2015/08/18 のログ
鈴成静佳 > ほえ~、薬を作るだけじゃなかったんスねぇ。自分を癒す能力かぁ……。
(後から別の異能が発現する。決してない話ではないらしい。目の前の少女こそがその好例なのだろう)

(……自分の場合は、別の異能が発現したというよりは……)
(否。これはなるべく自らの心にのみ秘めておくほうがよいハズ)

……むぅ、それでも治せない腕ってのは。能力に力が足りてないのか、それとも……。
(首をかしげ、少ない脳みそと情報のみで考えてみる)
そもそも、どうして腕を無くしちゃったんスか。事故?
あ、言いたくなければ言わなくていいッスよ?

(そして、「違う異能だったら」に対する返答には、物憂げに目を細め、東の空を見上げる。まだ暗くなる時間には早いが、宵の明星はきらめいている)
……そう、別の異能だったらきっと、ちょっと違った別の人生を歩んでたと思うんスよね。
いや……ちょっとどころじゃないのかも。正直、こんなしょーもない異能でも、今までこれ絡みで……いろいろ、あったからね。

そして……もしかすると今頃、落第街にいて。
今日の食事や寝床さえおぼつかない暮らしをしていた可能性もあったんじゃないかって。
……アハハー、まったく身も蓋もない話ッスけどね!
(苦笑いを浮かべ、汗ばんだ頭をぽりぽりと掻きながら、瀬織さんを見上げる)

薬師寺 瀬織 > 「……そうよ。鋭いわね」
再び、静佳の顔を見据えて答える。
瀬織が右腕を失った原因が事故にあるのではないか、という静佳の推察は、見事に合致していた。
「あれは私が中学校に入ってすぐのことよ。あの日のことは今も覚えているわ。……まだ時々、思い出してしまうの」
今はそれだけを伝えるに留め、事故の詳細については話さないでおく。
「力不足、ね。それは……私も感じていたわ。そもそも、薬を作る異能だってまだ不完全だし――それで作れる治療薬も、誰の命でも無条件に救えるものではないわ。致命傷に重い病気、呪い――そういうものは癒しきれないこともあるの」
人のためになる能力と、眼前の少女は言う。
しかし実際には、瀬織の力だけでは救いきれない人間のほうが多い。
悪意なく放たれたであろう言葉は、瀬織の心に小さな棘として食い込んでいた。
静佳が空を見上げれば、瀬織もまたそちらを向きつつ。
「……そうね。私も……」
それだけ、呟いた。

鈴成静佳 > 思い出す、かぁ……。アタシと似てるかも。

(先ほどと同様にまた、静佳も自分の左手を開き、見つめる。くっきりと褐色の花のように刻まれた火傷痕)
(雷が近づくたびに、あるいは電気を目の当たりにするたびに、静佳も「あの時」を思い出し、苦しむ)
(……とはいえ、腕そのものをまるごと失った瀬織さんと比べれば、自分は全然恵まれているといえようか)

……異能者って、みんな、何らかの苦しい思いをして異能に目覚めるものなのかなぁ。
アタシは少なくとも……瀬織ちゃんと比べてどうかは分からないけど、そこそこ辛い思いをしたのちにこの能力が使えるようになったから。
だから、できるだけ良いことに、楽しいことに使おうって思ってるけど。きっと瀬織ちゃんも近い考えなんだろうけど。
……でも、そういう考えの人たちばかりじゃないのかなぁ、って、最近気付いたんだよね。ハァ……。
(深い溜息。自らの左手を生ぬるい風がくすぐる)

それともう一つ。強すぎる異能って、悪い大人の標的になるってのも、最近実感してる。
(首を上げ、自らを見下ろす瀬織さんの双眸を静佳も見据える)
「炎の巨人事件」……氷架ちゃんとか、風紀の貴子ちゃんとか。強い異能、便利な異能を狙って、誘拐したり何だりって話が最近あってね。
……どんな異能が、誰に発現するか分からないし、それで人生が狂ったりすることが、身近にもあるって気付いたんだ。

だから、瀬織ちゃんの言う「力不足」については……気を悪くするかもしれないけど、それでいいんじゃないか、って思うよ。
どんな病気でも治せるとしたら、それを狙って瀬織ちゃんが酷い目に合うかも知れないし……。
そうじゃなくても、保健室や病院でひっきりなしに働かされることになるかも知れないッスからね。アタシはそんなのはゴメンだなぁ。アハハ……。
(その笑い声には力はない。一応、失礼なことを言っている自覚はある)

