2015/08/25 のログ
リヒット > ……やがて、木々の影も長く伸び、空が茜に染まり始めた頃。
水場で熱心に遊び続けていた少年少女たちも、次第に空腹を訴えたり、夕方のアニメの話題を口に出したりと、徐々に帰宅のムードを帯びてきました。
ひとり、ふたりと噴水から人が離れていきます。最初にリヒットに話しかけてきた男児が、サンダルを手に持ったまま、また話しかけてきました。

 「ねぇ、リヒットくんはお家はどこ?」
「……んー、ここ」
 「お洋服はぁ?」
「……んー、まだない。どこでもらえる?」

噛み合わない会話に、苦々しく顔を歪める男児。何か続けようとするも、親に呼ばれ、しぶしぶと帰っていきます。

ぱちゃん、と浅い水場にお尻を下ろすリヒット。カラスの鳴き声が、セミの騒音を縫ってあちこちから響いてきます。
虫の鳴き声は『向こう』と似た雰囲気ですが、幾つか聞こえない虫の声もあります。詳しくはわかりませんが。

ぼんやりと体育座りのまま、暮れゆく空を見上げるリヒットの表情は、やはりぼんやりとしたまま。笑顔も下手なら、寂寞の表情も苦手なようです。

「……服かぁ」

水の精であるリヒットにとって、布は鬱陶しいだけの飾り物です。
ですがそれを着て、少なくとも股間を隠さないと、人の多い場所には行ってはいけない。それが人間界のルールであり、それは『向こう』でもこっちでも共通のようです。
そして、服は『しょうてんがい』に売っているらしい。向かってみようと思ったこともありますが、人が多すぎて近づけなかったのでした。
……そもそも、この常世公園以外、あちこちに人間が居すぎです。裸のままでいられるのは公園の、林や池の中くらいなものでしょう(そこも本来はダメですが)。

いったい、リヒットはこれからどうすればいいのでしょうか。

リヒット > 「……きらきら、みえない」

日が暮れても噴水の水に浸かったままのリヒット。仰向けに水面に浮かび、裸体を晒しながら、消え入りそうな声でぽつりと呟きました。

空は真っ暗……いいえ、決して闇ではありません。薄ぼんやりと燐光に満ち、靄のようなものを空の底に沈殿させているようです。
きっとそれは、整然と並ぶ家々の窓から漏れ出す灯り、あるいは道の端に立てられた鉄の木々の梢から投射される人工の光によるものでしょう。
……それが、天頂に散りばめられた星々のさざめきを隠しているのです。目のいいリヒットでも、数えられる星は両手の指の本数くらいしかありません。
インクを流したように無表情な夜空は、たまらなく不気味で、重々しささえ感じさせます。

「ここは、ぴかぴかな街……。ちょっと、眩しいなぁ」

くるり、と水音も立てずにリヒットは水面で仰向けになり、そのまま池の中央まで足掻くこともなく流されていきます。
その軽い体が、吸い込まれるように沈み、数十センチ下の水底に着きます。
正方形のタイルが敷き詰められ目張りされた床は、これまた不気味な秩序をリヒットの網膜に映し出して来ます。

……仰向けで水に沈んだその姿はまるで水死体ですが、夜の公園の噴水の中にまで注視を向ける人はまずいないでしょう。
そもそもリヒットは水の精なので、水中でも呼吸ができますし、いかに消毒の匂いがするとはいえ、安息の地なのです。

ゴオオォォ、と噴水のノズルの立てる音に故郷の川の脈動を感じながら、リヒットは休眠につきました。

ご案内:「常世公園」からリヒットさんが去りました。
ご案内:「常世公園」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > 「夏ももう終わりですねぇ。」

なんていいながら、
ベンチに座って空を仰ぎ見る。

まだまだ暑いけど、
これからやっと涼しくなるかな?

