2016/05/12 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 放課後のひと時
友達達との賑やかな談笑の時間

あれから数日、少しずつ周囲の感じも元通りになってきた
やっぱり皆、自分に気を使っていたらしく、その優しさが嬉しい半面少し寂しくもあった凛霞は、
ようやく心の底から笑顔で時間を過ごせた

『あっ、そろそろバイトの時間ー』

「ん、また明日ねー!」

そんな談笑の時間も陽が傾くにつれて一人二人と帰路につき、
あるいは用事を済ませに店を出て、結局凛霞は最後まで店にいることになってしまった

ただただ、誰かと過ごすのが心地よくて

「っんーーーー…っ」

大きく伸びをして、ほどよく温くなった紅茶を口に運ぶ

「持つべきものは友達なりけり…ふふ」

伊都波 凛霞 > バッグから新しく買い直したスマホを取り出す
保険課からのお知らせ、なんてのが学園ネットワークの掲示板に出ていて、
うーんこれ自分のことだよねー、と苦笑する
そういえば最近、妹から一緒に帰ろうのお誘いがない
あの子にいい人とかできちゃったかな?なんて勝手な想像をしたりして
ラブレターをもらっただとか、お友達からはじめたんだとか、
そういうお話だけはあったけど…もしかしたら?
十代半ば、色多き年頃
あれだけ可愛い妹だ、本来なら引く手数多の筈なんである(姉の欲目成分を含む)

「お姉ちゃんのほうは、無理そうです」

たはーっと参ったな、風のリアクションを一人でしつつ、空になったカップを置く

「(前まではこういうところで一人でいると…)」

知らない男の人からちょくちょく声をかけられもした
いわゆるナンパされる経験は人よりも多かった気がする
持ち前のコミュパワーにより、普通の友達として男友達が増えていったのはそういうところから、というのもあったんだな
と、なんだか懐かしむように

ご案内:「カフェテラス「橘」」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 散歩、のつもりだった。
が、見た……と言っても、あくまでイメージ共有によるものだが……記憶のある顔を、カフェで見かけたので、少し近くに寄ってみる。
そして、召喚獣であるワタリガラスのムニンを呼び出し確認する。

「……アイツか?」

カァ。一鳴きだが、そこには肯定の意味が込められていた。
……ビンゴ。
ムニンを肩に乗せたまま、スマホをいじっている女子生徒に近づいていく。

「……よ、隣いいかい?」

断られても、そこから即話を進めていくつもりだけどな。などと考えつつ、軽い調子で声を掛ける。

伊都波 凛霞 > 「え?あ、どうぞー?」

もうあまり長居するつもりはなかったんだけど、まぁいいか、と
どうぞどうぞー、な感じで手を差し向けて促すように

はた、と眼に入るのは学園の制服と、肩に乗ったカラス
おぉ…なんかちょっと変わった子だ、と思いつつ笑顔で応対

とはいえ鋭い姉
他に空いている席があるのに相席を所望するということは

「えっと、私に何かご用件かな?」

最近は、心当たりが多すぎる

高峰 司 > 「あいよ、っと」

隣に腰かける。ムニンは引っ込めてもいいのだが、一応これから役割があるので今は出しっぱなしだ。
目立つことこの上ない。

「(へぇ……割といい勘してんじゃねーの)」

小さく笑いつつ、内心そんな評価を下す。
……グッド。勘の良さは、重要なタレントだ。

「ま、そーだな。伊都波 凛霞、でいいんだっけか?アタシは『アンタの今置かれてる境遇』を知ってる上で、『それをある程度何とかする用意がある』つったら、大体わかるかい?」

こういう時は、あまりウダウダと前振りを置かず、初手から大きめに踏み込んでみた方がいい。
その方が大抵は話が早く進むのだ。

伊都波 凛霞 > 「…ナルホド」
公安か、はたまた風紀か
もしくはそれ以外のルートからあの情報を入手したんだろう、と
少しだけ落ち着かないように、手元でカップをくるくるとさせながら

