2016/07/23 のログ
ご案内:「常世公園」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
ふわり、ふわりと舞い降りてくる。
地上に立ち、ベンチに腰掛ける。
腕を組み、むーんと考え込み始めた。
「……パートナー、か……」
首をひねり、呟く。
パートナー。
つまり恋人。
もう一言付け加えるなら。
「……結婚の相手か……」
同じトーンで呟いた。
■寄月 秋輝 >
考えを巡らせる。
結婚の相手となると、まるで候補も挙がらなければ想像もつかない。
いやそもそも恋人すら想像がつかない。
「……夏樹よりも衝撃を受ける相手が……」
今のところ居ない、というのが本音である。
家庭的で引っ込み思案だったが、その実恐ろしいまでの嫉妬心を持っていた彼女。
その嫉妬心を利用されてこの体を刺しに来たのだが、それもまぁいい思い出……
とは言い難いが、印象深い思い出の一つだ。
「……来年からは結婚出来る……となると……
本当に今のうちに見つけて……」
誰を?
頭をひねる。
ぐぬぬ、と唸りながら思い切り悩み続ける。
ご案内:「常世公園」に巓奉さんが現れました。
■巓奉 > 思慮しているであろう寄月の後方に陣取る人影。
音を立てないようじりじりと距離を詰めるそれは見ようによっては猫のそれである。
うっすら笑みを浮かべ、一歩また一歩と近づいていく。
そして飛びかかれる距離まで詰め、声を掛けると同時に飛び掛る。
「隙ありっ!」
たまには街に出てみるものだ、と心の内で呟いて。
■寄月 秋輝 >
「はい、首取られました」
ものすごく落ち着いた声で答えながら、無防備のまま飛びかかられる。
本当はかなり警戒を解いていて、この襲撃にも内心驚いていたが、顔にも態度にも出さない。
若干どきどきしつつ、首を出来るだけ回して後ろを向く。
「巓奉さん、先日はどうも。
あの小刀は大切に家で保管してありますよ。
実は一本、短刀や匕首くらいの小刀をお願いしようと思っていたので、本当に助かりました」
ふ、と小さく笑顔を浮かべながら礼を述べた。
■巓奉 >
「むっ……。」
奇襲を掛けたというのにこの落ち着きようである。
実につまらないといった表情を隠す事無く薄荷の残り香と共に取った首を解放するだろう。
「それにしてもこんな所で出会うなんて奇遇だねえ。デートの反省会かな?
あ、小刀の礼は良いからね。大したものじゃないし、これはお近づきの印ってヤツさ。」
礼を述べる寄月にやんわりと制止の言葉を掛けつつ、当たり前のように隣に座るだろう。
『これからもご贔屓に。』と悪戯っぽく笑いかけた。
■寄月 秋輝 >
「刀鍛冶師の知り合いが他に居ませんからね。
何があってもあなたに頼りますよ」
独特の香りにもう少しどきどきする。
何せ女性との云々を考えながらの、甘い薄荷の香りだ。
「デート以前の悩みですよ。
知り合いから、早いところパートナーを作れと言われましてね。
来年には飛び級卒業して教師をしますから、恋人というか結婚相手を探そう、ということになったんですが」
口を横に引き結び、唸って。
次に口を開き、大きなため息。
その態度で、思考状況も現状も芳しくないことはよーくわかるだろうか。
■巓奉 >
「ふふっ、それは僥倖。今後暖かいご飯に困る事は無さそうだ。」
寄月の言葉を聞き、少しおどけた調子で答える巓奉。
彼の心の内を知ってか知らずか、肩と肩が触れ合うくらいまで近づいていた。
飛び級卒業と聞き目を真ん丸くしつつ、その内心ではホッとしていた。
「おやおや、飛び級卒業とは恐れ入った。私には到底無理だなあ。
んっ? パートナー? ふーん?」
そして何か思いついたのか『キュピーン』と効果音がつきそうな表情を浮かべ、直後にニヤついた顔をしてみせた。
間髪入れず寄月の身体に柔らかい感触と人肌程度の熱と先程よりも強く薄荷の香りが届くはずだ。
巓奉は無言で彼にしなだれていた。
言うまでも無くからかいモード突入である。
■寄月 秋輝 >
「別に難しいことではありませんでしたね。
元居た世界の知識の流用も出来たし、研究所の支援も得られたし……
問題はそっちじゃなくて……」
んむむむ、ともう一度悩み始めようとしたところで。
巓奉が体を密着させてきた。
は、と口を開きそうになるが。
「……なんですか。
今度は周りに誤解でも植え付けて、恋人探しを邪魔でもしようって魂胆ですか」
びみょーな顔をする。
若干の警戒モードで、手を出したりはしない。
が、それでも女性特有の柔らかい体の感触、この女性独特の香りに少しだけ心が揺らぐ。
■巓奉 >
「んー? なるほど、将来性もバッチリだ。」
ごろごろと喉を鳴らして頬ずり。
しなだれかかる巓奉に離れる様子は見受けられない。
むしろグイグイと自分の身体を押し付けている様にすら感じられる。
「酷いなあ、キミのその言葉を聞いて私がそんな妨害工作をすると思うのかい?