なんてぼんやり考える。

暑いと気力が減退していけない。

四十万 静歌 > ちょっと疲れたので休憩中で、
動きたくないので、
とりあえず本を開いて読書を始める。

読んでいるのは恋愛小説である。
しかもべたべたな。

「――♪」

ご案内:「常世公園」にやなぎさんが現れました。
やなぎ > 今日はすごしやすい天気なぁと思いながら、
公園へふらっと足を踏み入れる。
軍帽はかぶっておらず、白いワイシャツはだらしない。
背中にはかけただけのジャケット姿の青年である。

先客が見えれば「ああ」と残念に思ったが―
以前シイン少佐から聞いた、"女学生の特徴"
に一致する所があると気づく。

恐る恐る近付いてみることにした。

四十万 静歌 > 「……?」


近くまで来ると、
足音でこちらまできたのが分かり、
本から顔をあげて、
やなぎを見るだろう。

「何か御用でしょうか?」

そして、
上目遣いににっこり微笑んで対応を。

やなぎ > 「う……。」

まさか見知らぬ自分に微笑みかけてくるなんて思わなかったので、
少しばかり顔を赤らめてしまった。

「あ、あの。通りかかっただけで…。
 今日はっ、涼しいですね!」

これといってよい話題が浮かばず、
上ずった声をあげた。

四十万 静歌 > 「そうですね、
 風がありますから、
 気温も湿気も高いですけど、
 比較的過ごしやすいですね。
 また来月になったら、涼しくなっていくと思うと、
 ちょっとほっとしますね。」

暑いときは暑い時の楽しさがあるけれど、
やっぱり、丁度良い気候が一番いいのである。

「――あ、横あけたほうがいいですか?」

そして、首をかしげてそう聞くだろう。

やなぎ > 「いえいえっ!このままで結構です!」

女子生徒の隣に座るなど、このやなぎにはできなかった。
棒立ちのまま話を続ける。

「そうですね、8月はまだ動くと暑くなりますし。
9月10月で、やっと。」

頬をかきながらそう言って、
ふと思いたった。

「…ここの生徒、ですよね?」

四十万 静歌 > 「そうですか?」

気にしないでもいいのに?
といいたげな目で見上げながら、

「9月10月が少し待ち遠しいですね。
 秋には秋の楽しみも色々ありますし。」

食欲の秋である。
秋の甘味もまた素晴らしい。
さておき、ふんわり笑ってそう答えた後、
次の質問に、顎に人さし指をあてて、
軽く首をかしげ、

「はい、もちろんここの生徒ですよ。」

あなたもですよね?といいたげに見つめるだろう。

やなぎ > 話していくうちに緊張が和らいでいき、
立ち姿勢を少し崩した。

「秋っていいですよね。とにかく涼しいし、
紅葉がきれいだったり。カボチャも食べれますしね」

ハロウィンのことであるが、
やなぎはそのイベントを詳しくはしらなかった。
食欲の秋である。

次に続く答えには、やっぱりとひとつうなづいて。

「そ、そうでしたか。貴重な休み時間…?に、
…どうもすみません。」

視線の意図には全く気付かず、
不安げに、そしてなぜか申し訳ない気持ちになった。

四十万 静歌 > 「あ、かぼちゃ好きなんですよね。
 かぼちゃはいいですよね。
 甘くて美味しくて。
 パンプキンパイとか作って食べたくなりました。」

なんて、えへへと笑って、

「いえ、今日の授業は終わってますから、
 気にしないで大丈夫ですよ。」

だから、そんな謝らないで下さい、ね?
と人さし指を立てて微笑むだろう。

やなぎ > 「はい、10月になると周りがカボチャをとってきて…よく食べるんです。」

それがなぜなのかは解らなかったが、
良い思い出の一つでもあった。


「そ、そうでしたか、すいません…」

謝るなと言われたことに謝った。
口癖のように口をついで出てしまった。

「授業って、意外と早く終わるのですね。
まだ日も沈んでないのに。」

四十万 静歌 > 「パンプキン刈りですか、
 中々良い人たちに囲まれてるんですね。」

なんて笑う。
わざわざ収穫して、
ハロウィンを楽しむなんて、
素敵な話だと思うから。
そして、再び謝る様子に、

「私もよく謝っちゃうから癖は中々治りませんけどね」

なんて、クスリと笑うだろう。

「あ、取っている授業とかにもよりますよ?
 私がとっているのは割りと自由時間が出来る感じなので。
 まぁ、基本的な授業は、
 夜になる前には終わる感じはしますね。」

