2017/08/18 のログ
ご案内:「常世公園」に時坂運命さんが現れました。
■時坂運命 > 夜の帳が下りる頃、人気のない公園に、コツ、コツ……コツ。と、石畳と叩く足音が響く。
カラカラと回るキャリーバッグの車輪の音がその後ろを付いて行く。
何度か同じ道を右往左往と通り過ぎ、足音が止まる。
足音の主、夜の闇に紛れてしまいそうな黒い修道服に身を包んだ少女は、腕組をして暫く目を閉じた。
かと思えば――
ふわり。
スカートと共に、少し長すぎる髪を靡かせながらくるりとその場で回った。
開いた紫電の瞳は天を仰ぐ。
「これはいわゆる、完全に迷子と言う奴だね」
それは妙に自信に満ち溢れた、余裕ぶった物言いだった。
■時坂運命 > 「うーむ、とりあえず焦っても仕方がない。
僕に出来るのは、神のお導きがあるまでこの公園でじっくりのんびり遊びつくすことだけと言うわけだ」
つらつらと並べる独り言がやけに楽しそうで、饒舌は止まらない。
周りに誰もいない静けさをまったく無視ししながら、少女は軽やかな足取りで進み、適当に近くにあった自販機に近づく。
灯蛾の影がちらつく商品欄を眺めつつ、キャリーバッグの中身を漁って財布を取り出した。
「自販機……だったかな、これは……。
えーっと、ここにコインを―― 幾つ入れればいいんだったかな?」
逡巡の末、これなら間違いない千円札を取り出し機械に食べさせる。
自分で使ったことは数度しかないが、この自販機にお札を食べさせる瞬間が結構好きだ。
愛玩動物に餌をやる感覚に似ている。
■時坂運命 > 金を食べて現金にも元気になった自販機はパッと明りを強くする。
さて、ここからが肝心だ。どの飲み物を選ぶかで少女の運命は大きく変わって来る。
この蒸し暑い夏の夜にあつあつお汁粉なんて選んでしまっては、それはもう悲惨の一言では語りつくせないと言うもの。
無難に攻めるなら冷たいお茶、若者ならば炭酸飲料。
「か・み・さ・ま・に・お・ま・か・せ―― じゃあこれで」
そんな適当極まりない……もとい、信仰心溢れる選定によって選ばれた飲み物は、少女にとって見たことも聞いたこともない未知の物。
それを迷いもなく取り出して封を切り、躊躇いなく喉に流し込んだ。
味のほどはと言うと
「ん゛。 んー、新鮮な魚介類を凝縮したような神秘的な味だね」
コメントに詰まり、笑みを一瞬引きつらせる程度にはアウトな味だったらしい。
しかし、いかにアウトな飲み物だったとしてもそれが運命によって選ばれた物ならば飲み干す。
腰に手を当てて一気に煽る姿は、一周回ってかっこいいのかもしれない。
■時坂運命 > 「ぶはーっ!」
一缶分飲み切って口元を拭う。
一仕事終えたくらいの疲労感を抱えながら、ふと気付いたことがある。
ピコピコと光る電灯が、まぁ見事に元気なわけで。
つまり何が言いたいのかと言えば。
「……この欲しがり屋さんめ。
良いだろう、君が望むままに買い尽くしてあげようじゃないか」
おつり用のレバーと言う存在を知らないが故の暴挙。
少女は心底楽しそうな笑みを浮かべて、気ままにボタンを押す。
次々と出て来る缶ジュースを一本ずつ積み上げて行けば、あっという間に斜塔が完成する。
それと同時にお金も切れて、自販機は力尽きたのだった。
「虚しい勝利だ」
缶の斜塔を片手に戯言を吐き、空になっていたアウトな感じの空き缶をひょいと後方へ放り投げる。
狙うでもなく、無造作に投げたはずのそれは綺麗な弧を描いてゴミ箱へと、音も立てずに吸い込まれて行った。
少女は一度も振り返らないまま、缶を落とさないように運んでベンチへと向かう。
■時坂運命 > ベンチ腰をおろし、抱えていた缶の山をそーっと気を付けながら隣に置いた。
ポケットに入れていた携帯端末を眺めてみるが、表情は曇り、すぐに開けっぱなしのキャリーバッグの中へと放り込んだ。
