2016/10/01 のログ
ご案内:「常世公園」に加賀見 初さんが現れました。
加賀見 初 > 「ああ、やっぱりまだ暑いなぁ……」

恨めしそうに太陽を見る。
珍しく登校したので制服ではあるが……暑いので、上半身は早々にTシャツである。
デカデカとした秋サンドの文字だけが秋だと主張しているようだ。

で、暑さに負けて さりとて喫茶店に避難するほどでもない現状。
飲み物を片手に直射日光が避けられる公園の東屋で休憩中。

ご案内:「常世公園」に加賀見 望さんが現れました。
加賀見 望 > 「…………気をつけないと、いけない……ね」

初の隣でちょこんと腰掛けつつ、その小柄な影は小さく呟いた。
帽子を被ってこそいるが、長い髪は熱が篭って暑いようで……
時々、Tシャツを両手で軽く動かし、自分の体を仰ぐようにしている。
華奢で肉付きの薄いおなかがチラチラと見えてしまうが本人は
そこまで気にしていないようで……シャツに書かれた御意見無用の文字だけが、
不満を訴えるようにびろーんと伸ばされていた

加賀見 初 > 「そうだね、うっかり倒れたら大変だ」

鞄をゴソゴソと探して、前に入れっぱなしにしていたモノを取り出した。
ワンコインショップで売っていた無地に日本一と書かれている扇子である。
ひょいと望の帽子をとれば、扇子でもって風を送る。

「さて、望。
 ここで一つ重要な問題があるんだ」

加賀見 望 > 「……んぅ」
帽子を取る動きにくすぐったさを感じつつ、
扇から送られてくる小さな風の動きに僅かに目を細める。

どちらかといえば夏の風物かもしれないが、
まだまだ暑いこのごろにはとても心地よく……
思わず、猫の様な声が微かに喉から漏れてしまう。

「……問題、ですか?」

初から告げられた言葉に、一つ首を傾げる。
何が問題なのだろう。
もしかして、熱いから動けなくなっているとかだろうか――
以前、大通りで暑さのあまり動けなくなってしまったことと、
それを助けてくれたお兄さんのことを思い出し、軽く首をかしげた

加賀見 初 > 「ああ、とても大事な問題なんだ」

真剣な声音と表情で、うなずく。
疲れたのか、扇子を望に渡しながら 言葉を続ける。

「今夜の夕飯のメニューが思いつかないんだ。
 買って帰ろうにも何を買うべきかさっぱりだ」

加賀見 望 > 「……それは、大変です」

渡された扇を両手ではっしと持ち、おかえしするように初をパタパタと仰ぐ。
動きが大振りだったり少々遅かったりしてどうにも危なっかしいが、涼しめるくらいには風が送られてくるだろう。

「ばんごはんは、大事です」

そう、大事なのだ。
一日の最後のごはんはおなかがすいているからとても美味しくて、
だから何がでてくるのかとても楽しみなのである。
でもピーマンやニガウリの様な苦いものは苦手で、
食べるのが苦手なのだけど……その時だけは、初姉さんの目が怖かったりするのだ。

加賀見 初 > 仰いでくれれば、素直に ありがとう と返す。
思うにこの子は経験が足りないから不器用なのではないか と最近思い始めている。
教えれば、飲み込みはかなり早いし。

「ボクとしては、ピーマンの肉詰めトマトソース煮込みなんかがいいかな と思いはするのだけれど……。
 もう少し、ヘルシーな路線でもいいかもしれないと考えると、どうにもまとまらなくてね。
 望は何か食べたいものはあるかい?」

好き嫌いはなくしておきたい。
食べられはするが、好んで食べないレベルまではもっていきたい。
そんな姉?心である。

加賀見 望 > 「ピーマン……です……」
その言葉に、僅かに目が泳いでしまう。
ピーマンはとても苦いのだ。苦くて渋いからあまり好きではないのだが、
好き嫌いしたら体によくないよということで頑張って食べてみる――けど、苦くて舌がじりじりする。
ピーマンが甘かったらこんなに悩まないのに……
なんてことを考えたけど、でもピーマンはピーマンのままなのだ。

尤も――望の『本来』を考えるならば、好き嫌いはおろか味覚の有無の段階で怪しいものではある。
それがこうして食べ物の味に一喜一憂するようになったのは、
あるいはより人間に近い精神性を獲得しつつあるということなのかもしれない。

それはともかく――

「食べたい、もの……オムライス、です?」

問われれて、こくんと頷く。
因みに望の好みの上位はカレー、オムライス、プリンである。
外見相応というべきか、それとも子ども舌というべきかは判断が別れるところだろうか。

加賀見 初 > 「まだピーマンは苦手かい?
 食べやすくなるように、今度細かく刻んでみよう」

味の強いグラタンとかに混ぜてもいいかもしれない。
後は少し怖いが自分で料理させるとまた変わるかも……と思考を進めて。

「オムライスか、そうだね。悪くなさそうだ。
 角切りしたチーズをたっぷり入れて作ってみようかな?
 それならサラダも用意したいけれど……シーザーサラダにしようか」

チーズ尽くし。
たまにはいいだろう。

「さて、後は……何か買っておかないといけないものあったかな?」

加賀見 望 > 「う……その、苦いの、苦手です……」
問いかけに、シュンとしてしまう。
初の作る料理は美味しいのだけど、ピーマンだけは中々……
いや、あまり好きになることが出来ないでいた。
良くも悪くも、子どもに近い味覚は敏感であり、それが裏目にでているということなのかもしれない。

