2016/10/21 のログ
ご案内:「常世公園」に因幡幸子さんが現れました。
因幡幸子 > 見上げれば青い空。見下げれば豊かな緑。そして見回せば暢気に歩くこっちの世界の人間達。
私こと因幡幸子が驚天動地の出来事によりこっちに来てから今日で10日。
色々あってその色彩は虹よりもややこしいものだったから割愛するとし、私は杵を担いで此処、常世公園に居るっ。

ちなみに面前には臼もあったり、蒸し上げられた餅米だとか手水用の小さな盥なんてのもあったりするのよね。

「やっぱ季節のお約束ってやらないと落ち着かないしぃ~……にしても何だか視線が刺さるのは何故、ほわーい?」

秋と来たら公園で餅搗き。何も珍しい事じゃあ無いってのに周囲の人達の目線が鋭い矢のように私に向かって飛んで来る。
……ような気がする。

「……っかしいわね。まさか国の名前とか進化元の動物以外にも文化が違うとか?だとしたらこっちの人は秋に何をするのかしら。」

芋でも洗うのかな?と周囲を見回すけれど生憎とそんな事をしている奴は居ない。
だから私は鼻を得意気に鳴らし、やれやれと肩を竦めて見せる訳。

「ははーん、文化水準が劣ってるわねこっちの世界。……勝った!」

長い耳を秋風にそよがせ、天を指差し高らかに勝利宣言もしておきましょう。
もし互いの世界が繋がったらこっちの世界なんてあっという間に文化侵略されてしまって
こっちの人類なんか全員ウサ耳バンド着用義務とかになるに違いないんだから。

因幡幸子 > 「ま、餅を搗いたって黄粉でむせて無様を晒すのがオチでしょうけどね。黄粉餅2級の私でもたまにむせるんだし……。」

周囲の面々を流し視るようにして不敵に笑い、杵をくるりと構えたならば意気軒昂と餅搗き……をしたいのだけど
生憎と餅をひっくり返す相方が居ないのでそこは一人二役。くるくるぺったんくるぺったん、秋晴れの公園に長閑に響く餅の音。
う~ん、秋だわ……。

因幡幸子 > ~暫くして~

「………あっれ"ぇ……なんか粘りが悪くない?っかしいわね……間違ったかな?」

蒸した餅米を杵で捏ねて搗く。時々ひっくり返して搗く。そんな事を繰り返していた私の顔が曇天のように翳る。
何だか一寸思わしくないというか、お餅と言うよりは団子になっている気がしなくもない。

「……ま、何とかと秋の空って言うし?きっと団子になる運命だったのかも。それならそれでお月様にでも備えればいいし……
でも困ったな。餅が搗けないと一寸すっきりしないんだけど……あ~やっぱり餅搗き部に入っておくべきだったかなあ。」

餅搗き部。それは私の世界だったら何処の学校にもある部活。ちなみに餅搗きはオリンピックの正式種目にもなっていたりもして
私はそういう部活に入るか入らないかを迷って結局入らなかったのだった。あの時誘ってくれた男の子、結構格好良かったなあ~……。

「……っといけないいけない。過去は振り返らない振り返らない……挫けたらダメよダメ。頑張れ幸子……!」

搗かないのー?なんて外野の子供声で我に帰り、杵を振り上げて見世物じゃない事を伝えて仕切りなおし!
気持ち水を多めにしてまたもやぺったんぺったん鳴らしましょう、さんはい!