「ご明察通りの伊都波凛霞ですよー。
 いやー、色々大変なことになっちゃってますねぇあはは」

へらっと笑いながらそう言葉を返して

「一方的にっていうのも何ですので、お名前伺ってもー?」

高峰 司 > 「っと、そうだな。アタシは司、高峰司だ。女だぞ?」

一応言っておく。タカミネツカサ、と言う響きからは性別が予想しづらいため、極稀に勘違いされるのだ。失敬な。

「で、だ。アタシも別に、それを茶化しに来たんじゃねー。ウダウダ誤魔化しても勘のいいアンタならどっかで勘付くだろうから先に言うが、契約を持ち掛けに来た」

言いながら、ジャラジャラと石をいくつか取り出す。
その石には、直線のみで構成された文字のようなものがそれぞれ刻まれている。

伊都波 凛霞 > 「おぉっ、意表をついて女装制服男子とかではなかった!冗談冗談、よしくね司ちゃん」
年頃が同じと見るやさっくりとちゃん付けで呼びはじめる
髪も瞳も、鮮やかではないけどくすんだ赤、髪型も短く切りそろえられているし、
態度というか纏っている雰囲気、制服じゃなかったら男の子にも見えるのかな?
そんな風に感じた

「ん~!別に茶化しに来てくれたってよかったんだけど!」
失敗談って雑談のタネ程度にはなるしね、と笑って

彼女の取り出したいくつかの石を見る
覚えのある文字が色々刻まれている
どこで見たんだったかなー、と考えを巡らせると、行き着いたのは魔術基礎理論Ⅲの講義だ

ぽんっと手を打って

「ルーン文字だ!だよね、そうでしょ?
 ていうことは君は魔術師かぁ…となると契約っていうのは…何だろ?」

首を傾げる
まだそこまで魔術への造詣が深いわけでもない、何しろ横幅が広すぎる学問である

高峰 司 > 「……オマエ、アタシの事警戒しねーのか?」

よくわからん、と言う表情になる。
初動はもっと警戒されるものだと思っていた……弱みに付け込みに来たのだ、当然と言える。
それが、この対応。逆に不気味にすら思えた。

「ま、いいか。 ……って、よく知ってんな。そうだ、コイツはルーン。正確にはルーンストーンの方がいいのかもしれねーけど、ま、ルーンって事だけ分かってりゃ問題ねーよ」

ジャラジャラ、と手持ちのルーンストーンの中から、いくつかを選り分けて、見えやすい位置に置く。

「で、こんなの持ってるんで分かるだろーが、アタシはルーン魔術師だ。そして、召喚術師でもある。
……オマエ、分かってるかどーかは知らねーけどな。あんなモン出回ったら、人生終わりだぞ。
詰み、って奴だ。ネットにばら撒かれた情報は消えやしねー、どっかで誰かの目に留まって……ソイツは、オマエを犯しに来るかもな。
いや、くる奴はいるだろうよ。オマエが古武道を習ってるなんつー情報を知らずに、舐めてかかってくる奴は絶対にいる。
そう言う奴からオマエを守るために、アタシはオマエにルーンを刻む用意がある。
人間関係を助けるアンスール、恋愛を助けるギューフ、魔除けのハガル、仲間からの助けを呼ぶエオロー……こんな辺りがちょうどいいか。エオローも魔除けに使えるしな。
これの内、好きなのを刻んでやる。全部でもいい、これ以外で欲しいルーンがあればそれだって刻んでやる。体に刻むのが嫌なら、ルーンストーンをくれてやる。その代わり。」

『……オマエは、アタシの召喚獣(テゴマ)になれ』

そう言って、時に魔性、悪魔のそれと呼ばれる契約を、提案した。

伊都波 凛霞 > 「ん、無防備っていうわけでもないし、そこは気にしなくていいんじゃないかな?」
知らない人でも最初から疑ってかかるのが嫌いなだけだよ、と笑って
人によっては良いカモに見られたりもするんだろうなーほんと、と内心ひとりごちる

