、聞こえちまったみてェだなー。マ、いっか」
おどけるように笑ってみせた。
「俺ちゃん蘆迅鯨<ルー・シュンジン>。今日はけっこういろんなトコうろついててさー、気付けばこんな時間よ。んで、姉ちゃんはなんでこんな時間にこんなトコにいんの?しかも一人で。危なくね?」
少女に名乗った後、上体を前に倒して上目遣いに。豊満なバストが胴体の動きに合わせて垂れ下がる。
そして自分のことは棚に上げ、早口で少女に尋ねてみる。

桐竹 琴乃 > でけー。
ごくりと唾を飲みこんだ。
圧倒されそうである。
っていうか柔らかそうだな。
一瞬自分の目が己のそれに向きそうになるが。
圧倒的戦力の差と言うモノを感じるだけであるので踏みとどまった……いや、そうじゃない。

突然の自己紹介からの捲し立てるような言葉。
「あ、ええ?えー」
一つずつ噛みしめる。
名前は蘆迅鯨である、と言う事。
色々歩き回ってた。
私は一人で何をしているか。
「何をしているか、と言われると」
さっきまでやっていた事を再度振り返り。
……ただ汗を拭く事だけに必死になっていた事は言う必要、無いかとなって。
「バイト帰り。家に帰ろうか、ええとキミみたいにどっかふらつこうかって考え中」
まあ、何と言うか少しだけ、少しだけ同じ匂いがした。
単純にうろついていたというそこだけではあるが。
「まー危ないのは承知かな」
うん、と頷く。
とりあえず己の名前はまだ語るには早いかな、と。
そう考えての返答であった。

蘆 迅鯨 > 上体を元に戻すと、迅鯨のバストは大きく揺れ動く。
少女の返答を受けて数度頷いた後、さらに言葉は続いた。
「ふーん、バイト帰りねー。なら遅くなんのも無理ないわナ。俺ちゃん寮なんだけどサ、今ちょっとばかし迷ってるわけよ。フツーに寮まで帰っちまうか、いっそどこか人のいなさそうなトコで寝るかってネ。俺ちゃん人のいるとこで寝ちまうといろいろ大変だからサー、いつも寝るトコは悩むんだよね」
迅鯨が持つ、無差別にテレパシーを発信する異能。それは彼女が眠っている時、最も制御不能な状態に陥る。
故に、眠る場所は選ぶ必要があった。人の多い場所での居眠りなど論外である。
やや大袈裟な身振りを加えつつ、相も変わらずの早口でこちらの事情についても話した。

桐竹 琴乃 > 「あ、尞なんだ」
琴乃も尞暮らしであるが。
何せ昼間は大体バイト。
夜は夜歩きなんてしているものだから、尞に居る時間は非常に短い。
故に余り尞での人間関係は構築していなかった。
特徴的な喋りとその身体。
そして今日寝る所を迷っている、って。
(人が聞けばこれ、そういうコトに聞こえるなあ)
などと少し考えつつ。
琴乃は女性であり、ルーも女性である。
そう言う事になるまい、などと少しだけ気楽に考えて。
「大勢いるとこで寝ると何かダメなの?」
と聞きつつ、立ち話も何だし、とぽんぽんと少し横を開けてベンチを軽く叩いた。

蘆 迅鯨 > 「おっ、いいトコ突くねー。あ、別にこれはそういう意味じゃないからね」
関心関心、と腕を組んで深く頷くと、組まれた腕によってバストが持ち上げられ、その大きさと柔らかさが嫌でも強調される。
その後、腕を組んだ状態のまま、少女の側から示されたベンチに腰掛けると。
「俺ちゃんの異能な、『夢見るままに待ちいたり<ウェイツ・ドリーミング>』ってんだけどよ。こいつが近くに居るヒトの頭ン中に俺ちゃんの考えてるコトだいたい全部テレパシーで送っちまうのよ。しかも送るだけでヒトの考えてるコト受信したりとかできねーし、俺ちゃんが寝てる時は完全に制御できなくなっちまうからサ。そういうわけで寝る場所は選ばなきゃならんのよ。まったく不便なモンよな。タハハー」
自らの異能について説明しつつ先程のように笑ってみせるが、その声と表情はどこか憂いを帯びていた。
この異能が原因で、たちばな学級――異能の暴走が関係して心身に傷を負った生徒のための、いわば特殊学級に通っている事は、今はまだ伏せる。

桐竹 琴乃 > 隣にくるとわかる。
圧倒的格差。
琴乃もあるほうではある、と自負はしているが。
あれは中々女性から見ても反則である。
というか揉みたくもなる。
どんだけ柔らかいのだろう。
無論言わないし態度にも出さないが。
気にはなる。