ご案内:「常世公園」にデーダインさんが現れました。
デーダイン > 常世公園でなんか、やってるっぽい。

―――餅つき大会?いや、大会っていうか、なんだろうあれは。
餅つきって一人でやるものではないというか、そもそも何か競技でもないというか…。
ともすれば……ウサミミコスプレイヤーがこう、アイドル活動的な?―――

そんなウワサを聞きつけて、やってきたのは餅つきウサギと同じくらい人目を引いてしまいそう、
或いは引かれてしまいそうな格好の不審者、こと、黒魔術教師のデーダインである。
全身黒ずくめに赤マント、オマケに顔は仮面で覆うスタイルの謎の存在が、
いつの間にかギャラリーにいて…それから、何度か躊躇の末に、
躊躇などなかったかのように堂々とマントをはためかせて、臼を挟んで対面側へやってきて、声を掛けた。

「―――そこの…………少女?…よッッ!!!」

ちょっと少女っていうのも疑問系なのは御愛嬌。
餅も温まる暑苦しい声で、因幡幸子へそう呼びかけて。

「何だか楽しそうな事をしているが……まぁいい、

ところで、お困りの―――様だなッッ!!!」

餅つき、なんかちょっと納得いかずに難航している様なので…。

因幡幸子 > 秋晴れの心地よい日に公園にて季節行事(?)に勤しむ私の前に表れたるは、爽やかな声に似合わない格好の男性だった。
……うわあこれは困ったぞきっと杵で殴っても許される相手に違いない!
そう思うや否や、粘つく餅の欠片をこびりつかせた杵を颯爽と大上段に構えるこの私!……なのだけど。

「……えっ?あ、はい。困ってるといえば困ってるのかも。お餅の粘りが何だか足りないような……。」

どうみても困った存在にしか見えない誰かに心配をされて、そういった剣呑な気配は穴の開いた風船のように萎んでしまう。
杵もゆるゆると下がって一先ずは平穏って奴かな。奇妙な仮面をじろじろと見てしまうけど、それはきっとご愛嬌。

「ま、でも貴方に言った所で……なんだけどね。水でも増やしてみようかなって思ってたんだけどー……
もしかして御餅、食べたいの?」

何処と無く容貌魁偉で色々とアレでソレな風体な仮面マンに私の可愛い顔が渋いものになる。
ただ……あの隙間からずるりと餅を吸い込むのなら、それはちょっと見てみたい。詰め込んでみたい。うずうず。そわそわ。

デーダイン > その矢先、まるでモンスターを屠るハンマーの如く持ち上がった杵!
叩き潰される!?

「―――ッッ!?!?……少女よッッ!!
待て!待ってくれッッッ!誤解だ!それでも私はやっていないッッッ!!!
そりゃあ確かに今の今までセクハラやスケベな事をギリギリアウトラインでやってはきたが!!
しかし!貴様に恨まれるようなことをしたか?!否ッッ!!断じて、否ッッ!!!
クッ!どうやら私は貧乳に殺されかけるような呪いでも掛けられている様だ…ッッ!!」

仰々しくぶんぶんローブの両腕を振りまわしてバッテンマークを作り、
杵NG!を全力で訴えかけるデーダイン。
とってもうるさい。

それから、一件落着は早かった。
ちなみに、有事の際は遠慮なく殴ってくれて大丈夫である。

「……そのようだな。……カッピカピになっていた気が…。」

などと言うデーダインの視線の方向は、浮き上がってゆっくらこと下がっていく杵の底面。

「ふむふむ、そうだな!……で、一人で餅をついている様だが、そこは大丈夫か。
……というか、そういうプレイなのか?!少女?よ……。

ッッ!……く、くれるのかね?御餅……。ツキタテ…なのだろう…ほほおぅ…。」

白い仮面の表情は読めない。
しかし、御餅くれそうな発言を匂わせられると、あからさまに嬉しそうにソワソワしだすデーダイン。

ちなみに、食事の時も器用に穴あき仮面の真っ黒ホールに食べ物を流し込むのがデーダインである。

因幡幸子 > 「……プレイって何よプレイって……あと私はきちんと少女。女の子!16歳!学校の生徒!
まあ~この世界の出身じゃないけど?この場合それは関係無いのかな。
……欲しいなら上げてもいいけどー……へえ、ほお、ふうん。」

最後の3つを訳すと「よし、やっぱ、殴ろう」である。これは試験にも出るに違いない。配点は100点満点中120点って所で――

「だぁれが、貧乳よ誰がー!その仮面前見えてないの!?あるでしょ!膨らんでるでしょ!?」

一件落着の杵先は貴様の頭蓋だー!と言わんばかりに私の手とか杵とかが会話の後々にノリツッコミの如き時間差めいて躍動するっ!
ついでにそういった動きに併せて揺れる程度にはある私の胸も!