─いや、ある意味当たってるか。実は前々から唾付けてたんだよね。」
彼の言葉に最初こそぶーぶーと抗議するものの、徐々に頬を紅く染め熱を帯びゆく目で彼を見つめる。
それは紛れも無く恋する乙女。
「……なっちゃおうっか? パートナー。」
■寄月 秋輝 >
目を細める。
あぁ、女性の目だ。
煽情的で、美しく、可愛らしい。
男の心をつかむ顔つきだ。
「……唾をつけてたのは僕の方だと思っていましたが。
でもそうですね、巓奉さんなら」
手をその乙女の頬に伸ばし。
「悪くないかもしれませんね」
獲物を見つけた獣のように、にぃっと笑みを浮かべる。
■巓奉 >
そろそろ頃合だ。
そう判断を下した巓奉は口を開く。
「えへへ、なーんちゃって!」
テヘペロ☆と先程までの表情から一変、おちゃらけた表情に変えてすっと身を引こうとするだろう。
確かに彼の事は気に入っていた。
だが己と彼との間に流れる時間は違いすぎていて。
きっと彼の為にはならない、と巓奉は考えていた。
こうやってからかう程度で良いと思っている。
■寄月 秋輝 >
その言葉と同時に手を離した。
小さく息を吐く。
当然のこと、という表情のようで、少しだけ落胆の色も浮かんでいた。
「……今のでよくわかりました。
巓奉さんは見た目通りの年齢じゃありませんね」
ぽつりと呟く。
「どういう生き方をしてきたかは知りませんが……
別にネコ被らないでいいですよ。
似たような人を本当に数えるほどですけど、知っていますから」
ちょっとでも期待してしまったのが失敗だったというか、自分が弱くなったというか。
とはいえ、このままと同じような対応をしていては疲れてしまう。
ので。
小さくカマをかけておいた。
■巓奉 >
あれ以上踏み込んでしまえば、自分はもう後には引けなかっただろう。
だから引いた自分は間違っては居ない。そう考えても寄月の仕草、表情が巓奉を刺す。
ごめんよ。そんな表情を、そんなに残念そうにしないでおくれ。
きっとキミにとってもっともっと良い子が見つかるはずさ。
─届かないと判っててもそう思ってしまう自分がいる。
「…………やれやれ。」
罪悪感に苛まれている所で彼の追撃が入った。
しかもどうやら自分の素性をうっすらと察知しているようで。
「そうさ、私は見た目通りの年齢じゃない。改めて、名乗ろうか。
私は巓奉、初代巓奉だよ。遡れば鎌倉時代から生きていることになるね。
それとこれは私の素だよ。ネコは被ってない。あ、それとも被ったほうが良かった? にゃーんにゃーん。」
これ以上隠し通せないと分かって、素直に彼に話すことにした。
最後茶化すように言ったものの、明らかに声のトーンは暗かった。
■寄月 秋輝 >
「……まさかの初代!?