「一応講義で習ったことは忘れないようにはしてるからねー。
 へー、これが…資料を見ただけだったけど、実物ってこんなんだー…」
今年は魔術を専攻に選んだ凛霞。まじまじと興味深げに石を眺めて…
ふと投げかけられる言葉には流石に苦笑する

「拡散して欲しくないなー…っては思ってたんだけど、やっぱり無理だよねえ…」
参っちゃうな、と少しだけ、困ったような笑顔から力が失せる
この司という少女の言うとおり、そういった案件は既に一部の生徒から脅しのようなものを受けていた

「でもまぁ人生終わりかどうかは私が決めることなんで!
 いやー、そうそう落ち込んでばかりもいられないんだよー、ほっとけない妹がいて、
 その妹が私のことをものすごく信頼して、目標にしてくれてるからさ」

一転、瞳に強い力が宿ったと思えば、生気に満ちたような顔になる

「だからどんな状況になってもお姉ちゃんは大丈夫、最強だから、って姿を見せてないと。
 何かに頼るのは楽なんだけど、それじゃ妹の目標足りえるお姉ちゃんじゃなくなっちゃうんだよね。
 …うん、だからせっかくのお話だけど、ごめんね。
 自分が撒いた種だし、私は私自身の力で、なんとか切り抜けていくよ」

そう言って一度だけ頭を下げた
内心は…本当は何にでも縋りたいぐらいにぼろぼろだけど
虚勢は大事、そう思わせないことが、大事

高峰 司 > 「…………」

じぃ、とねめつける。
内心を探るかのように、心のどこかに隙が残っていないか探るかのように。

「(……ち、虚勢だろうが、コイツは折れねぇ虚勢だ。犯された女が、ンな顔出来るものなのかよ)」

そして、小さく舌打ち。
多少の拒絶ならいくらでも粘ってやろうと思っていたのだが、ここまで確固たる理由と決意に裏付けされた拒絶は、まずひっくり返らない。
それを覆す事は、その当人のパーソナリティを自分で否定する事になりかねないからだ。

「……成程な。アタシの認識が甘かった。ったく、そう言う芯の強いヤツと契約出来りゃ、アタシも楽になんだけどな」

溜息を吐きながら、ルーンストーンを片付けていく。
……と、そこで一つのルーンストーンが目に留まった。

「(つっても、コイツはレイプ被害にあってる。レイプなんつーのは、それだけで下手すりゃ自殺モンのトラウマになる。コイツがどれだけ芯が強くても、事が重なればポキっと折れるかもしれねぇ。
コイツの今後の被害を敢えて阻害しない範囲で、尚且つ可能性を残す一手……)」

そこまで考え、一つのルーンストーンを残し、他を全て片づける。
そのルーンストーンは片づける気が無い、と示すかのように。

伊都波 凛霞 > 「一つ疑問なんだけどー」

石を片付ける少女に向けて、口を開く

「何のために私と契約したかったのかな…楽になるって、何が?」

純粋な疑問である
この年端もいかない少女に、何か並々ならぬ事情でもあるのかな、と

「あ、1コ忘れてるよー」

一つだけ置き去りにされたルーンストーンを手のひらにのせて、ハイ、と差し出す

高峰 司 > 「(ち、口が滑ったか)」

内心舌打ちする。勘がいいのは分かっていたはずなのに、迂闊だった。
が、細かい事情まで話してやる義理はない。契約してすらいない他人なのだから。

「大したこたーねーよ。強い召喚獣(テゴマ)は多いに越したことはねぇっつーだけだ」

言いつつ、差し出された、アルファベットの「Y」の真ん中の線が少し突き出たようなルーンが刻まれているルーンストーンにはぺいぺいと手を払う。

「いいよ、くれてやる。ソイツはエオロー、仲間からの助けを導くルーンだ。ま、試供品だと思ってくれ」

そう、エオロー。助けを導くルーン。
即ち……『襲われる事自体は特に防がない』ルーンだ。魔除けの効果もあるが、敢えてその効果が発揮されない魔力の籠め方をした。

「つっても試供品だ、効果はそこまで強くしてねぇ。逆に言えば、他のルーンとの組み合わせも考えると、もっと強い効果も付与出来る。
……気が変わったら声かけて来な。いつでもアタシは、契約OKだぜ?」

