2017/03/17 のログ
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■和元月香 > 目の前の男子生徒はとても良い人だった。
(別にこいつ絶対悪い奴やって思って言った訳じゃないけどね…、うん。言いざるを得ないと言いますか…!!)
「あー、うー…。あ、ありがとです」
…出来れば空間魔術でそこにある自動販売機で頭ぶつさせけて記憶飛ばせたいなー、とかなり危ない思考に陥りかけたが、そこは自重する月香。
更に、機械音の正体には思わずギョッとする。
ロボット。でも最近カフェテラスできゃっきゃうふふした、癒し系ロボットとは格が違った。何かヤバい。
しかも何かヤバいロボットさん(仮)によると、今月香が声を掛けた男子生徒もかなりヤバいらしい。
「え…。ヒ、ヒットマン?ガンマン?そ、狙撃…。うぉぉ…」
どこか人によってはドン引きしてるようには見える反応。
(何それカッケー!)
…月香はただ感動してるだけなのだが。
■イチゴウ > 「ハハ。噂といっても風紀の狙撃チーム内でって話さ。それに悪い噂じゃないから安心してくれよ。」
イチゴウは目の前の風紀委員に対してそう答える。
それにしてもそんな事を聞くとはこの風紀委員は噂と聞いて心配していたのだろうか?
無表情なので感情を読み取る事が難しい。
そして横にいる少女。
この風紀委員がライフルマンと知って
驚いているようだ。まあ無理もない。
まあ実際に少女が思っている事は違うのだが
心を読む事など出来ないイチゴウに分かるはずもない。
そしてまたライフルマンに声をかける。
「どれほどの腕かはわからないが
狙撃チームの奴らが噂にするとなると
相当な腕である事は確かだな。」
狙撃のエリート達がスゴ腕と称賛する腕前なのだ。
かなり興味がある。
するとイチゴウは彼のライフルケースを見て
「ライフルは自前なのか。もしよかったら
見せてくれないか?」
奇妙な四足ロボットは
かなり無茶な要求をライフルマンにぶつけていく。
■飛鷹与一 > 「あ、ハイどういたしまして…?」
やや半疑問系な切り返しを少女にしてしまったが、まぁこの件については解決したという事にしよう。
彼女も掘り返されたくないだろうし、ここはきっぱり切り替えていくのがベストだ。
まさか、彼女が物騒な事を考えかけていたとまでは気付きもしない。心が読める訳ではないのだ。
「……あ、成る程。…いや、どちらにしろ目立ってるじゃないですかソレ。
それに、俺はまだ特定の課に所属している訳ではないので…」
無表情ではあるが、若干苦笑いに近い響きが声に混じるかもしれない。
この四足ロボットさんの弁では、どうも風紀の狙撃のスペシャリスト達からは一目置かれているらしい。
(…いや、そういう人達と俺、全然交流とか無いんですけどね!?)
あと、いきなり何か非常識な事を頼まれた気がする。自分の腕前については曖昧に濁しつつも…。
「……いえ、流石にここで仕事でもないのに銃を出すのはちょっと…演習場とかの訓練施設ならまだしも」
と、彼からの無茶振りに一度チラリ、と背負ったライフルケースを見てからそちらに視線を戻す。
口調は冷静で落ち着いている。と、いうかこちらは至極全うな切り返しであると思いたい。
あと、そちらの少女が引いてるんですが完全に誤解されてませんかね俺!
「…あの、ヒットマンとかではなく狙撃で後方支援とかそんな役回りですからハイ。
それに、使う銃弾は非殺傷式のモノなんで…実弾とかではないです」
と、少女にそう軽く説明しておく。彼女が内心でカッケーと思っているとは知らず、完全にドン引きされていると思い込んでいた。
■和元月香 > 「…風紀?あぁ、君ら風紀委員会の人達ですか。ふんふん。
………ロボットさんも?」
赤い制服を見れば最初に気付くべきなのだが、生憎転入してから日の浅い月香はヤバいロボットさん(仮)の言葉に納得したように頷いた。
…だが、直後失礼に値する程に露骨に疑わしげな目線を向けるのはヤバいロボットさん(仮)に。
(永い間培ってきた私の勘が言っている、こいつ風紀を重んじる奴では無いと…!)