さておいて。

「ふうん」
まずは生返事。
そして思考の海に自分を投げいれた。
ピン、とは来なかったが。
先ほどの声は、恐らくも何も彼女からした声?だったのだろう。
今回は余り意味が無いモノであったが。
確かに人や内容によっては。
それも夜無差別なのだから。
気にもなるだろう。
と考える。
「成程、と言うのは違うんだけど。色々苦心してるんだね」
ぽつりと、少しだけ考えた後に次はそれだけを言った。
彼女の苦労は分からない。
彼女の苦労を正確に捉えられるのは彼女だけであって。
もしくは、もっと仲のいい子や理解者であって。
そこに琴乃が挟める何か大きな答えはまだ、無い。
故に言葉を選んだ。

蘆 迅鯨 > 「そーそー、要はそういうことなんだよ。俺ちゃん苦労人なわけ。分かってくれたみたいで助かるわー」
右手を振る仕草をしつつ、迅鯨なりに少女へ感謝を示す。
こちらとしても初対面の彼女に突っ込んだ事情まで話すわけにもいかないので、そのあたりに留めておいた。
「んでさ。姉ちゃん結局コレからどうするつもり?なんだったら俺ちゃんと遊ばない?いや、ジョークジョーク」
タハハー、とまた笑いつつ、問うてみる。

桐竹 琴乃 > 「わかるって言うとアレだけどね」
軽くうーんと唸る。
「ちゃんとは理解はしていないよ、大変なんだな、ってだけ」
少しだけ続けて。
「ルー、の苦労をしっかり理解出来ている訳ではないし、ただの部外者の意見だよ」
と言いつつ。
「どっちにするかぼーっとしてただけだし」
遊ぶのもいいかなあ、と思い。
「別にいいよ」
と、あっさり頷いた。
これも何かの縁なのだろう。
気楽な受け答えであった。

蘆 迅鯨 > 少女の言葉を聞くと、若干表情が真剣なものになり。
「……いや、それでもサ。キモチ悪がったりしないでちゃんと話聞いてくれるだけ有難いよ、俺ちゃんは」
と伝えた後。
「おっ、遊んでくれんだ。やりー♪(なんだ、てっきり断られるかと……)」
思わぬ答えに両腕を上げて喜びをアピールすると、迅鯨のバストはまたしても縦方向に大きく揺れ動く。
しかしそんな答えが返ってくるとも思っていなかったので、つい心の声が漏れた。
「ところで姉ちゃん、名前なんてーの?これから遊びに行くンだし、いつまでも知らないままじゃちょっとアレなんだよね、俺ちゃんの心情としてはサ」
自分からは名乗ったが、まだ少女の名前は聞いていない。
せっかく夜の街へ遊びに行くならと、少女に訪ねてみる。

桐竹 琴乃 > 「まぁ」
曖昧な返事をして。
少しだけ目を細めて。
本土では、同じような事があったのだ。
そうおいそれと気持ち悪がるようなことはしない。
それは。
ワタシがされたイヤな事をスルと言う事だから。
―――中断。

「私は心が広いから」
何てね、と少しだけ取り繕う様に調子を戻してあははと笑う。

声では無い声が届く感覚。
心の声が漏れる、とでも言うんだろうか。
「まあ、一人で歩く事は好きだけど、誰かと遊ぶことも、好きだからね」
うんと、頷いて。
「桐竹琴乃(キリタケコトノ)名前でも名字でもお好きに」
何時もの調子の何時もの自己紹介。

蘆 迅鯨 > 「琴乃ね。おっけー、じゃ行こっか♥」
名を覚えるとすぐさま相手の片腕に回り込ませるようにして手を取らんとし、
それが成功すればわざとらしくその豊満なバストを腕に押し付けることであろう。
「……とは言ったものの、あんまりプランとかなくてネー。琴乃はどっか行きたいとこある?なんだったら俺ちゃんもそこに付き合うかな」
迅鯨の行動はだいたい行き当たりばったりである。今のように遊びに誘ったはよいが目的地がはっきりしない、といったケースも多い。
琴乃が明確に行きたいと考えている場所があれば、一緒に行こうと考えた。

桐竹 琴乃 > 「あ、やばいこれすっげー柔らかい」
されるがままに片腕を回り込まされその圧倒的質量に触れ。
紛れもない本心が漏れた。

「……ええと」
取り繕う。
「ぶっちゃけ私も目的は無いなー。ただ適当に歩いてすごい適当に帰るだけだったからなー」
正直な話、行動原理はルーとほぼ同じであった。
「まあゴハン?その後カラオケかゲーセンかどっかでダベるかなー」
当然であるが門限は既に無視する気である。
何ならルーに一日付き合ってもいい。
既に夏休みだ。

