2016/09/27 のログ
東雲七生 > 「ははっ、気にしなくていーよ。
 ただ、少し恥ずかしいね。自分のこと訊かれるってのは。」

くすくす笑いながら、伸ばしていた膝を折って、ベンチの上で抱える様にして座り直す。
自分と同色の、それでもどこか違う色の瞳を目にしてから、小さく頷くと、
顔は正面に向け、手に持ったペットボトルを見つめる様に。

「──この学校に入りたての頃、かな。
 四月の、まだ右も左も分からなかった頃に歓楽街の路地で不良に絡まれてる同級生を見つけてさ。
 異能を使って、撃退したんだけど。」

当時を懐かしんでいるというには些か沈痛な面持ちで。
じっと手元のボトルを、どこか遠くの様に見つめ続けたまま。

「俺の異能ってのがさ、俺自身の血液を操ることなんだけど。
 条件として、体の外に出た血液しか操れなくてさ。
 しかもまだ異能が出てきてそんなに経ってなかった頃だから、不良を追い払えたは良いけど、自分の血でべったべたになっちゃって。」

反撃も何度か受けたから、傷もそこそこ作ったねえ、と。
穏やかで、それでいてちょっと物悲しげに呟くと、小さく溜息を溢した。

化野千尋 > 「…………?」

目を丸くした。
四月の、まだ右も左も分からなかった新入生のとき。
歓楽街の路地で不良に絡まれてる同級生を見つけて、不良を撃退した。
異能を使って、友人を守ることができた。
ただし、血でべたべたになりはした。

これだけを聞けば、化野千尋にとって、その異能を忌み嫌う原因にはならない。
――化野千尋にとって、の話ではあるが。

「それで、しののめさんは自分の異能がお嫌いになったんでしょーか。」

困ったような表情を浮かべながら、申し訳なさそうに言葉は続く。

「それって、悪いことなんですか?」

東雲七生 > 「悪い事かどうか、俺は未だに迷ってんだけどさ──」

ボトルキャップを指先で撫でながら、小さく息を吐く。
少しだけ泣きそうな、困った様な顔で一度空を仰いで。

「──その時の、同級生にさ。
 俺はただ、「ありがとう」って言って貰えると思ったんだ。
 でも、そうじゃなかった。
 血まみれの俺に、そいつは『ごめんなさい』ってさ。
 ……きっと、怖かったんだろうなぁ。自分の所為で怪我をさせたみたいに思えて、さ。」

俺も怖いと思っちゃうもん、と笑い飛ばそうとするが結局溜息となってしまう。

「その時に、思ったんだ。
 俺の異能は、誰かのために使ってもどうしても相手に引け目を感じさせちゃうんだって。
 まあ、血だし。何もしなくても勝手に出て来たりはしないしな、使うならどうしても怪我する必要があるから。

 だからって訳じゃないけど、俺はその時から自分の異能を嫌い始めた。
 異能なんて使わなくとも良い様な、そんな人間になろうと思ったんだ。」

結局、その後もちょくちょく色んな場面で使ったんだけどな。
そう付け加えて悪戯が見つかった子供の様に笑う。

「俺が異能を嫌った理由、大体わかった?」

化野千尋 > 「っ…………。」

息を飲んだ。想像もしていなかった。
彼の顔をろくに見ることすら叶わなかった。
ただ、そこにあったのは紛れもない罪悪感だけだった。

「その、」

もとより自分を傷つけないと行使することすら出来ない異能。
それに、ただ助けただけの友人にお礼さえ言ってもらえなかった。
異能を選べるわけじゃない。
それでも、できる範囲内で彼は自分の手の届く範囲の同級生を助けようとした。
それでも、『ごめんなさい』と。その言葉の責任は誰にある訳でもなく。
どうしようもなく否応ないものだった。
それは、第三者の化野がなにを言う権利もない理由で。

