2015/09/04 のログ
■蒼穹 > (よく見ると、ボロボロのレインコート以外、何も身に着けていないのが分かった。
足も然り、体も然り。昼間の地面は、普通の裸足にはきっと熱い事だろう。
こちらは、いつも通りの薄着。)
ん?ああ、違う違う。買った、って言ったら分かるかな。
…ああー、何だろう。
(彼は、きっと知らないのだろうし、言葉もあまり上手ではないのが察せられた。
小さな見た目、子供さながらの幼い中性的な見た目と声。無理もないのだろうか、見た目通りの精神年齢らしい。
どう説明したものかと思索すると。)
そうだねー。「お店」って分かる?
(まずそこから。どうせ時間はある。お話するのも、悪くない。
それに、なんというか…この子、放っておいて大丈夫なのだろうか?まるで貧乏人を思わせる外見だし。
―――ああ、何だかんだ甘ちゃんになったな、私って。またそう思った。)
ん?…そうなんだ?あっはは、大丈夫大丈夫、私はお母さんなんていないからね。
それに、私を怒れる程偉い奴もこの世にはいないさ。…なーんてね。
(彼の方の認識は勿論知らない。
一体お母さんが誰を意味するのかも分からないけれど、悪戯に笑いながらそう答える。
何とも慢心的な言葉だった。)
■リヒット > 「おみせ、わかるよー。金貨で、ものを買ったり売ったりするところ。ここは大きい街だからあるんだね」
歌うように、呟くように、性徴の感じられない声でそう答えます。
……すぐに、くりんと丸く見開かれた目がうっすら細まり、目を逸らして、
「……リヒット、金貨持ったことないし、お店も使ったことないや。おねーさん、おかねもちでいいなー」
と、やや弱い語調でぼそりと漏らします。
そして、続く蒼穹さんの言葉に、その寂しげな視線を向け直し、
「おかあさん、いないんだ。さびしいね。怒られないのは、気楽でよさそうだけど。
まぁ、リヒットにもいないけどね」
故郷の、人間の友達のことを思い出します。
あまり遅くまで一緒に遊び続けると、おかあさんに怒られるらしい。そう言って、いつも日暮れ前に帰っていくのです。
昨日の晩御飯の話をしたり、お仕事を手伝わされただの何だのと愚痴を聞かされたり。
……もしかすると、目の前の少女は、もう独り立ちしてる『大人』なのでしょうか。
「おねーさん、さぼってないときはどんなお仕事してるの?」
再び、興味津々に目を丸く見開きながら、蒼穹さんをまっすぐ見つめ、聞いてきます。
■蒼穹 > そういう事だね。
(お店については、知っているみたいだ。どうして、服や靴を買わないのだろうか…?)
んー、そっか。…そうだね。キミ…リヒットって言ったかな?
異邦人街の商店街には行った?あそこなら、少し安く物が買えるかもしれない。
確かに、私はちょっとお金持ちだけどさ。
(風紀委員としての仕事で、収入は少なからず入ってくる。
一方の彼は、金貨を持ったことがないときた。…成程、だからそんな格好なのか。
多分学生でもないのだろう。)
…寂しい、か。どうだろうね。
うん、気楽で良い。…キミもなんだ。なら、キミは寂しいかい?