デーダイン > 「プレイとは!即ち!

ん?

―――あっ。」

デーダインは、懲りない。
貧乳に貧乳と言ってしまった場合、高い確率で、
死ぬ!

「少女よ。ならば私も名乗ろう!私はデーダッ―――?!!?!」

デーダインは、因幡幸子の一撃でフードに物凄い一撃を喰らって、
臼に隠れる様に、沈んでいってしまった―――。
コォーンッ!!!と、まぁもう凄い良い音が響いた。
クリティカルヒット!みたいな。



―――しかし!
悪は不滅だ。
デーダインという絶対悪は、何事もなかったかのように赤マントをはためかせて、
臼を中心にさっき立っていた所から90度回ったあたりのところで、黒い炎の中から顕現した。

「―――ふう、まぁ落ち着いて聞いてくれたまえよ。少女。
残念ながらこの仮面の私にはどうやっても貴様のフクラミとやらが見えない。
どうやったら見えるのだね?御餅みたいに焼いたら膨らむんだろうか?

それとも実際にこう、触って確認させてくれたりするだろうか。こう。ホラ。」

デーダインは、それでも懲りなかった。
ごっつい白い手袋の指先がクネクネ変な動物の動きの様に曲がっている。
控えめに言って、変態的な動きとしか言いようがない。
そして頭をぶっ叩かれたショックか、完全に自己紹介を途中で終了させてた。

因幡幸子 > 秋空に快哉のような心地よい音が鳴り響き、周囲の人々のどよめきが何処か心地よい。
こうして何やら名乗りかけた失礼千万な仮面男の白い仮面は御餅のようにぐにゃんぐにゃんに――

「――はい?」

……ならない。
確かに手ごたえがあったにも関わらず仮面マンは何も無い空間から不可思議に黒く、不可思議に熱を持たない炎を伴って顕れ
最前までの爽やかな声に一糸の乱れも無く私に語りかける。

「――はいぃ?」

この世界とか島がどういう場所かって事は説明を受けている。に、しても目の前でこうもオカルトをやられると意識はそっちに
向いてしまって、仮面マンが何を言っているのか咄嗟には理解出来なかったりもするから変な声が重なるんです。
理解出来た後も重なったけど。

「焼いて膨らむ訳あるかっ!?ていうか見えないってどうやって歩いてるんですか貴方……。」

無論、私の形の良い胸を触らせる訳なんて無い。無いったら無い。
だからこうして節足動物のように蠢く指先に熱々のお餅を掴んでわしりと押し付ける事にするっ!
私?私は布巾ごしに掴んでいるからそんな火傷する程じゃあないんですよ。

デーダイン > 「クックック…驚いたかね……。
改めて、名乗ろう。私はデーダイン!
異世界より舞い降りた暗黒の化身―――即ち、暗黒神ッッッ!!!

今貴様は身を持って知ったことだろう…私は完全無欠なる絶対悪にして、永遠無窮なる深淵の暗黒の恐怖を―――ククク。

貴様らに悪の心がある限り、私は何度でも舞い戻る。そう言う事さ。
ダイン様と呼びたまえ。」

ギャラリーの阿鼻叫喚を完全無視しながら、まるでちょっと粋な手品やったったみたいな、
どやどやしい声で、やっとこさの自己紹介。

「ちなみに、学園で黒魔術の教師をしている。
それと、少女よ!幾等なんでも、今のはダメだぞッ!
私は何回殴ってくれても結構だが、他の人を殴ってはいけない。
良いかね?絶対だ!!!先生と約束したまえ。」

ビッと手袋の指を立てて因幡幸子を指差し、諭す。
デーダインは何回殴ってもいいらしい。

「焼いて膨らまないならどうするのだ!冷やすのか?!
否……ククク、やはり、餅の様についてコネコネするしかないようだな。

―――何ッ?!」

相変わらず餅をこねる要領で手袋の指先が変態的挙動で動く。
動くのだが、まるで異物を挟まれた機械の様に、デーダインの手袋の動きが停止する!
あっつあつの御餅がこう、乗っけられた。

しかし!残念な事にデーダインはごっつい手袋をしていた。
効果は今一つの様だ。

「…食べていいのかね、これ?

