2016/11/15 のログ
ご案内:「常世公園」にローリーさんが現れました。
■ローリー > 夕暮れ時の常世公園。
いつからそこに居たのか,ベンチの横に車椅子の老人が佇んでいる。
まだ老人と言うべき歳ではないかもしれないが,刻み込まれたような皺と,車椅子の風貌では誰もがそう感じるだろう。
「…………………。」
老人は疲れ果てた表情で車椅子に深く腰掛け,煙草を吹かす。
何を見るでもなく,何を聞くでもない。
少なくともこの公園には見るべきものも無いし,聞くべき音も無い。
「…………静かだ。」
こんな静かな場所は,なかなか無い。
全ての雑音から解放され,全ての苦痛から逃れたような気分になる。
■ローリー > これが夢なら,今頃,俺は立ち上がって歩き回っているはずだ。
だが,この足は動かない。
これが夢なら,今頃,誰かと馬鹿な話でもしているはずだ。
だが,話し相手も居ない。
「神だか父だか知らんが,もう少しサービスしろよ。」
ため息交じりに悪態をついて,吸殻を放る。
彼自身,今の自分を取り巻く状況が何一つ理解できてはいなかった。
けれど一つも取り乱してすらいないのは,
彼が現実の世界から離れることを,常に望み続けていたからに他ならない。
■ローリー > 二本目の煙草を取り出してから,ライターが手元に無いことに気付いた。
ポケットを探るが,入っていない。
ため息を吐いてから,車椅子のリクライニングを少し倒して,夕焼けの空を見上げた。
「ライターと,それからウィスキー,それと健康な足を。
ついでに老人の話を聞いてくれる話し相手が欲しいんだが…。」
そう自由にはならんか。なんて,自嘲気味に笑う。
ご案内:「常世公園」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 「………はぁ」
常世祭は、島の表舞台を一斉に非日常に塗り替える。
いつも休憩に使っていたカフェテラスも、気分転換の魔術練習に立ち寄る演習場すらも。
賑やかなのは嫌いではないが、あまり慣れていない。
少々疲れた気分になった蘭は、たまたまイベントが行われておらず、空いていた公演に立ち寄ったのだが…
「………あら?」
ベンチの横に、車椅子に乗った見慣れぬ男性がいる。歳の頃は…自分の祖父と同じか、少し若いくらいだろうか。
彼の手が火のついていない煙草を弄んでいるのを、見る。
「………火が、ご入用ですか?」
恐る恐る近づいて、そう尋ねた。
■ローリー > 「……ん?」
僅かも期待などしてはいなかったが,声は自分に向けられていた。
何とも,都合の良いことだ。
「……あぁ,酷使した所為かライターが逃げだしてな。」
そんな冗談を言いながらも,リクライニングを起こして視線を向ける。
…その動作からすぐに,この老人が下半身不随だと分かるだろう。
■美澄 蘭 > 「…ライター、帰ってくるといいですね」
男性が軽口を叩けば、柔らかい苦笑いを浮かべて受ける。
…そして、
「…えぇっと、煙草に火をつけるなら…」
と呟きながら目を閉じ、右の掌を天に向けて、軽く握ったり開いたりを繰り返す。
(ああ、詠唱は「しちゃいけない」わね)なんて結論を出してから…
「…ファイア」
と、澄んだ声で呟く。少女の右の掌の中央から、ロウソクほどの長さと細さの炎が立ち上った。
「…どうぞ」
男性の方に右手を近づけると、掌の上の細長い炎が、それに伴って彼の手の届く範囲まで近づく。