「はぁ、もう少しセンセーからあれの使い方を聞いておけばよかったかもしれないね。
まぁ、色々説明していたような気はするけど」
たいした問題じゃないだろうと、少し散歩に出てみればこれだ。
これから自分の住むマンションも方角しかわからない始末。
自業自得かもしれないなんて事実は無視するに限る。
■時坂運命 > こんな風にいじけても道が分かるわけではない。
一瞬の沈黙が訪れ、少女は大きく息を吸い込み、背もたれに体を預けて空を仰ぐ。
街明かりが強くて、星も月も霞んでしまう。
周りに人はいないのに、それでも他者の存在を感じ取れる。
沢山の人間がこの町で生きている。
見慣れない空、眠らない街、交わりぶつかり合う運命の奔流。
「世界はこんなに美しいのだから、すぐに眠るには惜しいかな。
運命の交差点、時の変化を見逃してしまうなんて、わざわざこの学園へやって来た意味がない」
ゆっくりと、細く長く息を吐く。
手を合わせ、指を絡め、瞼を閉じた。
「迷える子羊ならば神様は導いてくださいます。
だからこそ、敬虔なる信徒は神に祈るのです」
言葉にし、一つの疑心も抱かず、願い祈る。
――降ってくる、己への天啓が。
開いた瞳は怪しく輝き、その中に十字架が浮かび上がっていた。
ご案内:「常世公園」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 何というか、特に目的も無くブラリとあちこち歩き回る事は誰だってあると思う。
もちろん、この青年もそんな一人で特に目的も無くちょっと公園に立ち寄ってみた次第。
「そーいやぁ、ここの自販機っておもろい飲み物があるし新作とか出てないかねぇ」
と、言いつつ自販機に向かおうとすれば、自然とベンチに座る先客さんの姿に目が留まる。
…日傘、ブーツ、キャリーバッグ……で、修道服。最後のインパクトが地味に強い。
ん?シスターさんとか珍しい気がしないでもないなぁ、とか思いながらそちらを横目に自販機へ。
「…うーん、流石におしるコーラは売り切れかぁ。あのキワモノな味が悪くなかったんだけどなぁ。」
仕方ないので、適当にコーラを買いつつ、取り出し口から缶を取り出せば何となく先のシスターさんへと顔を向ける。
「―――ん~?」
フとその開いた瞳を赤い瞳で不思議そうに。少し距離があるから分かり辛いが、何か模様が浮かび上がってる気がする。
■時坂運命 > 彼女の目にはいったい何が見えたのだろうか。
それを知るのは、彼女以外にはない。
ただ、彼女は恍惚の笑みを浮かべ、やって来た青年へと振り返る。
瞬き一つで模様は消えてしまうので、きっと青年は気付かないだろう。
「やぁ、こんばんは。
もしかして、偶然にも喉が渇いてこの公園に来てしまったけれど、運悪く目当ての飲み物が無かった。
――そんな所かな?」
ぱちりと目が合うと、ひょいっとベンチから降り立って青年へと近づいて行く。
ゆっくり、コツ、コツ、と踵を慣らしながら。
「うん、みなまで言うな。言わずとも分かっているよ。
それはさぞかしがっかりしたことだろうね、思わず落ち込んで、涙で枕を濡らしてしまうのだろうね」
にんまりと笑みを浮かべて煽る様に言う少女は、何故かとても楽しそうだった。
■真淨在処 > 「……ん、んーー?」
気のせいかな?と首を傾げて。彼女が瞬きしたかと思えば、その模様は消えていて。見間違いかねぇ?と内心ではて?と首を傾げ。
「お?おいーっす、こんばんわシスターさん。…ってすげぇなぁ。よく分かったな!」
と、大仰に驚いて見せつつも、ケラケラとその顔は笑っている。
見た目、というか空気が軽い。修道服の彼女とは対照的…なのだが。
コツ、コツ、とベンチから立ち上がってこちらに近づいてきた少女を眺める。
うん、美少女だねぇ。この島の女子はレベルが段違いに高いが、彼女も十分にレベルが高い!
