2018/11/19 のログ
ご案内:「常世公園」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 日が暮れるのも随分と早くなったこの頃。
放課後から風紀委員会での会議に出席し、喧々諤々の長丁場を何とか乗り切った。
精神的な疲労を感じながらも、帰路の途中にある公園へと何となく足を伸ばした。
「…全く。対策を講じるのは良いが、それが後手後手に回っていては意味などあるまいに…」
既に落第街から一般生徒に流出しているであろう制御薬について、様々な討論が繰り広げられた。
しかし結果としては『売人や販売組織などの流通網を監視・摘発する』という現状維持に近いもの。
もっと抜本的な対策が必要では無いかとも思うのだが…。
「…まあ、下手に上の連中に逆らうのも得策では無い、か」
小さく溜息を吐き出すと、何か甘い物でもと暗がりの中で煌々と輝く自販機の前で立ち止まった。
■神代理央 > 何処にでもあるようなラインナップの自販機から"冬の寒さを乗り切る砂糖50倍増し!"とやらのココアを選び出す。
程よく暖められた缶を取り出しプルタブを捻れば、小気味良い金属音と共に甘い香りが鼻孔を擽った。
「…んー、まあまあかな。甘さは良いが、もう少しココアの良さを出しても良い様な気はするな」
ちびちびと砂糖の塊にココアを垂らした様な飲料を飲みながら、近くのベンチに腰掛ける。
家に帰れば、今日の会議の議事録などを纏めなければならない。少しくらいは、精神的な疲労を取ってからでも良いだろう。
■神代理央 > 軽やかな電子音と共に端末が振動する。
ココア片手に起動すれば、先程の会議の速記録が送られていた。
「…改めて見ても、実に実のない会議だ。…いや、情報が少なければ動くに動けんと言うべきか」
個人的には、落第街の何区画か纏めて吹き飛ばした後、それを制御薬の暴走という体で世間に訴えても良いとは思うのだが。
尤も、一般生徒に過度な実害が及んでいない現状では、そこまで過激な案が認可される事は無いだろう。
思考した自分自身でも、そんな事をするくらいなら違反部活なり薬の売人なりを派手に殲滅した方が抑止力になりそうだとも思うことだし。
■神代理央 > 再び電子音。
会議に参加していた他の風紀委員からのもの。
「"あんな借りてきた猫みたいな神代を見るのは中々新鮮だったよ"…か。随分な言い様だな。散々現場で面倒見てやっているというのに」
上級生ではあるが、最前線を好む風紀委員の同僚を良く異能を用いて援護していた。
その縁があって、度々会議や出撃前のブリーフィングでは会話をする様になったのだが、任務中の自分と会議での自分の差に笑みを漏らすのを我慢していた様だ。
「"派手にやるなら何時でも声をかけてくれ"…か。まるで、私が派手にやりたがっているような口ぶりだな。私ほど後方勤務を愛してやまない人間はいないというのに」
そしてこの先輩かつ同僚は、風紀委員屈指の武闘派であり過激派でもある。
どうにも自分に何らかのアクションを起こして欲しい様だが―
「それなりのリターンが無くては、な」
缶をベンチに置き、懐から取り出したアンプルを街灯に掲げて眺める。
掌で鈍く光る制御薬は、早く試してみろと言わんばかりに怪し気な色を湛えていた。