■ローリー > 「いや,必要な時に現れんような奴はクビだ。」
小さく肩をすくめて冗談を重ね,車椅子を器用に動かして身体を貴方のほうへ向けた。
貴方のような少女がライターを持っているなんて珍しい,なんて思っていたが,
実際のところは,この老人の想像を遥かに凌駕して……
「……おいおい,嬢ちゃん。」
火をもらいながらも,本気か?という顔で見つめる。
どうやらこの老人にとって,魔法は縁の遠いものであるらしい。
貴方のほうへ煙が流れないように,気を付けながらそれを吐き出して…
「つまり,ここは,ハリーポッターだとか,そういう場所なんだな。」
老人の知識の中で,最も適切であろう類例に当てはめて,苦笑した。
■美澄 蘭 > 「…そうやって、何個のライターをクビにしてきたんですか?」
くすくすと、おかしげな笑みを零した。
男性の重ねる冗談に、少女の表情は幾分和らいできたように見える。
男性が煙草に火をつければ、火を消して手を自分の方に引き戻すが…
「ハリーポッター、古典ですよね。
母が買い揃えていたので、中学校の時に原書でも読みましたよ。英語の良い勉強になりました」
ハリーポッターが「古典」。そして、「英語の良い勉強」。
少女の言を信じるならば、ここはローリーの知る「現実」と地続きで…そして、非英語圏ということになるだろうか。
…と、本の話をしたところで、「あれ?」と首を傾げる少女。
「………すみません、えーっと…
ハリーポッターを知ってて、でも、「これ」はご存じない、ですか?」
少女は、水か何かを受けるかのように両掌を持ち上げると…その上に、水の球を作って、浮かべてみせた。
「………《大変容》以降に現実になった、「魔術」なんですけど」
そう言って水をふよふよと掌で浮かべながらも、ローリーの認識が、この世界のあり方から「ずれている」と感じて、困惑の表情を浮かべている。
■ローリー > 「……ファンタジー小説の読みすぎか。」
貴方の言葉を聞いて,それから浮かべられた水球を見て,
老人は肩をすくめたまま,小さくそうつぶやいた。
「なに,嬢ちゃんにとってはここが現実なんだろうが,
どうやら,ここは俺にとって“御伽噺の国”らしくてなぁ。」
まいったまいった。と言いつつも,老人は楽しげに笑っていた。
その言葉だけを見るのなら,状況だけをとらえるのなら,この老人は異邦人の類ということになるだろう。
「さて,それじゃ,何も知らん老人にここが何処だか教えてもらえるかな,親切な嬢ちゃん。」
■美澄 蘭 > 「ファンタジー小説の読み過ぎ」という言葉に、少女は訝るように口を尖らせたが…
続く言葉に、納得の表情を浮かべる。
「…ここは日本にほど近い、常世島という島です。
21世紀の初め頃に、さっき言った《大変容》があって、「ファンタジー」だと思われてたものが、次々現実になって…
ここは、今までの世界と「ファンタジー」の折り合いを付けるための社会実験の街で、学園都市なんです」
と、まっすぐな瞳で、真摯に語った。これで口からでまかせなら大した度胸である。
男性が時代を聞けば、少女は21世紀後半の西暦を告げることだろう。
■ローリー > 貴方のまっすぐな瞳と,それから真摯な口調。それだけで十分だった。
少なくとも,ここが21世紀初頭のロンドンでないことだけは確かで,
それはこの老人にとって,喜ばしいことでさえあった。
「なるほど,それで嬢ちゃんはその学園都市の生徒だと?
