2017/10/20 のログ
ご案内:「常世公園」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 校舎を出ると、雨が降っていた。
傘は持っていない。慌ただしくコンビニに駆け込んで、
ビニール傘を購入したのが数分前。

「...イチゴウさん?」

今はといえば、雨降り注ぐ公園にて
見覚えのある多脚ロボットに首を傾げて声をかけたところだ。

(なんか様子おかしいな?)

HMT-15 > 傍から見れば何を考えているかもわからない
そんな様子で空を見上げていると
公園内に入ってくる足音。
それを聞いたロボットは反転しビニール傘を持った
少女の方へと視線を向ける。

「・・・。
対象の容姿と記憶を照合、一致。
やあツキカ、こんばんは。」

声をかけられると首を傾げる彼女を見上げて
ワンテンポ遅れて彼女の名前も交えながら
無機質な機械音声で挨拶する。

和元月香 > 「.......?

あ、うん。こんばんは」

ますます不思議そうな顔をする月香。
無機質な音声からは分かりにくいが、
明らかに前会った時と様子が違うような気がする。

...随分、懐かしいぐらい以前の話だが。

月香は眉を顰めたが、とりあえずと言わんばかりに
明るい笑顔で傘を濡れたロボットの方へ傾けた。

「そのまんまじゃ錆びない?
風邪は引かないだろうけど」

からから笑いながら、無遠慮にそう宣う。

HMT-15 > 「・・・?
不思議そうな表情をしている。
もしや35時間前に大規模な修理を行ったから
何かおかしい箇所でも?」

ますます不思議そうな彼女に対して
こちらも顔を傾げて見上げる。
どうやらこのロボットは外見的な違和感を
想定しているらしい。

「ボクの装甲は錆に強い、
ゆえに雨水を避ける必要はない。
しかし人間は体温を下げると異常をきたす、
よって傘の角度を戻すほうが有益だと判断する。」

少女は明るい様子で微笑みながら傘をこちらに寄せてくれる。
こういった部分は彼女の個性の一つだろう。
しかしこのロボットは合理的な判断をするあまり
折角の気遣いを理解しない。

和元月香 > 「まぁ、それもあるけど...。
何か、いつもと違うこと無かったかな?
ちょっと変だよ、雰囲気」

明確には分からずとも、どこか沈んだような雰囲気が
前とは違うと月香は正面から指摘する。
例えロボットだったとしても、
彼は思考という心を持ち合わせている。

「そっか!かっけーね!
でも、見ててなんかちょっと痛々しいよ?」

断られた申し出にも、寧ろ目を輝かせながら返す。
そんな笑顔のままで、月香はくるくると傘を回す。

「随分久しぶりだねぇ。仕事大変?」

実に軽く、気心知れた友人相手の世間話のように。

HMT-15 > 「雰囲気。
キミはそういったものを感じる異能でも
持っていたのか。」

彼女の指摘に一瞬目にあたるカメラをまばたきさせ
少し考えてからそう返答する。
自由思考を持っており心を持っていると
呼べるかもしれないがそれは人間とは違って
冷たいもの。目に見えない、測れないものは感じ取れない。

「痛い?何故キミは刺激を受けていないのに
苦痛を感じるんだ?」

明らかにマヌケな様子で彼女に質問する。
つまり完全に言葉の意味を履き違えてしまっている。
その後に仕事のことについて聞かれれば

「確かに久しぶりと言える。
それと仕事に関してはいつも通りだ、
任務を受けてそれをこなして帰投する。」

月香はまるで学生同士の他愛のない会話のように
そんなフレンドリーな様子でロボットに話題を提供する。
その言葉にロボットは兵器、機械という面を強調しながらも
比較的軽い様子で返す。

和元月香 > 「そんな便利な異能あるといいね!
.....うん、持ってねぇよ!?」

うんうん、と頷いた後ノリツッコミ。
月香は明確に違和感を覚えた。
...なんというか、こんなに話が通じにくい相手だっただろうか。

「んー、そうじゃないよ?
他の人が今の君を見ていると、多分悲しい気持ちになるから。
ひとりぼっちで雨に濡れてるなんてね」

やはり話が通じない。
しかし月香はまるで気にしていないように笑う。
諸事情によりこの意見は極めて客観的なものだが、
少なくとも今の彼は他の人から見たら哀しく映るだろうと。

「スラムとか落第街とか、
最近しょっちゅう爆発だのなんだの起きてるらしいね?
ぶっ壊れたりしないようにね!」

比較的フレンドリーなロボットに少し嬉しそうに目を細める。
すぐに軽い笑顔に戻ったが。

表にいても、噂は簡単に耳に入ってくる。
軽い物言いだが、月香なりに相手を気遣った言葉だ。

HMT-15 > 「もしやそれはノリツッコミというものか!
言葉としては知っていたが初めて見た。」

目を輝かせているという表現がピッタリなほど
彼女に食いついていた。
好奇心が満たされた時に微妙に早口になってしまう。

「悲しい、人間の感情の一つか。
申し訳ないがボクにその事柄は理解できない。」

やはり人間のように考えられるとはいえ
所詮機械でしかないと捉えられる要素が見え隠れする。

「お気遣いだな?感謝する。
そういえば人間の感情は移ろいやすいと聞く。
キミこそ何か新しいものが芽生えたりしていないのか?」

このロボットが多少なりとも変化したように
目の前の彼女もまた変化している可能性がある。
それが新しい能力だろうが感情だろうが
人間の新しいものを生み出すといった機械にはない点に
このロボットは惹かれる。