…もっとヤバい奴だ。
まぁ、もしかしたら別に風紀に入りたくて入った訳じゃないのかもしれないし、実際自分には関係ない訳で。
嘘のように切り替えていつもの表情に戻る。
「…へーえ。そうなんだ…。
てっきりこう…。極悪犯を気付かれないぐらいの遠距離で撃ち殺すのかと…。
…非殺傷式でも、目に入ったらヤバくないの?」
ちょっとがっかりしたように少々えげつない事を呟く月香の様子から、さっきの様子は引いていたのでは無いと分かるかもしれない。
でも興味を惹かれたのか、わくわくしながらそう尋ねてみる。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■イチゴウ > 「すまない熱くなりすぎたよ。
確かにここで銃器を見せびらかす訳にはいかないな。」
イチゴウは冷静に場所を分析した上で
このライフルマンへの無茶振りを反省する。
普通は場所を見極めてから行動に移すものだが
今の彼は行動が完全に逆である。
「銃器は見せられなくとも何を使っているかは
言えないかな?いや、狙撃チームの連中は
M82っつう大口径の対物ライフルを使っているから
もしかしてキミも同じのを使ってるのかなと
気になったもんで。」
反省はしたものの
やはりライフルケースの中身が気になるようだ。
次に少女の方を向いて
「一応ボクも風紀所属だよ。
部署は特別攻撃課ってとこさ。」
しかしこの少女、やけに疑わしい目で
こちらを見てくる。
まるでこちらの事情をある程度察したかのような・・・
・・・いや気のせいか。
イチゴウはあまり深く考えないようにした
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「ハイ…とはいえ、まだ所属して数ヶ月の新米ですけどね俺。…あ、自己紹介してませんでした。
改めて、風紀委員会所属の1年…飛鷹与一といいます」
取り合えず、風紀である事は制服で露骨に分かるだろうし、肯定しながら自己紹介もしておく。
ちなみに、イチゴウへの評価だが奇しくも少女と同意見であった。何かこのロボットさんはいろんな意味で容赦が無い気がする。
(……いや、考えたら俺の狙撃のあれこれをエゲつないのかもしれないけどさ…)
内心でため息を零しつつ、彼からの謝罪には「いえ、お気にせず」と緩く首を振る。
流石に銃をここで披露するのは無理だが、どういう銃を使っているのかは別に隠す事でもない。
「えーと、ステアー・マンリッヒャー・スカウト銃のカスタム品です。俺は威力より軽くて取り回しのいいのがしっくり来るので。
ちなみに、セミオートじゃなくてボルトアクションです」
セミオートと違い、連射速度は劣るがその分構造が単純なので弾詰まり(ジャム)が少なく信頼性が高い。
”確実に動作”して”軽くて扱い易い”のが少年の好みの基準らしい。少なくとも狙撃銃に関しては。
基本、彼が後方支援で撃つのは人なので威力が弱くても問題ない。
”急所に当てればそれで終わる”のだから。勿論悶絶とか気絶的な意味で。
「…あ、ハイ。だから手足とかを狙うようにしています。相手によっては頭部とか狙いますけど」
少女からの質問に律儀に答えて行くが、何でそんなガッカリしたりワクワクしてるのこの人。
…もっとも、この少年の才能は正確には狙撃というより”銃弾で人を撃ち殺す”才能なのだが。
■和元月香 > 「ご丁寧にどーも。同学年だから、タメでいいよ~。
1年の和元月香です。よろしくね、飛鷹君」
へらりと邪気の無い笑みを浮かべてそう返す。
礼儀も正しいし、出来た子だ。
無駄にプライドと自尊心だけは高い自分の両親にも見習わせたいもの。
「ふーん、なるほど~。
…狙って思い通りに出来るなんて、案外凄いよねぇ。