繰り返される悲劇は、それが耐えうるモノであっても心を擦り減らす。
大したことのない苦痛でさえ、雨垂れが石を穿つように、重なればストレスで人を狂わせる。
ましてやレイプ。性的な眼で下衆な男が近寄ってくるのだ。
精神的な苦痛は半端ではない。そう言う時の逃げ道に、自分を置いてやるのだ。
いつか折れたその日に、彼女が自分を頼るように。

伊都波 凛霞 > 「それを求める理由のほうが知りたかったんだけどー、まぁ、無理に聞き出すことでもないよね」

くれてやる、と言われれば石を手のひらでころころと転がしてみて

「あはは、お守りみたいなもの?
 手助けしてくれようとしたり、なかなかいい人だよね司ちゃん」

例えそれが打算的なものに裏打ちされたものであっても、
ただそれだけのことで気が軽くなる、そういうこともある

「それじゃとりあえず連絡先の交換なぞいかが!」

すちゃ、とスマホを取り出すお姉ちゃんだった

高峰 司 > 「ハ、契約したら喋ってやってもいいぜ?」

契約したならば、最早他人ではない。その距離感になれば、自分の事情を少しは話してやってもいいだろう。
だが、そうでもない他人相手に、口を滑らせる趣味はない。
所詮は他人。契約や利害で縛りでもしない限り、何をするか分かったものではないのだ。
だから……心情だけでは高峰司は動かないし、信条で動くことをそもそも信用しない。
故に。

「っせーよ。試供品っつったろ。オマエがアタシと契約する気になる可能性があると思ったから、その前振りに過ぎねーんだよ」

少し不機嫌そうに、ぶっきらぼうにそんな言葉を返す。
……ますます以て、この女性が分からない。
何故他人の善意なんて不確定で曖昧なモノを信用出来るのか。
打算込み、なんていうレベルではない。打算100%の行いだというのに。
あのエオローだって、効果を絞ったせいで『襲われる事自体は別に防がないが、最悪一歩手前くらいで誰か助けに来てくれる』程度の効果しかない。
レイプ魔に近寄られる事自体は、防がない。欠陥品だ。
勿論契約したなら、高峰司の全霊のルーンで守護するが……そうでもない相手には、こんなもの。
それを知ってか知らずか、あろうことかいい人とは!
その感性が、司にはまるで理解できなかった。

「……ま、その方が契約するっつー時に手っ取り早いしな?」

が、それはそれ。ビジネスはビジネスだ。
スマホを取り出して、連絡先を交換する。
……高峰司ちゃん、初の連絡先追加である。

伊都波 凛霞 > 「あはは、そっかー残念」
にこにことした笑顔でそう返して

「んー!可能性はあんまりないかもしれません!それでもいいならもらっちゃうけど!」
やったーらっきー、みたいな素振りで普通に喜んだ

「打算でも偽善でも、自分以外の誰かに興味を割ける人はそれだけで人と繋がれるから。
 たったそれだけでも救いになるような人って実は世の中にいっぱいいるんだよ」

脳裏に浮かんだのは自分か、自分によく似た誰か、か

連絡先交換に応じてもらえば、手慣れた様子で通信を開始、さくっと連絡先を追加に成功

「ふふ、まぁせっかくお友達になったんだしビジネスだけと言わず遊んだりご飯食べたりしよーよ♪」

高峰 司 > 「…………どうだかな」

強く否定はしない。
だが、肯定する気にはどうしてもなれなかった。
……生物は、最終的には己の利を求める。本能に理性は敵わない。
それは、レイプ魔なんて下衆な連中に襲われている凛霞が一番分かっているはずではないのか。
だというのに、なんでそんな花畑な夢想を口に出来るのか。
きっと、この女性には、自分と召喚獣たちのようなビジネスライクな繋がりではなく、もっと温度のある繋がりがたくさんあるのだろう。
だが、そんなモノはまやかしにしか見えない。
……高峰司に、他者への信頼はあり得ない。
他者を信頼するとしたら、それは他者を縛る契約か、他者に伴う利害だけだ。
だから。