「――ッ、あの、すいませんでしたっ!」

立ち上がって、深く頭を下げる。
踏み込んでいいものではなかったのかもしれない。
興味本位で知りたがっていいものではなかったのかもしれない。

「本当に、でも、……」

目に涙を溜めて。

「しののめさんは、なにも悪くなかったと思います。
 だから、代わりに。そのひとを助けてくれて、ありがとうございました。
 ……あああ、すいませんっ。あのっ、訳わからなくなっちゃってっ。」

東雲七生 > 「ははっ、もう一年以上前のことだし、俺も流石に割り切ってるって。」

涙を浮かべてまで居る姿に、真剣に話を聞いていてくれた事に少しだけ驚きつつ、
やっぱり過去の失敗談にもならない何かを聞かれていたという事は恥ずかしいのか頬を染める。

「まあまあ、過ぎた事だから。
 とりあえず座って座って、今度はほら、どうして嫌うのを止めたか、だ。
 どっちかと言えば訊きたいのはそっち、だろ?」

なんなら飲んで落ち着く?とペットボトルを差し出してみる。
同時に小さく、擦れて消える様な声量で「ありがとう」と呟いて。

化野千尋 > 「――……」

でも、と言いかけてやめた。
大人な彼に、すみませんともう一度だけ頭を下げて。
ゆっくりと、深呼吸と一緒に腰を下ろした。

「あ、えっ……と。そうでした。
 ありがとうございます。いただきます、ね。」

本題を忘れていたことを恥じながら、やや視線を上げる。
座って、今度は安心したように笑う。
傾けたペットボトルを口につけ、コクコクと小さく喉を鳴らす。
消え入りそうな言葉に、またじんわりと目元が潤んだ。

「はい、あだしのに、おしえてくださいな。」

東雲七生 > 「ん。」

乞われれば、乞われるままに。
小さく頷いてから、今度は足を伸ばす。

「ま、さっきも言った通り使わないでいたい、嫌いだと思っていながら──それでも、たびたび異能は使ってたんだ。
 結局、どこまで嫌っても自分の一部。
 自分の目の色が気に入らないからって目を瞑り続けては生きられなかったんだろーな。」

使わない事を自分に課していたのが、いつの間にか奥の手として温存する形になっていた。
そんな事を告白しつつ、秋空を見上げて目を眇める。

「そんなある日、俺は間違いに気づかされた。
 隠してれば知られる事もない、それが『良いこと』なんかじゃないってさ。
 俺が異能を隠してた事で、俺が怪我を負った事を『ピンチ』だと思ったダチが戦闘に突っ込んでさ。」

まだ真新しいその記憶。痕にすらなっていない傷をなぞるように言葉を紡ぐ。

「大怪我を、負っちゃったんだ。
 ……馬鹿だよなあ、俺はちょっとやそっと怪我してもピンチどころか寧ろ出来る事が増えるってのにさ。
 
 ──俺が、そいつに教えてなかったからなんだ。
 怪我をした時こそが、むしろ俺の本領だって。いや、むしろ最初から異能を使ってればって、すっげー後悔した。

 全部、俺が変なプライドで、我儘で、自分の異能を嫌っておきながら、
 それでも心のどこかで切り離せないで、むしろ頼ってた所為だったんだ。」

語る表情が悔しさと不甲斐無さに歪む。
強く噛んだ下唇に、赤色が滲む。

化野千尋 > 「切っても切れない、ご縁だったのですかねえ。
 異能と自分。お互いに、選べない、ですから。」

手元のペットボトルをべこべこと凹ませながら、また耳を傾ける。
間違いのはなし。
それが間違いかどうか、化野千尋にはわからなかった。
でも、ただ事実としてあるのは、彼は間違いだったと定義したこと。
ならば、それは間違いだったのだろう。

「それで、しののめさんは。」

嫌うのをやめて、自分のものだと思えたんですね、と。
自分には未だわからない領域の話で。
何かを失ったこともない、何かを傷つけたこともない。
ただ、それを経験した彼は掴んだ何かがある。それだけは、わかる。