(寂しい…子供は、上手な言葉を持たないが故に、偽りも持たない。婉曲も持たない。
彼が寂しいと、そう率直に言った言葉は、どうしてか己にはちょっと心に刺さった気分だった。
寂しい…確かに、そうなのかもしれない。
幼いながらも、彼も寂しいのだろうか、向けられた目線は、そんな風に見える。)
私は…そうだなぁ。
(また、子供はこうして、人のパーソナルスペースにも無邪気に踏み混んでくる。
純粋な興味を象った、あどけなくて可愛らしい、そんな蒼い瞳。陽炎の様に滲む虹色の輪郭を眺めながら、考える。
結局私は、何をしているのだろうか。)
一つは学生、かな。
あとは…風紀委員っていう正義の味方の偽物。
悪の手先、破壊神ってところかなぁ、なーんてね。
ああ、私、蒼穹《ソラ》っていうんだ。キミは?…もう聞いちゃったけど。
(努めて飄々として、冗談めかして彼に答える。純粋な子供を思わせる彼が、
己のこんなよく分からない言葉を、何処まで理解してくれるかは分からないけれど、嘘は一つも述べていない。
それから、流れに乗って自己紹介。向こう側にふわりと浮いている彼に掌を向けて自己紹介を求めよう。)
■リヒット > 「いほーじんがい?」
おそらく地区の名前なのでしょうが、リヒットにはピンと来ません。なんせこの島の名前さえ知らないのです。
「……んー、まぁ、リヒットはお金ないから。買いたいものも今はないけど、『お店でお買い物』はいつかしてみたい」
ふわふわと風に流されるシャボン玉のように、ベンチの前を右往左往しています。
とりあえず行動意欲だけはある様子。
「おねーさん、ソラっていうんだね。ソラ、よろしく。これはリヒット」
手首を曲げて人差し指で自分の鼻っ面を指さしながら、答えます。しかし、名前以外の肩書部分には……
「……がくせい? せいぎ? はかいしん?」
……あきらかに混乱の色を見せ、90度に至ろうかという角度で首をかしげています。
特に『破壊神』の部分がよくわからない様子。
「えーと、がくせいって、先生のとこに行っておべんきょうだよね。……さぼったら、先生にもおこられちゃうよ?」
首を傾けたまま、とりあえずは分かるところから突っ込んでいくリヒットでした。
「んー……リヒットは、寂しいよ」
寂しいかという問いには素直に答えます。とはいえ、その表情は際立って悲しげというものでもありません。ただ、叙述するように呟きます。
「おかあさんもおとうさんもいないから、いる友達はちょっと羨ましいし。
その友達ともはぐれちゃったから……ここにはまだ、友達がいないから。
おべんきょうもしたことないから、先生ってひとにも会ってみたい」
……リヒットのレインコートの袖から、小さなシャボン玉が膨らみ、真球となって宙に漂い出します。その色は、空よりも深い藍色。
それは風に流されることなく、リヒットの周囲を所在なげにうろついています。
「ソラ、リヒットとあそんでくれる? 友達?」
抑揚のない、感情の乏しい声で、そう問います。どうも感情表現が得意でないようですが、その瞳はまっすぐ蒼穹さんを見つめています。
■蒼穹 > んー…それは知らないのか。
(言葉を教えたり、話すのも苦労だ。ただ、言語だけは通じているらしい。
流れる様に右に左に。座ったらどうかとも思うが、彼の座高だと一般的に置き据えられたベンチにも合わないか。)
そう、…じゃあお金、溜めたらいいかもね。
って言っても、キミは働き手がないんだっけ…んーどうしよっかな。
(なし崩し的に、初対面の異邦人に情けをかけるような素振りを見せるなんて、やっぱり己は変わった。
この頃特にそう思う…おかしいな、こんな性格ではなかったはずなのだけれど。
働き手を考えかけるも、…流石に御節介だろうし、自分らしからぬとやめておいた。)
うん、宜しく、リヒット。…"これ"?
(言葉に乗った、ちょっとした違和感。自分を指差すのは分かるけれど。ちょっとニュアンスが違うのだろうか。)
そうそう、学生はそうなんだけどそうじゃなくってー。
やっぱりキミ、ここの生徒じゃないんだね。じゃあ…どうだろう。
ここの学校ってのはちょっと普通の学校と違って、学園都市とか言う変わった場所でね。
あっはは、だから私は怒られないって。
(説明するのも難しそうだし、国語という教科も怪しそうな雰囲気だ。