薬師寺 瀬織 > 「そんなことはないと思うわ。異能に目覚めた人が必ずしも苦しみを経ているのだとしたら……それは、あまりにも辛すぎるでしょう」
ヒトに異能が発現するに至るまでの過程。それに関する鈴成の推測に対して、自身の見解を述べる。
常日頃から変化に乏しい瀬織の表情だが、今の時点でのそれはひときわ暗く見えるかもしれない。
そして、瀬織の言葉はさらに続いた。
「それに、だからこそ……異能を使う目的も、人によって違ってくるのではないかしら。苦しんだからこそ異能を良いことに使おうと思う人もいれば、特に理由なく異能を得て、良い方向にも悪い方向にもぶれない、ぶれようがないという人もいるでしょうし。それに――異能を得る過程で苦しんだからこそ、他人だとか、社会だとか、もっと大きな何かに――同じ苦しみを叩きつけてやろうと考えることだって、私には妥当に思えるわ。けれど、その悪意もまだ未熟な人は……もっと悪い大人に利用されてしまう事もあるのでしょうね。……大丈夫よ。私は上手くやるから」
最後の一言の真意は語らない。察することも求めていない。
顔を上げる。冷たい瞳が、夕焼けの空を射抜いた。

鈴成静佳 > 上手くやる、ッスか……。

(じっと瀬織さんを見上げる静佳の視線もどこか不安げだ。彼女を信じないというわけではないが……)
(それでも、「上手くやる」という言葉がどうしても頼りなく聞こえてしまうのは、静佳の心がネガティブに傾きすぎている証拠だろうか)
(命にかかわることだ、看過することは今の静佳にはできない)

それなら大丈夫ッスね! ……って、いつものアタシなら言えるんスけどねぇ。怖いんスよ、正直。
異能も異能者も、そして異邦人も、底が知れなくて。
瀬織ちゃんが大丈夫って言ってても、あるいはもっと強くて他人を守る力に溢れた人が言ってたとしても、それを上回る「力」ってのがある気がして。
……だから、風紀委員の棟舎が襲われたりしたんだ、って。
(ごくり、と飲み込む生唾が、喉に冷たく感じた)

……じゃあ、アタシたちがどうすればいいか。
保健委員として。生活委員として。学園のいち生徒として。異能者として。
そこの回答が見つからなくて、最近気が重いんスよね……。

薬師寺 瀬織 > 再び、静佳の方を向いて。
「そうね。私も怖いわ」
と告げた後、少しの間を置き。
「……いいえ、怖いというより……ここ最近は、私に関わりのあるところでも、無いところでも、私自身の無力さを感じさせられることばかり起こっていて……押しつぶされそうなのよ。そういう感情に」
ここで初めて、自身が感じ続けている正直な心情を彼女に吐露する。
学業の成績から友人関係、日々島内で起こるさまざまな事件。
瀬織の心の中ではそのすべてに関して劣等感と無力感が生じ、それは日々増大し続けていた。
「鈴成さんがどうすればいいかは、私にはわからないわ。でもね。少なくとも……私には。私自身には、『力』が必要だと思っているわ。すべての人を救えるわけじゃない、何かあった時に大切な人を守りきれるわけでもない、こんな異能じゃなく。もっと強い……『力』が」
再び胸元まで上げた自身の右腕を忌まわしげに見つめた後、それを下ろす。
瀬織には戦うための『力』がない。二つの異能はどちらも戦闘行為に使用できるものではなく、
右腕の巨大な装甲義手も主となるのは薬液の運搬機能であり、武器・防具としての使用は想定されていない。
故に、瀬織は自身に『力』が必要だと考えていた。それは人を救い守るためか、あるいは。
「それを得るための方法なんて、まだわからないけれど。私にはそれが必要なのよ。それが手に入るまで、私のこの感情は消えないと思うから」

鈴成静佳 > ……………。
(口をへの字に結びながら、瀬織さんの独白に耳を傾ける静佳。決して、その意見を快く聞いているようには見えまい)