「……ありがとうございます、しののめさん。
 なんだか、……強いんですね、しののめさんは。
 正直うらやましいし、正直、妬ましいです。……なんて。

 この学園にいれば、あだしのも同じよに、強くなれますかねえ。」

どこか茫洋とした双眸で。
宙を眺めながら、ぽつんと言葉を落とした。

東雲七生 > 「だなー、選べないからな。
 ただ、今でも俺の異能が火とかぶわーって出せるのだったらな、って思う時はあるよ。」

冗談めかして笑いながら、おどけて肩を竦めて見せる。
間違いだった、と断言してしまったけれど実際のところは七生には分からない。
ただ、友達が傷ついても貫くだけの価値を見出せなかったという話。
誰しもに共通するような事では無論、ない。

「うん、思えたというか、今でもちょっと苦手だけど。
 ……それでも、向き合う事はしなきゃかな、って。」

まだ一歩を踏み出したばかりだけどね、と。

「別に礼を言われる事も、謝られる事もなーんも無いさ。
 俺の方こそ、長々と話し込んじゃって悪かったなー。

 ははっ、俺なんてまだまだヒヨッコみたいなもんさ。
 この島には、俺なんかよりもっと強くて、大人な人がいっぱい居る。
 だから、いっぱい色んな奴に会って、色んな事を経験すれば。」

自信は無いけど、と別段自分が強くなった気はしない少年は笑う。

「化野が何をもって強い、としてるのかは分からねーけどさ。
 ……少なくとも弱くは、なれねーと思うよ。」

本当に色んな人が居て、色んな事が起こるからさ。
そんな風に軽くウインクなんて飛ばしながら、先輩風を吹かせてみせた。

化野千尋 > 「……、」

きょとん、と目を丸くした。
弱くはなれねーと思う、という言葉にも。
色んな人が居て、色んな事が起こる、という言葉にも。

「ふ、」

最後にひとつ、彼のウインクにも。

「ふふふっ。
 ……ありがとうございますねえ、せんぱい。
 なんだか、ちょっと弱気になっていたかもしれません。
 ホームシック、ってやつなのでしょーか。」

胸にペットボトルを抱いて立ち上がる。
秋風がふわりと、髪とスカートの裾を揺らす。

「あだしの、とっても、とっても! 
 なんだかがんばれるような気がしてきちゃいましたっ!」

指先で、整っていない前髪をしっかりと梳いて。
満面の咲くような笑みを浮かべて。

「このご恩は、また学園で返せるようにがんばりますねっ。
 ――もし、何かあれば。せんぱいがピンチで、つらいときがあったら。
 あだしの、きっとどこにでもいますから。
 今度はあだしのが、つらいときのせんぱいを助けてあげますねっ。」

それではっ、と一言だけ置きざりに。
嬉しそうに、楽しげに赤髪の彼に背を向けて。
トントン、と跳ねるように公園を後にしたのだった。

ご案内:「常世公園」から化野千尋さんが去りました。
東雲七生 > 「強くなれる、なんて無責任な事言えねーし、それは化野の努力次第っしょ。
 でも、弱くはなれない。それだけは保証出来るよ。」

けらり、子供の様な笑みを浮かべる。
七生自身、強くなった気はしないけど、間違いなく弱くはなっていない自覚はあった。
色んな人に会って、色んな事に遭って、それらを糧に成長はしている……と思う。


「おう、がんばれよっ!でも無理はすんな?
 
 それじゃあ何かあったら、助けて貰うかんな!
 だから、俺が迷わず助けを乞えるくらいにはなれよな!」

ちょっと今は想像もできねーけど、と内心微笑ましく思う。

去っていく少女を、じゃーな、と笑顔で見送って。
一つ、新たな糧を得た七生はベンチに座ったままぽつりと呟いた。

「──もう、助けられたさ。」

ご案内:「常世公園」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に羽切 東華さんが現れました。
羽切 東華 > 「ハァ~…ここに来るのも久々、という程でもないけど…最近来てなかった気がするなぁ」

