2017/05/22 のログ
ご案内:「常世公園」に霜月 沫さんが現れました。
ご案内:「常世公園」に柊 真白さんが現れました。
霜月 沫 > 「さて、ここいら一帯の地理は大方把握したかな」

大きな棒状のものが入った袋を担ぎながら悠々と練り歩く青年一人。
顔にはどこか余裕をうかがわせる笑みが浮かんでおり、ぱっと見は穏やかな青年に見えるだろう。

「つまらない仕事かと思ったら、それなりに楽しめそうじゃないか。しかし全く、本家跡継ぎともあろうものがあの体たらくとは感心しないな」

柊 真白 >  
(武器と道具は足りている。
 食料はこの間買ったものがまだまだある。
 仕事も入っていない。
 ならば出歩くのにどんな理由があるだろう。
 散歩以外に無いじゃないか。
 そう言うわけで特に目的も無くぶらぶらと歩いて公園まで来た。
 喉が渇いたので飲み物でも買おうと公園に入れば、何か独り言を言っている青年を見つけた。)

――何の仕事?

(なんとなく後ろから気配を殺して接近し、唐突に声を掛ける。
 気が付いていないなら驚かせることになる――むしろそれが目的である――し、気が付いているならそれはそれでいい。)

霜月 沫 > 「何、不出来な後継者たちの御守りだよ。一人は命の危機すら経験しているというのは何ともしかし、笑えない話ではあるけれどね」

後ろから声を掛けられたことにも動じず、そのまま言葉を返す……次の瞬間。

「―――ところで。仮にも武人の後ろにいきなり立つというのは感心しないな。その首、落とされても構わないというのかい?」

振り向きざま、自然な動作で袋を開き、中の薙刀を露出させ、真白に突き付ける。
顔は微笑んでいるが、目が笑っていない。しかし、怒りを覚えているというには落ち着いている。そんな表情で。

柊 真白 >  
ふうん。

(気が付かれていた。
 それなりにはやるらしい。
 薙刀を突きつけられたが、こちらも動じる様子を見せず。)

――仮にも武人が、丸腰の相手に武器を突きつけるというのは感心しない。

(それどころか、そんな挑発染みたセリフまで吐く始末。
 散歩のつもりだったのでいつもの刀は持ってきていない。
 右手の指で薙刀の刃をつまみ、横へとのける。)

霜月 沫 > 「そうやって油断するほど愚かではないよ。世の中には、無手でも武器使いと渡り合える猛者がいるらしいじゃないか」

悠然とした表情のまま、しかし今度はわずかに殺気を放つ。

「君はどのレベルなのかな?僕としては、失望させるレベルでないことを祈りたいものだが」

言いながら薙刀を引こうとする。
……矛を収めたわけでは無い。単に、構えに近い所に戻すだけの、どちらかと言えば挑発的で、好戦的な動きである。

柊 真白 >  
こんな街中で。

(ため息。
 広めの公園と言えど、ここは落第街のような裏の街ではない。
 そんなところで好戦的な態度を取られるとは思ってもいなかった。)

――いいよ。
少し、遊んであげる。

(分かりやすい挑発だ。
 別に無視しても良いのだが、怪我をしてから身体を動かしていない。
 身体の力を抜いて、両腕をだらりと下げる。)

霜月 沫 > 「いや、分かりやすくていいよ。
しかしなんだ、イメージとは随分と違うじゃないか。この学園都市の治安は、もっともっと劣悪であると思っていたけど。街中で、を気にする程度には治安があるのかい?」

すう、と薙刀を戻す……と同時に。

「しかし不敬だな。跪いて貰おうか」

起こりを全く見せない自然さで、真白の膝を薙ぎ払おうとする。
先程から言っていることが偉そうな青年ではあるが……それに足る実力、その片鱗をうかがわせる動きである。

柊 真白 >  
風紀委員と言う治安組織もある。
何よりこちらは普通の街。
目立つ事は避けるべき。

(動きが速い。
 モーションそのものも速いが、それ以上に無駄が無い。
 動くのを見てから動いていては回避が間に合わないだろう。
 ――相手が並の人間ならば、だが。
 攻撃に合わせて歩を進める。
 薙刀が振るわれるのに合わせて、懐へ入り込む。
 本気の速度には程遠いが、それを成すのに充分な速度。)

霜月 沫 > 「聞いていた話と随分違うな。風紀は大概無能で、抑止としての機能はさして高くないと聞いていたよ」

興味深そうに笑みを深めながら、構わず薙刀を振り抜こうとする。
―――薙刀と言う武器は、現代では女性の武器としての認知度が高いが、そもそもは一軍の将が用いた武具。
先端に広い刃部を備えた薙刀の重量は決して軽くなく……その刃部の重さはすなわち振り抜く際の加速につながり、その加速は威力につながる。
詰まる所……刃部で斬り付けなくても十分な威力を発揮出来る武器なのである。

柊 真白 >  
(そもそも薙刀が女性に使われるようになったのは、刀よりも戦闘力が高いからだ。
 自身は剣士や戦士ではないが、それは知っている。
 だからこちらが懐に入り、彼がそれに構わず振りぬこうとした時点で狙いを変えた。
 左手を迫る薙刀に沿え、同時に地を蹴って薙刀を押す。
 薙刀の速度を一部貰って離れたところへ音も無く着地。)

そう言う話をしているんじゃない。
無駄に暴れて目を付けられて。
そんなことしたら仕事がやりにくい。
――あなた、馬鹿なの?