和元月香 > 「急に食いついてきたな!?」

自分も到底言える立場ではないけれど、
早口になった相手に思わずのげぞって目を剥く。
先程月香も子供のように目を輝かやかせていたというのに。

「...そうなんだ。
でも今の君、やっぱりおかしいよ。
本当になにもなかったの?」

内心、同意を示す皮肉にも人間である少女。
それでも月香は自らの行動理念を満たすために、
なおもロボットに食い下がる。

「...ふっふーん」

問われた言葉に、意味深に笑い返す。
これは乙女の感情だから、必要以上に見せびらかすのはナンセンスだ。
どこかの本に書いてあった文節を思い出して、
しかし分かりやすくにやにやする。

HMT-15 > 「驚かせてしまってすまない。
気になった事が実証されると割いていた認知資源が減り
メモリが快調になる。」

つまり嬉しいと言い換えることも可能か。
しかしあくまで思考のためのリソースが
不必要になったためにメモリの負担が減っただけの
機械的な理由だろう。

「ボクも異変を感じる、修正プログラムのレベルを
あげれば元に戻るだろう。最近変わった事と言えば
ある少女と繋がった事が挙げられる。」

そう発するロボットはある意味で変化を
恐れているようにも見えるかもしれない。
そしてその発端は名前を伏せているが
ある人間の記憶領域内へ入り込んだ事を
一つの原因と捉えているようで

「その表情。何か隠しているな、とても気になる。」

彼女の分かりやすい仕草に
相変わらずの無機質な音声と共に好奇心を露わにし
彼女を問い詰めるかの如く傘の中へ入り込み
頭部の可動域を超えんばかりの様子で見上げる。

和元月香 > 「そりゃあ良かったねぇ。
イチゴウさんってやっぱり機械なんだね。
こんなにぺらぺら喋るのに」

物珍しげに、じろじろと相手の体を隅々まで眺めて。
納得したように頷く。

「ある少女...?繋がる...?
...はっ、まさか、おま.....」

なんの勘違いか、とんでもない結論に至り
わざとらしいほどに激しく動揺する。
効果音は恐らく“ピシャーン”だろう。

「え、ちょ、え〜?」

傘の中で必死に体を逸らしながら
冗談めかすようにわらった、

HMT-15 > 「今更な意見だ。それに今の時代
機械がしゃべるのは珍しくもなんともない。」

こちらを一通り眺めた後に頷く彼女を見て
ロボットもまた頷くような仕草と共に
そんなことを。

「確かに電子デバイスを通して記憶領域内へ
入り込んだが・・・。
何をそんなに激しく動揺する事があるんだ?」

カクッと頭を傾げて至極、不思議そうな様子で
月香に尋ねてみる。
彼女の考えている事をこのロボットが気づく可能性は無いだろう。
1%たりとも。

「おっと失礼。
その新しく芽生えたものとは
機密情報に値するものなのか?」

踏み込みすぎたと理解したのか
一言と共に行き過ぎた位置から一歩ほど下がる。
だが彼女に対する好奇心は止まっていない、
むしろ隠すことで余計に高まっている。

和元月香 > 「まぁ、そうだけどさ。
改めてそう思うってだけだよ」

確かにその通りではあるが、
イチゴウをそれらと同じにするのは何故か勿体無い気がして。
心も無い、ロボットではあるけれど。

「あ、うん、そうなんだ」

勘違いにようやく気づいた月香は、
羞恥はあまり無いものの若干の気まずさを覚えた。
...自分、マジで何を考えているんだ。

「いや、うん。
...何でそんなことを?」

キリッと決めた真顔で、大真面目に尋ねる。
どうやら数秒前の出来事は忘れることにしたらしい。

「んー、まぁそんな感じ?」

ありあまる好奇心の重圧をなんとか笑って躱そうか。

HMT-15 > 「逆に感情を持った機械というのは
存在しているのか?気になるところだが。」

逆説的な意見で反論を試みる。
奇妙なものが集うこの島の事、
もしかしたらそういう存在もいるかもしれないが。
何せ判断基準が既存のワクにはまっているAIであり
そういう存在はあり得ないと思っている。

「一体キミは何を考えていたんだ。」

結構マズそうな彼女に対してそんな一言。
声質は相変わらず変わらないが
呆れているといった様子だ。
またその理由を聞かれれば

「あちらがデータを欲しがっていたから提供した。
無論機密情報はロックしているし、殆どの情報に
高度なプロテクトを掛けてある。
それと引き換えに彼女の中に入り込み人間というものを
学んだ。」

そこで触れた0と1のデータで表せない
人間の様々な感情や温かさ、そういったものが
彼のAIのプログラムに影響を与えたのか。

「そうか、仕方ないな。」

情報というのは資源でもあり武器でもあり
明らかにするには許可がいる。
それを知っているロボットは
否定の意をくみ取ると案外あっさりと引き下がる。
情報を盗み出せという任務も無いので猶更だ。

ご案内:「常世公園」からHMT-15さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に和元月香さんが現れました。
和元月香 > 「んー、どうだろう。
私は聞いたことないなぁ」

あくまで否定しない。
この島ではありえないことではないからだ。

「...別に」

何を考えていたのか、と聞かれれば
非常に気まずそうに目を逸らしてぼそりと一言。

「へ、へぇ。
なんで欲してたんだろ...」

なんだか奇妙な話だ。
人間がなぜロボットのデータを?
しかも聞く限り、どうやら交換していたようだ。

和元月香 > それから暫く、2人は雨の中
とりとめのないことを話していただろうか。

ご案内:「常世公園」から和元月香さんが去りました。