蘆 迅鯨 > 「んじゃ、そーするか。俺ちゃんもたまにはどっかでメシ食いたかったんだよね。思いっきり歌うのもいいし、ゲーセンで遊ぶのもいいしサ。まだまだ夜は長いし、一緒に楽しもうや。今夜は寝かさないぜ♥なーんてネ。タハハー」
と早口で延べると、腕を組み、胸を琴乃の腕に当てた状態を維持しつつ、彼女と共に立ち上がろうとする。そうして立ち上がれば歩きながら話しはじめるだろう。
「んで、どこで食う?俺ちゃんはあんま食ったことないモノが食えるとこがいいかな。ドイツ料理とかは食べ慣れてンだよね」
飲食店に関しても琴乃の希望を聞きつつ、自分のことについても伝えておく。

桐竹 琴乃 > 「ドイツ料理ってまた何か凄いの食べなれてるなー」
その胸の感触を楽しみつつ。(自分に正直になった)
「まあニルヤカナヤでいいんじゃない?好きなもの食べれるし、ドリンクバーあるからそこで十分にダベれるし」
24時間営業だから時間を気にする必要も無い。
「その後気分でどっちかに行けばいいかな。そしてルーは大胆だなあ」
しみじみと。
これぐらいの積極性は私も持つべきであろうか、なんて考えつつ。
一緒に歩きながら、そう答えてゆく。

蘆 迅鯨 > 「そだな。んじゃまずはニルヤカナヤ、行ってみっかー」
24時間営業のファミレス。夜に向かうには妥当なチョイスだ。
行き先が決まれば、自ずと歩く方向も決まってくる。
「へへ。大胆ねー。よく言われるよ。でもコレも全部、俺ちゃんが面白いからやってるだけなんだよネ」
そう言うと、歩きながら上体を回し、もう片方のバストも琴乃のほうへ近付けてみる。
過剰ともいえるスキンシップの意図は、すべて『自分が面白いから』――そう、迅鯨はしばしば語る。
しかし、それは人恋しさの裏返しでもあった。

桐竹 琴乃 > 「面白いから、かー」
思わずごくりと喉が鳴る。
圧倒的敗北であるのはもう既に認める所であるので。
とはいえまじまじと見るのも何かアレではあるが。
「ま、人生それが一番だよね」
ずっと楽しい事は続かない。
からこそ、楽しい事は思い切り楽しむべきだ。
そもそも琴乃はどちらかといえば刹那主義の快楽主義である。
尖ってと言うつもりは毛頭ない、一般的に見てどちらかと言うとと言う程度なのだが。
「……」
スキンシップの過剰さは、寂しさの裏返しだ。
それは昔、そういう後輩が居たのを覚えている。
とにかく触れ合っていないと不安でしょうがない、そんな感じであった。
迅鯨からはそれほどの深さは感じない。
感じさせないようにしてるだけかも知れない。
「ま、じゃー行こうかー暑いしね」
にま、っと笑いながら、迅鯨に言う。
「ルー……んんー。シュンでいい?」
などと続けて。

蘆 迅鯨 > 「そーだな。早いとこ涼みたいもんだネー」
体勢を維持し歩みを進めたまま、琴乃の腕と組まれていない側の手でうちわのように煽ぐしぐさをとりつつ返答する。
「うん、シュンでいいよ。琴乃が呼びやすいならそれで」
そう言うと、琴乃の笑顔に応えるように、にっ、と歯をむき出して笑ってみせた。

桐竹 琴乃 > 「じゃーそう言う事で」
再度迅鯨に笑い返すとファミレスの方へと二人そろって歩いていくだろう。
夜はまだ始まったばかり。
夜は長いのだ。

ご案内:「常世公園」から桐竹 琴乃さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から蘆 迅鯨さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にエルピスさんが現れました。
エルピス >  
 公園のベンチでコンビニのスイーツを食べる。
 体力的な疲れはそう感じない身体である故か、最近はぼうっと歩く事が多くなってきた。

「……」

 昨日は葵にみっともないところをみせてしまった。お陰で少しは回復出来たし、気持ち良かったけれど。
 そう思えば苦い笑みが自然を浮かぶ。誤魔化すようにコンビニスイーツ(プリン)を口に運んだ。

エルピス >  
「ううん、元気出さなきゃね。」
 
 誰に向ける事でもない苦笑が再び浮かぶ。
 あむりとプリンを平らげ、備え付けのゴミ箱に捨てに行って戻って来る。

「……でも、最近は色々考えちゃうなぁ。」

 ふう、と、溜息にも似た大きな息を吐く。 
 あんまり悩んでもいられないけれど、落ち着かないといえば落ち着かない。
 試験が明けた事で講義をはじめとした学生生活が減り、
 公安委員会や常世学園英雄開発課としての活動が増えた事も落ち着かない一因かもしれない。

