2017/09/12 のログ
ご案内:「常世公園」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 夏の酷暑も和らぎ始めた此の頃。
山のように出された課題を図書館で終わらせた頃には、夕日も地平線と別れを告げて夜の帳が降り始めていた。
ズシリと掌に重みを伝える鞄を揺らしながら家路についていたが―

「…ちょっとだけ、休憩していくか」

暑さが和らぎ始めたとはいえ、気怠い蒸し暑さは未だに体力を奪い続ける。
少しばかり一息つこうと自販機で立ち止まれば、重たい鞄を置いて硬貨を投入する。
さて、炭酸にするべきかカフェオレにするべきか。はたまた、気分を買えてオレンジジュースにでもしてみるか。自販機の前でちょっとだけ悩ましげな表情を浮かべる。

ご案内:「常世公園」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 「へへへんはんははーん」

リズムが雑な鼻唄を機嫌良さげに口ずさみながら、
月香は毎度の寄り道と公園に堂々とスキップしながら入った。
ちゃんと歌えばかなり上手いのは、ここだけの秘密である。

月香が公園に寄るのは、飲料を買って夜空を眺めながらぼんやりするのがなかなか好きだからだ。
星を見るのは楽しいし、夜風に当たれて気分も良くなる。

「.....ん?」

となれば必然的に、
自動販売機前にいる少年と鉢合わせしてしまう訳で。

(綺麗な子やなー。...風紀委員?)

腕章を見てちょっと意外な気持ちになりながらも、
爽やかな笑顔を浮かべて偶然出会った相手に挨拶しようか。

「こんばんはー。良い夜でござんすね」

神代 理央 > 遠くから微かに聞こえる鼻歌と、此方に近付いて来る軽やかな足音。
まあ、此処は学校でも繁華街でもない。夜の散歩に訪れる者なんて珍しくもないだろうと足音の主に気を向ける事は無い。
ただ、自分に声を掛けられたとなれば話は別だ。カフェオレに伸ばしていた手をそのままに、少し驚いた様に彼女に視線を向けるだろう。

「……今晩は。この残暑さえ無ければ、もっと良い夜だと思うが、良い夜である事は否定しない」

怪訝そうな表情を浮かべながらも、取り敢えず当たり障りのない返答。
尤も、その表情は自販機から立てられたガコンという落下音と、自分が押したボタンがブラック珈琲である事に気がついた瞬間げんなりしたものに早変わりするのだが。

和元月香 > 「...まだまだ夏が終わったって感じがしないですもんねー。
でもこの残暑も日本らしくて私は好きですけど」

にこにこしながら会話を続ける。
少し堅いような、古風な喋り方にまたしても意外性を感じながらも、
特別驚きを見せることなく気さくな態度で接しているつもりだ。

(やっぱり近くで見たら綺麗な子だなぁ。
この島美少女はめっちゃ多いけど、美少年はあんま見ないもんね)

制服でさえ無ければ、少女と見違えそうな容姿に素直に感嘆する。
もしかしたら遭遇しなかっただけかもしれないが。

「...あ。ごめん、私が声掛けちゃったからだね」

間違えて押してしまったらしいブラック珈琲と、
彼のげんなりとした表情を見て、申し訳無さそうに笑う。
それから一瞬考えて、硬貨を入れる。
へらっと笑いながら、相手の方を振り向いた。

「今から買うのとそれ、交換する?
私ブラック珈琲好きだし。
余計なお世話ならいいんだけど」

サラッと嘘をついた。
苦手な訳では無いし、飲めない訳では無いのだが
月香はあくまで甘味を愛する甘党である。

神代 理央 > 「確かに、極端に気温が変化しないのは趣があるかもしれない。急に寒くなったりしたら、やっていられないからな」

本来であれば初対面の相手――しかも女性となれば――には礼儀正しく接するべきだったかも知れないが、しこたま頭脳労働をした後では敬語を使うのも億劫だった。
歳上だったらどうしよう、と少し悩んだが、深く考えるのは止めた。

