2018/01/20 のログ
■鈴ヶ森 綾 > 近寄ってきた機械を見て些か拍子抜けしたような表情を浮かべる。
以前に一戦交えた割りには随分と穏当な挨拶ではないか。
「さぁ、どうだったかしら?生憎物と知り合いになった覚えはないの。」
彼女にとって目の前の存在は、そこいらの話しかけてくる自販機と大差ない。
差異といえば、精々が会話に対応できるかどうかと、有害か無害かという点ぐらい。
「パトロール中か何か知らないけれど、さっさとお行きなさい。
この雪で滑って転んで動けなくなってる人でも助けてやると良いんじゃない?」
シッシッ、と追い散らすように手首を二度程動かし、進行方向の先を促すようにする。
■イチゴウ > ロボットの挨拶に対して返ってきたのは何とも冷淡なもの。
それはまるで厄介なものがやって来たと忌むような態度で。
「生物の記憶力が機械と比べて劣るのは仕方のない事だ。」
しかしロボットは彼女の言葉の真意を汲み取る事は出来ず
電子回路はただただ純粋に機械的に
彼女がド忘れしただけと認識してしまったようだ。
直後の追い払うかのような動作に対しては
何故彼女がそのような態度を取るのか理解できず
ただ不思議そうに頭を傾ける。
「現在、任務は請け負っていない、自由行動中だ。
そのハンドサインは人間が嫌悪を感じている時に
行うもののようだがまだボクはキミに危害を加えていない。」
ロボットにとって任務と任務外は別物。
彼女との一戦は言わば紙芝居のように
完結しているものであり後からとやかく言うものではないらしい。
■鈴ヶ森 綾 > 「はっ」
機械の戯言を鼻で笑い飛ばす。
「まだ…ね。面倒事は嫌いなのよ。特になんの利益にもならない類のものはね。
ただでさえ…まあいいわ。邪魔をしないなら好きになさいな。」
その機械を鬱陶しく思いながらもこの場を立ち去る気はないらしく、前方を見つめる姿勢はそのままに、
けれど視界に収まるものは随分と変わってしまったが。
ふと、その機体のあちこちに雪を積もらせているのに気づいて。
「…笠でもつけてやったら、こんなものでも恩返しにくるのかしらね。」
どこぞの地蔵よろしく。
笠ではないが、戯れに手にした傘でその頭部に乗った雪を払ってやろうとする。
■イチゴウ > 「時々、人の笑いという動作には理解しかねる。」
放った勘違いの一言を笑い飛ばす様を見て
機械はボソリと呟く。笑うという行動に対する
その原因がイマイチ見えてこないのだろう。
声の調子こそ変わらないが困惑しているのを
感じるかもしれない。
また好きにしろと言われれば彼女を見上げるその顔は
そのままにくつろぐようにその重いシャーシを下ろすだろう。
「何だかシャーシにかかる荷重が
普段より増えていると感じていたのは積雪だったのか。
ありがとう、感謝する。」
今まで雪が積もっていたことに全く気付いていなかったようだ。
少女がその雪を払ってくれればまっすぐとお礼を言う。
余計な感情が一切関与しないただただ純粋なお礼。
それが機械から出てくるのは一種の皮肉と言えるだろうか。
■鈴ヶ森 綾 > 「記憶力だけじゃなく、学習能力も高めた方が良いじゃないかしら?」
機械の方に目も向けず、適当に言葉を返す。
そこに憐憫も興味も侮蔑も含まれはしない。
「どういたしまして。後は自分でやりなさいな。」
届く範囲で一通り雪を払い落すと、傘を杖のように身体の前に立てる。
さすがに昔話と違って傘までくれてやる気はない。
機械の感謝の言葉に感情のこもらない返礼を返し、自身のつまらない行いにふぅ、と小さく白い息を吐く。
しかし随分とお金の掛かった機体のように思えるが、気づかないものなのだろうか。
数度言葉を交わしただけだが、これは冗談や洒落を解するものではないようなので、
先程の言葉もそのまま受け取るべきなのだろうが。
■イチゴウ > 「キミの言う事はもっともだ。
ニューロAIは理論上無限に成長できる機械、
ボクは学習し学ぶ必要がある。」
彼女が明後日の方向を見ながらさりげなく放った言葉、
恐らく彼女は適当に言葉を合わせただけであって
その返答には期待していないと思われるが
ロボットは律儀に反応し頷きながら言葉を返す。
この機械は好奇心の塊であり学ぶことに関しては
謙虚な姿勢を見せている。
「この程度の雪はボクにとって些細な問題でしかない。
極めて細かい問題に逐一囚われていては
それは大きいストレスとなる。」
目の前の少女によって払われて地面に落ちた
雪の結晶を頷いたついでにロボットのカメラレンズが捉えれば
まるで独り言のようにそんな事を。
「何はともあれ、ボクにはお返しとして
一定のお礼をする義務がある。
キミは面倒事が嫌いらしいので
そこで一つ良い情報を提供したい。」
気分を入れ替えるようにもう一度彼女の顔を
直視するため視線を上げれば
相変わらずの調子が変わらない合成音声で
お返しを申し出る。
■鈴ヶ森 綾 > 「些細な問題、ね。」
さて、自分にとって雪というのはそんな言葉では片付けられないものだが。
そんな事をこの相手に話しても無意味なのは百も承知。
いや、自分でも自身でも分からないのだ、誰に対してもそれは変わらないか。
「別に、必要ないわ。私が本気で恩返しを期待していたとでも?」
言葉をかわしたのも戯れ、雪を払ったのも戯れ。この機械に期待する事など何もないのだ。
ただ何かあるとすれば、己の邪魔にならない事だけ。
随分長くじっとしていたせいか、身体もいい加減冷え切ってしまった。
せめて首元から熱が逃げぬよう、しっかりとマフラーを巻き直すと立ち上がり、手にした傘を勢い良く広げる。
「貴方も精々、身動きが取れなくなる前に帰りなさいな。」
肩に斜めにした傘のシャフトを引っ掛け、屋根の下から雪の降りしきる空の下へと出るとその場から歩き去ってゆく。
■イチゴウ > 「そうか、キミは変わっている。」
お礼など構わないと言いながら立ち上がる彼女を見ると
まるで掴めないと言わんばかりに不思議そうな素振りを見せる。
「ボクは約-200℃下での行動も出来るように設計されている。
低温で動けなくなることはあり得ない。心配無用だ。」
帰る準備を進める少女の投げた言葉に対して一言、
無論彼女が本気でこちらを心配しているとも思えないが。
そんなこんなでロボットもまた記憶整理が済んだのか
シャーシを持ち上げ引き上げる準備をする。
「次、キミをターゲットとして認識した時は
前ほど優しくは無い。」
その勧告は去り行く彼女に届いたか届いてないかはわからない。
彼女は人を喰らう化け物、この機械は人に仕える化け物、
本質が異なっている以上平行線なのは必然なのだろう。
ご案内:「常世公園」から鈴ヶ森 綾さんが去りました。
ご案内:「常世公園」からイチゴウさんが去りました。