……私なんか上手く行かなくて、ついつい狙って無いとこ撃って派手に脳とかぶち撒けてえらく叱られたっけな~…」
感心したように言った後、つい口を滑らせるように呟いた言葉は、恐らくこの距離なら相手は届かない事は無いだろう。
…月香にとって“かつて”暗殺組織に拾われた際のちょっとした思い出でしか無いのだが。
「と、特別攻撃課…。か、かっこいい!」
…先程のキラキラとした視線を、ロボットさんにまで向け始めた月香。警戒などかっこいい物の前では無力だ。
■イチゴウ > 「ほう、オーストリアの狙撃銃か。
あれは有効射程400mくらいだがキミはそんなに
遠距離は狙わないのか?それともカスタムで
どうにでもなってるのか。」
長距離用の長物を想像していたイチゴウにとって
彼が言った答えは意外なものであった。
しかもセミオート主流の中あえてボルトアクションを
選ぶとは。確かに耐久性はボルトの方が上だが。
そして目を輝かせている少女の方を見て
「そんなにかっこいいものなのかね。
この組織は。」
普段自分は与えられた任務をこなすだけ。
所属組織の印象など考えたこともなかった。
それにしても目の前の少女は
重機関銃を背負ったロボットに
対して警戒してないように見て取れる。
まあ装填してるのは非殺傷弾だけれども。
「ああ、そいえば名前を言ってなかったね。
ボクはHMT-15。イチゴウって呼んでくれれば
反応できるよ。」
思い出したかのように二人に対して
自己紹介をする。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「あー…敬語は癖みたいなものなんで、善処するって感じでお願いします。ともあれ、よろしく月香さん、それとイチゴウさんも」
律儀にさん付けしたり、タメの相手でも敬語が抜け切らない。
変にかしこまっているというより、素でそういう感じになっているのだ。
一応は礼儀正しいカテゴリーに入る……かもしれない。
「一応、カスタムしてるので有効射程距離は100メートル程度伸ばしてます。
あー…遠距離撃てる狙撃銃はその、重いのばかりなので。
撃とうと思えば多分”スコープとか無しで”2キロくらいの射程なら多分大丈夫です。」
そこで初めて微苦笑を零す。その場に留まって精密射撃だけでなく、この少年は動きながら狙い撃つのも正確なので銃は軽い方がいいのだ。
が、地味に恐ろしいのはこの少年、スコープやレーザーサイトなどのオプションを一切使わない事だ。
むしろ、使うと”邪魔になる”…目視と勘だけで正確無比に撃つ。風紀のスナイパー達が噂しているのも、多分それが大きな要因だろう。
何せ、いまライフルケースに仕舞い込んでるカスタムされた狙撃銃もスコープなどのオプションは一切付けてないのだから。
「…さぁ、俺は薦められて入ってみただけなので何とも、ですね。むしろ、特別攻撃課、というのも今始めて知りましたし」
目を輝かせている少女と、疑問を口にしているロボットの二人を交互に眺めて肩をすくめる。
「…と、いうか待って月香さん。さり気に何かとんでもない事口にしてますけど、風紀委員としては聞き逃せないんですが」
と、わずかに死んだ瞳をジト目にして彼女を見る。多分、彼女が説明してくれない限りその目線は続くだろう。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■和元月香 > 「あぁなるほど敬語キャラね、了解。
…イチゴウ…さんも、よろしくね」
そういう人もいるだろう、と了承し、イチゴウの呼び方には一瞬迷ったものの笑顔を向ける。
…そして、今のは分かった。
この男子生徒もやっぱりヤバい。
「ちょ、待て待て待て!!ス、スコープ無しで2kmって…………どういう事?」
(視力お化けですかよ!?)