「……いやまあ、別にいいけどよ。メシ食うくらい」

これだって、付き合いに過ぎない。
単なる、ビジネス上の好感度を上げるための追加作業。それだけだ。
接待、そう接待。そう言う類のものでしかない。そうでしか、ないのだ。

伊都波 凛霞 > 意外にも強い否定は来なかった
なのでにっこりとした笑みを向けて、満足気

凛霞にとっては花畑のような理想でも夢想でもなく、現実
もちろん司の想定するようなドス黒い闇もまた、現実
だからって別にそれしか見えなくなるわけでもない
薄暗い溝側と、綺麗な一面の景観があるのなら、わざわざ前者のほうばかり向く必要がないというだけなのだ

「あ、じゃあニルヤカナヤいこっか!
 さっきパンケーキは食べたんだけど流石にお腹もたないよねー。
 決まり!よし行こう!」

なんというか、そうと決まれば行動が早い
貰った石を大事そうに仕舞い、バッグを肩にかけて席を立つ

司ちゃんは食べ物何が好きー?
などというような言葉をかわしながら、先導するようにお家計に立つのであった

ご案内:「カフェテラス「橘」」から伊都波 凛霞さんが去りました。
高峰 司 > 「は?え?今からか?今からなのか!?」

ぽかん、と、彼女にしては珍しい、間の抜けた表情をしつつ、少し慌ててついていく。
なんだか、勢いに逆に振り回されている感じだ。心を翻弄して、契約に持ち込もうと思っていたのに。
調子がくるわされている状態に首を傾げつつ、別に好き嫌いとかはねーよ!と言いながら会計をする。
……横でムニンがカァと鳴いたのが、ちょっとムカついたので即送還してやった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から高峰 司さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
烏丸秀 > 昼下がりのカフェテラス。
優雅にお茶をしている学生が一人。
着物を着て抹茶を飲みながら、あたりを見回し、時々手元の端末をなにやら弄っている。

たまに知らない女の子に手を振ったりもしている。
そんなに有名でもないのか、怪訝な顔をして去って行く者がほとんどだが、特に気にしない。

「――――」

端末では大きな金のやり取り。
が、彼にとってはそんな重要でもない。所詮は副業である。

烏丸秀 > どちらかといえば周りの女の子の方が重要だ。
まったくこの学園にはかわいい子が多い。
素晴らしい。
最高だ。

とりあえず、彼はかわいい娘が大好きである。
手元で愛でるのも燃えるように愛しあうのもすげなく振られるのも愛しさのあまり壊してしまうのも。
そのやり取り自体が愛おしい。

というわけでカフェテラスに来てはナンパにいそしんでいるのだが、特に成果は無し。
やはり全身から漂う胡散臭さは隠せないのか、はたまた運が無いだけか。

「学生なんだし、もうちょっと無防備でもいいと思うんだけどねぇ」

ご案内:「カフェテラス「橘」」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 蘭の時間割は、基本的に午前偏重だ。
午後の時間を、自習やピアノの練習、魔術の鍛錬や趣味の読書などにたっぷりと注ぐためである。

そんなわけで、この時間にカフェテラスに訪れる蘭。
今日は読書目当てだ。息抜きである。

店に歩み寄る際、和装でお茶を嗜む青年の姿を、ちらりと目に止める。

(…流石に私達の年代で、私服を和服にしちゃうのはちょっと珍しいの…かしら?
特に、男の人で)