これは面白いファンタジー小説が書けそうな話だ……いや,嬢ちゃんにとっては“現実”か。」
それを知らぬ貴方から見れば,受け入れるのが早すぎる,とさえ感じるかもしれない。
それを老人の余裕と取るか,違和感と取るかは貴方次第だが…
「俺はスティーヴン=ローリーだ。
俺がこの世界で初めて出会った嬢ちゃんの名前を聞いても?」
■美澄 蘭 > 「ええ…一般教養と魔術と、音楽を勉強しています。
………私は割と「今までの世界」側の人間なので、あんまり面白い題材にはなりませんよ」
身分を尋ねられれば頷くが、「面白いファンタジー小説が書けそうだ」と男性が言えば、苦笑いで謙遜する。
先ほどの仕草から、男性が車椅子に乗っているのが「一時の事情」ではないことは伺えた。
だから、この男性が「ファンタジー」の中に希望を見出すのならば、それも悪いことではないと…男性の事情を鑑みる能力のない自分には、下手な口を出す筋合いはないだろうと踏んで。
「ローリーさん、ですね。
私は美澄 蘭(みすみ らん)です。…日本式なので、ファミリーネームが最初にきます。」
そう、社交のためにする微笑を口元にたたえて、名乗った。
■ローリー > 「まぁ,確かに主人公という風でもないし,ヒロインにするには少しばかり硬いな。」
無遠慮にそう告げる言葉とともに,老人は笑った。
冗談とも単なる皮肉とも取れるが,悪気があるようには見えない。
老人は目敏く,貴方の哀れみにも似た視線を感じ取ったが,それはもはや,いつものことだ。
いちいち気にするほど若くもないし,繊細にもなれない。
「良い名だが,ファミリーネームが先に来るというのは,どうにも慣れん。
それに,最近は物覚えがあまり良くないものでな。
蘭,という名前くらいなら,次に会った時にも覚えていられるだろうさ。」
■美澄 蘭 > 「…年齢差がこれだけあったら、こんなものだと思いますけど」
少しばかり硬いと言われれば、そう言って苦笑する。
それから、浮かべていた水球を跡形もなく消して、自らの手を自由にした。
男性が自らの視線から何を読み取ったかは、まだ気付かず。
「名前のあり方も、言葉とか文化によりますものね。
…個人名だけ覚えてもらえれば、十分ですよ」
そう言って人の良さそうな笑みを浮かべれば、哀れみに似た視線は随分和らいだ。
■ローリー > 貴方が老人を見て何を思ったとしても,その視線にどんな思いがこもったとしても,
少なくともこうして話し相手になってくれているという時点で,老人にとっては有難いことだった。
これが自分にとって夢の中の出来事だとしても,御伽噺の中の出来事だとしても,
今は,孤独を感じずに,済むのだから。
「それもそうだ,無教養な娘より,よほど好感が持てる。
……おっと,老人が上から物を言うようでは,お終いだな。」
吸い終わった煙草を,投げ捨てることはしなかった。
貴方の視線を気にしてのことだろう…その程度の常識は,さすがにあるらしい。
「年寄りは何もかも忘れているかも知れんから,もう一度名前を聞いても怒らんでくれよ?」
■美澄 蘭 > 男性の孤独を、少女は知らない。
だから、自らの老いを自嘲する男性に、無邪気に…しかし、穏やかに笑いかけた。
「技術とか知識の部分で、正当性が感じられれば気にしませんよ。
中学校の頃から、「先生」とのお付き合いにはそれなりに慣れてますし」
少女は、男性の過去を知らない。
だから、その育ちの良さで、残酷なまでに無邪気に受け止めた。
「…何もかも忘れるようなお歳には見えませんけど、肝に銘じておきます」
そして、「忘れていても怒るな」と言われれば、少しだけ茶目っ気を覗かせて、笑った。
■ローリー > その無邪気さが,老人を苦しめることはない。
これが夢だと思っているからこそ,老人はそれを受け止めることができた。
「いやいや,どちらも無いやつほど,威張りたがるだろう?」
そして,自分自身を棚に上げて,皮肉を漏らすこともできた。
正しくそれは現実逃避であったが,この老人はそれをこそ望んでいたのだから。
「そりゃ有難い。…ついでに火をもう1回貰えないか?」
…年寄りを自称する割りに,吸いすぎである。
■美澄 蘭 > 「…それは、年齢の上下に関係なくそうですよ。