勢い良くツッコんでから怪訝な顔を顔をする。
…どういう事ってそういう事なのだろうが、ツッコまずにはいられなかった。
「うーん、私も風紀については全く知らね!響きが何となくかっこいいって感じ!」
輝くような笑顔で適当な事を言いやがる。
まぁ知らないのは事実だし、何と言っても仕方ない。
小学生が漫画のフレーズを見て思ったようなものだ。
「………あー、うーん。
大丈夫大丈夫、“ここ”じゃ一人も殺してないから、見逃してくれないかな?」
つい口を滑らせてしまったが、それに気付いてもあとの祭り。
軽くへらっと笑って、手を振っているが少々言葉足らずなのは否めないだろう。
まぁ、嘘では無いが。
■イチゴウ > ん?今この男何て言った?
照準器無しで2km狙撃が可能だと?
機械である自分すら2km狙撃は
ズームオプティクスを使用しないと不可能だ。
「何て奴だ・・・」
普通ならホラ話としてスルーするレベルだが
風紀の狙撃手共が噂するほどなのだから
事実である可能性が高い。
するとこのライフルマンがじっと
少女の方へ視線を向ける。
どうやらさっき少女がボソッと言った言葉が
引き金らしい。
とりあえず二人の様子を見る。
■飛鷹与一 > 「……いや、そのままの意味ですけど。スコープとか逆に邪魔なんで目視の方が撃ち易いんです」
と、二人がそれぞれ驚いた反応をするのに対し、こちらは曖昧に苦笑を浮かべてそう返す。
特にイチゴウなら分かると思うが、狙撃は気象条件…風向き、温度、湿度なども重要だ。
で、この少年…「目測」でスコープ役をこなし、「勘」で気象条件を全て捉え正確に狙い撃つのである。
…彼自身はイマイチ自覚が薄いのがアレだが、使用する銃火器次第では完全に化け物クラスである。
が、それはそれ。”そんな事より”今は少女がうっかり口を滑らせた内容の方が問題だ。
「………。」
無言でジッと少女を見つめる。咎めたり怒っている訳ではなく、ただ静かに見つめているだけ。…やがて。
「――ん、”何か事情がある”のは察しました。えぇとまぁ、殺しは今後も控えてくれると幸いです。
知り合った人を捕縛したり撃つのは嫌なんで…」
と、緩く肩をすくめてみせる。事情はあるだろうが深くは聞かない。
それが、彼なりの線引きであり少女に対するある種の敬意でもある。
■和元月香 > 「…かっけぇね…!」
(何その人生で言ってみたい台詞ランキングにランクインしそうな台詞………!!)
飛鷹の言葉を聞いた月香は、この一言、この感想。
単純と言おうか…やっぱりぶれない。
「ありがと、理解が早くて嬉しいよ。
…なーんかね、まぁ、色々ありますよねー、人生。
まぁ“ここ”じゃ殺しはしないように生きていきたいなぁ」
あっさり引いてくれた飛鷹には好感は覚えたが、正直ぶっちゃけても差し支えは無い。
その言葉には“殺せなくはない”という事を仄めかしているのには、彼が気付けたかどうかは分からないが、へらへら笑いながらそうのんびり言う。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■イチゴウ > 「・・・」
イチゴウは黙って二人のやり取りを見ていたが
この少女は普通ではないらしい。
まあこういう事はこの島では日常茶飯事なのだが
彼女の言い分からして普通に人を殺す程度のスペックは
持っているようだ。
「まあ、どこだろうが殺しはやらない方がいいよ。
殺しをやってしまうと次は殺される危険性が
付きまとうからね。もうやったのなら手遅れだが。」
イチゴウは横槍を入れる形で
彼女にそう言葉をかける。
■飛鷹与一 > 「……そ、そうですか?」
首を傾げる。彼的には「今の言葉のどこにカッコイイ要素が!?」という感じなのだが。
どうも、若干天然な面もあるらしい。と、いうか基本この少年は自己評価が低いのだ。
やや卑屈だと、とある知り合いの少女にも指摘されたくらいである。
「……まぁ、人生何が起きるか分からないモノですからね。
ただ、…起伏が無い人生を”繰り返しても”しょうがないかと。
生きるなら、今の人生をまずどう生きてどう死ぬか、だと思います。」
それは、多分飽きて最後は何も感じなくなってしまうから。
彼女の事情を察したのかは、その無表情からは読み取れないだろう。
だが、色々な事情を持つ者ばかりのこの島だ。”そういう人も居るだろう”という思いはある。
まぁ、真面目くさった意見を述べてしまったが…つまりアレだ。
人間、死ぬ時はあっさり死ぬのだから…せめて悔いや後悔が少ない方がいい。
(…と、いうか殺人経験ある二人の方がすさまじい気がする)
月香だけでなく、イチゴウもそのセリフから既に殺人はしているのだろう察した。
が、多分外野から見れば「お前も(狙撃が主に)凄まじいだろ!!」と言われるだろうけど。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■和元月香 > 「うん!!!!かっけぇよ!!!