バイトを終えてその足で帰宅、する前に随分な寄り道となるが、馴染みの場所の一つである公園に足を運ぶ。
今夜は人外殺しの刀は持ち歩いていないが、”抜け殻”となった黒刀は左腰に堂々と差しており。

「…うーん、いい加減に先輩に連絡しないといけない気はするんだけど、なぁ」

己の右手…黒い革手袋できっちりと覆ったソレを眺める。この下の素肌は真っ黒だ。
以前、学園でちょっとした騒ぎに遭遇し、それを解決する一助をしたのだが、その際に受けた呪いだ。
解呪の当ては出来ている…相棒に薦められた。が、正直踏ん切りが付かないキモチもある。

「何か出来ないか、試してみたい気もするんだよなぁ」

悪い癖だと自覚しているが、好奇心がどうにも疼いてしょうがない。
これ以上は広がらない、と祖母にも断定されているのもあって、気持ち的には余裕がある。
勿論、油断すれば呪いに食われかねないが。

羽切 東華 > 「現状は真っ黒で目立つのと触覚が無い、以外は特に俺自身への被害は無い感じだけど…」

右手を見つめながら独り言。触覚は無いが神経は一応通っているのか、普通に指もスムーズに動く。
とはいえ、汚染が進行して最早生身の右手と混ざり合っているようだが。

「浄化されたら右手首から先も一緒に昇天しそうな気がしないでもない」

既に試してみたのだが、どうやら今の状態だと右手だけだが霊魂とかを素手で掴めるようだ。
つまり霊体に直接干渉できる、という事である。これは地味に便利な気がする。
…問題は、掴んだのが負の思念だった場合、そのままこの右手が吸収してしまう事だが。

ご案内:「常世公園」にソニアさんが現れました。
ソニア > その存在は 静かだった。その足取りも その気配も 何処となく薄く
気を付けないと気づけない位に静かで薄く 果てしなく 無表情だった。
どっちかというと感情が欠落しているとでも言った方が早く。

「    ………    」

雨が降っていないのに 蛇の目傘を指して、それの柄を肩に引っ掛けてくるくると回しながら
公園へと足を踏み入れたのだ。その者を案内するかのように 人魂みたいな炎が ゆらりゆらりと浮いている―

羽切 東華 > 「……ん?」

その気配や存在に気付いた訳ではない。なら何故そちらに視線が向いたのか。
それはただ単に、少年の中を流れる《人外殺し》の血筋のお陰、としか思えない。
気配や音が無くても、その血筋は人外ならばある種の特殊な感覚を持って察知する。
勿論、少年自身がそこまで明確に気付いて意識している訳ではないのだが。

「…人魂かぁ。婆ちゃんが灯り代わりに使ってたのを思い出すな…」

おい待てやコラ、というツッコミが入りそうな独り言を零しつつ。
そちらに視線を向けつつも、まず眼を引いたのは蛇の目傘。

(…雨も降ってないのに傘?日傘…って、今は夜だからそれは変だし)

不思議に思いつつ、失礼だとは思いながらも何となくそちらを眺めており。

ソニア > 「………」

然し 喋らない。全く息遣いも静かだった。ただその気配は人のモノではなく、
寧ろ人の轍を超えっちゃった何かであったりする。特段それだけで何も悪さはしていないのだ。存在しているだけで。

ちろりと傘の切れ間から見える青年を赤い瞳が見る。

ゆらんゆらんと人魂みたいな炎は一つから三つに分裂した。そして少女の形をした何かの周りを浮いている。
増えている位で これから何か悪い事でも―…足を止めた。

雨降っていないのに 傘は差したまま。と、傘の柄を持っていない手がすっと空へと上げ、 
          ・
一つの人魂の様な炎を掴んだ。

ぼっと勢いよく燃え盛る炎の塊。それは瞬く間に炎の玉から炎で出来た鳥になった。

(…では 頼む)