分からない話はしても今は無意味だろうし、分かるところ、拾い上げてくれたところには答える。
…学校に行くことをお勧めした方が良いだろうか。どうなんだろう。
あれ、結局世話を焼こうとしている…?何故だろうか。やっぱり最近どうもおかしい。
だが、まぁいいか。気にしないでおこう…ただの気紛れだし、どうせ時間は山ほどあるし。お話するのは悪いことではないのだから。)
そう、寂しい…か。
うーん、どうにも、分かってきた気がする。分かったよ、御友達、ね。キミと私は御友達。
…うん、じゃあ学校に、連れていってあげよっか?見るだけなら大丈夫だろうし、誰でも入学するのは、簡単だからさ。
ああ、それと…流石にその格好はあれだから…何か服、買った方が良いかもね。
(彼はきっと、この間こちらの世界に来たばかりの異邦人なのだろう。
散々ロクデナシで情け容赦のない己だったが…これくらい世話を焼いても罰は当たらないだろう。
暑い日差しの差し込む中、得意的な、真っ青なまんまるのシャボン玉が浮かんだを見て、
じーっと、とでもいう様な彼の視線に頷く。ただ述べるかのような言葉は、まだ幼いし、勉学がないからだと思う。
本人も望んでいるなら、学校に行った方が良いだろう。
常世島では、学生以外は不法侵入者扱いだし、彼にその気はなかったみたいだし…彼にとっては、良い機会なのかもしれない。
学園は、殆ど誰だって入れるようになっている。己の様な大罪人であろうと、彼方の人とまるで違う姿をした何かであろうと。
なら、彼も難なく入学は出来るだろう。)
■リヒット > 「友達。えへへ、ソラ、ともだち~」
相変わらず声に抑揚はありませんが、その口調はどこかリズミカルで楽しげな色を帯びたように聞こえたかもしれません。
そしてそれを態度で表すかのように、目の前でくるりと側転。
レインコートの裾から、今度は無数の小さなシャボン玉が二人の周囲にバラ撒かれました。その色は夏の柑橘類のように、鮮やかな黄色やオレンジ。
同時に石鹸の香りも強まります。感情は声や顔でなく、シャボン玉に表れるようです。もしそれに触れれば、リヒットの楽しげな気分が石鹸水の膜を通して蒼穹さんにも伝わることでしょう。
……宙返りの途中で、ちょっとだけコートの中身が見えたかも。
「うん、リヒットはシャボン玉。シャボン玉だから、『これ』。
シャボン玉でも、がくせいになれるかな? なれるかな?」
再び自分の眉間を指さしながら、歌うように問います。
……この島が学生の島、学園の島であることはまだ知りませんし、自分が不法滞在にあたることも知りません。
それでも、友達と呼んでいい人ができ、『学生』という肩書、拠り所ができることは、喜ばしいことです。
他方で、多少なりとも束縛はつくでしょうが。たとえば衣服。
「んー、リヒット、ちゃんと服着たよ? ハダカじゃ人混みに出ちゃいけないって、アッチでも言われてたから」
ビニール製のボロのレインコート、その裾や袖を弄びながら、蒼穹さんの衣服と見比べます。
自分の身の丈に合わない、ところどころ破れた拾い物と思しき合羽でも、リヒットは気に入っている様子。
「……でも、ソラが言うなら、ちゃんと買ったほうがいいんだね。お金集めなくちゃ……おしごとで」
口をとがらせながら、そう所在なげにぼやきます。
蒼穹さんから言われた通りの道筋を通ろうという気はあるようですが、具体的に何をすべきかは把握しきれていないようです。
■蒼穹 > あっはは、友達、ね…うん。
(無邪気なようで、声色は同じく、間延びしている棒読みだけれど、仕草には嬉しさなんかが出ているのだろう。
暖色系の、丸くて明るい色のシャボン玉が宙を舞った。…彼は、そう言う妖精なのだろうか。
選択の時なんかに感じられる、特有の香りが広がる。己の近くを待ったシャボン玉を一つ、突っついて割ってみる。
オレンジ色をしていた、まん丸な薄い球が潰える。夢幻泡影、とでもいうのが適切か。
割れた球から、何となく、彼の気分が分かった。何かが、伝わった気がする。…楽しい、か。
コートの中身が見えたか見えずかは知らないけれど、にこりと、朗らかな表情を己は浮かべていた事だろう。)
…シャボン玉だから?…そう、なんだ。
ああうん、そこは保証しておくよ。なれるさ、きっとね。それにならないと、マズい。
連れていってあげよっか?
