2016/01/22 のログ
ご案内:「常世公園」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > のんびりと、占いの道具を片付けて、
一息ついたところで、
差し入れに貰ったコーヒー缶を一つ飲む。

口に入れると、
糖分入りの缶コーヒー特有の甘みと苦みの調和が、
疲れた体に心地よく、
まだ熱さを残していたので、
体にほくほくと心地よいぬくもりを与えてくれる。

「はふぅ……」

思わず漏れる白い吐息。
落ち着く。

四十万 静歌 > 「それにしても、寒いですねえ。」

ぬくぬくと缶コーヒーで手を温めつつ、
思わず漏らす。
例年よりも温いらしいし、
寒さ対策はとってはいるが、
それでも寒いものは寒いのである。

ベンチに座り、
ぼんやりと空を見上げる。
何があるわけでもないが。

四十万 静歌 > 「ん――」

やがて飲み終わるコーヒー。
振ってみても逆さにしても、
何もでなくて、
間違いなく、
このコーヒー缶は空だ。

じーっと手元の缶を眺めた後、
ちらりとゴミ箱を見て――

「えい。」

ごみ箱めがけて空き缶を投げた

ご案内:「常世公園」に城 北風さんが現れました。
城 北風 > 遊具の下から一人の男子生徒がもそりと這い出す。

「何者だ…… 我が眠りを妨げるのは……」

ボサボサの髪を掻きながら、据わったまなざしで呻く。
どうやら遊具の下で野宿をしていたようだ。段ボールを持っている。
ゴミ箱に空き缶が投げ込まれた音で目を覚ましたらしい。

四十万 静歌 > 見事ゴミ箱に入ったのを見届けて、
小さくガッツポーズしたところで――、

何か視界の片隅に這い出し、
段ボールをもった人影が。

おや?
と思って首をかしげながらも、
どうしたのかと思って動向を見守るだろう。

こちらを見るなら視線がぴったりあってしまうかもしれない。

城 北風 > 「……」

ポリポリと頬を掻き、小さくガッツポーズをする相手を見た。
視線が合う…が、特に動じることもなく、意味もなく辺りを見回し、ゆっくりと立ち上がる。
ヨレヨレの学ランを着ており、どことなくみすぼらしい…。

「ええと……
 あれか、ここは貴様の縄張りか。」

わけのわからないことを言う…

四十万 静歌 > 視線が合った。
しかし、
動揺その他を浮かべる前に、
その次に発せられた言葉に思わず困惑する。

――縄張り?

「あ。
 いえ縄張りとかないと思いますよ?
 たまにここら辺でお仕事っぽいことはしてますけど……」

とりあえず、じーっとみると、
なんというか、
ここで段ボールで寝てたんだろうか、
と思えるその様相に。
何かないかな、と思って、
差し入れに貰った袋からまだ暖かいコーヒー缶とあんぱんを取り出して――

「た、食べますか?」

とりあえず私より大変そうなその様子に食べ物を差し出してみることにした。

城 北風 > 「そうか。
 てっきり風紀委員だか公安委員だかが我を追ってきたのかと思ったではないか。
 まぎらわしいところにいるのではない。
 それに今日は寒いから家の中とかにいた方がいいぞ。仕事なら已むを得んがな。」

早口で一気にまくし立てる。
どこから目線なのか…と言うくらいに偉そうだ。
相手の視線にも動じた様子はない。

「む… 我が神への貢ぎ物か?
 しかし、それは貴様のものであろう?故なく受け取るわけにはいかぬ。
 何より、我は今対価を持っておらぬ。」

差し出されたコーヒーとあんぱんを……一瞬、物欲しそうな目で見つめたが、首を振る。
真面目な顔でそんなことを言い、受け取りを拒否した。

「だが、気持ちだけは受け取ってやっても構わぬ。
 それより貴様は何者だ。ここで何をしている。」

恐らく相手の方がこの男に言いたいであろう言葉を、恥ずかしげもなく言い放つ。

四十万 静歌 > 「風紀委員とか公安委員って、
 一体何やったんですか……」

と、ちょっと呆れ顔になってしまっても仕方ないと思う。
とりあえず、
拒否されると一旦コーヒー缶とあんぱんを傍らにおいて、
何ものかととわれると、
少し人差し指をあごに当てて考えた後――

「えっと。私は四十万静歌と申します。
 学園の2年で、
 ここにはたまに占い師をしに来てますね。
 といっても、腕前はお察し程度ですけど。。。」

腕前をいう時に気恥ずかしかったのか、
あはは、と笑って頬をかいて――

「そうですね。
 故無く受け取るわけにはいかないというのなら、
 初めて出会った記念ということで受け取ってはいただけないでしょうか?」

なんて、のんびりとした口調でいって、
再び差し出すだろう。

偉そうなことについては気にしていないようだ。

城 北風 > 「ひ、人を犯罪者のような目で見るのではない…。
 我は何もしてはおらぬ。
 ゴミ捨て場から木材なんかを少々拝借しただけだ。」

他にもいろいろと原因はあるのだが、簡単に端折ってそう答える。
何となく、納得されそうな言動ではあるだろう。

「ふむ、四十万静歌か。よい名だ。我が神に仕えるにふさわしい。
 名乗ったからには我も名乗らねばな。
 我が名は城 北風(しろ きたかぜ)。学園に編入してきたばかりの者だ。
 占い師か。ひとつ頼みたいところではあるが、我は対価を持たぬ。
 機会があれば頼みたいところだ。」

