2015/07/13 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に渡辺慧さんが現れました。
■渡辺慧 > 時間も時間だからか。
店内の人数はそれほど多くない。
だからこそ4人がけのテーブルに悠々と座っている。
テーブルの上にはコーヒーカップ。
いつも通りのブレンドのホット。
白いパーカーを羽織り、フードを被っている少年は。
片手に文庫。ここに来る途中に古本として買ったものだ。別に興味があったわけではない。
ただの時間つぶしに、適当に手に取ったものがそれだったのだ。
■渡辺慧 > ページを捲る速さは遅い……いや、むしろほとんど進んでいない。
文字を追っているかのような目線は、どちらかというと虚空に当てられている。
――まぁ、そうだ。ただの、現実逃避に近いのかもしれない。
中身としては、平凡な推理物。
少年が開いているページは、主人公が、序章を彩っている、そのぐらいだろう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 文庫本で塞がれた視界の先、コトン。と軽い音がした。
「…………。」
視線を上げても上げなくても、何食わぬ顔で対面に座ってトレイに載せたアイスココアをストローで吸い上げながら慧の事を見ている。
■渡辺慧 > そんな調子のまま、ふとコーヒーカップへ手を伸ばそうとした時。
ある意味、遮断していた意識が浮上した。
少しだけ、半眼になっていた瞳を。
少しだけ、驚きに反応させると、楽しげに瞳が緩んだ。
「…………や。こんばんは」
■谷蜂 檻葉 > 「ん。」
両肘を机に付けたまま、頬杖をついて珍生物を観察するような視線が飛ぶ。
口に曲がったストローを入れたまま、もごもごと挨拶を交わした。
「こんばんは。学校で遠目には見た気がしたけどこういうのは久しぶりかな……図書館寄らないし。」
■渡辺慧 > 「うん。……時計塔ぶり?」
少しだけ、小首を傾げ思案した後。文庫を閉じ置いた。
先程の続き、のように一口だけコーヒーで唇を湿らせると。
「あー、いや。……寄ろう寄ろうとは思ってたんだけどね?」
実際。今日行くならば、図書館か……またはここ。
ただ、一つの決め手となったのは。
――まぁ、コーヒー。いや、それを飲みたかった、という気分なのだろうけども。
■谷蜂 檻葉 > 「ま、猫の行方なんて考えても無駄って判ってたから気にしてないけど……。」
半ばまで一気に吸い上げる。
ぷは、と一息ついてジト目で睨めつける。
「どうせアレでしょ、全く唐突に珈琲が飲みたいとか。そんな理由なんでしょう?」
私も似たようなものだけど、とストローを再び咥える。
「……そういえば聞いたっけ? 鳥になった感想」
時計台ぶり、という単語で思い出した。
あの時は一杯一杯でとっとと家に戻って寝てしまったが、同行者の言葉を聞いてなかった。
■渡辺慧 > 「生憎、猫にはなり切れなかったけどね」
そう言って、珍しくクスクス、と。控えめに笑った。
なにより、この笑みが。
檻葉の問いを肯定しているとでも言いたげな、そんな笑い方。
「それ」
鳥になった感想。……と、いうより。
それにまつわる話。それを、話したい、と思いつつも。
結局今まで伸びてしまった。
試験期間、等も挟んだ、と言うのは言い訳になるのかもしれないが――。
まぁ、ここ最近。ある種の珍しく、思い悩む……と言うおおげさかもしれない。
「楽しかった」
簡潔な言葉。だけれど、そのとても、楽しげな。
思い起こすような笑みは、なにより雄弁に語っているだろう。
■谷蜂 檻葉 > 「十分猫よ、今でもね。」
ずごご、と少しだけはしたなく氷に刻まれた穴に入ったココアを吸って音を立てる。
薄くなるから氷抜きにしてもらおうと思っていたが、この喉の渇きだとそうそうにお冷になりそうで、抜き忘れてよかったと自分の失敗を褒める。
「ん? ――――うん、なら、良かった。」
『楽しかった』 そのシンプルな一言に
へにゃ。と、彼女らしい気の抜けた笑みを見せて笑った。
そして、感想を聞けた事で此処暫くのぼんやりが抜け去ったような感覚を覚えて姿勢を少し整える。
「……それで、何から聞きたい? それとも、話そうか?」