それとな、ちゃんと見えてるからなッッ!…貴様の胸は見えないが。


あれか、もしかして仮面外したら見えるとかいうギミックなのかそれ!」

ほっかほかの御餅をびにょんぐにーんと引っ張りつつ。

因幡幸子 > 「猿が進化したよーな存在にこぉの因幡幸子が遅れを取るなんてあってたまるもんですか。
貴方なんか信玄餅に黄粉を塗し過ぎて黒蜜の味が良く判らなくなるのがお似合いで……
ってこの流れで食べるんかいっ!いや食べていいけど……砂糖醤油で良いかしら?」

壮大で誇大妄想が焼いて膨らんだ御餅のようなダイン様こと学園教師のデーダイン。
それなりに有名らしく、彼が名乗ると周囲の人達がひそひそと幾つか噂話を零しだすのだけど
どうも本当に教鞭を執っているらしいと知れて、そうなると私の態度は急速的に軟化した。
これでも元の世界では生活態度◎なんですもの。恭しく砂糖醤油の入った小皿を差出もするの。

「……で、先生が生徒の胸を揉みしだいたら問題ですよ?」

生徒が先生の頭を杵でドツくのも問題なんだけど、そんな事は忘れたと言わんばかりに私の首が可愛らしく傾ぐ。
長い耳もゆらりと揺れる。腕を組んで胸を持ち上げるようにしてやわらかーくアピールだってしてみせる。
もし触りに来るならクロスカウンター宜しくその白い仮面に私の拳が突き刺さるのは言うまでも無い。

デーダイン > 「フハハハハッッ!!!猿も悪魔も愚かなものだよ。……クックック、貴様は因幡幸子と言うのだなッッ!覚えたぞ。
どうやら、これまた風変わりな、しかし妙に地球の平行世界から来たようだな。
何だ…見たところウサギっぽいけど。付け耳ではないのかそれ。

………黄な粉をまぶしまくる……新手の拷問かなにかかそれ。」

想像してちょっとおえってなった。例えが具体的すぎて生々しい。

「うむ、気が利くな、いや、さっき名前が上がった黒蜜とかも好きだが、とりあえずいただこう。」

手袋にひっついたアツアツの御餅をそのままくっついた状態で小皿の砂糖醤油へ付けて、
何度か前後して…それから、穴あき仮面の口の穴へすっぽり。
まるでブラックホールに吸われるかの様に黒いソコへ消えていくのだった。
行儀悪くくっついてる手袋をそのまま当てて、食いちぎった様だ。
でも、手袋に御餅は残らず綺麗に剥がれてた。

「だが、今私が抱えている悩みも大問題なのだ。
最近セクハラしなさすぎで一定以下の胸即貧乳無乳に見える病気にかかったわけでな。
病状は著しく悪く揉まないと最悪死ぬんだ。助けると思ってんな―――ッッ?!?!」

デーダインは、物理的戦闘能力は高くない。
因幡幸子のクロスカウンターが綺麗にデーダインの仮面に決まった。
まるで格闘ゲームのキャラクターみたいに気持ちいい程吹っ飛んで、後ろに倒れ込むデーダイン。

「おのれェ、因幡幸子ォ…イチドナラズ…ニドマデモォ……ッッ!」

ドンビキのギャラリーの中へノックバックされるデーダイン。
完全に自業自得であった。

因幡幸子 > 「すっごく覚えられたく無いけど憶えて貰わないと困るのが悲しい……。
正真正銘地球の月本出身の女子高生なんですよ。こっちだと日本って言うそうで吃驚しました。」