その鳥は 炎の鳥の形を保ったまま 夜空へと飛び去って行った。
それを黙って見上げて見送っている だけ。 そうしてから 唐突に

「    何用    」

此方を見ている 刀を差した青年へと声をかけるのだった。

羽切 東華 > (うーん、何だろう。この如何にも人外です!な感じは…)

息遣いは静か、喋ることも無い、ついでに気配というか何と言うか、人外確定だろうこれは。
赤い瞳が傘の合間から見えれば、何とはなしにこちらも見返す。
恐怖心とかが一切無いので、視線に見据えられても怖気づくという事が無い。

と、思ったら今度は人魂が三つに分裂する。同時に相手が足を止めた。

(…おぉ、何か人魂が火の鳥に?)

よく理屈は分からないが凄い。好奇心が疼き、それらの一連の流れを眺めていたのだが。

「……え?あ、こんばんわ。特に用という程の事では」

慌てて会釈などしつつ。実際彼女の方からやって来た訳で、そもそも初対面だろう。多分。
なので、用向きというのは少年からすれば特には無いのだが。

「えーと、さっきの火の鳥はどちらに?」

と、疑問かつ無難な質問を投げ掛けてみたい。

ソニア > 気配だけ あからさま過ぎる人外状態。他はヒトになりきり中。
喋る事が無いというより、必要がないときは全く喋ろうともしないが正しい。
表情と感情が余りでないうえに 声から何を思っているかも読みにくい。
彼が 恐怖心が無かろうが、無 しかない 視線で殺気も出していない。

まだ人魂みたいな炎は二つ ゆらゆら浮いている。

「    

     今晩。   此方を見ていた。 用で無いのか。

     使番は 主の元へと遣した。 手紙の一種である。  」

会話 凄まじく間が空いてから 喋り始めた。初対面であり彼の事は知らない。
顔と名前と 今が初めてなので 存じない。質問が来たので 簡易的に答えよう。

羽切 東華 > (あかん、これ会話をこちらから振らないと沈黙しかないパターンや…!!)

直感でそう感じたらしい。とはいえ、多種多様な話題を提供する器用さは無いのだが。
しかも、無表情で感情が全く読めない。と、いうか無さ過ぎて逆に凄いと思えてくる。
残る人魂二つを一瞥。アレ、この右手で掴んだらどうなるんだろうか、とかフと思いつつ。

「あ、そうですか成る程……(やべぇ会話終わっちゃったよ!?)」


いかん、会話が全然続かない!ある意味でかつてないピンチかもしれない。
どうやら主が居るらしいので、使い魔か自分と相棒と同じような間柄の人が居るのだろう。
と、いうか喋り方も間が空いてたりと独特すぎる。色々と個性的な人だというのはこの短時間で把握したが。

ソニア > (… どうするか。 我 喋るより 目で語る方が好みなんだが)

放置すると確実に 沈黙する方。目で会話をするというある種 職人系な妙な会話をし兼ねず、
この初対面で信頼も何もない青年と どう間を伸ばせと?難しすぎる。
無表情で無感情に近いので、内心は焦ってはいるが それは顔に出なかった。

人魂の様な炎 掴んでも ― やーん とか言いそうな位に捩って蠢くだろう。だって その炎 形は人魂だが、精霊だし。

「   精霊であるし。  魔力を注げば何にでもなる  」

(会話。続けるか。余り慣れないのだが)

自身の主がこの青年と友人とか知らない。主の交友関係 そもそも存じない。
お互いにその辺 考えていないのだ。ある意味自由気ままな契約でもある。
間が空くのは 単に 喋るのが苦手なだけだった。 無口に近いもので。

羽切 東華 > (婆ちゃん、相棒、何かアイコンタクト求められてる気がするんだがこういう時はどうすりゃいいの!?)