 そんなことを思えば、今度は確かな溜息をついた。



 つまるところ、仕事が多く発散する機会も少なく、遊ぶ相手もいないぼっち気味で寂しいのである。
 ざっくり言ってしまえば簡単なものだが――

ご案内:「常世公園」に相模原孝也さんが現れました。
エルピス >  
「最近、友達と遊んでないなー……。
 ……でも、ボクってあんまり友達もいないんだよね。
 公安委員会の中でも、遊べる仲の人ってそういないと言うか……大体の人はそういう所じゃないって空気出してるし……」

 目を伏せる。
 自分のぼっち具合を思い返して、少々の消沈を見せた。

「彼女もいないし……」

相模原孝也 > 片手に下げたビニール袋を、歩くたびに揺らしながら、公園の道をゆく。
視線は一箇所に定まらず、忙しそう。草場のあたりをみたり、茂みを覗きこんでみたり、木の根元をみてみたり。

「おーい、にゃんこー、くろねこさーん、いないかー?」
小さめの声で、何やら呼びかけながら歩いて行く少年が一人、ベンチの前を通り過ぎかけ……。

「あ、わり。うるさかった?」
ベンチに座ってる誰かさんがくらい雰囲気なのに、もしかして何か悪いことでもしたんじゃ…と思って一声かけた。

エルピス > 「……ほえ?」

 声を掛けられてようやっと気付く。
 思考の世界に浸かりかけていたのだろう。意識の外だったらしく、目を丸くし、軽い驚きを以ってパーカーの少年を見た。

「あ、う、ううん。そんな事ないけど……知り合いとはぐれたとか、おとしもの?」

 言葉と様子から推測を返しながら、小首を傾げた。
 何か用事があったのかな、と。

相模原孝也 > 「そーか? なら良かった。熱射病ってわけでもなさそーだし。
 とりあえずこんちわーってね。」
顔が上がった様子に、ちょいとちらっと顔色をみてみたが、その手の体調不良の様子は素人目にはなさそうだったし。
質問にはすぐに応えず、ひらっと右手を振ってご挨拶。

「んで、捜し物は黒猫さんだな。
 この間からここら辺で見つけて構ってた猫、いないかなーって探しに来てたのさ。
 前は、あのへんの木の根元で寝転がってたりしたんだけど、見た?」

と、ちょいと右手の人差し指で、ベンチから少し離れたトコにある木の一本を、指し示した。

エルピス > 「うん。こんにちは、お兄さんっ」

 人懐っこい微笑みを向けて、目の前の彼へと挨拶を返す。
 幼さと明るさの残る、ややボーイッシュな高い声だ。
 
 指で指し示された箇所へと眼を向ける。
 今は特に何もいない気がするものの、そう言えば……

「うーんと……さっき何か小さい何かが横切ったような……
 ちょっとぼうっとしてたから、何も分かんないも同然かなぁ……ごめんね、お兄さん。」

 申し訳ないと思ったのだろう。
 ぺこり、と、座ったまま頭を下げた。髪が少し、靡く。

相模原孝也 > 「ん?」
首を傾げて、視線を木の方から女の子の方へ戻す。背はちっこいけど…女子ならそんなもんでもおかしくないし…んー。

「おにいさんっつーか、多分同い年くらいじゃない? オレ15だけど。」
ひょい、と自分を指さした後、ひょい、と見た目に似合わずボーイッシュ系な言動の女の子の顔を指さした。

「ああ、いいっていいって。試しに聞いてみたってだけだから、気にされても困るぜ。」
猫の目撃証言については、どうやら外れだったらしい。なんだか律儀な様子に、ちょびっとこっちも申し訳ない気分だが。あっはは、とあえて笑い飛ばす。

「しっかし、ここらにいないなら、どっかに餌でも探しに行ったのかな。んー…。
 とりあえず、公園ひと通り回ってみるかな。」

エルピス > 「あ、じゃあボクの方が年上かも。
 ボクは16だし……でもこう、なんかボクからみて、お兄さんかなー……って思っちゃって。」

 あはは、と、舌を出して無防備に笑ってみせる。
 先程までの暗い様子はあまり見えず、かわりに無邪気さが伺えるだろうか。

 公園を回る、と聞けば席を立ち上がる。

「あっ、じゃあボクも手伝っていいかな……ダメ?
 ここでぼーっとしてるのも、ちょっと飽きちゃったし……。」

相模原孝也 > 「つまりそれは、おねえちゃんと呼べってことですね?」
可愛らしく笑ってみせる女の子、もとい先輩が年上だと判明すれば、わりと雑な敬語に口調を変えつつ、にやりといじわるげに笑う。
……いぢると楽しそうだし。