(そうしてそんなことも分からないのかと言う顔を向ける。)

霜月 沫 > 「別に、僕は自分の仕事をそこまで重視はしていないからね。
御守りとは言ったが、正直わざわざ守ってやらないといけないことに失望している。強さ、勝利こそが武門の第一であり、勝利こそ絶対だ。
―――その絶対を保てない本家と言うのは、情けないにも程がある」

脇構えで薙刀を構え直しつつ、間合いを静かに測る。
……強さこそ絶対。その思想は、別に霜月家の基礎理念と言うわけでは無い。
ただ、子どもの頃から才能に恵まれ、ひたすらに勝利することで全てを得てきたツバキにとって、勝利とは当然の前提であり、万能の手段であり、呼吸と変わらぬ代謝である。それゆえの歪んだ思想である。

「それはそれとして、成程僕の薙刀の威力を受けるのではなく、敢えてそれに乗ることで間合いを切ったのは多少ながら驚いたよ。瞬時の判断、そして刹那の実行力。僕にとって主目的を果たすのには十分な実力だ」

そして、微笑んだまま真白を称賛する。
実際、薙刀相手に入り込むまで行っても、そのまま押し切られる輩は少なくない。
近接は確かに薙刀の不得手とする距離だが、速度の乗った一撃はその不利を覆し得る。
ツバキ程の腕前であれば、近接程度なら特に苦にしないのである。
それを素直に讃え、そして……

「―――だが、不遜が過ぎる」

またしてもノーモーションで攻撃。
攻撃は上段からの斬り下ろし……に見せかけた、石突を用いての下段払い。
斬り下ろしに見せかけて意識を上へとやり、疎かになった足元を払う狙いである。

柊 真白 >  
あなたの話はしてない。
私が迷惑だと言ってる。

(自分の都合しか考えていない物言いに、むっとした表情を見せた。
 正直こちらの主張も似たようなものだが、周りの迷惑を考えない彼の思想は気に食わない。)

それはどうも。
お眼鏡に適ったのならこの辺で終わりにしてくれると――

(言い終わらないうちに次の攻撃が飛んできた。
 彼が動いてから、その攻撃がこちらに届くまでの僅かな間。
 僅かに、だがはっきりと眉間に皺を作り、

 消える。)

――力こそ絶対、と言うことだけは同意できる。

(彼の背後から。
 少しばかり速度を上げて背後に回っただけ。
 彼に背を向けて離れるように歩き、地面に落ちている木の枝を拾い上げる。
 長さ三十センチ程度の、短い枝。)

ただその上から目線が気に入らない。
――遊んであげる。

(ひゅん、と軽く振って向き直る。)

霜月 沫 > 「僕は強い。ならば、僕と言う生き物は絶対だ。それに、僕にとって君の都合など対して関係はない」

どこまでも身勝手、どこまでも傲岸不遜。
そして、それを支えてしまった強大な才気。
それは、突然の加速回避にも動揺を見せず……

「ならば、精々僕にこの薙刀を『使わせて』貰いたいものだ。
―――図が高いぞ」

ヒュ、と言う音すらしない。
明らかに先程よりも速度を上げ、胴を右から左へと薙ぎ払う。
―――薙刀は、一般的な想像よりも幅の広い武器である。
達人が扱えば、全距離において変幻自在にして強力な攻めを繰り出すことが出来る。
この払いにせよ、躱されれば石突によるカチ上げ、即座の切り替えしによる逆薙ぎ、中断しての突き、上段からの斬り下ろしへの変化など多様な選択肢を持つ。
おおよそ薙刀の距離で戦う限り、ツバキの有利は揺るがない。
自分の距離においては、確かに絶対の強さを誇るのだから。

柊 真白 >  
(先ほどよりも尚速い。
 高慢で不遜な態度だけはある。
 それでも尚、速度と言う一点においてはこちらに分がある。
 薙刀が速度に乗り切る前に、一瞬で二人の距離を殺す。)

――。

(殆ど密着状態と言える距離で、目線を合わせて笑う。
 直後に目線の間に枝を差し込み、そのまま間合いの外へと逃げた。
 一連の動きの中で、こちらが立てる音はほぼ無音。)

霜月 沫 > 「!」

流石に、驚きにわずかに目を見張る。
決してツバキの薙刀は遅くない。薙ぎの性質上、真正面から踏み込むのは下策である。
……だというのに、その速度で間合いを殺してしまった。

「―――成程、考えを改めざるを得ないようだ。加減をしていては万が一があるな」

しかし、それでもなお笑みは崩れず。
すぅ、と薙刀を中段に構え、静かに真白を見る。