年齢が上の方ほど、周りが指摘出来なくなるだけです」
そう言って、口元には笑みを残しながらも眉を寄せる少女。
この若さで、何か思うところでもあるというのだろうか。夢にしては、随分と生々しい。
「………それで、今日何本目ですか?」
火をもう一度、と言われれば、そう言って苦笑する。
煙草を吸い終わって間もなく火を要求する…いわゆる「チェーンスモーカー」の部類だろう。
不健康まっしぐらをいさめるかのように。
■ローリー > 「なかなか言うじゃないか,嬢ちゃんの言う通りだ。
そのまま誰も指摘してくれんようになれば,独裁者になれるな。」
誰も見向きもしないがね,と肩をすくめて笑う。
どれほどの現実味があろうとも,これは現実ではない。
少なくともあの苦痛に満ちた現実世界ではないのだから,それで良かった。
「おいおい,そんな寂しい事を言わんでくれ。
ちゃんと数えているぞ……39本目だ。」
えらく記憶のしっかりした自称年寄りである。
そして,なんだかんだといって,39本は多い。
■美澄 蘭 > 「………それは…とても、寂しいでしょうね」
肩をすくめて笑う男性と対照的に、視線をふっと下げる少女。
ちょうど、2ヶ月近く前に、そんな印象を抱かせる登場人物…といっても、回想的な部分だけだが…が出てくる小説を読んだばかりで、そういったことを考えることが増えていたのだ。
………いつか、自分もそんな「孤独」の中に、身を置くことになるのではないかと。
だが、ローリーがやたら具体的に…しかも、非常に多い本数を申告すれば、ふっと吹き出して。
「大体二箱分じゃないですかそれ。吸い過ぎですよ。
今日はもう駄目です」
と、朗らかな笑いを公園に、少しだけ響かせた。
■ローリー > 「死にたくなるくらいにな。」
その言葉には,一切の悲壮感が含まれなかった。
そこにある事実をただ伝えただけであるかのような,そんな言葉だった。
そこから貴方が何を感じ取るかは,貴方次第だが…
「…あと1本吸えば,切りのいい数字になる,とは考えられんか?」
そんな風に,貴方の“指摘”になおも食い下がる老人は,どこか,楽しそうだった。
■美澄 蘭 > 「………そんなに…ですか…」
一切の悲壮感が含まずに男性の口から発された「死にたくなるくらい」という言葉に、その重みを感じて押し黙る蘭。
ひとりぼっちの帝国が虚しいとか、そういう次元ではなく。目の前の彼は、「独裁者」になりきる前に放り出されてしまったかのようで…。
「そんなきりの良さ、必要ないどころか有害ですよね?」
だが、それとこれとは別の話である。ローリーが楽しげにするのと対照的に、どこかうんざりしたかのように溜息を吐きながら首を横に振った。
■ローリー > 「なんだ,独裁者に興味でもあるのか?」
貴方の表情や,その言動に老人はそうとだけ問いを投げた。
感受性の良さは年齢相応のものだろうが,それ以上に,貴方は何か遠くにまで思いを馳せているような気がした。
「……取り付く島も無いとはこのことだな。」
一方で,煙草の火攻防戦は蘭の圧勝であった。
というよりも,老人に貴方を陥落させる気はなかったのかもしれない。
こうした他愛ないやり取りを,老人は楽しんでいるようでさえあった。
■美澄 蘭 > 「興味というか…自分が、そうなってしまうのは怖いな、って思ってるだけです」
「大したことじゃありませんよ」と言って首を横に振るが、その顔に浮かぶのは苦みを多分に含んだ笑み。
「ローリーさんのお身体のことを気にしてるんです。
せっかく頭はしっかりしていらっしゃるんですから」
圧勝したといっても、そこにあるのはそこはかとない徒労感。
呆れたように息をつき…
「…まあ、ご自身で魔術を学ばれて、好きになさる分には止めませんけど」
と、付け足した。
■ローリー > 「おいおい,老人の魔法使い見習いなど,絵にならん。」
楽しげに笑って,まだ火の残っている吸殻に息を吹きかける。
それを押し当てるようにして,40本目の煙草に点火してしまった。
「……こうやって人の忠告を聞かんでいると,近付いてしまうだろうよ。
忠告など,してやりたくもなくなるだろう?」
貴方にそれを見せるために敢えてそんなことをしたのだろうか。
火のついた煙草を手に持って,老人は貴方をまっすぐに見る。