「ん?あー、別に構いませんとも。一人で探すよりも二人で探すほうが楽しそうですしね。
 それじゃ、レッツゴー。」
いくぞー、とビニール袋を持った手を、上に向かってつきだしたのが出発の合図。
年上?の無邪気系っぽい先輩に出発を促して、歩き出す。ただし歩幅は相手に合わせるつもりで小さめだ。

「あ、そだ。忘れてた。オレは相模原孝也です、よろしくセンパイ?」

エルピス > 「も、もうっ。ボクはおと……ううんー……」

 視線をそらし、口元をもにょごにょと動かす。
 少々照れ臭そうな様子を見せる。少しすれば、気を取り直して。

「うんっ、れっつごー! えへへ……あっ、うん。相模原孝也って言うんだね。覚えたよ。相模原君。
 ボクはエルピスと名乗っているよ。これでも一応、公安委員会なんだ。宜しくね、相模原君。」

 再び人懐っこい笑みを浮かべて名乗りを返してから、相模原の後ろをとてとてと歩く。
 時折周囲を見渡すものの、それっぽいものはまだ見つけられないらしい。

「ううん、中々見つからないねー……」

相模原孝也 > 「おと?」
大人のレディなんだからとかそういうことだろうか…? 疑問に思うも、濁されたようだし、追求は…、やめておこう

「まあいっか。苗字だと呼びにくいだろうし、孝也でいいぜ?
 で、そっちはエルピスな。エルピス、エルピス……」
んん?と歩きながら首をかしげた。そうだ、たしか……

「プレスリー?」
なんか、そんな名前のすごい歌手が、昔居た気がする。


「んー、なんか違うな。とりあえず言いにくいし、エルさんとかでいいかな、呼び方。もしくはエルって呼び捨て。」
そんなふうに、呼び名について提案しながら歩く、猫探し道中。道の脇をみてみたり、茂みを覗いてみたりするが見つからない。
ただ、道中エルピスが後ろについて歩くようであれば、少し考えた後。
エルピスが周囲を見渡している隙を(ついたつもりで)つき、背後に回りこんで、

「はいはい、探すのも大事だけど、並んで歩こうぜ!」
後ろから、ぽんっと肩を押していこうとする。

エルピス > 「……そのプレースリーさん?、有名人なの?
 こう、前にも言われたから、ちょっと気になって」

 何か前にも言われた気がする。
 昔に流行った歌手なのだろうか、今度調べてみるとしよう。

「あっ……エル。うん、エルって呼んで欲しいな。
 あだなとか付けて貰ったの、初めてだから嬉しいかも。
 うん、ボクも孝也って呼ぶよ。孝也。」

 それこそ花が綻ぶような、満面の笑みを相模原…孝也へと向ける。
 そのまま笑みを零しながら後ろを歩いていた故に、ぽんと、肩を押されれば、常在戦場の心得がある訳でもなく――

「ひゃっ!?」

 驚いて素っ頓狂な声を挙げる。
 わずかによろめいたものの、そのままバランスを崩して倒れる事はない。
 ――機械の身体であるエルピスを押したのならば、やけに重かったかも、ぐらいには重い感触を手に感じてもおかしくはない。

「も、もう。びっくりしたなぁ……うんっ、それじゃあ隣に行くね。孝也」

 いずれにせよ、そのまま孝也の隣へと進み並んで歩く。
 時折、長くも柔らかい髪が風に吹かれて靡き、孝也を軽くくすぐる、かもしれない。

相模原孝也 > 「ならばよし! やっぱ隣歩くほうが話しやすいしなー。」
隣を歩くことに諾の返事がくれば、にっ、と嬉しそうに笑ってみせた。
しかし、手に感じた重み…もしかしたら異邦人で、体組織が全く違う…とかだろうか。ちっこいのになあ、とか思いながら、改めて隣に並んで歩いてく。

「んー、オレがネタにしたのは、確かアメリカの方の、大人気歌手だったはずだぜ。 あ、アメリカってわかるか?
 で、見た目の方はこう……このへんにぴらぴらって紐っぽいのがついてたな。衣装。」
もしかしたら異邦人の可能性もあるので、一応確認しつつ。自分の二の腕のあたりに左手をアテて、こんな感じ、と手振りで糸…のつもり。
そんな会話をしながらの道行、風でゆれるエルの髪が頬をくすぐって、むず痒くて肩を揺らした。手触り良さそうだなー、と栗色の髪を見下ろして。

「オッケー。じゃ、呼び名はそれで。よろしくな、エル。
 しっかしアダ名初めてってことは……コーアンってトコだと、コードネームでも名乗ってたり……お?」
この愛嬌のある様子なら、友達が少ないってこともないだろうし…他の呼び方でもあるんだろかと、推測して聞いてみる言葉の途中、ふっと目に入った光景に言葉が止まった。