(先日、時計塔屋上で東雲くんと話し、聞かれたたことを思い出す。「強いとは、弱いとは何か」。静佳もあれから、その問いに向き合っていた)
(概念については人それぞれであろうが、少なくとも静佳は、強さなんて求める気はなかった。人間以上の強さなんて)
(……そんなのはなくても、きっと幸せな人生は送れる。そう信じてきたから)

(対して、目の前の少女は。今の面持ちこそ不安に満ちているが、普段は面構えもよく、頼もしく、ましてや他人のためになる異能もある)
(そしてその少女が、義手を見つめ、さらなる「力」を求めている)
(彼女なりの考えがあってのことなのだろうし、「他者を守りたい」という決意は尊いもので、水を差すのは躊躇われる)
(……それでも)

(西の空は徐々に赤く染まりつつある。しばしの沈思黙考ののち、静佳は口を開く)
……瀬織ちゃんは、強いね。
力を求める……守るための力を求めるなんて、それ自体がとてもしたたかな考えだよ。アタシには真似できない。
アタシが守れるのなんて、己の身くらい。あとはルームシェアの友達が安心して帰れる場所……そんなもんだから。
だから、アタシは瀬織ちゃんがどんな無茶をしそうになっても、きっと止められないと思う。

……でも、できれば。
アタシは瀬織ちゃんに……いや、友達みんなに、「普通の人間」として生きて欲しいなって思ってる。
人間としてできることを、人間の力で実現できる程度のことを、ふつうどおりに、こつこつと。
異能なんて、そのためのちょっとしたツール、スパイスくらいでいいと思うんだ。
あくまで、アタシの願望……わがままッスけどね。フフッ……。
(目を細め、柔和に微笑む)

薬師寺 瀬織 > 「普通の人間……」
その言葉が、思わず口から零れる。
自身と眼前の少女の間にある、どうしようもない意識の断絶。それを実感していた。
銀色に光る大きな右手と、肌と同じ色の小さな左手を握り締めながら、瀬織は語る。
「鈴成さんは、私を危険なことに巻き込みたくないのね。その気持ちは有難いけれど……無理な相談だわ。第一、『普通の人間』と言うけれど……この島にだって、そもそも『人間ではない』存在は大勢いるのよ。彼らがもし人間を超えた『力』を振るって私たちに害をなそうとした時、所詮『普通の人間』でしかないヒトに何ができると思っているのかしら」
先程まで夕刻の空に向けられていたものと同じ冷たさの瞳で、静佳の顔を睨みながら。
「安全な場所で、ただ守られて過ごしているだけの無力な『人間』で。それで本当にいいなら……鈴成さんは、それでもいいかもしれないわね。でもね……私はそんな『普通の人間』でありたくはないの。そうあることを……何より、私のプライドが許さないのよ」
やや挑発的な言葉で、付け加える。

鈴成静佳 > ………ッ!
(自らを咎めるような瀬織さんの口調に、静佳の息が詰まる。否……その口調だけでなく、論旨にも)

(少し前に自分は、「悪い大人」から身を守るための術について問うた。そして次には、「力」を忌避し凡人であろうとする意見を言った)
(これは実のところ、矛盾している……ように見える)

(だけど……)

瀬織ちゃんを危険なことに巻き込みたくないってのはある。でも……それ以外にも。
(静佳はうつむき、腕をぐっと胸の前で組みすくめ、鼻をすする)

……アタシは、怖いんスよ。力が。強くなることが。『普通の人間』でなくなることが。
守るために力が必要なのは、わかる。でも……瀬織ちゃんはそんなことは絶対ないと思うけど、アタシの場合は。
きっと、力を身につけた途端、強くなった途端に……『他人に害をなす人間』になっちゃうんじゃないかって。
……それが、とても怖い。

瀬織ちゃんのプライドが『普通の人間でありたくない』なら、アタシのプライドは『普通の人間であり続けたい』なんスよ。
たとえ異能があったとしても。その異能に、どんな使われ方がありうるとしても。
それで、弱者としてただ守られているだけでいるってのは、確かによくないとは思う……けど。
……きっと、力を付ける以外で「他人を守る」こと……そんな方法も、あるんじゃないかって。
思うんスよ。……思いたいんスよ、アタシは。
(ズッ、とまた鼻をすする音)

