2018/01/08 のログ
ご案内:「常世公園」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 日が沈んで時間が経ち人通りも少なくなってきたストリート。
油圧システムの音とテンポの揃う金属音が響き
電灯が照らす外気とは対照的な温かい明かりが
奇妙なシルエットの影を地面に描く。

その音の主である一機の機械は任務を終わらせ
帰路へとついている途中、だがしかしその歩みは
どこかぎこちない。
何かの異常だろうかと自己診断モードを起動するため
横目に付いた公園へと入っていく。

イチゴウ > 誰もいない冬の公園はまるで時が止まったような静けさを漂わせる。
その中で流れを感じさせてくれるのは中心に鎮座する
大きな噴水だけだろう。
入ってきたロボットは一直線に迷い無くその根元へ
移動しその重いシャーシを下ろす。

「自己診断モード起動、エンジニアリングスキャンを実行中。」

エフェクターを通した機械音声は静かな公園の空気へと消えていく。
高度な機械は人間とは違いある程度の不調ならば
何の問題もなく活動を継続する。
だが逆に言えば不調であることを誰にも気づいてもらえない。

イチゴウ > 「スキャン終了、問題の検出無し。」

自己診断を終えたロボットは納得したように
シャーシを持ち上げる。
結果としてはソフトウェア、ハードウェア共に
特に異常は無い。
恐らくジョイントパーツの不具合で
整備員頼りのメンテナンス案件だろう。

するとロボットは何か思いついたように反転し
噴水に備え付けられた3、4段程度の小さな階段を
一歩一歩ゆっくりと超え
綺麗に波打つその水面を覗き込む。
そこに映るのは自分。
視覚化された数値でしか物事を判断できない自分。
自身の不調さえ説明できない自分。