「ん……猫かな、あれ。」
見ている方向は、少し先の木の枝の上。猫っぽい影がいるように見えるが。自分では遠目でうまく確認できない。

エルピス > 「そうだね。後ろだと顔も見れないし…‥・
 ん……うん。ボクもこの世界の出身だし、アメリカは分かるよ。で、えーと、ひらひらというとこう……フィーバー!って感じ?」

 やや微妙にずれた感性を発揮しつつ小首を傾げる。
 頭の中では黒人のアフロが、ディスコのような所でポーズを決めている。

「ううん。エルピスと名乗ってるよ。
 これが今のボクの名前で、本名で、コードネームみたいなものだから。」

 先程までとは違った、どちらかと言えば最初の表情に近い、何処か寂しげな笑みが浮かぶ。
 が、それもつかの間か。孝也が何かを見つけたと察すればそちらを向く。
 身体の機能上、眼は良い。木の上に止まった猫を発見した。

「猫……かな? 降りられないのかなあ……」

相模原孝也 > 「ま、オレの顔見ても楽しいかは保証できねーけどな。
 お、そうそう、フィーバー!って感じ。」
フィーバー!と右手を上に伸ばし、びしっと人差し指を立ててみせる。わりとカッコつけたポーズで、腰のうねりにこだわってみた。が、まあ隣を歩くために、すぐポーズを崩して歩き出すのだけど。

「んー……じゃあ次に知り合いに会った時は、エルって呼んで欲しいって伝えてみるのはどうよ。
 アダ名拡大計画、ってね。ついでに、他の知り合いにもアダ名をつけてみるとかさ。」
どこか影が落ちて見えた表情のエルに、少し考えてから。少しわざとらしいかもしれないけど、明るい口調で、これから、の提案を。
くらさが落ちないようなら、こっちで明るくすれば良いとばかりに、にぃーっと楽しげに笑ってみせる。

「お…やっぱ猫か?うっし、あっち行ってみよう。
 んー……お、見えてきた。猫だ猫。」
エルが見分けがついたようなら、そっちに行こうと促して。
歩いて近づきながら、片手でひさしを作ってみていると、こちらも猫に見えてきた。

「おーい、にゃんこー。 黒にゃんこかー?」
ひさしを作ってた手を口元にあてて、ちょっと呼びかけてみると、にゃー、と細い声で鳴き声が返ってきて。

「あ、多分探してた猫だ。……どうだろ、はしっこいヤツだけど、けっこー高い位置だもんな、あそこ。」

エルピス >  
「あははっ!
 ……んっ、そうだね。ボクのこと、エルって呼んでもらおっかな。
 と言っても、あまり友達は多くないんだけどね……」

 カッコつけたポーズを見て、お腹に手を当てて笑う。ツボに入ったらしい。
 とは言え次にはしゅん、と、眼を伏せる。やけに感情の起伏が激しいといえば、激しいか。

 ともあれゆっくりと猫へと近付く。無理に飛び降りる様子はない辺り、やはり降りれなくなったのだろうか。
 飛んで捕まえる事も出来るか、驚かせてしまうだろうか。どうしたものかと、思案して――

「……えっと、ボクがたーくん……孝也に肩を貸すから、
 にゃんこちゃんの救助、お願いしてもいいかな?」

相模原孝也 > 目を伏せるエルの様子を見れば、すぐさま、エルの肩をとんとん、と指で叩いて。

「なら友達に一人追加しとけよ?」
くいっと親指で自分を示して、ドヤ顔で笑ってみせるのだ。

さておき、下から木の上の猫を見上げれば、やはり手を伸ばした程度じゃ届かない高さ。もっとも、小柄な黒猫は、悠々自適にあくびなんぞしてたけど。

「どっかに手がかかれば登れそうだけど……」
木の幹や枝の位置を見ながら思案していたところのエルの提案に、んっ?とエルの方を見やって。

「べつに、たーくんでも構わないけど……普通逆じゃね?肩貸すの。いや、女の子を足蹴にする趣味はねえぜ、とかカッコつける気はないけどさ。
 あーでも、ちょい手貸して貰えばあそこの枝に手が届くか…?」

エルピス > 「あ、ありがとう……。」

 驚きの様相の後に、目尻に涙を浮かべて笑みを向ける。
 先程まで考えていたこともあってか、強く感情が動く。凄く嬉しかったのだろう。

「……あ、えっと、その、ね、
 ボク、ちょっと重いから……」

 イヤイヤ、と、恥じらいと困惑の混ざった調子で小さく首を横に振って、上に乗る事を拒否するだろうか。

「それに、見知らぬボクよりたーくんの方がにゃんこちゃんも驚かないと思うから。」

相模原孝也 > 泣かれるとまでは思ってなかったので、目をぱちくり。いやいや、ここで呆ける方がまずい。というかコレは…放っておくと、悪い男に引っかかる気がする。代表、オレ、とか。

