2018/08/22 のログ
ご案内:「常世公園」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 夏の夜にしては、幾分涼しい風がそよぐ。
人の気配の無い公園の入り口に、一台のハイヤーが停車した。
「…此処までで構いません。後は歩きますから。ええ、ご苦労さまでした」
ハイヤーから降り立ち、運転手に礼を告げて走り去る車を見送る。
後に残された己は、小さな溜息を吐き出した後公園へと足を踏み入れた。
「…本部から学生街までほんの少しだというのに、恩着せがましい事この上ないな。全く、手のひら返しもあからさまでは不愉快にもなれん」
新入委員勧誘の為の広告媒体の案件や、アンデッド討伐に明け暮れる夏休み。
ともなれば、最近微妙に良いところの無い上層部の――とも言い難いが――先輩方は、保身の為に駒の囲い込みを始めた。
その駒の一つとして御眼鏡に適ったまでは良いが、下級生に阿るその姿に矜持は無いのかと言いたくもなってしまう。
「…まあ、悪い事では無い。寧ろ喜ばしい傾向ではある。こんな事で気疲れしている場合では無いか」
体調管理も仕事のうち、とは良く言ったものだ。
公園に設置された自販機の前で立ち止まり、何かしら糖分でも補給しようかと品定めを始めた。
■神代理央 > 暫し悩んだ末に押したボタンは、己にしては珍しく甘さ控えめの果実水。
別に甘くないという訳では無いのだが、己の好みからすればもう少し甘さがあっても良いかなと思えるもの。
「…やはり甘くないな。もう少し、糖分が入っていれば良いのに」
ペットボトルの蓋を捻り、喉を潤す。
自分で買っておきながら悪態をつくというのも可笑しな話だが、喉を潤すだけならこれくらいが丁度良いのかもしれない。
「…しかし、アンデッド騒ぎも中々収まらんな。通常任務に支障が出なければ良いが…まあ、落第街の連中も、この騒ぎでは悪事を行う余裕も無い、か」
自分達の縄張りに死者が蠢いているというのは、どのような気分なのだろうか。
中々に愉快な話ではあったが、結局後始末をするのは風紀・公安といった学園の治安維持機構になるだろう。
再び深い溜息を吐き出して、疲れた身体を休めようと近くにあったベンチに腰掛けた。
■神代理央 > 「広告媒体は生徒端末への動画配信、ポスターにビラ配り、街頭への宣伝動画…。古典的だが、王道といったところか。兎にも角にも、戦闘要員を集めなければ…」
休息のつもりで腰掛けたベンチで、結局思考を巡らせるのは己が携わる業務ばかり。
薄暗い公園でぼんやりと輝くタブレットの資料に目を通しながら、時折果実水で喉を潤す。
一度走らせた思考が落ち着くまで動くこともなく、その様子を茂みから野良猫が不思議そうに眺めた後小さく鳴き声を上げるだろう。