さすがにそこまでとは予想してませんでしたが!?」
本気でびっくりした様子であった。
さっきまでの表情はなんだったのか。
「鎌倉ということは、九百年くらいですか。
随分長生きですね……いえ、お若いと言った方が正しいでしょうか?」
目をぱちくりしながら囁く。
さっきより、むしろ距離が近い。
隠し事が消えた分の心の距離が、現実の距離になったような。
■巓奉 >
「……ふふっ。そこまで驚くような事かい?」
相変わらず面白い反応を返してくれる寄月に救われつつ。
『まあ私自身、最初の頃は驚いたものさ。』そう答えた巓奉。
そしてポツリポツリと自身について語り始めた。
神話の再現、神器に匹敵する刀を作り上げると誓った事。
それを少なくとも初代巓奉として死を迎える頃にはその願望を抱いていた事。
死と同時に発現する異能、姿形を自由に変えて再生する力によってこれまで様々な人生を送ってきた事。
配偶者がいたところでこの異能の為にことごとく見送る羽目になる事。
そこまで説明して一息つく。
「まあ、こんなところかな。改めて話してみると、でたらめじみた存在だよねえ。」
少し寂しそうな表情を浮かべ軽く伸びをしてみせた。
■寄月 秋輝 >
「はぁ」
全部聞いたうえで、でたらめじみた存在というセリフまで聞いて。
この生返事。
「……いや別にそれがでたらめとも思いませんけれどね。
結局は異能の一つじゃないですか。
配偶者の方には必ず先立たれるという気持ちに関しては……
ああいえ、それもわかりますね。
僕も数年前に恋人を失っていますし」
あとはどこをどう驚くべきだろう、と考える。
「自分で言うのもなんですが、とんでもない体験はそれなりにしてますからね。
そのくらいの話ではそう簡単に幻滅しませんよ」
■巓奉 >
「は……えっ? それだけ?」
むしろ逆に巓奉が驚いている。
いやいやいや、普通もっとこう……抵抗感とかですね?とらしくない事を考えながら。
「くっ……ふっ……っ。」
今まで見ないようにしてた事がまるっきり無駄だったと、やってきた事が無意味だったと。
彼の態度を見て自然と笑いが込み上げて来る。何とか我慢しようとするけども、それは止めきれずにいて。
通常通り戻るのに少し時間が掛かった。
表情はいつもの人を食ったようなものではなく、清々しい穏やかな笑顔で。
「キミは本当に良い男だ。掛け値無しに。」
『参ったなあ。』と呟きつつ、再び寄月に身を寄せる。
■寄月 秋輝 >
「今更ですよ。
大体この島にほぼ馴染んだ人間は、その程度で過剰に驚きません。
他の人にさっきみたいに悲壮感いっぱいで話してごらんなさい。
きっと似たような反応しか返ってきませんよ」
ここをどこだと思っているんだろう、と女性の姿をした巓奉を見つめる。
そういった超常を受け入れられる人間を育成するための場所なのだ。
驚いたり、笑ったり。
そしてようやく、前の……たまに見せてもらえた、素敵な笑顔。
「いい男……だといいですね。
僕は人斬りですし、こちらでも何人もの首と胴体を泣き別れにさせてきてますよ。
女性の扱いもかなり悪いですし。
それでもいい男だと思いますか?」
肩を触れ合わせながら、意地悪く笑みを浮かべながら右手を見せる。
真っ白に見える手は、既に幾人もの血で汚れている。
それを見て、どう思うだろう?