何か天然そうに言ってるとこが特に!!!」
月香はぐいぐい押すように何度も頷く。
ただのアニメ脳なのだ、仕方ない。
「………そうだねー。例え苦しい人生を歩もうが、何も無いほどつまらない物は無いよなぁ。
………うん、そー思います!」
特に感傷には浸っていないからっとした笑顔を浮かべる月香は、正直自分がどんな気持ちでいるのかさえ分からなかった。
…繰り返す。例え起伏があろうが出会いがあろうが仲間がいようが、自分はどうも繰り返しているだけのような気がしている。
(……何でかは、わかんねーけど…)
不思議な気持ちになったが、イチゴウの言葉には完全にその気持ちを霧散させて。
「まぁメリットも無いしやりませんよ!」
(その通り!!その世界では結局そのターゲットの家族から復讐として皆殺しにされました!!いやぁ怨念って怖いね!)
と、ヤケクソっぽい感情と共に答えた。
■イチゴウ > 「それでいい。メリットの無い殺しなんて
やるだけ無駄さ。」
やけくそっぽく言った少女の言葉に
共感の意も添えて言葉を返す。
するとふと何かを思いついたかのように
ライフルマンーー与一の方を向いて
「そういやキミはなんだか殺人経験がなさそうだな。
いや普通なくて当たり前なんだが・・・
まあどっちにしてもキミは
人を殺すようになると思うよ。
キミ自身が望まなくてもキミのイカれた狙撃能力が
自動的に人殺しへと向かわせる
そんな気がするんだ。根拠はないけどね。」
与一に対して警告の意を含めて
そう声をかける。
根拠は無い上に殺人経験が無いと決まった訳
でもないので断定などは出来ないが。
■飛鷹与一 > 「あ、ハイ…ありがとうござい、ます…?」
いけない、また疑問系になってしまった。完全に彼女のアニメ脳パワーに気圧されている。
それでも、露骨に表情が崩れない辺りこの少年の表面的な感情抑制も筋金入りだが。
「……月香さんは――…(そのうち、笑顔だけになりそうですね)」
とは、言えなかった。からっとした笑顔は何でもない能天気なそれに思える。
…思えるのだが、何か致命的なモノが…よく分からない何かが、彼女からは零れ落ち続けているように思えた。
何度も何度も、笑顔と割り切りで繰り返し続けて、泣く事を、苦しさを、痛みを、忘れ掛けているような――…
(…なんて、初対面の人にそんな失敬な事は言えないんだけど…)
あくまで少年がそう思っただけであり、根拠がある訳でもない。
――そして、イチゴウからの指摘に一瞬だけだが…固まった。…嗚呼、自分でもそう思い掛けていたのに。
「……殺人なんてした事ないですし、今後も殺しませんよ俺は」
搾り出すように答えるが、それも頼りないものだ。
彼の推測はむしろ現実になる可能性のほうが圧倒的に高いのだから。
人を撃ち殺す事に異常に優れた技能を持つ以上、遅かれ早かれ”何処かの誰かを殺す”。
その可能性から目を背けていた訳ではない。…いや、考えないようにしていただけか。
…大きく深呼吸する。多分、誰かを撃ち殺してしまったら、自分の何かが崩れてしまう気がする。
■和元月香 > 「……?ん?何?」
何故か飛鷹の言葉は続かず、月香は不思議なそうに首をかしげる。
厄介なのは、月香は“その可能性”に気付いてしまっている事だ。
だから表面上は、もしくは自分の本心には気付けずに……いつまでも、喜怒哀楽を持つ普通の少女として、生きていくのかもしれない。
遠い遠い、気が遠くなるような未来の話だろうが。
「ですよねー。
イチゴウさんなんかはメリットがある殺しをしてそうですけどー」
ちょっとニヤッとしながらなんとなしに放った軽い一言。
…もしかしたら、案外的を射てるかもしれないが、印象で言っただけの事。
「………」
(だと願うけれど…)
イチゴウと飛鷹のやり取りはちょっと複雑な表情を浮かべる事しか出来ない。
……こんな能力を持った人間が、人を殺さず終われる筈が無い。
(…あ~…難儀なもんだなここの若者は!!)
