2017/02/10 のログ
ご案内:「常世公園」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 年が明け、あっという間にひと月経って。
2月も1週間以上過ぎた、そんな冬の日。常世島は相変わらず寒かった。
……寒かったのだが。
「あっつー……」
全身から湯気を立ち上らせながら、公園のベンチに横たわる少年が居た。
2月に入ってから寒い日が続く中、今日はまた一段と寒かった。寒かったから。
ちょっと気合を入れていつもの倍くらいの距離と速さで突っ走ってみたら。
小柄な体はあっという間にオーバーヒートして、蒸気機関の様に湯気を発していた。
そんな冬の日。
■東雲七生 > 「服……着なきゃ……」
夏場ならこのまま家までシャツ一枚で良いのだけれど、流石に真冬ではそうはいかない。
暖まるのが早い分、冷めるのも早いのだ。とてつもなく。
こういう時、もっと自分の身体が大きければ熱も逃げにくいのだろうか、
とかぼんやり考えながら、ベンチの背に掛けていたジャージを羽織る。
少しだけ熱がこもって鬱陶しいが、それもすぐ気にならなくなった。
「……うぅ、さむっ」
熱がったり寒がったり我ながらどっちだよ、と七生は苦笑を浮かべる。
ご案内:「常世公園」にクロノさんが現れました。
■東雲七生 > ジャージをしっかり着込んでから再びベンチに横たわる。
運動し終えたばかりでまだ頭がぽーっとしていた。
この感覚が抜けたら何をしようか、そんな事を考えながら横になった世界を眺める。
そういえばバレンタインがもう僅かに迫ってきているらしい。
去年の今頃は何をしてたっけ、とぼんやり考えて。
結局、今年とそんなに変わらないんじゃなかったか、と思い出した。
毎日毎年同じことの繰り返し。継続は力なり、とはいうものの、いまいち力になってる気がしない。
「あと2年、か……。」
■クロノ > (冬も本番…とはいいつつ節分を過ぎて、暦の上では春のスイッチが入った頃なんだけど。それでも街の空気はまだひんやりと冷たくて、鋼鉄の少年はキンッキンに冷えている。)
……♪~ ……♪~
(仕事上がりに古書店街に行って、いくつか古本を買ってきたその帰り道。養護教諭兼公務補ロボットはしかし、同い年くらいの学生たちが使っているのと同じような鞄に本日の収穫品を詰めて、ご機嫌な様子で鼻唄混じりにのんびりと歩いていた。ジーガシャ、ジーガシャ、と単調に繰り返される個性的な駆動音と足音、そして胸の小型エンジンが元気に回る音と、背中の排気筒から吹き上がる排ガス。)
■東雲七生 > 遠くの方でやたら機械的な音がする。
ブランコの軋む音にしては大きく規則的過ぎるし、何より重い。
横たわったまま七生は目を瞑り、耳を澄ませた。
廃品回収の車にしてはタイヤという感じではない。
まるで人の歩いている様な……実際に足音なのだろう。
それに僅かな排ガスの匂い。
今目を開けて上体を起こして通りを覗けばその正体は判明するのだろうが、如何せんまだ動きたくない。
クールタイム中である。
■クロノ > ……♪~ …ぁ。
(街灯の下、ベンチに寝転がって冷えている最中の人影を認識したロボットは、数秒の間立ち止まってその人物のデータをロードし、すぐにニコニコ顔で歩み寄って。)
…七生、そんな格好で寝てたら、風邪引いちゃうよー?
(とはいえ相手の服装が物語るように運動直後なのだろうし、寒さに震えているようでも無さそうなので、然程心配するでもなく。)
…ランニング上がり?…お疲れさま。
(眼を閉じてクールダウン中の相手の隣にそっと腰を下ろして、労いの一言。歩行から着座に状態が変わったロボットは、エンジンを止めてバッテリー駆動に切り替える。鋼鉄の心臓から鳴り響く騒音が消えれば、周囲の静寂もより一層感じられるか。)
■東雲七生 > 「んん……」
油断するとそのまま疲労感に引き摺られて微睡みそうになって、七生は目を開けた。
声を掛けられた様な気がした、程度には意識もふわふわしていたが、目を開けた先に見慣れた姿を認めれば、
ふわぁ、と猫の様に欠伸をして身を起こす。
「クロノ……ういっす、おつありっす。
誰か歩いてんなーって思ったら、クロノだったのか。」
膝に掛けていたウィンドブレーカーを羽織ってベンチに座り直す。
ぐるっと首を回して眠気を追い払ってから、ふぅ、と息を吐いた。
■クロノ > …んふふ、どういたしまして。帰ったら熱いお風呂でさっぱり、だね。
(運動のあとの心地よい疲労感…機械である男の子には分かるんだか分からないんだか謎だけど、とりあえず人類と言う生き物はそういう感覚を有している、ということは知っている様子。)
…ふふふ、足音だけでもバレバレなくらい、隠れたり誤魔化すのは苦手だよ。
(とりわけ、自分と同じような存在の少ないこの街では、と。相手の隣で両腕をぐーっと空に伸ばして、ん~!!と伸びをする仕草は見た目の割に人間臭いし、深呼吸してふぅ、と同じように息を吐くけど、残念ながら温かい水分を含んだ吐息の白さまでは真似できないらしい。)
■東雲七生 > 「風呂かあー……準備、出来てれば良いなあ。
家出る前に洗って来たから、気を利かせて沸かしといて貰えればいいんだけど。」
クロノの言葉に大きく頷きながら、思いを馳せる。
こればかりは同居人の気分次第だ。あんまり自分に対して気を使うような性分ではない気もするけれど……。
「だよなー……独特だもんな。
まあでも、あんまり隠れたりっていう状況にならないっしょ?」
流石にかくれんぼをしたりはしないだろうし、仮に隠れるのが苦手でも鬼としてはこの上ない存在感を放てるだろうと七生は思う。
自分が隠れている時にあの足音はかなり緊張すると思う、と。