その笑みは、どちらかと言えば慧がするような笑い方で問いかける。
■渡辺慧 > もう飲み終わったの。
なんて呟くが、すぐさま自分で「……ぁぁ、暑かったからねぇ」
なんて呟き返した。
「よくわかんねーや」
前にも同じような会話、した気もする。
そう感じて、なんとはなしに檻葉の方へ視線をやると、ぼんやりと見つめた。
……まぁ、彼女の気の抜けた笑みに、その状態は終わりを告げたが。
「ん」
なんとなく、よくわからないけど。
よかった。なにがよかったか、分からないが。
だから再び――いや、今度は。
彼女の笑みにまるで対比になるかのように、気の抜けた笑みを浮かべた。
「じゃあ、まず一つ」
「あれは魔術だよね?」
■谷蜂 檻葉 > ひとしきり氷を弄り回して、カランと音を立ててストローを手放す。
「文献そのままに妖精魔術って呼んでるわ。格別、"教わる価値の無い魔術"よ。
―――『砕いて』」
そう言って、指でカップの隅を弾く。
すると 澄んだ硝子のキン、という音の後。
パキパキと不自然に氷が砕け散り、小さく不格好なかき氷のようにコップの底に溜まる。
■渡辺慧 > 「妖精魔術」
……自らの知識には、少なくともない。
ならば、講義では使用されない――いや。
彼女の言う通り。――いや、それにも、疑問がないわけではないが――教わる価値のない魔術、だからだろうか。
疑問気な、だがしかし。
その氷が砕ける現象に目を輝かした。
どんな凄いものを見ても。
やっぱり――こういうものは、綺麗、とでも言えばいいのだろうか。
楽しげに、その現象を観察していたが。
「んー、っと……。……"教わる価値の無い魔術"って?」
■谷蜂 檻葉 > 「素質に左右される、ってことよ。存在のあやふやな妖精達にお願いして、聞いてもらえるかもらえないか。
教わったところで出来る人間には出来るし出来ない人間には一生できないの。 ……ね?『教わる価値』はないでしょ?」
教わる価値がない、というのはそういう事。
学ぶ価値こそあれ知ったところでなんてことはない、永遠の高嶺の花が一つ増えるだけだ。
■渡辺慧 > なるほど、と頷き。
頷き――そして、その後に。
ある一つの事実に思考が行ったのか。
更に目を輝かせた。
「じゃあ檻葉は、妖精にお願い聞いてもらえるのか」
■谷蜂 檻葉 > 「そういう事。 ……まぁ、私の場合はちょっとズルしてるからかしらね」
そう言って、手のひらの上をフッと息を吹くと甘いチョコレートのような香りが漂ってくる。
「”香り”の異能がある限り、妖精達の「ご機嫌取り」は普通の人よりも楽だからね。」
―――彼女が理解していない【別の理由】も存在していたが、それはまた別のお話―――
「それに、妖精達にお願いを聞いてもらっても私の思う通りになるかどうかはわからないんだけどね?」
あくまで行為そのものに言及する為、結果は全て妖精の力次第。
近くにいる妖精の力が弱ければ微弱な。 強すぎれば思った以上の「被害」も起こりうる。
■渡辺慧 > 「こっちのみーずはあーまいぞ、ってかい」
でも、やっぱりいい匂いだ、そうやって顔を緩ませた。
「もしかしたら妖精さんは面食いとかだったりしてね――と。
ある種、からかいもこめた褒め言葉。
――まぁ、顔がからかい半分に歪んでいるから、実際にどう取られるかは、分からない所ではあるが。
「それは、まぁ」
「でも、それを言っちゃえば、どの魔術でも言えるしね」
異能だって。
「いいじゃないか、妖精にお願いを聞いてもらうなんて」
「なんか、こう。……んー。檻葉らしい?」
稚拙な言葉。
……褒める、褒めない以前の問題なのかもしれない。
だけれど、確かに今。自分は、彼女を褒めていた。
■谷蜂 檻葉 > 「…………うーん…………」
暫く慧の言葉に評定を下すように腕を組んで目を瞑ったが
「まぁ、ありがとう。でいいのかしら―――そんなに私、人を使うタイプに見える?」
どちらかと言えば使われる側なのだが。
そう問いかけながら虚空を擽るように指でなぞり、肩をすくめる。
「お願いさえ通れば一応【実力関係なしにどんなことでも出来る】っていう意味じゃ、相当便利だけどね。」
鳥になるのも、魚になることだって出来る。