そして、目と目で語り合うには相手の人となりを知らなすぎた。
これが祖母や相棒たる半人半刀娘なら割とスムーズに出来るのだが。
お互い、それぞれの内心など知る由も無い。ただ、お互いこの状況どうしたらいいの?という共通項はあった。

「精霊?えーと、霊魂とかとは違うんですかね?俺、そっち方面はあまり知識が無くて」

ただ、会話の糸口は掴めた気がする。なので好奇心のままに質問を重ねていこうか。
取りあえず、相手のペースというものがあるので、そこはまぁこちらが慣れればいいだけだろう。

「…と、いうか主って事は契約者がいらっしゃるんですか?」

もう一つ質問を追加。割と気になった事は尋ねてみたいものであるし。

ソニア > 目で訴えてみた。…無理過ぎた。初対面過ぎた。幾らなんでも無理だった。
片や無口気味無表情無感情娘、片や刀を差した何処となく違和感がある青年。
共通項が似ているのは解らないが、会話の突破口位は作って広げたい。それ位しないと 間が 崩落する。

「 我の 精霊は 炎属性。 霊魂ではないな。 あまり詳しくない」

「 いるが 。 よく喋る。 」

僕がこの黙り様、主はよく喋る方 これでバランスはとれている。
ちろりと 視線をそらしたのは ゆらゆら浮かぶ炎を見た為。 

羽切 東華 > (…凄い睨まれてるんですが、俺が何かしたんでしょうか!?)

そして、目で訴えるという彼女の行動だが、残念ながら睨まれたと少年は勘違いした。
うん、初対面の相手だと多分こんな勘違いも仕方ないかもしれない。

「炎属性の精霊……って、え!?詳しくないのに使役してるんですか?
と、いうか主さんはお喋りなんですか、成る程…」

矢張り喋り方や雰囲気含めて独特の人だと再認識。あと傘を差してるのは何故なのだろうか。
チラリ、と視線を逸らした彼女に釣られ、こちらも改めて人魂を見る。

(………!?)

反射的に右手に力を込める。そこに何の意味があったかは彼自身も把握していない。
…が、”収まった”ようだ。危ない、この右手…あの精霊を”喰う”気だったようだ。
ともあれ、息を静かに吐いて努めて平静を装い、右手も何事も無かったかのように。

ソニア > ただ見ているだけ。睨んでもいない…筈。
目で会話をする つまり 見つめるしか 現状ないだけ。
無理過ぎたので 睨むように見ていた瞳は彼から外すように逸らすしかない。

「  我 炎を司る…否 あまり語らぬのも よいだろう。
   語る口は我より勝り また むっつり である。…巨乳を好むらしい。 艶本の殆どが それを占める 」

傘をさしているのは 特に 意味はない。差してみたいだけだったりする。
 いや、頭を 顔を隠しておきたいとも言っておくか。

(… その右手は 何か いるな。  何も 起きなかったな)

「 我は もう行く。…ではな。    おやすみ」

傘を差したまま ちらりと彼を見てから、人魂の様な炎を連れ立って
闇に溶け込むように 去っていった。

溶け込む一歩手前で 妙な事を言い残して。

「 また 近いうちに 」、と。

ご案内:「常世公園」からソニアさんが去りました。
羽切 東華 > 「…えーと、つまり主さんはムッツリスケベで巨乳好きでエロ本はほぼそのジャンルと」

(え!?この情報を俺はどう活かせばいいの!?)

あと、何か巨乳好きな辺りで自分と同類な気がしてきた。
何だろう、このシンパシー的な何か!…うん、取りあえず落ち着こう。
右手に関しては、汚染が進行してるのでこういう可能性もあるにはあったが。

(精霊?を捕食しようとするって事は、エネルギー体全般を取り込むって事かな)

と、内心で首を捻るが現時点では分からずじまいだ。
ともあれ、彼女の方は引き揚げるようで慌てて会釈をしつつ。

「あ、ハイおやすみなさい、お気をつけて……え?また?」

去り際に彼女が言い残したセリフにキョトン、とした顔になっていたかもしれない。
取りあえず、彼女が去っていくのを見届けてから一息。

「うーん、結構個性的な人だったな…しかし、炎…精霊…契約者…うーん…」

あれこれと情報を纏めてみようとするが、判断材料が少なすぎた。