中には夜間のもありますけど、
この辺りは授業次第でしょうか、なんて呟き――

「――ここに来たのは最近なのですか?」

と問いかけるだろう

やなぎ > 「たはは…良い奴らばかりです、よ」

今頃"良い奴"等は何をしているだろう。
カボチャのことを思い出しながら、
少しだけ寂しくなってくる。

「授業によって、ですか。
 そういえば単位制でしたっけ。
 自分の都合などに合わせて授業をとれるのですね。


 わりと最近です。ここにきて一カ月もなるかならないか。
 それで、実はわたしもこの学校の生徒になってみようかなと考えてるのですが、
 あんまりよく知らなくて……。」

補佐の期間ですら学校内部には図書館以外に出入りしたことがなく、
まったくもって不安だった

四十万 静歌 > 「――また、会えるとよろしいですね。」

なんとなく寂しげな様子にそんな言葉をもらすだろうか、
そして、学生になりたいというよな話を聞くと――

「それなら――
 私は詳しくないのですが、
 教師の人とか委員の人に聞いて、
 学生になる為の手続きをしてもらうといいと思いますよ。
 もし、親しい人や、
 顔を知っていて親切にしてくれそうな人がいれば、
 その人がいいでしょうね。」

うん、と一つ頷いて。

「基本的に門は広くひらかれてますから、
 無碍にはされないかと。
 後は、学費さえ収めればといったところでしょうか?」

と首を傾げるだろう。

やなぎ > 「あ―――そうですね。」

彼女にはわかってしまったのだろうか。
柔らかく、寂しげに微笑んで。

「手続き…あれ、入学試験は無いのですか?」

それがなければ入学は早いだろうと思った。
一応、話を聞いてくれた知り合いはいるが…

「学費は大丈夫です。
 いざとなればバイトでもしますしね。」

そういって軽く笑い声を出した。

四十万 静歌 > 「異能があるかないか、
 どんな異能を持ってるかの試験があるくらいじゃないでしょうか?」

なんて首を傾げて、

「いえ、その、子供達に混じって異世界の人が、
 この世界の言語の勉強してたりしますし、
 さすがに試験の実力如何というのはないと思いますよ。
 強い異能とかをもってれば優遇あるかな?
 くらいだと思います。」

だから、学費やお金の問題さえ解決すれば、
基本的には大丈夫だと思います、とふんわり微笑みかけるだろう。

やなぎ > 「異能ですか…」

物を化かせるヘンな能力をテストされてもなぁ…

一筋縄ではいかなそうだ、と視線を泳がす。

「"異世界の人”というと、この島の住民でない方々のことですよね。
 となるとわたし"たち"の事…。
 わりと受け入れてるものなんだなぁ。」

とぽつりと言葉をもらした。
 
「それにしても、意外とすんなり入れるものなのですね。ちょっと驚きました。」

学びたい事はたくさんだ。
それが軍に関係しないとしても。

「すみません、ご丁寧にどうもありがとうございます。とりあえずは手続きしてみようかと思います。」

と言って深々と頭をさげた。

四十万 静歌 > 「ええ、異能ですね。
 別になかったらないで構わないと思いますけど、
 異能のあるなしとかで色々かわってきますから。」

と、一つ頷いて、

「あ、この島の住民でない方々というと、
 やっぱりそれはそれで語弊がありますね。
 この島はこの世界の一部でしかありませんから。
 受け入れられて入るのは当然でしょうね。
 ――異能や魔術、異世界人、
 それらが融和する為に作られたような場所ですから。」

