2018/04/01 のログ
イチゴウ > 自分が修正できた理由にはやはり風紀委員会の存在が
隠せないだろうがそれはあくまでハードウェア方面での話で
人工知能の修正にはかつて貢献した人物が居る。

その者は生徒であったが本質は底知れぬ深淵でしかなかった。
彼女は混乱していたロボットに対して答えではなく
あえて疑問を与えた。疑い考えるそのプロセスが
ロボットの本来の姿を取り戻させたと言えよう。
薄暗い路地で初めて出会い、妖しく揺れる列車で最後に別れを告げた
あの少女がどういう存在だったのかは良くわからない。
ただイチゴウにとって今でも特別な存在である事は確かなのだ。

「彼女には感謝しなければならない。
忘れ物をしていない事を祈ろう。」

それは人間のように過去の光景を想起し懐かしんでいる様子で。
舞い散る桜吹雪はまだ終わってはいなかった。

イチゴウ > だが修正された自分はただの考えられる機械でしかなかった。
彼の隣には誰も居ない、機械の佇むこの空間だけが
まるで切り取られ隔離されたかのように。
命令には絶対に逆らわず孤独に戦い続ける戦車、
孤独だからこそ最も信頼の置ける道具、
それが彼の正しい姿なのだろうか。

ぴたりと風が止む。
一機のマシンと一本の桜がただ向かい合う。
機械に感情は無い、だからこそ孤独でありながら
その孤独から脱する事は出来ない。
そんな救いようのない存在を見下ろすのは優美なしだれ桜、
多くの人を引きつけ交流するその存在は
ロボットとは全くの対照的なものであった。

お前は最終的に一人だ。
お前の隣に来るものなど誰もいない。

人の心を知る桜はきっと孤独な鉄塊をあざ笑っているだろう。

文句のない月夜の下で照らされ舞う桜吹雪。
ロボットの無感情で無機質なカメラは
単純にその光景を反射させるだけだった。

ご案内:「常世公園」からイチゴウさんが去りました。