「エルは涙もろいなあオイ。」
困惑は隠して、にーっと笑いかけ、パーカーのポケットを漁る。ハンカチは無かったが、ポケットティッシュはあったので、ほい、とそいつを差し出して。

「ああ、うん……ごめんな。そりゃ言いにくいよな。うん。」
女子に体重の話は厳禁だろう。言わせてしまったことに、申し訳無さそうに頭をさげるけれど。
しかし肩車のたぐいはバランスが悪い。もう一度、木の枝の位置を考えて。

「そうだな、オレの方がまあ、素直に来る可能性はちびっとだけ高いだろうし…。うん、あの枝に届けばいけるな。
 うっし、エル、パワーの方は自信ある?その細さで肩貸す方を提案するなら、パワフルだと思うんだけど。
 あそこの枝に手が届けば、そのまま登ってけると思うんだが……悪いが、足場になってくれると助かる。」

いいか?と訪ねつつ、登りやすいようにバッシュを脱いで、ビニール袋は木の根元に置いておく。

エルピス > 「あっ……ご、ごめんね。つい……」

 困惑気味にポケットティッシュを受け取り、涙を拭う。
 最近は感情の抑えが効かない事が多い気がする。幸い仕事では、一度を除いてそう言う事はなかったけど。
 内心で最近の自分を振り返りながら、涙を拭い終える。

 ……使用済みのティッシュを返されても困るかな、と思ったので、そのまま一旦ポケットにしまう。

「うん、パワーは大丈夫だよ。言い忘れてたけど、これでもサイボーグなんだ。
 だからちょっと重くて、パワーもあるんだ。あ、最初からそう言えば良かったかも……」

 舌を出して苦笑しつつ、孝也を背に乗っけやすい様に一度しゃがみ、乗っかったと判断すれば慎重に立つだろう。

相模原孝也 > 「別に泣くの自体は悪いことじゃないし、謝ることでもないさ。」
気にすんな、ともっかい、肩をぽんぽんと叩く。が、確かにその感触は細いからだとは思えない…。どうやら、サイボーグとやらはマジらしい。

「じゃ、サイボーグ・エルエルナイン殿。よろしく頼むであります。」
ちょいといたずらっぽくニヤリと笑って告げれば、木に手をつけながら、エルピスの細い背に乗らせてもらう。
エルが体を起こしていくせば、ぐぅっと視点が上がっていくのに、おおっと、バランスを取りながら…よし、枝に手が届いた!

「オッケー、届いた!離れて大丈夫だぜー。」
ぐっと枝をしっかり掴めば、エルの背から足を離して、逆上がりの要領で枝の上に。ちょいと揺れるが、フツーの人間の域を出ない体重の自分なら、問題は無かった。

キノボリの方は慣れてるらしく。一度枝の上に乗ってしまえば、他の枝や幹に手をかけて、にゃんこのいる枝まで登って行って…

「うーし、黒猫さん、こっちこっち。」
おいでおいで、と手招きすると。くりっとした目をこちらに向ける黒猫さん。
細い声でにゃーと鳴いたら、こちらに近づいてきたので、抱き上げた。

「うっし、それじゃあこのまま降りるからなー?」
よいしょ、と両手でしっかり黒猫さんを抱えれば、太い枝の一つに腰掛けて……くるんっ。

枝に膝裏を引っ掛けて、そのまま逆さに、頭を下にしてぶら下がった。

「おーい、エルー。にゃんこさん受け取ってくれー。」
ぶら下がり状態のまま、両手で抱えた黒猫さんを、エルに差し出す。手を伸ばせば、十分届く高さだろう。
肝心の黒猫さんは、びっくりしたようで動きが止まってた。

エルピス > 「よい、しょ……っ」

 身体を起こし、孝也が木に飛び移った事を察せば姿勢を戻す。
 一瞬少々不安そうにしてみせたものの、身のこなしを見ればそれもすぐに無くなるか。

「了解だよ、孝也司令官っ。」
 
 いたずらげな笑みと冗句を時間差で返しながらも両手を伸ばす。
 くりくりしてふさふさの黒猫さんが無事に抱き上げられ、此方へ伸ばされたのならばそっとその両手で受け取る。
 幸いにして暴れる事もなく身を寄せてくれたことも有ってか、思わず猫を撫でる。にへら、と、幸せそうな笑みが漏れた。

(かわいい……)

相模原孝也 > 「ご苦労、エルエルナイン!任務は完了です。」
逆さになったまま、にゃんこの受け渡しが成功すれば、よっと勢いをつけて枝の上に戻り、それからゆっくり木を降りていく。

