2018/09/16 のログ
ご案内:「常世公園」にルベールさんが現れました。
ルベール > ガッツンッ!

強烈は衝撃音と共に、ギシギシと木製の板が揺れる。強烈なダンクシュートがねじ込まれてバスケットのリングが揺れる。リングに捕まっているのは、長身の金髪女性。

異世界………いわゆる、剣と魔法の世界で若き将軍として名を馳せた、筋金入りの魔法戦士。
まさかの別世界への転移は驚いたが、今は争いもそんなにないこの世界に馴染んでしまっている。
生徒として登録したはいいものの、成績が悪いことがネックだ。教育まともに受けてなかったし。

そんな彼女なのだから、当然スポーツには強い適性を示す。
当初は格闘技に興味を示したのだが、ついつい頭に血が上る悪癖が顔をのぞかせたため、今は控えている。元々殴り合いは得意だったこともあるし。
サッカー、野球、水泳………一通り何でもやっては、自分が楽しいと思えることをひたすらやる日々。

平和だなあ、なんて思わなくもないけど、別に彼女は殺し合いがしたくて戦士をしていたわけでもないので、割と満たされているのだ。

ルベール > 「ふしゅー……っ……」

汗だくになりながら、さくっと着地してボールを拾う。
ショートパンツにタンクトップという軽装だから、いろいろと衆目は引く。すっかり肌色も透けているが。
彼女は基本的にアホなのだ。今の彼女の頭の中には、「この競技もなかなかに面白いなー」くらいしかない。

ただ全力で叩きつけるばかりでは無い。
とっても小柄な人にさっくりアウトサイドからシュートを決められ、あっさり負けることもある。

今度は少し離れた場所から、ほいさ、っとジャンプしてのジャンプシュート。
フォームこそ綺麗だが、………ガンッ、とリングに嫌われる。

彼女は基本的にどんな競技でもパワープレイが得意だった。
そしてテクニカルなプレイは苦手だった。

ルベール > 「ど、っせいっ!!」

外れたボールを掴んで、思い切りがっつん、っとやっぱりリングに叩きつける。
彼女は単なるパワー馬鹿ではない。すごいパワー馬鹿なのだ。
ぜー、ぜー、っと荒い吐息をつきながら、ボールを拾いあげてベンチにどかーっと大股を開いて座る。
デリカシーは食べられない。

「………あー……割と疲れるな。
なまってんのかな。」

タオルを自分の顔にかけて、ふぅー、っと長い溜息。
本来、命のやり取りでのスタミナとスポーツでのスタミナは全く別物なのだが、そんな緊張感の差異などが理解できるわけもなく。
なんとなく疲れるの早いな、なまったのかな、程度の考え。

ルベール > 元々は炎を使う魔法戦士。
燃え盛る剛腕を掲げ、馬を走らせ、槍を振り回し。
今よりももっと肌を露わにした鎧を身につけながら、高笑いをしていた。

そんな時期もあったなぁ。
今の彼女にとってはとっても黒歴史である。

「ああもう、やめやめ。 今は単なる学生学生。」

何かを思い出してうんざりした表情になれば、もう一度ボールを持って。
イメージする。ディフェンスは三人。
一人が自分のマークについて。もう二人は抜いたところですぐにヘルプに来る。
身長は三人とも自分と同じくらい。身体の強さは………あえて自分と同じにする。

イメージをしっかり、くっきりと輪郭を持たせて……。
そこからドリブルを開始する。 地面に1回、2回とついてから……右に抜くと思わせて、左!
あまり細かいフェイントはしない。
身を思い切り屈めて、金色の風のように相手の足元を滑りぬけ、一気に一人目を抜いて。

ドリブルし損ねたボールがてんてんとコートを転がる。

ルベール > 「だー! もー! ちくしょー!」

うがあ、と吠えながらボールを叩きつける。
自分の身体の動きとボールハンドリングが見合わない。
地道な訓練が必要なものが苦手なのが、彼女の戦いが悪い意味で天才的と言われた所以。

何でもできたのだ。戦うことなら何でも。

そういう意味で、闘争が少ないこの島にいることはもしかしたら不運であったかもしれない。
いや探せばあるんだろうけれど。彼女は自分から争いを求めて歩き回るようなタイプでもないのだ。

自分の中の熱くらいは自分で解消できる。
……そんな難しいことを考えているわけもなく、ただただ、出来なくて悔しいからボールをまた抱えて。

………今日の授業のことも忘れて、全力で練習するのだった。

ご案内:「常世公園」からルベールさんが去りました。