薬師寺 瀬織 > 「……くだらない絵空事ね」
鋭い視線を向けたまま、仮にも友人である静佳の言葉をばっさりと切り捨て、
自らの精神に潜む悪意の断片を、苛立ち、あるいは憤りの混じる低い声と共に彼女に突き付ける。
「確かに、正しい心を持たずに振るわれる力は簡単に他人に害をなしうるでしょう。けれど、その逆は……力を伴わなずに、正しい心だけがあるのは『無力』でしかないわ。力を付けずに他人を守る方法なんて都合のいいものは……無い」
両の拳を握り締めたまま、なおも否定の言葉を紡ぐ。
「他人を守りたいだとか。人を助けたいだとか。そんな『心』だけがあっても……『力』がなければ!無意味なのよ!……全て!」
そう、ひときわ大きな声で叫んだ瀬織の目は、かすかに潤んでいた。

鈴成静佳 > そんな事……ッ!
(おもわずベンチを鳴らして立ち上がり、瀬織さんに真向かいになる。静佳の目も潤んでいる)

確かに、瀬織ちゃんの言うとおり。正しい『心』があっても、それだけじゃ無意味。それは同意するよ。
……だけど!

(声を張り上げる。夕刻になっても未だに公園に残っている子供たちの数人が、驚いて顔を向ける)

……空想を現実に変える『力』は必要。でも、人間を越える力なんて、いらない。必要ないよ。
アタシは人間のままでいい。人間としてできることをする。それでどうにかできるって信じてるから……。
(「信じている」。未だにこれも絵空事の域を出ないだろう。今後4年間のうちに見極めねばならない課題だ)

強い異能者もいる。異邦人の中には神様だっている。でも……みんな、根っこは「人間」とそう変わらないと思う。
……少なくとも、アタシは数ヶ月過ごして、そう感じた。だから。
人間のできる限りの力で、なんとかなるって信じたい。だから、アタシはそうする。

……それが、生活委員の、仕事だから。

(両手を握りしめながら、尻すぼみの声色でそういった後、うつむく)
(朽木先輩の描く、生活委員の仕事像。そして、公安の『室長代理補佐』に求められた、生活委員会の立ち位置)
(静佳がそれを噛み砕き、飲み込んだ結果。人間の、人間による、人間のための社会作り)
(その人間の範疇に異能者や異邦人が含まれたとはいえ、大筋は世界変容以前と変わらないはずだ)

薬師寺 瀬織 > 自身の潤んだ両目を、左手で拭った後。
「……そう。鈴成さんがあくまで『人間』の枠に自身を納めていたいというなら、勝手にすればいいわ。だけど」
静佳が浮かべた涙を見ても、瀬織はなおも自身の主張を曲げることはない。
「信じる心だって――暴力の前では無意味よ。だから私は『力』を求め続けるし、貴女が止めたとして私は聞かないわ。……じゃあね」
静佳に背を向ける形となり、返す言葉も聞かぬまま、来た道を戻って歩き出す。
やがて、紺色の髪の少女は暗い決意とともにその場を去るだろう――

ご案内:「常世公園」から薬師寺 瀬織さんが去りました。
鈴成静佳 > ……信じるッスよ。世の中をよく出来るって信じないで、生活委員なんてやってられないッスから。

瀬織ちゃんのことも信じてる。止めたりはしない。
アタシの場合はダメだって話だから……。

(本当は止めたい。瀬織さんの過激な思考を。でもいまの静佳にはその「力」もない)
(瀬織さんの「力が必要である」と信じる心を、静佳の未だ曖昧といえる決心で崩せる気がしない)
(じゃあね、と小声で呟き、呆然と立ち尽くしたまま瀬織さんを見送る)

…………。

(彼女の影が見えなくなった頃、ようやく静佳はベンチに腰を下ろす)
(その後はしばらく一言も発せぬまま、視線も地面を注視したまま、日が暮れるまでそこに居つくした)
(……心に重くのしかかる、無力感。力を否定しきれないという、無力……)

ご案内:「常世公園」から鈴成静佳さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 「…………あれ。……朝」

