2016/12/09 のログ
ご案内:「常世公園」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 > 公園。
子供も、もう家に帰るころ――
といっても、もう冬。日も暗くなるころ

黄昏。
クロとダイダイが混ざるころ合い。
そこに一人、ぎぃぎぃっとブランコを揺らす少女が一人。

「――……」

ほぉっと息を吐いて。顔を襟にうずめる。
寒いから。

そう、寒い、から――

ご案内:「常世公園」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > 夕方。
寒空の下を烏丸は家へと向かっていた。
まったく、寒さも随分本格的になってきた。
夕飯は鍋がいい、鍋にしようか、等と考えつつ歩いていると

「……ん?」

公園のブランコに、見知った少女。
あぁ、懐かしい。彼女は……

「……久しぶりだね、はるかちゃん」

近づきながら声をかけ

伊都波 悠薇 >  
――声がかけられる。
こんなに、こんなに寒い日なのに。
こんなに、こんなに、”サムイ”日なのに。

それに――

「――さよなら、なんて「カッコつけたのに。どうしたんですか、こんなところで」

らしくない、そんなニュアンスで。
なぜなら、烏丸という男性は。男だから。
だから――かっこよく、いなくなって。もう会わないと思っていたから――……

「久しぶりですね、烏丸さん」

はぁっと息を吐きながら。顔を上げて――

「買い物ですか? それとも、お散歩ですか?」

烏丸秀 > 言われれば言葉も無い。
確かに格好つけてこれである。
だが。

「んー、でもほら。ボク、しつこいからね」

くすくすと笑いながら言う。
まぁ、しつこくなければナンパなどやってられないのだ。

「お久しぶり。うん、晩御飯をね。鍋にしようかなって思って、買い物に」

近くの棒に腰掛けながら

「はるかちゃんはどうしたの。こんな所で?」

伊都波 悠薇 >  
「――そうですね。しつこいって、お姉ちゃんに言われそうです」

くすりと笑う。また、違う色。
前の、最後に烏丸に見せた”狂気―あか―”ではなく別の。

「鍋。いいですね。エビとか入れた、寄せ鍋。お肉もいっぱいあると、お姉ちゃんが喜びます」

鍋と聞けば、メニューが浮かぶ。
寄せ鍋。自分は肉より、エビより――くずきりが好きだったりする。

「――ちょっと、考え事です。いろいろと」

そう、いろいろと。
姉のこととか、とある他人ではなくなりそうな、人とか――
そして――……

烏丸秀 > 「凜霞は元気? ここ最近は入院してたせいか、ぜんぜんうわさを聞かないんだよねぇ」

なるほど。
彼女はあの時のような、狂気にとらわれては居ない。
けど、決定的に――

「うん、いいね、寄せ鍋。時間があれば鳥の水炊きにするんだけど、あれ、時間がかかるんだよねぇ」

烏丸の好みは、白濁するほどじっくり煮込んだ鳥出汁で作った水炊き。
今度レイと一緒に作るとしよう。

「ん、色々、ね――なるほど、ちょっと悩んでそうだね」

伊都波 悠薇 >  
「……入院? 烏丸さんが?」

ぱちくり。意外だった。
だって――ケガとか、一番似合わない言葉だったから。

「――かっこ、つけてたんですか?」

でも彼は男性だ、男性はなんだかんだで傷が勲章。
そういったところがあったりするのは意外だったけど――

彼にも何かあったのだろうか。

「水炊き、おいしいですよね。水で炊くのが、ポイントなんですっけ?」

ぎぃぎぃ、ブランコが静かに少しだけ揺れる。

「――悩んでる、というよりは。なんというか」

苦笑――そして。

「世界が、違うんですよね。見えてる、画像が――フィルターが……」

烏丸秀 > 「うん、入院。ちょっとね、ある子をからかいすぎてね」

それで手痛い反撃を食らっちゃった、と。
苦笑しながらバラす。
傷は男の勲章などと言うつもりもないし、完全に烏丸の自業自得な事件である。

「そうそう。水でじっくり鶏肉を炊いてね。その出汁でお鍋をするの、美味しいよ。灰汁を掬うのが面倒なんだけど」

しかし彼女の言葉を聞いて。

世界が違う。
見ているもの。
感じるものが、違う。

「それは、凜霞との事かな?」