エルの方に受け渡された黒猫さんは、撫でられてリラックスした様子。
細い声でにゃー、と鳴いたら、エルの方へすりすりと体を押し付けていた。

「お、もしかしてエルも猫好きだったりする?」
一番下の方の枝にぶら下がって地面に降りれば、エルが幸せそうに笑っている様子に、そう問いかける。
ちょっとばかり躁鬱激しそうだったが、猫はそれを癒してくれたようだ…アニマルテラピーというやつだろう。

ともあれ、地面に降りたことだし、バッシュを履き直したら、

「そいつに餌持ってきたんだけど、上げてみるか?」
そう言って持ち上げたビニール袋の中身は、猫缶(アイス用スプーン付き)であった。
……紙皿を買うくらいなら、自分でスプーンで猫缶をすくって食わせるほうが安上利だと思ったのだ。

エルピス > 「……♪」

 すりすり身を寄せられると、上機嫌に撫で返す。
 ある程度堪能したら、猫を降ろした。

「んっ。うん。猫も好きだし、可愛いものは割りとみんな好きだよ。
 でも猫さんって中々気を許してくれないから、こうやって触れる機会はあんまりないんだよねー……えっ、いいの?」

 餌をあげてみるかと聞かれれば、はしゃいだ声が返って来る。
 とてもあげたそうだ。

「えへへ……たーくんもやっぱり、猫さん、好き?」

 聞くまでもないかな、と思いつつも、軽い調子で尋ね返す。

相模原孝也 > 地面に降ろされた猫さんは、まるで挨拶のように、にゃ、と短く鳴いてから、木陰に移動して座り込んだ。ごはんはよ!とでも言いたげに、丸いお目目が期待に輝いている…!

「ならこのにゃんこはちょうどいいかもな。人慣れしてるし、この間はベンチで一緒に寝こけたし。
 んじゃ、ちょっと待ってな。」
はしゃぐ様子に、どうやらアニマルテラピーは正解だったらしいと苦笑い。
ビニール袋から猫缶を取り出せば、蓋をぱかっと開けて。アイス用スプーンと一緒に、エルの方へと差し出した。

「ん、そうだな、猫もそうだけど、オレもかわいいのは好きだぜ。」
ぴこっと、エルの顔も指差してみたり。
「特に子猫とか、子犬とか、ちっこいのが懐いてくるのはどうにも嬉しくなるな。実家は団地だし、こっちじゃ寮生活だから、犬猫飼ったりできないのが残念。…まあ面倒見れるだけの資金もないんだけどな。
 こうやってのらに餌やるのが精一杯だ。」

エルピス > 「一緒にお昼寝、ちょっと憧れちゃうかも。……ん、うん。」

 
 はやくはやく!と瞳を輝かせるに猫さんに微笑みを向け、受け取ったスプーンで猫缶の中身を掬って猫さんへと向ける。

 差し出されたぺろりと嘗めてから、あむあむと頬張る猫さんを微笑ましげに眺め、スプーンが空っぽになったことを確かめてから

(もう1回だけ……)

 と、掬って差し出し食べさせる。

「あはは、美味しそうに食べるね。にゃんこさん。
 ……確かに、ペットを飼うのってお金も場所も要るもんね。
 そう考えると野良と時々触れ合えるだけでも、幸せか……ほえ?」

 指を差されれば、意図を理解していないらしく不思議そうに首を傾ける。
 ……ぽふん。少ししてから意図に気付いたらしく、顔を赤らめ、恥じらいをみせる。

「も、もうっ。ボクは可愛く無いと思うよー……」

相模原孝也 > どうやら、黒猫さんは木の上でのんびりしてる間に、だいぶお腹が空いてたらしい。
もう一度、と差し出されたスプーンの上に載せられたごはんに、素早く飛びつきあぐあぐと食べている。
スプーンの上からごはんがなくなれば、もっと、とばかりに細い声でにゃーにゃーと鳴きついた。多分、缶の中身がカラになるまで求めてくることだろう。

「だな。野良だし腹減ってたのかもしれないが……これだけ美味そうに食べてるの見ると、持ってきた甲斐がある。
 ま、野良に会うチャンス以外にも、猫カフェとかもあるらしいし、そっちでもふれあえるさ。
 ペットを飼うのと、どっちが高く付くかはわかんねーけどさ。」
言って、楽しげに声を上げて笑う。にゃんこの方も、ごはんを食べれて幸せそうに、にゃー、と鳴く。

「いやいや、顔もカワイイが、そういう恥じらう姿とか、カワイイと思うぜ?
 さて、けっこう熱い中歩いたしなー。 何か飲むもの買ってくるけど、何飲む?」
ニヤニヤ笑って、からかい混じりにカワイイ連呼で褒め称えてから、怒られる前に話題を切りかえ、自販機の方を指さした。