と、内心で折り合いをつけ、缶コーヒーを取り出して自分に声を掛けてきた少女に視線を向ける。
控えめに言っても美少女で通用する茶髪の少女。歓楽街辺りで出会っていれば問答無用で家に帰すくらいには、周囲の目も集めるだろう。
夜の独り歩きも風紀委員としては控えて欲しいが、そこまで口を出すほど堅物であるつもりもなかった。
彼女の第一印象についてそんな評価を抱いていれば、硬貨を投入して声をかけてくる彼女にきょとんとした表情を向ける。
暫し手元の缶コーヒーと彼女を見比べた後小さく首を振り―

「別に構わない。好きでは無いが、飲めなくもないしな。押し間違えたのは俺のミスだし、好きな物を飲めば良い」

そう言い切ると、気を遣わせる前にプルタブを開き、全く甘味の無い液体を一口。
嚥下した液体の苦味に若干渋い表情を浮かべかけるが何とか気合で我慢――しきれなかった。

和元月香 > 「そーだねぇ。
なんか急に気温が変わる日もあるけど」

実際年上ではあるが、
月香はそれを知っても言うほど気にしないだろう。
彼がなんとなく疲れているのは察せたし、そこまで気を回す余裕が無いのだろう。

(やっぱり風紀委員って大変なんだな。
飛鷹君も前めっちゃ疲れてたし)

馴染みの風紀委員の1人の顔を思い浮かべながら
それなりに相手を気遣ったまでの言葉は、丁寧に断られた。

「....男前!」

ちょっと見栄を張ったようにも見えなくなかったが、
月香はそれだけ言ってオレンジジュースを購入する。
プシュッと子気味いい音を立ててプルトップを捻り、
呷るように飲んだ。

「...ぷはーっ!
はは、やっぱりちょっと苦手?」

苦いもんね、と渋い顔をする相手を見やり笑う。

神代 理央 > 「出来ることなら空調の効いた部屋から出たくはない。まあ、そうも言ってられないがな」

小さく肩を竦めつつ、ちびちびと缶コーヒーに口をつける。
此方の横柄な物言いにも気にした様子を見せない彼女に、取り敢えず猫をかぶる必要は無いかと内心安堵の溜息。
今更取り繕っても遅いので、どっちみち被るつもりはなかったが。

「…まあ、正直言うとな。例え邪道と言われようとも、砂糖とミルクをたっぷり入れた甘い珈琲が好ましい。何故皆好き好んでこんな苦いものを飲むのやら…」

見栄を張りそこねてしまっては、最早取り繕う事も無い。
ゆっくりとしたペースで中身を減らしつつ、溜息混じりに彼女に言葉を返した。

「…しかし、夜の散歩をやめろとは言わないが、見ず知らずの男性に声をかけるのは如何なものかと思うぞ。この辺りは治安が悪い訳ではないが、俺がもし風紀委員を騙る悪漢なら、飛んで火にいるなんとやらというものだ。風紀委員としては、女子生徒には、もう少し人通りの多い場所で夜遊びを楽しんで欲しいものだな」

自分よりも幾分小柄な――といっても、悲しい事に身長差は大した事はないが――彼女に若干の呆れを含ませた視線を向ける。
口煩い教師の様な注意をするつもりも無いが、こういう注意をするのも風紀委員の仕事である。
…尤も、自分が出会った女性は大概べらぼうに強かったな、と思いつつ、実は眼前の少女も拳で鉄塊を砕いたりするのだろうかと内心戦慄したり―

和元月香 > 「結局暑いことには変わりない...」

どう取り繕ってもその事実は変わらない。
ゴキュゴキュとオレンジジュースを飲み干し、溜息をつく。
暑さが引き、涼しさが訪れるのは一体いつになるのやら。

「あ、甘党なんだー。私も出来れば甘い方がいいわ。
コーヒー飲むとしてもケーキと一緒だし」

可愛いとこあんじゃん、とかるーく口にしながらゴミ箱にオレンジジュースを捨てる。
そんな月香に真面目な口ぶりで注意をする目の前の少年。

「お、おう...。それはごめんさい」

ぱちくりと瞬きしながらも、思わず謝罪を口にする。
だがすぐに溌剌とした笑顔になり、

「風紀委員を騙る人とかいるんやね」

と特に気にしていないように。
気をつけるよ、と頭を掻く無害な少女にしか見えないだろうが...。
肩に提げたスクバには人の心を壊すような危険物を平気で入れていたりする。