「…って、いやいやそこまでじゃないんだけも。シスターさんも人が悪いねぇ」
と、初対面にも関わらずこちらもこちらで煽られても楽しそうである。
そもそも物怖じしない青年だし、このシスターのように気さくなのは話も弾むから楽で良い。
「ってゆーかシスターさんなんて珍しいねぇ。俺、この近辺では初めて見たわシスターさん」
異邦人街とか、宗教関連の施設には居そうだが。この辺りでは見掛けない職種だと思う。
■時坂運命 > 青年の浮かべた疑問符を打ち消すように、少女は余裕たっぷり笑みを浮かべながら頷き返す。
「ふっふっふー、神はいつだって子羊達を見守っているんだよ? いかに君が軽薄そうな人間だったとしてもね」
左目を閉じてウィンクを投げかける仕草は茶目っけに溢れいた。
シスターなのに棘があると言うか、初対面の相手だと言うのに遠慮もなしにからかっている。
青年が感じた印象はおおむね正しいようだ。
「そうなんだ、じゃあこれはいらないかな?」
そこまでじゃないって言うなら、これは持って帰ろう。重いけど。
そう独り言を呟きながらベンチの方へと向かう。ベンチの上には、未だ斜塔のように積み上げられた缶ジュースがあった。
きっと彼が求めていたジュースもこの中にあることだろう。
「うん、僕も自分以外では見たことが無いね。
とは言っても、ここにきて間が無いから知らないだけなのかもしれないけれど」
缶の塔を崩しつつ、楽しげに笑って相槌を打つ。
■真淨在処 > 「そりゃあ、神様は流石だねぇ。でも、どうせなら美人な女神様とかに見守られたいなぁ」
余裕たっぷりの少女の言葉に、矢張り軽薄な笑みと言葉を返す。彼女の言うとおり、青年は軽薄な人間だ。
だって「道化師」を自称してるのだから滑稽なくらいに軽くて丁度良い。
シスターの割に、こう結構ズバズバ口にしてくるがそれが小気味良く思う。
…で、視線を向けた先に缶の塔があった。あ、もう缶の斜塔になりそうだが。
「うへぇ、凄い大人買いしたもんだなぁシスターさん。あ、何だよおしるコーラあるじゃん!
むしろいらないならくれ!いや下さい!!」
と、低姿勢になってみた。何なら土下座してもいい。とはいえ必死な言葉とは裏腹に楽しそうである。
「あ、もしかしてキャリーバッグとか持ってるのって、来たばかりだからか?
へぇ、シスターさんがねぇ……ん?そうなるとアレかな?学園の生徒に?」
教師で赴任、という可能性もあるが一応生徒かな?という感じで尋ねてみよう。
何かこう、道化師なりにこの少女には好奇心を刺激された模様。
■時坂運命 > 「おっと、口は災いのもとだ。邪な願いを抱くと地獄に落ちてしまうかもしれないよ?」
思うだけならセーフだけどね。と、一緒になって軽口を叩き笑う。
テンポの良い気軽なやり取りは、はた目から見れば初対面には見えないかもしれない。
行きつく視線、予想以上の食いつきにシスターはシスターが浮かべちゃダメな小悪魔的な笑みを浮かべた。
「さぁ、どうしようかな? 僕は人が悪いらしいからねぇー」
意地悪く、おしるコーラとやらを持ち上げて見せびらかしながら言うが、すぐにクスクスと楽しそうに肩を揺らして。
「なーんて、冗談だよ。
僕がここで散財して、君がおしるコーラとやらを求めて通りかかり出会ってしまったのも運命の導きだからね。
はい、どーぞ」
今度は丁寧に両手で缶を差し出して渡す。
おしるコーラって美味しいんだろうか?という疑問を心の隅で浮かべながら。
「そうだよ、ちなみに絶賛帰り道がわからなくて神様に祈っていたところさ。
こんな人間が先生だったら、教えを請う生徒たちに顔向けできなかっただろうね」
■真淨在処 > 「いいねぇ、人間堕ちる時は堕ちるもんだからさぁ…あ、でも美人な地獄への案内人は欲しいかなぁ
堕ちるならしょうがない。ただ堕ちるなら水先案内人が欲しい。それも美少女だと嬉しい。
なんて、軽口を叩いて笑いつつ。とても初対面に見えない談笑だが間違いなく初対面だろう。
「…んー、でもそういう人に限って、結構甘かったりするパターンも多いんだぜ?」
なんて口にしてみつつ。あ、おしるコーラをこれ見よがしに!!