「……♪ 初ねえさんのオムライス、美味しいです。楽しみです♪ チーズいっぱい、です。 シーザー……サラダ? 不思議な名前です」

今夜はオムライス、その言葉に表情がぱぁっと明るくなり、笑みを浮かべる。
柔らかく笑みを浮かべるその様子は、同年代の子どもに比べて随分と大人しいが――
それでも、個性の範囲といえるものだろう。
出会った当初に比べれば、表情が豊かになったといえる。

「おかいもの、です……いえのもの、です?」
問いかけに、指折り数えながら考える。
家の手伝いやおつかいに出かけることがあるので、何が必要なのかを考えることができるが――
しかし、在庫の把握となると望にはまだ難しくあった。

家に何があったかを考えながら、指を折って思い出していく。
扇で扇ぐのがとまってしまっているが、それを見かねてなのか、
影から伸び上がった大きく黒い鋼の手指が、そっと扇を摘みとり、仰ぐのを引き受けていた。

加賀見 初 > 「苦手なのは仕方が無いね。
 得意にならなくてもいいから平気を目指そう。
 ボクも小さい頃は苦手な食べ物はあったからね」

正直に言えば、今でも苦手なのである。
……牡蠣をはじめとする貝類が。
もちろん、そんな事は教えないのだけれど。

「そうだね、食べてみればわかるだろう。
 きっと望が好きそうな味だと思うんだけれど」

笑みを浮かべた望を可愛いなぁとほっこりした感じで見守る。
最初はおどおどしていたものだが、最近はもうそこらの子供と同じだと思う。

「コルダイトも、ありがとう」

コルダイトにも慣れてきたのか、普通に対応する。
同じ“望”らしいがどうにも別固体でもあるようで、お礼はそれぞれに。
まったく影響しあってないわけではないようだし。

「まぁ、家のものは足りなくなったら買い足せばいいか。
 まだ急いで買う必要があるものは無かったはすだし」

飲んでいたジュースを はい と望の前に。
半分ほどに減ってはいるものの、まだ冷たい。

加賀見 望 > 「ぅ……がんばり、ます。
 初ねえさんも、きらいなものあったのです?」
僅かに驚いたような顔をして、首を傾げて初の方を見る。
落ち着いていて、何時も頼りになる姉にも苦手なものがあると聞くと、なんだか不思議な気持ちであった。

「好きな味。たのしみです♪」
小さく笑みを浮かべ、こくこくと頷く。
その傍らで、影から伸びたコルダイトの腕が小さく揺れ――
恐らくは、礼を言うように軽く動いた。
以前に大通りに出かけた一件から、少しづつではあるが変化が起きているようで……
能動的な活動が見られるようになりつつあった。
これが何を意味しているのかまでは、まだ謎ではあったが……少なくとも、悪影響ではないようである。

「はい……あ、ありがとうございます」
ジュースを受け取りつつ、ぺこりと頭を下げた。
そのまま口をつけ、半分ほどになったジュースをくぴくぴと喉へと運んでいく。
胃に入っていく冷たさは火照った体を冷やしていき、
甘い味もあいまって、望の顔に小さな笑みを浮かんだ。

「おいしいです♪ ありがとう、初ねえさん」

加賀見 初 > 「ああ、小さい頃の話だけれどね?
 気がついたら普通に食べられるようになっていたよ。
 だから望も食べられるようになるさ」

苦笑して当時を思い出して……ああ、要らないことまで思い出しそうになって蓋をした。
アレはもう終わったことだ。

「ああ、きっとね。
 ……酸味が強いのは大丈夫だったはずだし。

 どういたしまして、望」

ジュースを飲んでお礼を言う望を見て、あー望は可愛いなぁ と なんとはなしに思う。
この子はどう成長していくのだろう。
興味は尽きないが、今はボクが守るとき――― いけない。思考が暴走しかけている。

「さて、そろそろ買い物にいこうか。
 荷物は持ってくれるかな?」

加賀見 望 > 「小さいとき、です……?」
首を捻り、少し思い返して――しかし、よく分からない。
『望』という『個』を形成する際、最初に出会った人間――
初の記憶、と経験を模写し、その一部が『記録』として望の中に刻みこまれている。
それゆえに、分からないことを考えようとすると、初の知る知識からある程度答えをさがすことが出来るのだが……
最近、その内容が酷くあやふやになってきている。

これは、望が個人として成長してきた為に、その記録が望の中で消化され、
ある程度薄れていることの示唆でもあった。
尤も――薄れきらない一部については、まだ残っているようではあるのだが。

「すっぱいの、だいじょうぶです」
こくりと頷き、よいしょという様に立ち上がる。
初の心配か――あるいは、懸念か。
その気持ちを知ってか知らずか、望は初に向けてにこっと小さな笑みを浮かべる。

「お手伝いします。大丈夫です」
頑張る、というように、小さく腕を構えるのであった

加賀見 初 > 「そう、望くらいの大きさだった頃だよ。
 ……望はもっと大きくなるんだろうね」

肩を並べるくらいか、もっと大きくなるのか。
こればかりは悪魔に聞いてもわからないだろう。

「頼もしいね、それじゃあ行こうか望。
 ついでに何かおやつも買っておこう」

そしてスーパーに向かい ひょこひょこ と独特の歩き方で歩いていく

ご案内:「常世公園」から加賀見 初さんが去りました。
加賀見 望 > 「はい、です」

その横を、同じ速さで……今はまだ、背丈は違うけれど。
置いていかれないように、追い抜かないように、歩いていった

ご案内:「常世公園」から加賀見 望さんが去りました。