目を焼く朝の眩しさに、目を細めた。
あの後。……どうしようもない感情を抱えたまま街を彷徨って。

気づいたら、ここにいた。ここの――ベンチに座っていた。

家に帰る気が、いや。帰れる気がしなかった。
吐き出したくて仕方ないのに、何を吐き出せばいいか。

そもそも、そんな権利すらないというのに。

渡辺慧 > ……友達である、彼女はいなくなった。
それは、自分のせいで。自業自得もいいところだ。

――ぼんやりと。朝の陽ざしを身に受けて。
ただ、考えることもまとまらずに、視線をどこにやればいいか、彷徨わせた。

「………………ごめん、なさい」

渡辺慧 > ただの、許しを請うための言葉が漏れ出る。

……少し、考えを伸ばせば。
なぜ彼女は、自分を好きになったのだろう。

なんでだ。……なぜだ。

――そうだ。……自分は、それすら、聞いていない。

幾らでも、聞けるタイミングはあったはずだ。

だったら、なぜ――。

渡辺慧 > それに気づいた時に。

「ひっ……」
息を、今までより。そのどれよりも多く。
悲鳴のように詰まらせた。

心臓をつかむように、胸の辺りを握った。

自分でも言っていたじゃないか。――何一つ。彼女の事を考えていなかったって。
そうだ、そうだった。
あいつは言っていた。恋愛とは、自分本位を押し付けるものだと。

でも。……それでも。だって、それでも。

「ごめん…………なさい…………」

ご案内:「常世公園」に服部ローニャさんが現れました。
ご案内:「常世公園」から服部ローニャさんが去りました。
渡辺慧 > 「ごめん………………。……ごめん…………よ……」

君のことを、何一つ考えられなくて。
傷つけて。

言葉を吐くとき、どんな気持ちだったか。
自分の言葉にどれだけ傷ついたか。全然、分からなくて。

「…………ごめん。ごめん。ごめん……なさい……」

許しを請うための。自分が、楽になるための言葉だ。
だけれど。どうしてもそれは、止まれなかった。

渡辺慧 > だから。

こんな、なのに。好きになってくれて。
こんな、なのに、友達になってくれて。

ありがとう。

一粒の雨粒が、頬を流れた。
朝晴れの、空が、ひどく眩しい。

「……じゃあね」

友達だった人。
そして、初めまして。

赤の、他人の人。

うずくまるように、身体を抑えていたが。
そして――。

ご案内:「常世公園」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に猫谷凛さんが現れました。
猫谷凛 > 「に゛ゃ゛ぁ゛ー……」

疲れが多量に込められたため息を吐き出しながらブランコに揺られる少女
夜も遅くなってきたこんな場所には少女以外誰も居ない
そんな中で深くため息をこぼし

「何だか噂が広がってるにゃぁ…ちょっとボヤ騒ぎを起こしただけでみんな大げさにゃ…」

猫谷凛 > ラウンジでのボヤ騒ぎ
それだけでも十分捕まりそうな理由にはなるが問題は風紀委員の
ネットワークを盗み見た上に自身を風紀委員と偽装したことが
問題なのだが…少女は不当だと頬を膨らませ

「むぅぅ…結局情報はもらえなかったしニャ♪って言ったら何だか変な目で見られるし…散々にゃ!
なんで凛にゃんがこんな目に遭うのにゃ!」

にゃぁぁ!!と空になったペットボトルを自動販売機の隣のゴミ箱に向けて投げる
ポーズまで決まった全力の投げだ

猫谷凛 > カーン、と音を立ててゴミ箱の縁に弾かれペットボトルは宙を舞い地面に落下する
いつもなら気にしないが今日はそんな事でも気に障り

「んにゃぁぁ!!何であれもこれも上手くいかないのにゃ!!」

怒りが有頂天に達しながら拾い上げたペットボトルを乱暴にゴミ箱にシュートする

「むっかつくにゃ!腹立つにゃ!!ストレスが溜まってお腹いっぱいにゃ!!」

夜の公園で一人で大騒ぎする少女
近隣住民は風紀委員や公安に連絡しようかと悩みだす

猫谷凛 > 「はぁ、はぁ……ふぅ、少しスッとしたにゃ。
これで明日からも頑張れるにゃ♪」

スッキリとした笑顔を浮かべて服の袖で額の汗を拭う
夜の公園で暴れるなど良い汗とはかなり言い難いが、本人にとってはこれも十分いい汗だ

「さて…こんな所に居ても仕方ないし、甘い物を探すついでに色々インタビューしようかにゃ♪」

にゃんにゃん♪と楽しそうに鼻歌を歌いながら少女は夜の公園から歓楽街の方へ歩いて行った

ご案内:「常世公園」から猫谷凛さんが去りました。