■美澄 蘭 > 「………。」
火の残っている吸殻を利用して40本目の煙草に点火する様に、「うげ」という声でも聞こえてきそうなほどの驚愕の表情を浮かべる。
…そうしてみせてから、わざわざ自分に向けてまっすぐに問いかけてくる男性。
一旦目を伏せて、深い溜息を吐く。
…それでも、再度男性の顔を見返して…
「「試し行動」が許されるのは若者の特権だ、というお話なら分からなくもないですけど。
………それで、ローリーさんはどうしたいんですか?」
先ほどまでの「イイコ」の外面はどこへやら、という風情のしかめっ面。
それでも、少女の瞳は男性から背けられはしなかった。
■ローリー > 貴方の表情や,その言葉に老人は笑う。
「さて,嬢ちゃんがどんな表情をするものかと思った。」
煙草を吸うことはせずに,それを揉み消してしまう。
本当に,貴方を試しただけだったようで…
「…というのは冗談だ。
捻くれ者でどうしようもない年寄りは,説教が苦手でな。
嬢ちゃんが寂しい思いをせんよう教えてやりたいが,こんな方法しか思いつかなかった。」
そう言って,小さく肩をすくめた。
…この老人はそうやって,すべての忠告を無視して生きてきたのかもしれない。
その結果が,今のこの老人なのだとすれば,その忠告には聞くべきところがあるだろう。
一方で,老人自身はそれを,もはやどうすることもできないものとして諦めているようだった。
■美澄 蘭 > 「………。」
「どんな表情をするものかと思った」と言われれば、憤懣で少女の顎に力が入るが、冗談と分かればそれが緩む。深いため息がまた1つ。
「………お歳を召された分、まっすぐな言葉の使い方なんて、いくらでも思いつきそうなものですけど」
先ほどの口ぶりから、教養のない人物とは思えなかった。多分、「試したかっただけ」の比重の方が大きいと蘭は踏んだ。
…そして、それほどの「孤独」の中に、この男性はこれまで身を置いていたのではないかという、想像が働く。
「………せっかく学園都市に来たんですから、生徒なり教師なりで身分の申請をされたらどうですか?
こんな、つまらない女子学生1人試して喜んでるより…よっぽど良い「暇つぶし」が出来ると思いますよ」
そう言って、公園の道の先…委員会棟の高い建物の方を、視線で指す。
「今は大規模なお祭り中なので、行くの大変ですけど…そこまでの介助くらいなら、頑張りますし」
■ローリー > 「すまんすまん,気分を悪くしたなら謝ろう。」
思ったよりも表情豊かだったことを,老人はあえて指摘せずにおいた。
それは,貴方の提案が老人にとって好都合だったこともあるし,
貴方に不愉快な思いをさせることが目的ではないということもある。
「しかし,そうか…俺も,道も分からず,少しばかり困っていたのは事実でな。
世話になり過ぎてしまうが,一つ,頼んでも構わんか?」
素直にそう頼んで,それから…
「…勿論だが,礼はさせてもらうよ。
年寄りは,若者に小遣いをやりたがるものだ。」
そんな風に言って,笑った。
この老人は貴方に頼り切るのではなく,自分でも車椅子を操作するだろう。
着いた後に貴方が“小遣い”を受け取らないだろうことは想像できたので,
途中の屋台に寄って,貴方に渡すための菓子を買ったりしながら…。
ご案内:「常世公園」からローリーさんが去りました。
■美澄 蘭 > 「…私だって、人並みの感情くらいはありますよ」
軽くむすっとした表情を浮かべて。
人並みどころか、最初の「イイコ」ぶりからすれば、相当な感情の豊かさである。
こちらの方が、少女の素なのだろう。
「気にしないで下さい…ここに来たばかりの人の時間を、浪費させてるのも気分が良くないですから」
本音を言えば、孤独と諦観の中に人を置いておくことに堪え難かった方が近いが。
その辺は包み隠して、穏やかに笑った。ひねくれと自称するが、そこまで強情でない相手で助かったと蘭は思った。
「礼?別に良いですよ、先にここに来てる人間の、ちょっとしたお節介なんですから」
そう言って朗らかに笑い返し、男性の車椅子移動を介助したりしながら、委員会街に向かうだろう。
屋台で買う菓子を押し付けられたりとかでわたわたするのは、また別の話。
ご案内:「常世公園」から美澄 蘭さんが去りました。