先ほどまでの威圧的な口調よりも、幾分か語気を和らげてそう言う。
相手の能力に素直に感嘆しているようだ。

「出会った記念…か。しかし、それではますます、我が一方的に受け取るわけにはいかんな。
 貴様の持ち物だ。何であろうと気軽に他人に与えるのはよくない。」

腕組みをし、頷きながらそう答える。
だが気持ちは嬉しいらしく、睨むようだった眼差しも、語気と同じく和らいでいる。

四十万 静歌 > 「ゴミ捨て場から、ですか。
 それならまぁ……」

じーっと全身を見て――

「単純に不審行動だったので、
 何してるか聞こうとしてただけな気がしますけど、
 置いておきましょうか。」

色々事情があるのかもしれないし、
詮索するのも怖い気がするのでとりあえずおいておき――

「とりあえず、神についてはよくわかりませんけど、
 最近編入した北風さんですね。
 よろしくお願いします」

そういって頭を下げて、

最近編入。
段ボール。
よれよれの服装。
ひょっとしてと思うけれど――

「とりあえず、住むところがないなら、
 男子寮の入寮手続きでもしたらどうでしょう?」

と、提案はしてみるだろう。
受けるかどうかはさておき。
それにつけても、

「――北風さんは律儀ですね。」

あくまでも等価交換、といわんばかりのようすに、
感心した様子で一つうなずき、
少し考えると――

「では、そうですね。
 対価はいつの日か、私が困っていることがあれば、
 出来る範囲で助けていただけないでしょうか?」

なーんて、と茶目っ気を出してウィンクするだろう。

城 北風 > 「我は何もやましいことなどしてはおらんのだがな。
 連中、何度も我を呼び止めるのだ。
 まぁ、それは今は関係のない過去の話だ。」

置いておこうとする相手の様子に乗っかり、さりげなくその話題を横に置いておくことにした。
どことなく不審者を見るようなまなざしを受けているような気もするが…この男にとってはそれは日常茶飯事のことなので気づかない。

「ああ、こちらこそよろしく頼む。
 貴様の方が先輩に当たるのだからな、もっと堂々としても構わぬと思うが。」

わざわざ頭を下げてくれた相手に対しても、意地でも頭を下げるつもりはないようだ…。

「うむ、男子寮なのだがな、どうやら満員らしく入寮の手続きができなんだ。
 塒の算段はついているので安心せずともよい。
 この公園とも今日でお別れだ。」

ふ…とどこか遠い目をする。
どうやら入島して以来、ずっとここで野宿をしていたらしい。

「困ったこと…困ったことか。
 ふむ、構わぬぞ。下々を助けることも神の信徒の務めであろう。
 重たいものを持つのとかは得意だぞ。」

ウインクする相手に、ニヤリと笑い返す。
相手のジョークを気に入ったらしく、まんざらでもなさそうな顔をしている。

四十万 静歌 > 「あはは、堂々とするのは苦手なんですよね。
 ただ長く席をおいているだけで、
 すごい力があるわけでもないですから。」

ちょっと手品が上手で、
なんちゃって占いの技術があるくらい。
というのが表むきの自己評価である。

「それにしても、
 今日でお別れですむ場所の算段がついてるならよかったですね。
 やっぱりこの寒空の中野宿はきつそうですし……
 ……苦労なさったんですね。」

そして、遠い目をする様子に、
苦労がしのばれて、
思わず涙。

ともあれ――

「では、その時の先払い、
 ということで、
 お受け取りください?」

そういって恭しく缶コーヒーとあんぱんを差し出すのである。
別にここでそうですか、
と引き下がる事は簡単だけれど、
なんとか手渡そうとしている理由は単純で、
なんとなく、見捨てられない気持ちになったからなのは内緒である。

城 北風 > 「そうか。四十万静歌よ。それではだめだ。
 貴様は後ろに控えることを美徳と思っているタイプであるな?」

突然の説教である。

「人間には分不相応というものがある。
 貴様は実にわきまえておる人間だ。しかし、それだけではいけない。
 貴様のような態度では、悪いものに付け込まれる。
 堂々としていると、そういう手合いは寄り付かないものだ。」