(やっぱり、世話焼きだった。どうしようもないし、乗り掛かった舟だ。
どうせ暇だし、良いだろう。言葉を勉強すれば、もっと話しやすくもなろうし、
もっと自分の置かれた状況や、引いては働きやすさにもつながるだろう。)
んー、とね。確かにそうなんだけど。キミには衣服が足りない。
足、暑かったでしょ?そういう事。必要な物、買い揃えないといけないって思うな。
それに、そんな恰好じゃ雨も凌げなさそうだし。
(ボロボロになったレインコートを、雨の中来ていたとして何になろうか。
そうでなくても、とても貧乏な格好で、危うく中も見えかねない、世間体から見てもよろしくないのだ。)
御仕事…か。うーん。
(彼は、きっと今の段階で仕事を得るのは難しいと思う。
でも、今の時点で着る物は要る。彼には保護者もお金もないなら、どうしようもない。気がする
どうすればいいか…。)
取り敢えず、さ。学校いこっか。
あそこなら、最低限支給とか貰えそうだし。
(話は、それからだろうか。彼くらいの大きさにも想定した制服もあることだろう。
入学金とかも、倫理を学べば後払いで付けてくれるだろうし。
異邦人に優しい設計だから、少なくとも、学校で異世界から来ましたと言えばなんとでもなると思って。
そう切り出した。)
■リヒット > 蒼穹さんが鮮やかな色のシャボン玉に触れて割ると、ちょっとだけ気分が上向きになるように感じたことでしょう。
その程度の力ではありますが、リヒットのシャボン玉はただのシャボン玉ではないのです。
「うん。おべんきょう、リヒットもしたい」
こくこくと大げさに頷きます。学生にならないとマズイ、というニュアンスもどうにか伝わったようで、
「ソラ、連れてって。リヒット、この街のことまだよくわかんないから……」
地に脚をつかないまま跳ねるように空中を上下しながら、蒼穹さんの周囲を漂っています。
……実際は、この街のことだけでなく、世界のことがわかりません。インフラも、人間たちの習慣や持ち物も、見たことないものばかり。
それをうまく伝える術もまだリヒットは持ち合わせていません。世界そのものの間を転移してしまうなんて、想像の外でしたから。
「でも、服はできれば軽いのがいいなぁ。泳ぐと重くなっちゃうのは、やだ。
地面があついのはプカプカしてればだいじょーぶだし、雨ざーざーは大好きだし。
リヒットにひつようなもの、なんだろー。水と、お友達と、おべんきょうがあれば、それでまんぞく?」
裾をパタパタとめくりながら、公園の向こうに見える噴水の池に目をやります。実際、リヒットはそこに住んでいたのでした。
中身が見えそうになるのを全く気にしていない様子ですが、まぁそれがよくないことであるのも、蒼穹さんの苦々しい表情から薄々は分かり始めています。
「服、もらえるのかな~。おべんきょうすれば、もらえるのかな~」
小さなシャボン玉を周囲に振りまきながら、蒼穹さんのまわりを旋回するリヒット。
そのまま蒼穹さんに連れられて、常世学園の校舎へと向かっていったようです。
……果たして、うまく学生になれるでしょうか? なじめるでしょうか? それは、これからのお話。
ご案内:「常世公園」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からリヒットさんが去りました。
ご案内:「常世公園」にアカズキンさんが現れました。
■アカズキン > 「なっるほっどねー…」
ベンチでアカズキンがぽつりと独り言を溢す暮れ頃。
学校が終わり、それぞれ常世島の学生たちがやりたいことをやりだすような時間だろう。
その学生たちが昼ごろ精を出して勉学に励んでいる頃ではアカズキンは只管にこの常世島という世界について情報収集をしていた。
「トコヨジマ。
異能者が集まるタイヘン特別な島で、しかもその異能者の訓練を執り行う学校もあると」
道行く人に花を貢ぐだけ貢いで情報収集してもこのぐらいの情報量しか得られない辺り自分は情報収集には向いてないんだな、自覚してしまう。
そもそも全く知らない場所なのにいきなり襲われる危険性も考えずに街を彷徨くのもおかしい話だが
■アカズキン > 「学校…学校。
異能っていうときっと私の変貌する力とか異能って呼ばれるのかな。
こーいうのって魔女だー魔女だーって騒がれる物だと思って人前であまり出す気ないんだけど…」
指先を昔の自宅の合鍵に変えたり、矢に変えたり、
と異能を使う事に関してはそこまで抵抗がないらしくアカズキンの中ではお遊び感覚のように変貌させていく
「…疲れた、喉乾いた」
ベンチで疲れきったかのように凭れ掛かり、いつも手に提げている籠もアカズキンの隣の席で安定しない様子でくるくると回っている
道行く人は音が鳴る箱から飲み物を取り出してそれを飲み干してどこかへ歩き去っていく。
そこで自分もその箱から飲み物を取り出そうとはするが何をどうすれば飲み物を貰えるのか全く分からない。
「アレって噂に聞くキカイって奴なのかな…確かクロスボウとかクォレルとか呼ばれてたの…
長い時間封印されてたし、時代は進んだーって感じかなぁ」
そんな独り言を呟きつつ、その童謡に現れる赤ずきんそのものの見た目をした少女はぼーっと道行く人を眺めている
いい加減どこか住める場所を探すべきなのだろうか
ご案内:「常世公園」に猫谷凛さんが現れました。
■猫谷凛 > 「は~今日も面白ネタはないにゃぁ…」
一日中面白ネタを探して東奔西走
もうくたくたニャ~と漏らしながら
自販機にお金を入れプカリを買う
「暑くて汗もかいちゃって最悪…にゃ?」
プカリを取り出したところでベンチに座る少女に気付く
こう…見ただけで赤ずきん!