細かくいえば色々あるが、
大よそ、こういっておけば大体間違っていないはずだ。

「――無事、入学できるといいですね。」

そして、頭を下げるのをみて、
優しい柔らかな微笑みを浮かべるだろう

やなぎ > いろいろと変わってくる?
気になる所だが、話がそれてしまうのはよくない。

「…そういうことでしたか。
 わたしの住む場所は、多分世界が違うのかも…
 魔法なんてここにきて、ほぼ初めて見たんですよね。」

すごかったなぁ、なんて思いだしつつ。

「ええ、やれるだけやってみます。」

ふとまた何かに気づいて、

「 あ、名前を名乗っていませんでしたね。
 改めて、やなぎと申します。
 ―もしまた会えたら、その時は先輩とお呼びしますけどね。」

彼女の微笑みにつられるように笑ってみせる。

四十万 静歌 > 「――まぁ、魔術や異能が現れたのも――
 そう遠くない昔の話ですけどね。
 私は使えませんが。」

なんていって、クスリと笑って。
名前をきいて、

「やなぎさん、ですね。
 私は二年の四十万静歌と申します。
 一緒の授業を受けることになったら、
 どうかよろしくお願いしますね。」

と、軽く頭をさげるだろう。

やなぎ > ―名前を聞いて硬直した。
女学生銃撃事件の被害者と一致したのだ。

やっとわかった。
この人がアイツに狙われたんだ。

とはいえ元気そうに見えるのは少し安心する。
言伝に聞いた通り、ちゃんと事件は解決したのだろう。


顔には出さない。
変に思われるのはいけない。
動揺を抑え込み、微笑み続けた。

「四十万、さん。ですね。
 はいっ、その時は宜しくお願いしますね!」

それではまた、と一度頭を下げ、公園から去っていった。

ご案内:「常世公園」からやなぎさんが去りました。
四十万 静歌 > 「ええ、それでは、また。」

ひらりと手を振って見送って、
パタンと本を閉じる。

「――そろそろ時間ですね。」

そして、本をしまって立ち上がり、
去ってゆくだろう

ご案内:「常世公園」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「常世公園」にリヒットさんが現れました。
リヒット > 「もやもや……」
今日も噴水の備わった池に浸かり、ぼーっと空を見上げる、ぼんやりした表情の小さな少年。
空模様は一面の曇天で、いまにも一雨来そうな気配です。
さすがにこんな日には水遊びに来る子供もおらず、ひんやりとした風は残暑を越して秋の気配を運んできます。
公園を取り囲む木々から鳴り響いていたセミの声も、今日は元気がありません。

リヒットは水の精です。雨はもちろん大好き。
シャボン玉を飛ばせないのは寂しいですが、雨には雨の仕事があるのですから、邪魔をしてはいけません。

リヒット > タイルで塗り固められた噴水池の縁から、つややかな額と紺碧の瞳だけをちょこんと覗かせながら、リヒットは人間観察中。
数日、この公園に寝泊まりして、気がついたコトが幾つかあります。

「……黒だの、白だの……」

公園の利用者は老若男女、多岐に渡ります。中には人間離れした体格や容姿の者も……モンスターともまた違うようですが、普通に社会に溶け込んでいるようです。
そのなかで、見た目12歳くらいから20歳前半くらいの人間たちの多くが、皆似通った衣服を着けているのです。
上は白い、よく縫製された薄手の布で、これはもう少し歳のいった男性も好んで着けている様子。
そして、男の子の多くは黒い長ズボン、女の子の多くは黒いスカート。いずれも極めて似通った意匠です。
流行なのでしょうか? あるいは……大きな街で警備の人が皆して着込んでいたような、『せいふく』というモノなのでしょうか。

……そう、この公園には、若者が多い気がします。働き盛りの。
しかし、見かけるのは夕刻のことが多く、彼ら・彼女らはどこからともなく現れて、楽しげに談話したり何かを食べては、またどこかへと去っていきます。

「……おしごと、してないのかな?」

リヒットがこれまで『向こう』で見てきた、その歳頃の少年少女は、多くは農作業へ駆り出されていたのを思い出します。

リヒット > ……リヒットはまだ、知りません。
この島が、この都市が、『学生』の社会であることを。彼ら・彼女らが学生であることを。
そして、住まう者はすべからく『常世学園』の一員であるということを……(例外はあるようですが)。

ちゃぷ、と水音を立て、曇天を映し出す水面へと身体を沈めるリヒット。
水はリヒットの友達であり、安息できる家であり、糧でもあります。ですが……それでも、リヒットは心の中に巣食い出した寂寥感を否定できません。

「……帰りたい、なぁ…」

公園も十分に人通りは多いですが、その自然あふれる敷地を出れば辺りは乾ききった人工物ばかりで、人もさらに多くなります。
寂しいのですが、人だかりには行きたくない。服がないというのがその1つの理由ですが、やはり、見たこともない量の人が集う場所は怖いのです。