■巓奉 >
「んー、そうかなあ…………うん、そうかもしれないね。」
それもそうだ、と思いつつごろごろ喉を鳴らす。
本当に今までの気遣いとかが無意味に思えてしまう。いや、無意味だったのだろう。
そう思うだけで巓奉の心がすっと軽くなる気がした。
「その程度がどうしたと言うんだい。
女の扱いが悪ければ良くしていこう、その手が血で汚れているのならその血を拭ってあげよう。
キミは私を一体誰だと心得てそんな事を言ってるかな?」
相変わらず穏やかな表情のままで、抗議の意を示す様に軽く肩からぶつかってくるだろう。
■寄月 秋輝 >
「ほら。
あなたは僕が人斬りであろうと、何も気にしない。
女性の扱いが悪かろうと、そう言ってくれる。
……あなたが異能で長生きしていようと、誰も恐れはしない。
そしてあなたが最強の一振りを打つと言えば、誰もがそれを応援することでしょう」
それがこの世界だ、と笑う。
何も特別なことを告げたつもりなどない。
彼女が気付く手助けを、一つだけしただけ。
「……随分すっきりした顔になりましたね。
その笑顔のほうが素敵ですよ」
くす、と笑いながら、触れ合う肩を感じた。
■巓奉 >
「…………っ!」
どくん、と心臓が跳ね上がり顔がみるみる内に紅く染まる。
久しく頭の中が真っ白になる感覚にぷるぷると震えながら戸惑っている。
「…………ううぅ、卑怯だよキミは。」
一度素直になってしまうとこんなに脆いものなのか。
恥ずかしがる顔を見られないように寄月の身体に顔を埋めながら言う。
顔は隠せていても耳まで真っ赤になっていてはどうしようもない。
■寄月 秋輝 >
「これまでの仕返しをしておかないといけませんからね。
これで清算、ということにしておきましょう」
笑顔を浮かべて、少しだけ目を閉じる。
可愛らしい女性と二人。
こんなに幸せなことはない。
でも。
「……ひとまずはこれくらいにしておきましょう」
巓奉を体から押し離し、肩をぽんと叩いて立ち上がる。
胸が痛い。苦しい。
まだ、『彼女』が心を苛む。
この人でいいのだろうかと、自分が自分に問いかけてしまう。
こんな気持ちではいけない。
「では、失礼します。
……早速女性の扱いの悪さを見せつけてしまうことになりますけれど」
ふわりと浮く。
飛翔、手の届かないところへと離れていく選択肢。
■巓奉 >
「べ、別に今じゃなくたって良いじゃないか……。」
引き剥がされた巓奉がそっぽ向いてぶーたれる。
ともすればそれは子供っぽく見えて微笑ましく見えただろう。
そして手の届かぬ所まで飛翔するさまを見て、肩をすくめた。
「やれやれ、しょうがないなあ。」
離れて行く寄月を優しい目で見守るのであった。
ご案内:「常世公園」から寄月 秋輝さんが去りました。
■巓奉 > 寄月が去ってどれくらい経っただろう。
5分? 10分? 1時間? その程度ですら把握できないくらい乱されたのは否めない。
だけど嫌じゃない。彼の言葉で吹っ切れたのだから。
折角の今生、楽しまないと損だ。
「……やれやれ。本当、厄介で良い男だなあ。」
くすりと笑う巓奉。
暫くベンチに座ったままクールダウンさせ、家路についたのだった。
ご案内:「常世公園」から巓奉さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に城 北風さんが現れました。
■城 北風 > (蒸し暑い夜。暑苦しい学ランを着たままの男子生徒が、大きな荷物を抱えて公園に現れた。)
………暑い。
いや。暑いと思うから暑いのだ。これはまだ我が精神が惰弱な証。
神の座には暑いも寒いもないというものだ…。
……さすがにこの時間になると人もおらんな。
(ぶつぶつ呟きながら、額に浮かぶ汗を拭いつつ公園の中をずかずかと進んでいく。)
■城 北風 > 「前回断念したのはどの辺りだったか……」
(きょろきょろと辺りを見回しながら、公園を突っ切ってさらに奥まった小道の前にやってくる。)
(つつじがうっそりと生い茂った、より人気のない道だ。)
「前回は瓶を割ってしまったからな。今回は予備も持ってきたから大丈夫だ。」
「………うむ。ここだな。今日はうまくやらねば」
(大きな荷物をがちゃがちゃと揺らし、さらに振り向いて周囲を確かめる。)
(なんとなく、人目を憚るように眉をしかめ、周囲に誰の目もないことを確認すると、奥まったつつじの小道へと足を踏み入れる。)
■城 北風 > (明かりもなく舗装されていない道を歩いているため、時折躓いたり道を外れてつつじに足を突っ込んだりしながら、小道の奥、やや開けた場所に出る。)
(汗を拭いながら荷物を下ろし、暗闇の中でごそごそと鞄を探って中から幾つかの道具を取り出す。)
(ガラスの瓶、試験管、試薬が幾らか、折り畳みのスコップ、分厚いノートと筆記用具、さらに大きなろうそくを取り出して手持ちの燭台に刺し、マッチで火をつけた。)
(ぼう、と周囲がオレンジの光に照らされ、大きな影が浮かび上がる。)
「………」