って感じの少女を見つめる
コスプレかなとも思えるが何だか籠が勝手に回ってる気がする
■アカズキン > 見られている。
この服装しているなら見られるのは仕方がない事だが、どちらかといえばこの目は金になるネタを見つけた、みたいな視線を感じる。
その視線の正体は何故か語尾ににゃーにゃーとつけている人物。
しかしその謎の人物は簡単にあの飲み物が入っていると思われる箱から飲み物を手に入れている。
見られているながらもその手段を知っている人物、それなら会話するのも自然だろう、いや、自然だ。
「…あの、何か変なところでも?」
そんな思考を奔らせながらも回していた籠を再び手に提げ、地面に届いていなかった足もぴょん、とベンチから飛び降りれば足は地面に届く。
そしてゆっくりとその視線の主に近寄りながら無難で装った敬語で話しかける
■猫谷凛 > 「にゃ?うーん…変と言われれば……全部だにゃ♪」
変な所と聞かれれば笑顔でそう答える
いくらこの島と言えど全身赤ずきんファッションなんて初めて
それに只の可愛らしい少女にしては妙に落ち着いた雰囲気を感じる
「何だか面白スクープな気がするにゃぁ♪
良ければ取材させてほしいにゃ♪」
喉の渇きも忘れてプカリも持ったまま
ハイテンションで小さな少女近付いていく
■アカズキン > 「…ですよね」
思わずアカズキンもこの言葉に苦笑い。どちらかといえばこの苦笑いは自分に対してだ。
全部と言われればそれは納得するしかない。
でもこれがアカズキン唯一無二の服なのだから仕方がない事だから今は我慢するしかない
「いいですけど、この常世島で私はそこまで面白い存在じゃない、とは思いますよ?
ただ、服装な奇抜なだけーってだけだ…でしょーし。」
思わず最後に素が出そうになるがグッと我慢しつつ、恐らく自分が置かれているこの島の住人の評価の予想を口にする。
…ここで雪谷が自分の事を変わった呼び名で呼んでいたのを思い出す
「そういえば、何でか良く分からないですけど私って怪異?らしいですけど、これって面白いです?」
これで怪異というものがどういう存在か、この目の前の猫語女から聞き出せるだろう。
その反応がアカズキンに理解出来るものであれば、だが
■猫谷凛 > 「別にそこまで期待してないから安心…」
言葉の途中で気になるワードが耳に入る
怪異
「怪異……マジにゃ!?」
カッと眼を見開く
怪異、異邦人とは違う現象のような存在
そしてそれは通常人の形で現れる事も少なくそれそのものと遭遇すること自体もめったにない
いうなればレア物
超激レア!
