2015/08/18 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > 入店して適当な席に座って注文。
今日は……パインゼリーとレモンスカッシュ。
夏の暑い日には酸味のある甘味が一番である。
注文してやってきたゼリーには
パイナップルの果実や生クリームがのせてあって、
食欲をそそる気がする。
「夏、ですねー。」
なんて、思わず呟き、
ほんわかした表情になる
■四十万 静歌 > 「~~♪」
ゆったり一口一口たべては、蕩けるような笑みを浮かべて、
ゼリーを食べていく。
甘くて美味しいのである。
「幸せですねー……」
なんて呟く。
うん。幸せなのが一番。
■四十万 静歌 > やがて、ゼリーを食べ終えると、
手帳を取り出して、
レモンスカッシュを飲みながら、
手帳に何かを書き込んでいく。
「えっと……」
時折何かを思い出すように、
ペンの持ち手側を、
顎に当てて宙を見ながら。
■四十万 静歌 > 「――」
そして、やがて――
テーブルにおもいっきり突っ伏すのである。
「ダメぇ……」
なんていいながら
■四十万 静歌 > ああ、もう、
なんて、ちょっと顔を膨らませて起き上がり、
手帳を閉じて、残ったレモンスカッシュを飲むと、
御代を払ってテラスを後にするのであった――
ご案内:「カフェテラス「橘」」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にビアトリクスさんが現れました。
■ビアトリクス > カフェテラスの隅のテーブル席。
金髪の学生――ビアトリクスが座っている。
卓をはさみ、対面に向い合って座っているのは、一人の女性だ。
華奢な肉体を包む黒色のドレスに、銀色の髪。
いや、銀色と呼ぶのは少し厳密ではない。
銀に輝く髪は角度によって、赤にも、金にも、翠にも、青にも見える……
さしずめ七色の髪、と言ったところだろうか。
ドレスの隙間から覗く白磁の肌はきめ細かく、
十代の少女のように若々しいが、異界の井戸の底の水のような
冷え冷えとした印象は――より年嵩を経ているようにも感じられる。
前髪は長く伸び、両目にあたる部分を覆い隠しており、
表情を伺うことは困難だった。
永久イーリス。
日恵野ビアトリクスの母親である。
■ビアトリクス > 「…………」
ビアトリクスは、テーブルに置かれた熱い黒黒としたコーヒーを啜る。
味がしない。
苦味すらも感じることができなかった。
常世学園に入学してから、イーリスと直接対面するのは二度目である。
一度目はごく短く一方的な勧告で終わった。会話とは言いがたい。
そもそも、入学以前から彼女と話すことは非常にまれな出来事だった。
本来ならばこの『家族会議』は寮のビアトリクスの個室で行われるはずだった。
しかしなんとか言葉巧みにカフェテラスで行うよう仕向けたのだ。
誰の目もない場所で彼女と会話することを、ひどく恐ろしいことと認識していたから。
イーリスは第三者の目がある場所に訪れる必要がある場合、
ちゃんとした実体を取る。
このドレス姿が現在の彼女のアバターであるらしかった。
■ビアトリクス > 『常世島での生活はどうか』
ふいにイーリスが口を開いた。
確かにそこで彼女がしゃべっている。
しかしどこかスピーカーを通したような遠い声だった。
「ええ、まあまあです」
『学業はどうか』
「恥を描かない程度には」
『一人での生活に戸惑うことはないか』
「いえ……」
問答は続く。
一人暮らしの子を慮る母親の言葉のようにも思えた。
しかしビアトリクスは疑っていない。
これらの言葉が実を伴わない、母親としての形式しか
伴わない虚ろなものであることを……。
■ビアトリクス > ビアトリクスがイーリスに向ける嫌悪の情は、
ビアトリクスがモノを知るにつれ、年の重なるにつれて、
どんどん膨れ上がっていった。
どうしようもなく嫌いだ、そう感じている。
しかしそれについて思いを巡らせる度に
何故か、彼の胸の裡でじくじくと痛むものがあるというのも
また事実ではあった。
故に、彼は、イーリスについて深くを考えないようにしていた。
常世島に住まいを移すに当たって、イーリスがついてこなかったことには感謝した。
しかし実際のところ、それはついてこなかった、というわけではなくて
イーリスにとって『ついていく』とか『ついていかない』という概念が
存在しないだけであることは、つい先日に悟った。
■ビアトリクス > いつ懸想している少年についての話題になるかと戦々恐々としていたビアトリクスであったが、
なかなかそうはならない。
……
『絵のほうはどうか』
やがてそんな、尋問に似た響きの質問な飛ぶ。
「……そこそこです」
『順調ではないだろう』
声が鋭く正中線を刺した。
「…………そういうこともあります」
応えるまでに少しの間を要した。
テーブルに目を落とす。考えを巡らせる。
彼女が何を意図しているのか探ろうとした。うまくいかない。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > (紅茶のカップを載せたトレイを片手に、店内を歩く。
奥のカウンタに空席を見つけ、そちらへ足を向けようとしたところで、知った顔を見つける)
「おや、日恵野君。講習会以来だな」
(少年の向かいに腰掛けた女性に目をやる。
その足先は二人の会話を邪魔するまいとして、店の奥へ向いている)
「――ご家族かね?」
(ビアトリクスに向けて、控えめに尋ねる。
卓上に目を落とした彼の表情を、窺うように)
■ビアトリクス > 「…………」
俯いていたビアトリクスの視線がヨキへと向けられる。
何か言おうとして口を開くが、何も出てこなかった。
どこか恥じるような表情。
『教師か』
銀髪に黒ドレスの女性――イーリスが、コーヒーカップに
口をつけたまま――その口を動かさずに言葉を発する。
ビアトリクスへの詰問は中断されていた。
『いかにも、“家族会議”中だよ』
鷹揚に、首を上へ向け、ヨキを仰いだ。
■ヨキ > 「………………、」
(イーリスが言葉を発する様子に、尋常でない様相を感じ取る。
描画魔術の使い手、日恵野ビアトリクスの家族――つまり、魔法使い。
ビアトリクスが言葉に詰まる様子を一瞥しながらに、イーリスへ向き直る)
「……いかにも。
初めまして。美術を担当しているヨキと申します。
どうぞ良しなに、お見知り置きを」
(優雅でいて淀みない、恭しい目礼。
学内においては終ぞ見せることのない所作。礼儀というより、対外的な演出の趣がある。
低く穏やかな、ゆっくりとした声で続ける)
「…………。
家族会議とは、彼に何か粗相でもありましたか。
教師としての質問です。ご家族の問題に、深入りは致しませんのでご容赦をば」
■ビアトリクス > 「私の名は永久イーリス。特に覚える必要はない」
湯気ののぼるカップを置く。
ドレスの袖を揺らし、手を口元に添えた。
目礼を返す気配もなく、悠々と佇んでいる。
「粗相というほどではない」
指の奥で、蒼い唇が滲むように笑みを形取る。
「私はこどもの将来を案じているだけだ。
些末事にとらわれ、安楽な道へと流れ、
本分を忘れてしまう……
それはきっと不幸なことだろう。
私はそうならないように彼を導いてやりたいだけ」
同意を求めるように、顔の向きを変え、視線を――前髪に遮られてわからないが――
ビアトリクスへと向けた。
「筆を折るようなことになってからでは遅い」