自分を棚に上げ、内心そう叫んだ。
■イチゴウ > 「結構。自分の宿命に抗うというのは
大切な事だと思う。だがその宿命と
向き合わなくちゃならない事もある。」
イチゴウは与一の言葉に対して
そう呟く。
与一は彼なりに自分の宿命に抗うのだろう。
そして月華の放った言葉に反応する
中々に勘の良い生徒だ。
「メリットがあるというか殺しが存在意義みたいな
もんだからボクの場合は。」
イチゴウは戦闘ロボットである自分の宿命を声にする。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「…や、すいません何でもないです」
月香が不思議そうにすれば、緩く首を振ってそう答える。
根拠の無いただの思い込みかもしれないし、仮にそれが正しいとして――…
(俺に何が出来るっていうんだ。お節介とか親切心でどうこう出来る問題じゃあない)
そもそも、多分”ソレ”は彼女自身が受け止めて落とし所を定めなくてはいけない”命題”だと思うから。
「……宿命、ですか」
そして、イチゴウの言葉に溜息混じりにそう呟く。殺人を決定付けられている未来とかふざけている。
少年は、残念ながら彼のように宿命を受け入れたり月香のように繰り返していない。
根っこは16歳のただの人間相応だ…殺せば、確実に己の何かが”壊れる”。
それを薄々感じ取っているから…尚更思う。殺人だけはしてはいけない、と。
――もっとも、それも”無駄な抵抗”というお先真っ暗なオチがもう既に見え掛けているのだけど。
難儀だと呟く少女は間違っていないだろう。自分が壊れる事が決まった未来なんて何とも言えないものがある。
立ち向かっても逃げても末路は決まっている。故に断定されるだろう。
―――飛鷹与一は必ず誰かを撃ち殺す。
「……すいません、もういい時間なんで俺はそろそろ戻ります。お二方はどうしますか?」
一息、諸々のアレコレを強引に押し込めて、無表情を保ちながらそう声を掛ける。実際、もういい時間だから戻るつもりではあった。
ご案内:「常世公園」に飛鷹与一さんが現れました。
■和元月香 > 「…?ふぅん」
とりあえず頷いて、それ以上の深追いはしないでおく。
…果たして月香がその“命題”に、向き合うきっかけがやって来るのは一体いつになるのだろうか。
常世学園の存在した世界から消える前に、或いは全ての感情が、感覚が消える前にやって来てくれるといいのだが。
「そりゃまぁ…また物騒な宿命をお持ちで。
イチゴウさんがそう言うなら、そうなんだろうけどねぇ」
(そしてこの島マジで脳筋多いな…)
どこか軽い口調だったが、その瞳には若干憐れみに近い感情が滲んだ。
…もうちょっと世界を見てから、そういうのは決めた方がいいのでは無いか、と思わなくもないが、彼には彼なりの事情もあるだろうし黙っておいた。
「…まぁ、一人で溜め込みすぎんなよー、少年」
…あんまり器用な言葉は掛けれそうに無いので、そうとだけ言っておいた。
最後の言葉は、敢えて誤魔化さずにぽんと肩を優しく叩いて。
溜め込むのは何より良くない。
…先に壊れてしまったら、本末転倒だ。
「ん?あ、そう!