(てきぱきと道具を準備すると、地面に膝をついて何かを探るように掌で地面をこすりながらはい回っている。)
■城 北風 > 「……む」
(地面に滑らせた掌に何かを感じたのか、男子生徒は手を止める。)
(蝋燭で地面を照らし、湿った土を指先で軽く引っ掻いて取り、指先で潰して様子を見ている。)
(分厚いノートをめくってしばらく中を読み、手に取った土と見比べていたが…。)
「……よし。ここでよかろう」
(汗を拭って頷き、その場にスコップを突き刺して目印にすると、出した荷物を手繰り寄せて何やら作業を始める。)
ご案内:「常世公園」にライラさんが現れました。
■ライラ > 夜に徘徊…… もとい、散歩をする吸血鬼。
特に目的もなくフラフラとしていると、何やら人気のない場所で何かを探している若者が。
「ふむ?」
特に隠れる素振りもなく、作業の様子を見つめている。
■城 北風 > (地面を掘り返してより深い場所の土を取ると、試薬を注いだ試験管に土を少しずつ入れていく。)
(数本並んだ試験管が、端からぼんやりと輝き始めるのを確認すると、ノートにがりがりとメモを取る。)
(さらにぼんやりと光る試験管に別の試薬を注ぎ、色が変わっていく様子を逐一記録していく。)
「……これほど強い反応が出るとはな。どうにも嫌な場所だ」
(ノートの記述を眺めて、眉をしかめてそう呟く。)
■城 北風 > 「……? 誰だ!」
(次の作業に移ろうとした手を止め、闇の奥に向けて短く誰何する。)
「覗きとは高尚な趣味であるな。ここに出てきて堂々と見ればよかろう」
■ライラ > 試験管が光るさまをただ見ている。
何かの実験だろうと言う事くらいしかまだ理解はできない。
魔術・霊的な事ならまだしも、異能や科学は門外漢であり理解の範疇外だ。
ヒューマン
「ぬかせ、 人間 。
わらわはずっと隠れずにここに居ったわ。
闇を見通せぬ己の未熟を恥じぬか」
ナチュラルボーン偉そう対決。
でもまぁ、光の範囲に姿を見せるくらいの優しさはあるようで。
■城 北風 > 「ぐぅ……え、偉そうに言うではないか……」
(相手の態度に奥歯を噛みしめる。が、それ以上言い返すようなことはせず、立ち上がって光の範囲に現れた相手を鋭い目で見据える。)
「……女。ずいぶん涼しそうな色合いではないか。
ヒューマンとは言うてくれる。
貴様、何者だ。この学園の生徒か。それとも異邦人の類か。
それともあれか、公安委員会の手のものか。それならば別に何か悪いことをしているわけではないので大丈夫だぞ…」
(早口でそう言い放つ。なお公安委員会にトラウマがあるらしく後半は冷や汗らしきものを滲ませている。)
■ライラ > 「定命でなければ、暑さなど些細なものじゃ。
淑女に名を尋ねるならば、己から名乗らんか。
それとも、公安なる組織に良い思いでのない名乗る名もないような悪漢の類かえ?」
扇子で口元を覆う。
そのまま、ゆるゆると扇いで。
「まぁ、名乗るくらいはしてやろう。
わらわは、ライラ=シルバーロードじゃ。
嘗ては“黒薔薇卿”やら“銀主卿”とも呼ばれておったな、今は知らぬが」
■城 北風 > (相手の姿を上から下まで無遠慮に眺め回し…)
「ライラ……シルバーロードか。
黒薔薇卿に銀主卿か。仰々しい名乗りもあったものだな。
よかろう。我も名乗ってやろう。
我が名は城北風。神に仕え神に殉ずる信徒である。断じて悪漢などではない」
(腕組みをして堂々とそう言い放つと、しばし考えるように沈黙を挟み)
「……して、シルバーロードとやらはここで何をしている。
ここが貴様の縄張りというわけでもあるまい。それとも真に"ヒューマン"への出歯亀が趣味であるか?」
(やや小馬鹿にしたように鼻先で笑う。)
■ライラ > 「おぬしが、どの神に殉じておるかは知らぬが―――」
北風を睥睨する。
「わらわの縄張りなら夜の世界そのものじゃ、戯けめ。
……偶々、月明かりに誘われて外に出てみたら 這いつくばって何かをしておる奴に出くわしただけじゃ」
鼻先で笑われれば、目つきがやや剣呑になる。
プライドが高いのだろう。
「それとも、“遊び相手”が欲しいのかえ?」
扇子をピシャリと閉じた。
■城 北風 > (遊び相手が欲しいのか、の言葉に、ぴくりと眉を動かす。が…)
「……ほう。なかなか口が達者な女ではないか。
だが、生憎と今日の我は忙しい。見てわかるだろう」
(両手と両膝を泥に汚した姿を自身で見下ろし、相手に視線を戻すと)
「事を構えるのは容易だが、この環境の変質は望まない。
遊び相手が欲しいなら、この場所の調査が終わったら存分に構ってやろうではないか」
(そう答えると、再度地面に腰を下ろし、ガラス瓶に手を伸ばして作業の続きを始めた。)
■ライラ > 「環境なんぞ、自分好みに変えるのが人間の業じゃろうに」
理解できん と 首を捻った。
「貴婦人には礼を尽くさぬか、まったく無礼者が」
さりとて、特にちょっかいをかけるでなく作業の様子を見ている。
(環境の変質、のぅ……嫌な場所 とも言うておった。
魔素でも調べておるのか?)