「怪異で赤ずきん…これは特ダネにゃー♪」
久々のビックニュース
無駄に歩き回っていた最近の苦労が全部帳消しになると万歳をする
疲れのせいかその眼には薄すらと涙が
■アカズキン > 「何でこんなに喜んでいるんだ……」
涙ぐんでいる様子を見ると引き気味になる。
雪谷の反応を見る限りだと恐れられる物だと思っていたが
目の前の猫語女の反応を見ると思わず素で突っ込む言葉が漏れる。
「コホン…そもそも怪異というものがどのような物かって理解出来てないですけど、
こう、幽霊みたいな物だと思われて怖がるかと思ってましたが違うんですね」
きっとこの猫語女は異質なのだろう。
そもそもこの異能者が集う常世島に変わり者ではない者が現れるはずがない。
「とりあえず、座ります?」
少しでもマトモな反応を期待した自分に反省しつつも、
猫語女の取材を受ける姿勢を見せるべく先程座っていたベンチに飛び乗るように座り、隣へ座るように促す
■猫谷凛 > 「だって…だってようやく美味しいご飯が食べれるにゃぁ…」
グシグシと袖で目元を擦り、促されるままにベンチに座る
「えと…じゃぁまずは、私は猫谷凛。凛って呼んでくれると嬉しいにゃ♪」
いつまでも感動していられない
きちんと取材をしないと美味しいお肉が逃げてしまう
思考を切り替えて取材に臨む
「えーっと、怪異って言うのは説明できない妙な事って意味にゃ。
ここだと妖怪とかお化けって意味にゃんだけど…怖がってばっかりじゃここで取材なんてできないのにゃ♪
だから最初に聞いておきたいのは…貴方は何て呼べばいいにゃ?」
■アカズキン > 「ご飯……」
そういえばこっちに来てから花しか食べてない気がする。
パンとか穀物類をちゃんとお腹に入れたいが、そもそもパンが滅んでいる可能性もある為、迂闊に聞く事も出来ない。
「リン。リンですね。分かりました」
どうしてもこの島に住んでいる人物の名前を発音するのは慣れない。
リチャードとか、エドワード等の名前の人物がいれば発音しやすいのだろうがここはニホンと言われる国だからその望みは薄いだろう。
「ヘー…ヨウカイ。
確かに禁書庫と呼ばれる場所から私が扉を破って出てくればお化けだって思いますよね。
…あ、私はアカズキンって呼んでくれれば大丈夫です。他に名前を覚えてる訳じゃないですし」
その説明を受けてやっと雪谷が自分の事を怪異と呼んでいた事を納得する。
誰だって扉を開けるのではなく、突き破って出てきたら出てきたら誰だって怪異だって思うはずだ
■猫谷凛 > 「アカズキンちゃん…了解にゃ♪」
見たまんまの名前を名乗る少女を見て納得する
そして同時に禁書庫から出てきたと聞けば怪異として納得する材料が増える
何となくだが嘘をついている雰囲気ではない、となれば少女は本物の
禁書庫から現れた怪異のアカズキン
「まさかホントにいるなんて…正直驚きにゃ…」
最初はコスプレ少女と思っていたが全く違った…
まだまだ未熟だにゃぁと反省しながら
「じゃぁえっと…アカズキンちゃんはどうして金書庫に居たのにゃ?
絵本から出てきたとかにゃ?」
■アカズキン > 「ホントにいるからこうやって私がいる訳ですしねー」
実際にここにアカズキンがいるのだからそれ以上でもそれ以下でもないアカズキンである。
…もしかしたらそれ以下かもしれないが。
「どうして、どうして……
絵本に封印されてたから絵本から飛び出てきた、って感じでしょうか。
多分200年ぐらいずっと絵本に封印されてましたから流石に封印の消費期限が切れちゃったんでしょうねー」
アハハー、と乾いた笑みを浮かべつつ脳裏には自分を封印した魔術師の集団を思い浮かべて歯軋りを鳴らしそうになるが我慢する。
流石に魔術師といえどもこの時代まで生きているとは思えないし、
生きていたとしてもヨボヨボのお爺ちゃんで家で孫を待っていると狼に食べられているだろう
■猫谷凛 > 「なるほどにゃー…200年も…」
可哀想、何となくそんな感情が浮かぶ
200年も本の中なんて退屈にも程がある
せめて週刊で話が変わったりするならまだましだが
「でもでも、封印されたって事はアカズキンちゃんは昔何か悪い事したのにゃ?」
一応確認する
こうして話をしている時点でそこまで凶悪な存在には思えないが
封印されたというのならそれなりの理由があるはず
■アカズキン > 「悪いこと…えーと、確か当時戦争とかなんとかあって、その死骸に菊の花を添えたりした…からだったっけ?
何か魔女ガー、魔女ガーとか言われてた気もしますけどはっきりと覚えてないですね」
ウゥン、と唸りながらアカズキンの中では200年程。
実際には400年以上の年月が過ぎてる事を知らずに一先ず心当たりがあるものを口に出してみる。
「魔女がー魔女がーって言ってたから私が使ってた魔術が原因なのかな?