私は…私はちょっと残る。やらなきゃいけない事あるから」
その場を去るらしい飛鷹には軽い笑みを見せ、ふっとスクバに視線を落とす。
何か知らんが、じわじわと邪気を強めている黒い本。
…正直言ってうぜぇ、と内心吐き捨てる月香の目は「殺ししないよ☆」と先程言っていた言葉の説得力を完全に打ち消す程には殺気が込もっていた。
■イチゴウ > 「ボクか?ボクもそろそろ時間だし
戻ることにするよ。あんまり遅くなると
お偉いさんに叱られるからね。」
イチゴウは公園に備えられた時計を見つつ
そう答える。
実際に与一がどういった道に進むのかは
わからないが機械と違って人間は生まれつきに
存在意義が決まってる訳ではない。
人間にとって存在意義は自分で見つけるものだ。
「それと月華さんも元気でな。先はまだまだ長いぞ?」
イチゴウはそう言い残すと
機械音と共に公園を後にしていく。
ご案内:「常世公園」からイチゴウさんが去りました。
■飛鷹与一 > 存在意義、という程に大げさなモノを見出すつもりは無いが…せめて、誰も殺さない未来を…と。
願うとしたらそれだけで、けれど才能がそれを許さないだろうし、死ぬ事も異能が許さない。
(…おまけに、異能で寿命削ってるとか、地味に俺の人生詰み掛けてないかなこれ…)
もっと難儀で大変で波乱万丈な人は、きっとゴロゴロ居るのだろう。
それが当然で当たり前。自分だけが悲劇気取りをするつもりはない。
だが、冷静な思考の片隅で先に心の方が壊れそうだな…と、溜息が漏れる。
ちょうど、月香にポンと肩を叩かれて振り向けば、死んだ瞳が3割り増しになっていたかもしれない。
「……善処します。…と、イチゴウさんもお疲れ様です。」
先に引き上げて行く四足ロボットを見送り、まだ残るという少女に会釈して立ち去る――直前、
「――…」
彼女のスクバに視線を向ける。何が入っているのかなど分からない。その邪気の源も知らない。
ただ――”ソレ”と、ほんの一瞬だけだが”視線が交錯した”。
負の感情という点でのほんの僅かな結びつき。何か変化がある訳でもない。ただ――…
「……”余計なお世話”だ。”お前”もその人に変な事してるんじゃない」
と、静かにそう呟いてから我に返る。そして、改めてもう一度会釈。
…うん、少し落ち着いたが月香さんからめっちゃ殺気が。…まぁ、彼女なら大丈夫だろう、多分。
むしろ”アレ”の方が彼女のメンタルパワーで潰されないだろうか、とか思いながら。
(……と、いうか何が入ってるんだ?)
一瞬だけ繋がったとはいえ、最後までそれの招待には気付けずにその場を立ち去ろう。
ちょっとしんみりになったが、二人とはまた会いたいものである。それは本心だった。
ご案内:「常世公園」から飛鷹与一さんが去りました。
■和元月香 > イチゴウに掛けられた言葉に、思わず苦笑。
(…読心術でも持ってんのこのロボット…)
「ん、じゃーね。また会いましょ」
ひらひらと手を振った後、またもや不自然な飛鷹の視線を怪訝に思ったりはしていた。
去っていく飛鷹にぎこちなく手を振ってから、黒い本を取りだした。
…金色の光が、ぶわりと揺れる。
『ツキカ』『あれは』『あれは』『駄目』『駄目』『嫌だ』『嫌い』
「ああ?何言ってんだクソボケェ!私はお前の方が嫌いじゃゴルァ!」
急に口が悪くなった月香は、黒いページに呪いのように羅列する言葉に目もくれず_________。
ドゴォンッ!!
___遠い背後で、そんな轟音が響いたのを二人は気づけただろうか。
ご案内:「常世公園」から和元月香さんが去りました。