さあ胸を張れ、と言わんばかりに胸を張って見せる。
内容は正論かもしれないが、こんな不審者からは言われたくないであろう…。

「ふ。この程度の寒さ、神の剣たる我にはどうということもない。
 揺るぎない信仰があれば、人間はどこまでも強くあれるのだ。」

同情の視線を送る相手に、フ…と不敵な笑みを浮かべて見せる。
指先が小さく震えているが、些細なことである。

「ふむ…… うむ……… むむむ………」

差し出されたコーヒーとあんぱんはすごく魅力的だ…
昨日から恵んでもらった果物ひとつしか口にしていない… 公園は水が飲み放題で素晴らしい場所ではあるが、育ち盛りの男子生徒にはごく当然のように物足りないであろう。
しかし… 人の好意を受けるということに慣れていない男子生徒の中には、凄まじい葛藤が渦巻いている。
腕組みをして唸っている…。

四十万 静歌 > 「そうですね――」

少し考える。
うん。前とか無理。
絶対無理。

「後ろで控えてる方がいいのは確かですね。
 それにしても、堂々とっていうのは結構難しいですよね。」

腕を組んでムムムとうなり始める。
で、胸を張る様子をみると、
見よう見まねで

「こ、こうですか?」

とやってみる。

――ものすごく、頼りないです――

……ともあれ、気を取り直すようにコホンと咳払い一つし、

「それにしても、信仰一つで耐えるなんてすごいですね。
 たとえ火の中水の中って本当にできるもんなんですねぇ。」

とものすごく感心した様子できらきらした目で見るだろう。
指先が震えているのには気づかない。
そして――

「遠慮はいりませんよ?」

と葛藤している様子をみて、にっこり笑っていうだろう。

城 北風 > 「ふむ。なかなか様になっているではないか。」

困惑しながらも男子生徒の話に乗ってくれる健気な姿を満足そうに眺め

「その調子だ。あとは声だな。腹から声を出せ。
 相手を声圧だけで屈服させる気持ちで声を出すのだ!」

確かにこの男子生徒、声だけは無駄に張りがある。
しかし、大きな声もケースバイケースである。
この男の場合、常にそこそこ大きな声を出しているので、相手には軽く迷惑であろうか…。

「ああ。信仰とは魂の拠り所であるからな。
 貴様、信仰に興味があるのか?我が神はいつでも庇護すべき衆生を受け入れておるぞ…」

ありとあらゆる人間に不審者扱いされる原因がこの神の話であるが、相手がそれを嫌がらずに聞いてくれることで、嬉しそうに目を輝かせた。

「ぐ………!」

空腹には耐えられなかったらしい。手を差し出した。
どことなく悔しそうな顔をしているものの、見ず知らずの自分に優しくしてくれる相手の笑顔に、思うところがあったようだ。

四十万 静歌 > 「声、声ですかー……声の大きさなら――」

すぅっと息を吸い込み――

「La~~♪」

大きな声で声を発する。
割と大きく張りのある声――
マジックの舞台に立つときにはこの声は出せる。
出せるのだ。
だが、普段出せないのは気恥ずかしいからである。

「こんな具合、でしょうか?」

常には無理なんですけどね。
と真っ赤になりながらいうだろう。

しかし、目を輝かせているところちょっと申し訳なく、
少し縮こまりつつ、

「そうですね。
 信仰することに私自身は残念ながら、
 興味はあまりないのですが……」

うん、と一つうなずいて。

「何かを信仰して貫く姿は凄いとは思っています。
 なんでしょうね。
 これ、という宗教よりも、
 いろんな宗教があって共存する姿の方が、
 大切な気がする……からだと思います。
 だから、北風さんの宗教を信仰するしないかかわらず、
 興味はあるんですけどね。」

なんていいながら、手を差し出すと、
はい、どうぞ。
というように、
その手にあんぱんと缶コーヒーを乗せるだろう。
缶コーヒーのぬくもりはまだ残っており、
傍にあったあんぱんもほんのりとぬくい。

城 北風 > ほう、と言うように目を丸くし

「貴様、なかなかよい声が出るではないか。
 普段からその声を出すとよかろう。
 ボソボソしたしゃべり方よりもずっといいぞ。」

うんうん、と頷く。
真っ赤になっている相手を見てはいるものの、それが羞恥からの赤面とは気づかないのがこの男である…。

「そうか。うむ、いや、構わぬ。
 我は神を信じ、神のために働くが、宗教とは心を救うものであるからな。
 宗教ではない別のものに安寧を見出せるのであれば、それを大切にするがよい。
 興味があるのであれば、とっくりと我が神のことを語ってやろう。
 …だが、今日は日が悪い。立ち話で済ますには少々長くなりそうであるからな…」

ふと真面目な顔になり、そう告げる。
誰かを救えなければ宗教ではない。男子生徒はそう思っているようだ。
そしてどうやら語りたくて仕方がないようだが、ぐっと堪えた。
この寒空の下、女性を長々と立たせておくような真似はさすがにできないとみえる。

「ぐ……うむむむ………!
 …………ありがとう。」

蚊の鳴くような声で礼を言うと、渡されたコーヒーとあんぱんを両手で包むように持った。
温もりを堪能しているようだ。