お餅を如何な不思議か綺麗に食べて、そして私の拳が綺麗に当たってこれまた綺麗に後ろに吹っ飛んでいく綺麗じゃないデーダイン先生。
……私ってこんなに力あったかしら?と少し痛む拳をじっと見つめていると、何だか機械音声みたいなお約束の恨み言が聴こえてついついと笑っちゃう。

「で……そんな厄介な病気にかかったら遠からずお亡くなりになられる日も近いと思うんですけど……。」

童話に出てくる意地の悪い兎みたいな顔でデーダイン先生に近づいてその顔というか仮面を見下ろしてみましょうか。
垂れ下がった耳はゆらゆらと動いていて、私が答えずとも質感からして本物だって判るかも。
そもこっちの世界の人間の耳の位置に耳なんか無いのだから、そういった意味でも解るかもかも。

「あと御餅の熱さも解らないような分厚い手袋越しで触っても面白く無いんじゃないですか?」

立てます?的に手を差し出して見るのはその手袋が本当に言葉の通りなのか確かめたいからって事でもあったり。

デーダイン > 「……酷いッ!流石に酷すぎるッッ!!…え、なにそれ…月本…?!
―――ふむ。と言う事は、何だろうか。月の周りを地球が回っているんだろうか……。」

とりとめもない想像をするデーダインは、仰向けに倒れて太陽の方を向いていた。
デーダインは何かにつけてオーバーリアクションな奴だ。
恐らく、因幡幸子に心当たりがない程の飛距離は、風の悪戯だろうか。

「……ま、お亡くなりになってもさっきみたいに蘇るがなッッ!!
おおおお……何だろう、貴様に殴られてからと言う物、貴様の胸元に何かが見える…気がする。
これは……!」

しかしデーダイン。本物感あふれる兎さんの生きた耳ではなく、近くに来たさっきまで見えていなかったソッチに執心の模様だ。

「んん?……何を言っている?
別に私は揉むこと自体を楽しんでいるわけではない、
揉まれた女の子の反応を楽しみたいワケだからノープロブレムッッ!!!そう言う事だよ。
というわけで揉まれてみないか!」

久しく発揮された歪み無い変態暗黒精神であった。


「……む!ありがとう。」

ごわっとしている手袋の感触。布っぽい。
結構編みこまれているのか、そんじょそこらの刃物では切れなさそうなモノである。
もっといえば、変態黒魔術師特性の妙な魔法がかかっているけど、それは因幡幸子の知るところではないだろう。
そんな手袋をすーっと差し出して、マントひらひらしながら起き上がってく。

因幡幸子 > 「いやいや先生。それを言うとこっちは太陽の周りを地球が回る事になりますよ。
名前だけですよ名前だけ……って殴られて見えるってロボットか何かなんで……?」

お話の世界の人物のように大仰に振舞うデーダイン先生をそれはそれは懐疑的に見つめました。
生憎と視線?に気付ける構造でも無いので先生の視線が揺れる耳では無く、ジャージの隙間から覗く胸だなんて気づきもせず
しっかりとした作りの手袋を握って起すのでした。

……御餅のべとつきが一切無かった事に首、傾げてしまったけど。

「それと揉まれたら恥ずかしいしくすぐったいに決まってますよ。場合によったら気持ちよくもなりますけどー
って何言わせるんですか!」

それは兎も角として先生の背中をノリツッコミの要領で叩く。

「まったく!……で、えーとどういう話をしていたんだっけ……ああ、そうだそうだ。
何で餅搗きをしていたのかって言うと、私の世界だと秋には良くこうしてたんです。
こっちに来てまだ10日くらいなので恒例行事っていうか……それでまあやらないと落ち着かないからやっていたら先生が来たって訳で。」

餅を搗いて落ち着く筈が何故かオチが着いたと一通りの御説明。
周囲の人にもそういった説明はかくかくしかじかと流してみると皆さんは散り散りになったのでした。

デーダイン > 「……太陽の周りを地球が回る?うん?太陽の周り、回ってないか?地球?
ショック療法、と言う奴だろうな。ありとあらゆる機械はナナメ45度からの壊さないチョップで治るとか言うが、あれは嘘だ。
私の知り合いにそれで電子機器壊した奴がいる。

