2017/06/20 のログ
ご案内:「常世公園」に鈴ヶ森綾さんが現れました。
鈴ヶ森綾 > 休日の昼下がり、その日は6月としては涼しく、
日差しも柔らかで夏の到来を暫し忘れさせてくれる、そんな陽気だった。

公園は平和そのものといった雰囲気で、鳥の鳴き声や人々が談笑する声が時折聞こえる程度の静かなものだった。
そんな平和な公園のベンチに腰掛け、一人文庫本を読みふける少女の姿が一つあって。

ご案内:「常世公園」に柊 真白さんが現れました。
鈴ヶ森綾 > 読む事に集中できていないのか頁をめくる手の動きは緩慢で。
ややあってから、膝の上に置いていた栞を挟み込むと、本を閉じた。

そこへ丁度、一匹の犬を連れた少女が通り掛かる。
目の前を横切ろうとする少女をベンチの少女が見やった、その次の瞬間。
何かを察したように犬が低い唸り声を上げたかと思えば、猛烈な勢いでベンチの少女を吠え立て始め、その尋常ならざる様子に周囲の人々も何事かと視線を送った。

飼い主の少女は相手に謝るのと犬を宥めるのとを同時にこなそうとするが、
犬は一向に興奮状態から覚めやらず、リードを強引に引いてなんとかその場を立ち去っていった。

「……健気なこと。」

遠ざかる犬とその飼い主の姿に、そんな呟きをポツリと漏らした。

柊 真白 >  
(買出しの帰り道。
 以前異邦人街で買い込んだ食材が冷凍庫にまだ眠っているとは言え、足りない食材は出てくる。
 それの買出しであり、いつかのように両手に大量の荷物、と言うわけではない。
 非力な自分でも右手で軽々持てる程度の量。
 とある一件から常に持ち歩くようになった長刀を左手に、公園近くを通りかかれば犬の鳴き声。
 それに釣られるようにそちらを見れば。)

――っ。

(一目で分かった。
 人の形はしているが、明らかに人ではない。
 鬼や妖怪と呼ばれるような類のモノ。
 公園の入り口あたりに立ったまま、彼女の方を凝視する。)

鈴ヶ森綾 > 犬を連れた少女の姿が見えなくなり、周囲のざわつきも既に収まり、皆それまでと同じように思い思いの時間を再開させていた。

ベンチの少女もまた、一度閉じた本を開いて読書を再開させようとするが。
ふと、先程の周囲からのものとは性質の異なる視線を感じて手を止める。

「……あの子。」

公園の入り口の方へ顔を向け、そこに立ち尽くす少女の姿を視界に捉える。
視線の主が彼女である事を確信すると、開いたばかりの本を再び閉じてベンチから立ち上がると、そちらへと近づいていった。

「何か私にご用でも?可愛らしいお嬢さん。」

剣呑な空気など微塵も感じさせない語調と微笑み、かえってそれが相手に警戒を抱かせるやもしれないが、それも含めて相手の出方を窺って。

柊 真白 >  
(自然体のまま買い物袋と長刀をぶら下げてはいるが、その姿に隙は無い。
 それはいつもの事なのだが、今日は普段より力を意図的に抜いている。
 まさかこんなところでやらかす程頭の悪い――もしくはおかしい――モノとは思えない。
 それでも油断はそのまま死に繋がる。)

――別に。
珍しいな、と。

(文字通り自身より頭一つ分程高い彼女。
 人外のモノにはこの島でもそれ以前にも両の手で数え切れないほど見てきたし、殺してきた。
 それでも自身と同じ程度生きているモノは数えるほどしか居なかった。
 警戒心は緩めないが、やはりこちらも普段通り抑揚の少ない細い声で答える。)

鈴ヶ森綾 > 「珍しい?…なんの事を仰ってるのかは分かりませんが。」

服だろうか、眼鏡だろうか、あるいは髪型?そんな風にとぼけた様子で自分の身なりを気にするような仕草を見せて。

「そんなに怖い顔をしていては、せっかくの可愛らしい格好が台無し…ねぇ、にこっとしてみてくださらない?」

少し膝を曲げて、目線の高さを相手に合わせた。
さすがにある程度の距離は保ったままだが、相も変わらず相手の緊張をあざ笑うような態度。
眼鏡のレンズ越しに赤茶色の瞳を備えた目を楽しげに細めて。

柊 真白 >  
別にとぼけなくても良い。

(こんなところだ。
 人外のモノなどいくらでもいるし、それらは普通に過ごしている。
 隠しているモノも居るだろうが、別にそれを言いふらそうと言うつもりも無い。
 自身に危害を加えるかどうかに関係なく。)

笑う理由が無いし必要も無い。

(元より笑えと言われて笑えるほど器用でも無いのだ。
 相変わらずの無表情のまま彼女の赤茶色の目をじ、と真っ直ぐに見て。)