…こんな感じに」
そんな事を言っている頃にはアカズキンの手元にはいつの間にかユリの花が存在していた。
■猫谷凛 > 「菊の花?んー…それだけでってのは変だし魔女狩りかにゃぁ?」
菊の花を添えるだけで封印なんてされるのかと考える
むしろ死んだ人への手向けをしているいい人に見えるのに…と魔女狩りの線が濃厚と結論付ける
「おー。それって魔術なのにゃ?
物質創造なんて凄いにゃー♪」
魔術を齧っているだけあって現れたユリの花を見て感嘆の声を上げる
魔術の中でも高度な物質創造
それを簡単にやってのけたアカズキンへパチパチと拍手を送る
■アカズキン > 「まー200年以上も前の話ですし、今こうやって外の空気吸えてるだけでもいいかなって」
過去は過去。今は一先ず無限に続く物語に終止符が打てたと思えば今置かれてる状況は何よりも嬉しい物である
それに加えて誰も襲われる事がない、平和な島ともなれば多少静かに過ごせるだろう
「魔術って言うらしいですね。
私は生まれた頃からこういうのが使えたものですから…
でもこの常世島では普通の事なんですよね…このぐらいは」
ユリの花を籠の中に入れるとベンチから飛び降りてふらりとどこかへ歩き始めようとする。
「…そろそろ聞く事が無くなったみたいですし、私そろそろ行くね。
適当にどこか、ぶらぶらと」
自分の意志で歩けてる事が嬉しいのか、意味の無い散歩を始めようとする。
呼び止めなければこのまま公園から立ち去るだろう
■猫谷凛 > 「なら良いけどにゃぁ…」
今が良ければ全て良し
そう言ってしまえばそうなのだがそれを言えるのは当事者だけである
「んー…最初から…」
ならば魔術でなう異能?
と首をかしげる
思考が終わる前に歩き始めた彼女を見て
「あ、えーと…アカズキンちゃんはどこに住んでるのにゃ?」
もっと色々聞きたい
そんな思いで呼び止める
■アカズキン > 「どこに住んでる…?って、そりゃ…」
アカズキンは凛の声に振り返って
人指し指を人ではない、自分の足元を指差して一言。
「常世島、ですよ?」
屁理屈混じりの答えにアカズキンの表情はタダの笑顔だった。
それは家がない痩せ我慢かもしれないし、常世島という存在が気に入ってるという意味かもしれない。
その真意は分からないが、ただアカズキンは常世島という答えを凛に返す
■猫谷凛 > 「島……なら…今日は私の家に泊まらないかにゃ?
ちょっとボロっちいけどちゃんと屋根もあって安心にゃ♪」
常世島と言う言葉を聞いてまず思い浮かんだのは家はない、その一言だった
屁理屈を真正直に受け取った少女は一晩泊まらないかと尋ねる
200年も経って野宿なんて…と言う憐れみと
もっと色々知りたいといった好奇心を含んだ目で見つめる
■アカズキン > 「魅力的な提案だけど――ごめんなさい」
一晩夜を明かせる場所を提供してくれる。
それは現状のアカズキンにとって魅力的な提案なのだが、たかが一晩、73000日分の1日、その場所を貸してくれるといっても現状が変わる訳ではない。
それに加え凛はその場所を永遠に明け渡してくれる、という様子も見れない。
それに―――
「私が住む場所をこの足で色々確かめたくなったから、色々見てこなきゃ、ね」
くすり、と笑みを浮かべて籠を持っていない方の手を顔の辺りまでの高さまで持ってきて別れを告げるように手を振る。
今生の別れ、という訳ではないが暫くの別れを惜しむようにアカズキンは公園が出て行った
ご案内:「常世公園」からアカズキンさんが去りました。
■猫谷凛 > 「なら、仕方ないにゃ…じゃぁ、元気でねアカズキンちゃん♪」
無理に引っ張っていく訳にはいかない
断られれば仕方ないにゃと諦め去っていくアカズキンを見送る
「色んな存在が居るのにゃぁ…」
そして知ったこの島の、常世学園の闇
魔女が封じられた本が納められた禁書庫
そんな物があるとは…
「アカズキンちゃん、良い事教えてくれたにゃぁ♪」
もうすっかり温くなったプカリを飲む
あまり美味しくはないが体に染み渡る
ルンルンと大きなネタを二つ手に入れた少女は軽い足取りで公園から去っていった
ご案内:「常世公園」から猫谷凛さんが去りました。