2018/01/27 のログ
ご案内:「常世公園」に久遠寺 精斗さんが現れました。
■久遠寺 精斗 > 綺麗に雪の積もった公園が見渡せるベンチに、男の子は座っている。
雪が降り続いた日は既に去り、ここ数日は良い天気が続いたにも関わらず雪が融け残っているのは、それだけ降り積もったという証だ。
雪が降りやんでから最初の休日、そろそろ雪かきの手が入ると思い、その前に小さな銀世界を見ておこうとこうしてやって来たわけだが。
「うん……綺麗なものだね。」
柔和な笑みを浮かべたまま、一人満足げに頷いている。
その後も何が面白いのかと思うくらいに、にこにことした表情で公園をただ眺めていた。
■久遠寺 精斗 > 「今年はまだ降ったりするのかな。」
青空を見上げて、のんびりと呟く。
彼の故郷では毎年の様に雪が降り、そしてそれは冬の間降り続けた。
流石に山奥の山村とこの島とでは環境が違い過ぎる為、何日間も雪の日が続くという事は無いだろうが、それでもまだ何度かこうして雪の積もった景色は見てみたいと男の子は目を細めて思う。
それと同時に、故郷で暮らしている両親のことも少しだけ心配になった。
■久遠寺 精斗 > 「父さんと母さんは僕が居なくてもちゃんとやっていけてるかなー」
のんびりふわふわ。木枯らしに髪を遊ばれながらも暖かな日差しの中で笑みを絶やさない。
まるで自分が笑うのを止めたら途端に陽が陰ってしまうとでも思っているかのよう。
公園の脇を走る大通りを行き交う人たちの声に耳を傾けたりしつつ、ゆったりとベンチに腰掛けている姿は大きな猫を思わせるだろうか。
「また手紙、書かないとなぁ」
この島に来た時に一通出したが、あれはそろそろ届く頃だろうか。
そんな事をぼんやりと考えて。
ご案内:「常世公園」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 大きなシャベルを担いだ長身の男が、のらくらと公園の道を歩いてくる。
この寒さというのにいくらか暑そうな顔をして、一仕事終えたらしい風情が漂っている。
晴れ間に乾きつつある遊歩道をやってくると、精斗が腰掛けるベンチに目をやった。
「――やあ、こんにちは。陽射しは暖かいが、空気が冷えるな。
雪遊びにでも来たのかね?」
足を止めて笑い掛け、角型のシャベルを地面に立てる。鋼板に付着した雪が小麦粉のようにはらはらと落ちて、すぐに溶け消えた。
■久遠寺 精斗 > 「わあ、こんにちは。
雪かきですか?大変そうですねぇ。あ、僕は見に来ただけです。」
声を掛けられれば、少しだけ驚いたような顔で其方を振り返りまたすぐに緩やかな笑みを浮かべて返答を投げる。
ヨキの手にしたシャベルをちらっと見てから、公園へと視線を向け、そしてまたヨキへと戻し、
「僕の故郷だと毎年いやになるくらい降ってるんですけど、この島でもけっこう降るんですか?」
僅かに首を傾け、その動きに合わせて揺れる前髪の隙間から穏やかなエメラルドグリーンの瞳が覗く。
口元は緩く弧を描いたままで。
■ヨキ > 「道路や駐輪場や、出入りのあるところは降ってすぐに掻き出したんだがな……。
晴れても晴れてもここまで根深い雪は、島に来て初めてやも知れん。
ふふ、このヨキが山積みにした雪で、子どもらが雪だるまをこさえておったよ。悪くない」
失敬、と言い添えて、精斗の隣へ徐に腰を下ろす。
「冬になるとちらほら降りはするが、こんなに積もることはそうそうなかった。
あまり経験したことのない寒さであるから、身体を動かしていなければすぐに凍ってしまいそうだ」
シャベルを地面に横たえ、ジャケットのポケットに突っ込んであった缶コーヒーを取り出す。
寒さに不慣れという言葉の通り、素手で開缶するとすぐに手袋を嵌め直した。
うっすらと湯気の立つコーヒーを口にしつつ、相手へ目を向ける。
「君、この島に来てまだ日が浅いのか。
自分は常世学園で美術を教えているヨキというよ」
■久遠寺 精斗 > 「変に寒いまま晴れちゃうと、溶けて凍って大変なんですよねえ
雪だるまが作れるのも、今の内だけかも~。」
隣に腰掛けたヨキへと朗らかに頷く。
彼の話すところによるとこの島ではここまでの降雪は稀らしい。
なるほどなるほど、とそのまま数度頷いて
「ヨキ先生、ですかぁ。
僕は久遠寺 精斗です。えっと~、今年になってから島に来たんですけど、生徒になるのは春からみたいですね。
というのも~、」
手続きのごたごたがあって~、と事情を説明するが当の本人はどこか他人事のようで。
「まあ~春までの生活は最低限負担して貰えるらしいので、その間は色んな所をぶらぶら見て回るつもりです。」
最後まで危機感というものを感じさせない語り口で、締め括る。
一定の抑揚で、それでいて口を挟む余地が無い自分の境遇語りを終えたのだが、その理由は丁度コーヒーの缶が空になった事から窺えるだろう。
ヨキがコーヒーを飲むだけの時間を、のんびりと稼いだのだ。
■ヨキ > 「常世島の全体に魔術でも作用させて溶かせれば楽だろうが、自然に任せるのがいちばんだからな。
(後方の木立を一瞥して、)向こうの広場の奥などは、日当たりが悪いから未だ新雪のようであったよ。
踏み荒らされてしまうのも時間の問題だな」
小さく笑って、精斗の身の上話に耳を傾ける。
ほう、とかふうん、とか相槌を打っているうち、小さなコーヒー缶は間もなく空になった。
「久遠寺くんか。春に学園で君を迎えるのが楽しみだな。
人も街並みも見飽きないほど多彩であるから、じっくり見て回るといい。
ヨキはこの島で教えてしばらく経つから、土地の案内も得意であるしな」
精斗の意図を知ってか知らずか、傍らのくずかごへ空き缶を入れて笑う。
「入学を決めたのは、君自身の異能や魔術のコントロールが目的かな。それとも、それらのことを勉強したいと思って?」