が、直ぐに楽しげに笑う彼女が両手で差し出してきたソレを受け取ろう。
「お、サンクス!…あ、ちなみに味はゲテモノだぜ?まー好む人は稀だろうねぇ」
と、彼女の内心が読めた、とばかりにニヤリと笑って。青年も別に好物ではない。
ただ、このキワモノな味がたまに恋しくなるのだ。今日は偶々そんな気分だった、という訳。
「成る程ねぇ。んー、神様の啓示、もいいけどここは人に頼る場面だと思うぜ?
ま、神様のお与えになった試練?かもしれんけど。ちなみに何処に帰るつもりで?」
と、尋ねつつ「シスターさんが先生だったら面白いと思うけどなぁ」と首を緩く傾げる。生真面目な先生よりよっぽど楽しそうだ。
■時坂運命 > 「へぇ、君は破滅型の人間なんだね。 どんな未来を歩み、旅の終えるのか……これは見ものだね」
最後まで美少女の水先案内人を要求するあたりが彼らしくて面白い。
どこまで冗談なのか、それも気になるところだと少女は笑みを深めた。
「なんとー、そこまで読まれていたのかー。」
果てしなく棒読みでオーバーリアクションを返しつつ、肩を竦めてゲテモノと評判(?)の悪魔を飲む彼を見守っていた。
「君はあれだね、もの好きと言うか。 味覚まで破滅型を貫くとは恐れ入ったぜ」
自分だったら、アウトな味だと思ったジュースを何度も飲みたいとは思わない。
いや、案外本当においしいのかもしれないが……思考が迷走する。
一口味見をしてみたいなんて誘惑は悪魔の誘いに違いない。
「人に頼ろうにも誰も通りかからないものだから、この公園で夜明かしをするのもいた仕方ないと思っていたんだよ。
えーっと……住所は、えー……」
言われたら素直にキャリーバックの中を漁り、端末を取り出して渡す。
電源を入れればすぐに表示されるだろう。
「僕が教えを説くならば、それは勉学ではなくなってしまうよ」
■真淨在処 > 「んー…や、俺は特に破滅型でもないぜ?善悪とか気にしないっつーのはあるけど。
だから、俺からすれば神様に地獄行き宣言されようが、シスターさんへの好奇心が勝るのである。」
キリッとした真顔で宣言し…そしてふにゃっと崩れた笑顔に戻る。
道化師らしく、本気か冗談かは曖昧。だけど善悪問わずは本心だ。
で、おしるコーラのプルタブを開けて飲み始めつつ。
「うんうん、このカオスな味がたまーに飲みたくなるんだよねぇ。
…やー破滅願望別に無いってばさ。まぁ間違いとも言い切れないんだろーけど」
で、一口飲む?と、缶を差し出してみる。まぁ彼女が頂くなら渡すし、飲まないならまた飲み始めるが。
「あらま、じゃあ俺が通りかかったのも神様のお導きってヤツ?…おっと」
軽口を叩きつつも、彼女がキャリーバッグから取り出した携帯端末を受け取って。
電源を入れれば、住所などを確認する。この住所だと学生街か。
「あーシスターだもんなぁ。で、この住所なら大体分かるから俺でよけりゃ案内するぜ?