父の親戚には和装の心得のある者がいて、蘭もイベントで身に付けたことはあるが…普段着とは珍しい、と考え。
2秒くらい、つい青年の方に視線を向けてしまった。

烏丸秀 > 視線を向けられればにっこりと微笑み。
チャンスとばかりに手を振りながら話かける。

「や。どこかで会った事は、多分無いよね。君みたいな子と会ったら忘れないからさ、ボク」

笑いながら歯の浮くような台詞を言う。
こういう事に関して遠慮はしない男である。

「良かったら座らない? お茶をするなら相手が居た方が楽しいよ、きっと」

軽薄この上ない事を言いながら、店員に和菓子を頼む。
もちろん、なるべくかわいい女店員に。

美澄 蘭 > 手を振り返されれば、びくり、と少し反るような反応をする。
…が、話しかけられれば逃げたりはしないようだった。
変わった服装だが、見た目の感じは悪くないし。

「…そうね…同年代で和装の男の人に会ったら、私も忘れないと思うわ」

「君みたいな子」という言葉を、自身の外見の最大の特徴である「と思っている」オッドアイの方で受け取ったようで、くどかれているという認識はこの段階ではなさそうだった。
なれなれしさに戸惑う瞳をしているものの、引く様子はない。
…が、相席を誘われれば、流石に「理解」して露骨に狼狽える。

「…え、えぇと、その…お茶をしながら、本を読みにきただけだから…」

(本に没頭して相席の相手を蔑ろにするのも良くないけど、断るのも良くない気がするし…)

先日、世話になっている先生に交友関係のことを尋ねられたのもあって、すっぱりと断ることへの抵抗感がかなり上がっている。
もう一言、上手く言葉をかければ相席の承諾くらいは取れそうだ。

烏丸秀 > 「この服ね、普段使いに便利なんだよ。よく珍しいって言われるけど」

袖をあげておどけるように言う。
確かに珍しいかもしれないが、通気性も運動性も悪くはない。
何より、こうして話題になる。素晴らしい効能だ。

「へぇ、読書かぁ。いいね、凄く絵になりそう。でもこの時間は混むし、遠慮なく座ってよ。もしボクの話が読書よりつまらなかったら、すぐ黙るからさ」

さて自信のあらわれか、それとも何も考えていないのか。
が、混んで来る時間なのも確かだ。そろそろおやつの時間、かつ授業の終わる時間でもある。

美澄 蘭 > 「洋服よりは、着るのが手間に見えるけれど…慣れれば、そんなこともないかしら。
暑くなってきたら涼しそうよね」

初夏というべきか、徐々に気温が上がりつつある昨今、通気性の良い服装というのはそれなりに好ましいものではある。
…流石に、蘭はそこまでの衣装をこの島に持ち込んではいないが。

「絵にって………別に、見た目のために読むわけじゃないんだけどね」

褒められれば、複雑そうな苦笑いを浮かべる。
「文化系女子」っぽさを出したいとか、「インテリ」っぽさを出したいとかそういうわけではなく、単に興味のある本を読んで自分なりに「何か」を得ていくだけなのだ。
そういう「イメージ」で語られると、どこか読書の意義を弱くされるように思えて微妙な気分になるのは否めない。
それでも、

「………確かに、お茶には良い時間だものね…それじゃあ、お邪魔するわ」

そう言って、青年と正面から向かい合わないで済む角度の椅子を自分で引いて、腰掛けた。

烏丸秀 > 「そうそう、涼しいし、蒸れないし」

うんうんと頷きながら、さりげなく和菓子を彼女の前にも置く。
少し暑くなってきたので、水ぼたんである。和菓子には少し煩い男なのだ。

「そう? 君が読書している姿、溜息が出るくらい綺麗だと思うけどなぁ」

歯に衣着せぬ物言いで少女を褒める。
もっとも、読書好きならば絵になるとかそういう所を褒めてもそこまで嬉しくないのかもしれないが――

「もっとも、男の視線を集めて喜ぶタイプじゃないと思うけどね。
こういう日に読書をする子なら、特に」

うんうんと納得したように頷く。
――本の内容に触れないあたりが駆け引きなのだろうか。