■城 北風 > (相手が黙ったのを見届けると、手元に視線を落とし、作業を続ける。)
(分解されて試験管の底に沈殿した土だったもの…をガラス瓶に回収し、その一部をガラス板に取って簡易試験管にセットすると、蝋燭を近づけて覗き込む。)
「……やはりか」
(分厚いノートに何やら書き込むと、折り畳みスコップで土を一掴みほど掘り出し、別のガラス瓶に移す。)
「……この場所には深海性のバクテリアが見られる。しかもたっぷりと魔力を吸っているようだ」
(ノートを閉じ、額の汗を拭って呟いた。そして相手に視線を戻して尋ねる。)
「シルバーロードとやら。貴様はいつからこの島にいる?」
■ライラ > 「なんじゃ、その ばくてりあ とやらは?
“animalcules”(微小動物)の一種かえ?」
なおバクテリアの発見は1828年であるので、この吸血鬼は寝ていた頃である。
「で、それらが魔力を吸ったからどうじゃと言うんじゃ。
それがよくないならそやつらから吸い返せば済む話であろう?」
まぁ、理解の外ではある。
「さてな、目が覚めたのが最近じゃからのぅ。
100年前からここにいたのやもしれんし、つい最近かもしれん。
別に知ってどうなる事でなし、それについては興味も意味もないのぅ」
■城 北風 > (相手の話を黙って聞いていたが、やがて眉をひそめ、半眼になり……)
「……色々と聞きたいことがあるが、まず貴様、何者だ。100年寝ていたということは異邦人か。
異邦人ならばそれなりに礼を拝する準備はあるが」
(ノートに視線を落とし、顎に手を当ててしばらく考え込むと)
「我はこの土地の成り立ちについて調べている。小遣い稼ぎにな。
この公園は比較的土地の中央部にあるが、泥土の一部がガラス質化していたり深海性微生物が検出されている…
どうにも魔力で無理やり海の中から土地を引きずり出したように見えるのだ」
(それが当たっているかどうかはわからないが、と肩をすくめ)
「もし貴様がこの土地に居ついて長いなら、どういう来歴がある場所なのか聞こうと思ったのだが、無駄だったようだな」
■ライラ > 「なんじゃ、小僧。
おぬし目の前にいる相手が何かも知らずに言葉を交わしておったのか」
わかりやすく呆れた顔になりました。
「夜の支配者にして、不死の権化。
闇の王たるノスフェラトゥを見るのは初めてかえ?」
そのまま、真紅の瞳で北風を見据る。
光にあたってなお、その肌は抜けるように白い。
少しだけサービスして、体の一部を蝙蝠に変化させ、飛び立たせた。
「別に土地を引きずり出すくらいは不思議ではあるまい?
別の土地から土を引っ張ってくるくらいはするじゃろうからな。
それに無理に浮かしておるような島であるなら、もっと派手な痕跡があるじゃろう。
海岸ではなく、断崖になっておったりな。
来歴が知りたいなら、それこそ表で島を律しておる輩に聞くのが筋じゃろう。
望んだ答えが返ってくるかは別の話じゃがな」