学生街の方だから距離もまぁ遠くはないし。…あ、ちなみに俺は学園の1年生のシンジョウ・アリカっつーんだけどアンタは?」
と、そこで名前を名乗る。在処―そこに居るモノという意味の名前。
…で、己の携帯も取り出して、何か操作して彼女の携帯端末にちゃっかり己の連絡先を登録しようとしてる男である。
■時坂運命 > 彼の言葉にキョトンと目を丸め、つられておかしそうに笑う
「ふふっ、なんだいそれ。 君は破滅型じゃないって言うけど、明らかに危ない橋を渡る人間だよ。
好奇心とスリルは人間を破滅させる一番の原因なんだ。 君も十分気を付けたまえ?」
忠告じみた小言を口にして笑う少女は思う、ある意味で彼は同種の人間なのかもしれないと。
おしるコーラなんて劇薬を普通に飲む、その暴挙に少女の表情は険しくなる。
勧められると一瞬迷い、天に御座す我らが神へ問いかける。
「…………い、いただこうじゃないか」
数秒の沈黙の後、恐る恐る受け取った。
一口飲み込み、その予想通りの味わいにカッと目を見開き、また沈黙。
「な、なに……まぁ、うん、そこはかとなく、あれだね……」
言葉にしがたい味だった。そっと缶を彼に返し遠くの夜空を見上げよう。
気を取り直して、手早く調べてしまう彼を興味深そうに見ていた。
「器用だね、僕にはどう触って良いのかさっぱりわからないよ。
うん、案内してもらえるととても助かるかも」
黒電話とかなら僕も使えるんだけど。と負け惜しみ口にしながら、機械を操作する彼の手腕に軽い感動を覚えたが、まさか連絡先を登録しているとは思っていないようで、端末は彼の思うがままだろう。
「真淨在処君だね、同じ一年生なんだぁ……。
僕の名前は時坂運命。トキサカさんでも、サダメちゃんでも好きに呼んでくれてかまわないよ。
ああ、ちなみに僕のオススメだと『ウンメイさん』なんて言うドラマチックな感じの呼び方を推奨してるんだけどね。
とりあえず、よろしく」
■真淨在処 > 「…あー…我ながら好奇心は旺盛だねぇ。生死の天秤を振り切っちゃう事もあるかも?
…しかし、シスターさんからの忠告だとちょっと迷うねぇ。気をつけた方がいいかぁ」
と、言いつつそれで収まるなら彼女に忠告はおそらくされていないだろう。
少なくとも、このシスターさんはただ気さくで悪戯っぽいだけの少女ではない。そのくらいは分かる。
「おー…自ら試練に挑むとは流石――……ありゃりゃ」
チャレンジャーな彼女に素直に感心しつつも、何か一口で凄い反応をした彼女に苦笑い。
で、返された缶を受け取って普通にゴクゴク飲んでいる青年。ある意味で凄いかもしれない。
個人的には、初めて彼女が余裕の無い状態を見せたのが楽しかったのは内緒だ。
「ありゃ、機械とかには弱いタイプ?携帯端末くらいはある程度使えたほうがいいぜー?
…と、いう訳で連絡先交換させて貰ったぜ。せっかく知り合えたんだし?」
と、笑いながら自己申告していくスタイル。あと、一言メッセージで『今度お茶しようぜ!』と、添えてから元の画面に戻して電源を切って返そう。
己の連絡先を彼女の端末に入れただけでなく、彼女の連絡先を己の端末に入れる事もちゃっかりやってた。
「へぇ、珍しい名前なんだなぁ。サダメ、サダメ…ふぅむ。…んーじゃ、ウンメイさん?」
と、そのオススメで呼んでみる。「あ、俺はアリカでよろしくな!」と、笑って。
■時坂運命 > 「僕は敬虔なる神の信徒だから忠告はするけれど、平穏無難な一生を送るか、刹那的に綺麗に散って行くかは君の選択次第だよ」
観客席を沸かせたいなら、無論後者だ。そして少女が望むのも――。
「何事も経験せずに否定すると言うのは人としていかがなものかと思って……飲んでみたけど酷いね。
どうしてそうも君が平然と飲めるのか、僕は疑問が尽きないよ」
そう言う修行してるの?君も何かに試されてるの?
なんて真顔で聞いてしまう程度には、ゴクゴクと飲み干す彼の姿は驚愕だった。
内心で彼が楽しんでいることなど知る由もない。
「よ、弱いわけではないよ?経験が足りないだけで……。
おぉー、え。あ、うん。
この学園に来て記念すべき一人目だね、君の積極性には僕も嬉しい限りだよ!」
一瞬流されるままになっていたのを押し戻すように声を張り上げる。
端末の見方を後日教師に習って、ようやくそのメッセージに気付くのだが、それは後日の話しだ。
「うむ、くるしゅうない。 アリカ君、アリカ君……と、うん。
じゃあ、さっそく送ってもらえるかな、アリカ君?」
素直に返してもらえると満足げにうなずき返し、まだまだ残っている缶ジュースをキャリーバッグの中に詰め込む。
後は彼の親切に甘えることにして、教えてもらったばかりの名を呼び振り返った。もちろん笑顔を忘れずに。
■真淨在処 > 「ふむふむ、これぞまさに「運命」の分岐点だねぇ」
と、軽薄そうに笑うが道化師の選ぶ道なんて決まっている。それは勿論――。
「いやぁ、俺も別に美味いとは思ってないけどね?無性に飲みたくなる時があるってヤツ。
まーアレだ。シスターさんの反応が一般的に正しいから俺が変なのは否定できないなぁ」
と、笑いつつとうとう飲み干してしまった。ある意味で神様の試練を超えたレベル。
無造作にポイッと空き缶を投げれば、自販機そばにあった空き缶専用ゴミ箱に見事にダストシュートが決まり。
「そりゃ、ウンメイさんには興味沸いたし美少女だし?こういう機会は逃しませんってな?