神代 理央 > 「…余り現実を直視しても良いことは無い。とはいえ、もう少し涼しくなって欲しいとは思うけどな…」

彼女に合わせる様に勢いで缶コーヒーを飲み干し、渋い表情を浮かべながらゴミ箱に空き缶を落とす。
暑さと苦味に耐えきれないとばかりに、カッチリと閉めた胸元の詰襟を外すが―体感温度は全く変わらなかった。

「ほう、気が合うな。甘い飲料で甘いものを食べられる時間は至福の時間だ。何と言われようとも、糖分が頭に染み入っていくあの感覚はたまらないもんな」

全くもって同意見だとばかりに、少し表情を綻ばせながらうんうんと頷く。
尤も、可愛いという単語が耳に入ればあっという間に仏頂面になってしまうのだが。悪気が無いのは分かっているが、もう少し鍛えた方が良いのかと小さな溜息を一つ。

「…分かれば宜しい。別に夜遊びするなと言ってる訳じゃない。ただ、少し気を付けてくれれば此方の仕事も楽になるというだけだ」

少し言い方がきつかっただろうか、と謝罪を口にする彼女を見て幾分口調を和らげる。
和らげただけで、やや傲岸不遜な言葉遣いは全く改善していないのだが。

「可能性の話だが、そういう輩がいてもおかしくはないだろう?風紀委員に限らず、各委員会から一般生徒まで身分証を偽装している者は少なからず存在する。まあ、身分証を精査したりちょっと職務質問なり所持品検査なりしてやれば、案外ボロを出すものだけどな」

自分が落第街で出会った少女の身分証偽装を幇助しようとしている事は棚に上げつつ、笑顔を浮かべる彼女に淡々と言葉を返す。
その最中、無意識の内に彼女の持つスクールバッグに視線を向けて僅かに首を傾げてしまうのは、此処数ヶ月で得た職業病の様なものだろう。
別に何かしら疑っている訳では無くても、取り敢えず鞄やら持ち物に疑念を抱いていますよ、という態度。無意識の行動なので実際は特段気にしている訳ではないのだが。

和元月香 > 「君はやけに暑い格好してるから余計じゃない?
普通の制服でもなんかじめっとするのに」

詰襟を緩める相手に苦笑しながら、
セーラー服を纏った自らの体を見下ろす。
ブレザー制服に比べて生地が厚いのもあるだろうが、
肌着が貼り付いている感触にまだまだ汗をかく季節だということを実感した。

「だよねー。カフェテラスで過ごす時間は至福...!
...まぁ月1でしか行けないんだけど」

少し前食べたパフェの味を思い出して恍惚とした表情になるも、
すぐ金欠気味という現実を思い知ってふっと遠い目になってしまった。
相手が仏頂面になった理由は目ざとく悟り、そういう表情が可愛いんじゃないんかなとにやにや笑っていた。
何だかガチで切れそうだったので、言葉には出さないが。

「いや、言ってる事は正しいから!
ひとつ弁解させてもらうなら、別に夜遊びとかじゃなくて、うん。
いかがわしい事はしてないよ?散歩してるだけ」

慌てて、咎めるように手をぶんぶん振る。
ふたつのことを弁解しながらも、歓楽街にちょくちょく足を運んでるのは黙っておいた方がいいかと冷静に判断する。
こっちにも、一応それなりの理由があるのだ。

「身分証を偽装は、聞いたことあるなぁ。
落第街とかの人がよくしてたんだっけか」

財布に仕舞ってあった自分の身分証をひらひらさせて眺めながら、
偽造なんてできるんかーすげーと子供のようにぼやく。
同時に、風紀委員ほんと仕事多いなと少し同情してしまった。

「ん?どした?
...これ気になる?」

ふと、相手がスクバに目を向けているのに偶然気づいた。
にこっと愛想のいい笑みを浮かべて首を傾けてみせるも、
内心「アッ!?」とめちゃくちゃ動揺していたり。