2016/09/17 のログ
阿曇留以 > 寄月が包まれている気配に、どこか安心感を覚える。
寄月と違い、留以自体に神性はなく、至って普通の女の身体。
が、その気配に安心感を覚えるのは人ゆえか、はたまた血が昔を思い出すためか。

「あら、あら~。
寄月くんも神社の関係者なのね~。
神性も帯びてて、お母さんがそっちの人で……。
境遇が似てるのね、私たちって~」

ころころ笑う留以。

寄月 秋輝 >  
刀をぱちんと納める。
同時に力もまた体の中へと染み込んでいった。

「……そうですね、似た境遇だと思います。
 最も僕は、魔法使いと剣士の道を目指してしまいましたから」

くす、と小さく笑みを浮かべた。
退魔師の道へと、自分もまた進む未来があったのだろうか。

少しだけ、母が恋しくなった。
胸元の首飾りを手に、心を落ち着けた。

「……それに、もう実家にも戻れませんしね。
 元の世界へ戻る気も、方法もありませんし」

阿曇留以 > 「ふふふ、もし寄月くんが退魔師になってたら、こっちで一緒に仕事をできたかもしれないわね~。
魔法使いさんに退魔師のお仕事は頼めないから、少し残念だわ」

なんて笑う。
とはいえ、土蜘蛛の件やら妖怪もどきの件やら、なにかと巻き込んでしまっているが。

「……その勾玉、お母さんの、なのよね?
もしかして、寄月くんのお母さんってもっと神性が強かったのかしら?」

寄月 秋輝 >  
「出来ますよ、というか今も時々やっています。
 だから先日も学校に行ったんですが。
 ……一緒にやりますか、退魔仕事。
 正直一人だと、浄化術を組むのが面倒なんです」

片手間退魔師である。
自分にそれに適する技術がある以上、為すべきであるというのが彼の生き方だ。
だが二人で楽が出来るなら、頼んでみたい気もする。

「ええ、これも刀も母から譲り受けたものです。
 母さんは……小さい頃の記憶しかないので、正直わかりません。
 でも退魔術や巫術、剣術の基本は母から教わりましたね」

母との記憶を思い返しながら、優しい表情のまま囁く。
きっと優しい記憶ばかりだったのだろう。

阿曇留以 > 「ふふっ、魔法使いを目指したのに退魔師も行なってるんですか。
本当なら、一緒にやってもらえると助かるのだけれど……」

頼みづらい、というところがある。
強いのはわかっているし、頼りになるのも分かっているが。
本職でない人を巻き込むのはいいのかどうか、と判断がつかない。

「また、今度一緒にお願いするかもしれないわ。
その時、いいかしら?」

だから、あるかもしれない、とだけ言っておくことにした。

「優しいお母さん、なんですね。
ちゃんと、何があっても生きていける方法を教えてくれて。
記憶がなくても、あなたの中に技術として生き続けている……ってことなんでしょうね~」

寄月 秋輝 >  
「いいですよ。というか積極的に呼んでください。
 お互い別の場所で別のタイミングで動くよりずっといい。
 討伐時間も安全も保障しますよ」

一人で動いても限界があるものだ。
ならば安定させていく方がいい。
というか、一人でやると自分が大変なのだ。
敵の対応と浄化術、周囲の探知などやることがあまりに多い。
まだ人間との戦いの方が楽だ。

「ええ、とても。
 ……だから、墓前にもう手が合わせられないのが残念です」

悲しい記憶を小さく呟く。
不覚を取ったというべきか、本人も重い言葉を発したことに自覚していない。

阿曇留以 > 「ありがとう、寄月くん。
その時は、巫術のほうも一緒に教えてあげるわね」

なんて、からかうように笑う。
留以にとって浄化術=巫術。
そして、留以にしてみれば巫術はそれほど難しくなく。
教えるほど技量があるかはともかく。

「……なら、勾玉に対して拝んでおけばいいとおもうわ。
寄月くんが知ってるかはわからないけど、こっちにはこういう言葉があるのよ。
『分霊』って言う言葉と、『私はそのお墓にはいません』っていう言葉」

なんて、ウィンクしながらいってみる。

寄月 秋輝 >  
「……才能が無くて、巫術はあまり練習していませんでしたが……
 そうですね、教わることが出来ると助かります」

申し訳なさそうに微笑みながら言う。
自分に出来ないことが出来る人は、皆素晴らしいものだ。
特別な技術は、自己流での鍛錬が難しい。

「……そう、ですか……
 母の魂は、僕の身の隣に。
 ……そう考えたほうが、幸せかもしれませんね」

ちゃらりと音を立てながら、勾玉を握りこむ。
肌身離さない点も踏まえ、きっと本当に大切な物なのだろう。

「では改めて、連絡先を交換しておきましょう。
 先日学校に出た闇も、全て討伐したとは言い難い。
 また時間を合わせて、あるべきところへ還してあげませんか」

言いながら携帯端末を取り出した。

阿曇留以 > どうやら、言いたかったことは伝わったらしい。
分霊の概念は、神社の跡取りの息子ということもあってわかりやすかったのだろうか。

「そ、そうね。
また出るかもしれないし、交換しておきましょ~。
その時、お願いするかもしれないわ~」

にこにこしながらもちょっと冷や汗。
原因を言うべきか言わざるべきか。
迷いながらも携帯電話を取り出して、寄月にメールアドレスと電話番号を伝える。

寄月 秋輝 >  
留以の表情が何かおかしいような気がした。
が、まあ男性に連絡先を教えにくいのかな、と考えておいた。
ぱたぱたと端末を操作して、その連絡先を登録する。

「ありがとうございます。
 退治以外でも、何かあったら呼んでください。
 プールに連れていく話もまだですしね」

そんなことを言いながら端末をしまって立ち上がる。

「……ではちょっと、もう一度病院に行ってきます。
 どう考えても傷が開いたみたいだし、やっぱり痛むんで……」

申し訳なさそうに頭を下げて、脇腹を抑えた。

阿曇留以 > ……面と向かって話すのはやめて、後で電話で謝りを入れよう。
そう考えることにした留以だった。

「プール……そういえばその約束もまだだったわね~」

にこやかに笑い。
ちょっと忘れていたが、いわれて楽しみにする留以だった。

「あら、じゃあついでだから病院まで送りましょうか~。
途中で倒れたら大変だものね~」

なんて、いいながら立ち上がり、寄月の体を支えようとする。

寄月 秋輝 >  
「プールなら、冬場でも暖房を効かせて、冷たくない水に入れますから。
 いつでも泳げますよ」

レジャーランドのようなところはさすがに無理だろうが、室内プールとなれば気楽なものだ。
支えようとする留以の手は、なんとなく受け入れた。

「すみません、是非。
 正直途中でダウンしそうな気もしていたので……」

微笑んでそれに応え、病院へ向かった。

なおその先で緊急手術が待っていたのだが、それはまた別のお話である。

ご案内:「常世公園」から阿曇留以さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から寄月 秋輝さんが去りました。