うむ、そして一人目というのは光栄だな。ウンメイさんの新たな人生の1ページに俺の名前が刻まれたのだ」
と、大袈裟に言って見せつつ楽しげに笑う。流し流され、この入れ替わりが面白い。
後日、彼女がそのメッセージを見た時にどういう反応をしてくれたかは…さて?
「ああ、エスコートしますよシスター・サダメ。…なーんてな?行こうぜウンメイさん」
恭しく一礼しつつ、その手をとろうとする、なんてキザな事をやりつつも直ぐに軽薄なそれに戻り。
うむ、公園に来て正解だったな、と満足しつつ彼女を案内するのだろう。
ちなみに、笑顔の彼女に即発されてやっぱり手は取って連れて行こうとしたとか何とか。
■時坂運命 > 冗談や戯言で済んでいる内は笑い話。お互い笑みを浮かべ合おう。
「そうだとも、君が中毒になっているだけだとも。 いや、たまにだったら中毒ではないのかな?
とにかく、僕の思考は一口で夜空の彼方に消えたよ」
冗談抜きに、比喩抜きに。軽く放り投げられた缶の行方を耳だけで聞きながら、カコンと刻まれた音色に小さく「お見事」と呟き拍手を送った。
「おいおい、そんなストレートな口説き文句じゃ僕は片足くらいしか落ちないんだぜ?
そう、1ページ目の1行目だ。これから何ページに渡って君の名が出て来るかが大事なところだね。
君の今後の活躍にこうご期待と言うわけだ」
ピンと人差し指を立てながら、調子づいて語る声は楽しげに笑う。
メッセージを見てから返って来るまでの試行錯誤や誤送信に笑うか悩むかはまた別として。
「ふっふっふ、そういうのも悪くないけれど。 アリカ君、そのままの君で僕には十分さ」
変にかしこまるより、気軽に対応される方が嬉しいと肩を竦めた。この手を取るにしても、気軽にね。
2人は夜道を明るい代償で照らしながら帰るだろう。
■真淨在処 > 「そして、知らず知らずにシスター・サダメもおしるコーラの魔力に取り付かれるのだった…まる」
と、棒読みでわざとらしくそんなナレーションをしてみるサービスも忘れない。
「いや、片足落ちてるじゃないの。じゃあそのまま後は引っ張って引き込むのもありかなぁ。
…フッフッフ、覚悟しろよウンメイさん。名前的にもう縁が出来てるんだぜ。」
「運命」の「在処」はココだ、とばかりに名前で言葉遊びのような戯れを口にする。
調子付いて語る彼女に、こちらもこちらで勝手に縁を深めて楽しんでいる。
メッセージについては、多分少なくとも男は楽しみにしているだろうか。
「あいあいさー。まぁ堅苦しいのやかしこまったのは苦手さね」
だから、そのシスターの手を取って。後は気楽に案内をして行くのだろう。
そして、二人の姿が公園からゆっくりと遠ざかって学生街へと――。
■時坂運命 > 「さらりと恐ろしいことを言わないでくれるかな? 僕は取りつかれたりしないよ、むしろ取りつかれた君を救いだして見せるとも」
演説っぽく啖呵をきりながら、自分でも「ああ、これミイラ取りがミイラになるパターンだかな」と思ったとか。
「ふっふっふ、やれるものならやってみなよ。僕は手ごわいよ?
おっと、これはぬかったぜ……まさかそんな落とし穴があるとは」
互いの名前の言葉遊びもほどほどに、手なんかも引かれつつ、夜は深まりこうして迷子は家路に着いたのだった……。
ご案内:「常世公園」から時坂運命さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から真淨在処さんが去りました。