………フハハハハッッ!!!」

なるほど、ある。…貧乳ではなかった!あれは幻だったのだ。
そう思うと、急に暗黒の笑みが零れてきた。
けれど、助けられたし素直に御礼はいっておく。

「フーハハハハッ!!!そうだろうそうだろうっ!因幡幸子!
ほれほれ!恥ずかしいだろ!くすぐったいだろぉッ!!気持ちいいだろおッッ!!
―――ぐはッッッ!」

わざとらしいダメージの声を暑苦しく。
兎も角、ノリツッコミの前のセリフはしっかり満悦した様だ。
仮面がなくても溢れる変態の力がそこかしこへ拡散した。

「すまんッッ!
ふむ。
なるほどなあ…それでか。で、公園でやっていたわけなんだな。
それにしても10日とはずいぶん短いな。こっちにも慣れておらんだろうし、
故郷での文化をせねば言うのも分かる……いやはやッ!邪魔してすまなかったよ。

純粋に多少気になったのと、何やら行き詰ってたようなので、つい、な。
呼び止めて悪かった!それとごちそうさまでした。
食うだけ食って邪魔してすまなかったな。」

そうして、食後の挨拶を一言。
皆皆納得して、先程まで見世物みたいになってた餅つきも、やっと落ち着きで、
普段通りの公園の姿に…臼と杵がやけに目立つけども。
そういえば、コレどっから持って来たのだろうか、因幡幸子。

「詫びと言っては何だが、知り合った縁だ。
何かしら困った事があれば尋ねて来ると良いだろう。
私は大体―――棟、―――職員室に居るのでな。」

自分の所在地を言っておく。
もっとも、こんなセクハラ教師イヤだと思われても完全に自業自得なのでしょうがない。

「そろそろ私は授業なので―――これにて失礼しようッッ!
縁があったら、また会おうではないかッ!!」

赤いマントを翻して、因幡幸子に背を向けて公園を後にするだろう。
ただ、因幡幸子のクロスカウンターを喰らってひっくり返った時に、
砂で汚れた赤マントが無様にひらひらしていたのであった―――。

ご案内:「常世公園」からデーダインさんが去りました。
因幡幸子 > 「…………ぁ。」

デーダイン先生の指摘に小さく声が零れた。
太陽の周りは確かに回っている。私ったら一体何をと宛らショック療法を施されたかのように足元がよろめくけれど
此処で倒れると何某かが壊した電子機器が想起されて縁起が悪い。耐えろ、耐えるんだ私。
よし、先生のダメージ的音声が私に染み入って耐え切れた。

「ええ、そうなんですよ。いやあ殆どは私の世界と変わらないので慣れてるといえば慣れてるというかー……
ただ、私の世界で言う人間って皆"こう"なので、そーゆー意味では吃驚ですね、はい。」

それからの事。
双方落ち着いてからの事。
こう、の示す先は私の耳であったりジャージから覗く丸い尾であったりで
説明を添える私は苦笑いを浮かべ、何処か申し訳無さそうに聴こえるデーダイン先生の声から察するに
向こうも仮面の下では苦笑いをしていそうだなって思ったりもする。

「困った事……なんと先生と知り合った事に困っています――なんて、冗談ですよ。じょ う だ ん♡」

赤いマントを翻して立ち去る姿を見送って、何処か邪険に仕切れないのはきっと中途半端な御餅を御馳走様と言ってくれたからかもしれない。
でもそういった気持ちは秋空のようにころころと変わって、次会う時にはきっと判らないの。

「さってっとー……それじゃ!私も帰りましょっと。」

この後台車の上に臼を独りで乗せるべく、地獄の悪鬼のように唸り奮戦する私の姿が公園にあったとか無いとか。
とっぴんぱらりのぷー。

ご案内:「常世公園」から因幡幸子さんが去りました。