2016/05/31 のログ
■美澄 蘭 > ぱらぱらとめくってページを開くと…そこには、少し前に頑張って組んでみた冷却魔術の試作品が記述されている。
実際に使ってみたところ、思ったほど効果が体感出来なくてしょんぼりしたものだ。
「…えぇっと、まず熱エネルギーを逃がさない防壁は…」
「あ、辞書も出さなきゃ」と言ってブリーフケースを漁っている間に、注文したものが届く。
「あ、ありがとうございます」
慌ててノートをずらして置くスペースを作って置いてもらう。
店員が下がった後で、再度ノートや筆記用具、注文したお茶と飲み物の位置関係を調整してから、辞書をそれらの脇に置いた。
■美澄 蘭 > 辞書を開きだすと、熱を遮る防壁を意味する魔術文字の羅列を調べて、ノートの端に書き留める。
そうしてから、アイスティーのグラスに手を伸ばした。
冷たい水分を喉が通る爽快感に、気持ち良さげに一つ息をつく。
「…で、次は効果量を規定する文字の書き換えだけど…」
「どのくらいにしようかな…」とか呟きながら、辞書を適当にぱらぱらとめくっていく。
■美澄 蘭 > (うーん…2倍?3倍?
流石に5倍は行き過ぎだと思うけど、でもほとんど効果を体感出来なかったし…)
うーん、と、辞書をめくる手を止め、手にしたシャープペンシルをぷらぷらさせながら、しばし思案顔。
(とりあえず、防壁を組み込んで、冷たい空気を逃がさないようにしてみてから強くするのでいいかな…)
そんなわけで、「控えめに」試作品の術式の3倍の効果量に定める魔術文字を、ノートの端に書き留める。
再びアイスティーに口を付け、クッキーを1つ口に放り込むと…さあ、楽しい楽しい術式構成の時間だ。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にエリナさんが現れました。
■エリナ > 一度家に戻り着替えてから出かけたものの、特にめぼしいものもなくカフェテラスへとやってきたエリナ。
相変わらず繁盛しているようで見渡せば制服姿の生徒が目に入るだろう。
そうやって自分が座れる席を探すと同時に人間観察をしていると魔術好きなエリナの興味を引くテーブルがあるではないか。
迷わずエリナはそこな先客へと柔らかい笑顔を浮かべて声を掛ける。
「同席よろしいですか?」
■美澄 蘭 > 基本的には元の構成を参考にすれば良いだろうが…防壁を組み込んだり、効果量を変えることにより齟齬が発生しないだろうか。
そんなことを検討していると、ふと、声をかけられる。そこにいるのは、金髪をポニーテールにした、美貌の女性。
「あ、ええ…どうぞ」
唐突に声をかけられたことに驚いたのか、目をしばし大きく瞬かせてから…ノートや辞書などをテーブルの脇の方にずらして、相手方が注文をするスペースを作った。
■エリナ > 「では失礼して……あ、私は紅茶をお願いします。」
近くを通りかかった店員にメニューを開くことなく注文し美澄へ朗らかな笑顔で語りかけるだろう。
件のノートやら辞書に視線を送りつつも。
「突然申し訳ありません、ちょっと……いえ、とても興味深いものを広げていらっしゃったものですので。」
■美澄 蘭 > 相手がノートなどを目で追うので「ん?」という感じで目を大きく瞬かせた後。
相手の女性からそれが語られれば。
「興味深いって…この、魔術文字?」
改めてノートを手に取ると、術式構成に使おうと思っていた魔術文字をメモしたページを開いて相手の女性に見せる。
獅南蒼二という教師の魔術学の講義で使われている魔術文字だ。
複雑な文字だが、それでも識別がしやすいように書かれている。
■エリナ > 「そう、そうです! 魔術文字と呼ぶのですね?」
魔術文字、その一言でエリナの目をらんらんとさせる。
そしてまるで子供の様にはしゃぎつつ『へぇ~。』『ほうほう……。』と感嘆の声を上げた。
ううん、この未知な存在との遭遇!こんなに心躍らす事はありませんね!とか思いつつ店員がティーポットを運んできた事もあり観察はやめ、改めて美澄へ視線を送った。
『魔術文字ってどんなものなんですか? すごいんですか? すごいんですよね!?』とか思ってそうな表情で。
■美澄 蘭 > 相手の食いつきぶりにちょっと身を引きかけるが、姿勢をただして説明をする。
「え、ええ…魔術文字自体にもいくつか種類があるらしいんだけど、私が使うのはこれだけ。
魔術文字自体にそれぞれ意味があって…これをつなげて術式を作って、魔力を流して発動させるものなの。多分詠唱の代わりにもなる…かしら?」
「同じ術式を何度も使うなら、一回作れば詠唱が要らないのが利点、かしら?」と、どこか確認するように首を傾げながら説明をしていく。
■エリナ > 「まあ、便利ですね! それにしてもルーンに良く似てますね……あちらよりも制御は簡単そうですが。」
そう言って再びノート上の魔術文字へと視線を移す。
見たところ何かしらの術式とやらを構築する為のようだが……。
しかし、いくら見ても美澄の解説無しには理解できそうにないので考えるのはやめてとりあえず紅茶を注ぎ、一口。
「ふう……。凄い技術ですね、私にはとてもできそうにないです。」
■美澄 蘭 > 「ルーンか…文字の種類としては聞いた事あるんだけど、詳しくは知らないのよね」
そう言ってノートを再度自分の手元に寄せると、シャープペンで別のページに魔術文字を並べて記述し始める。
「私も、まだ全然使いこなせてるわけじゃないけどね…辞書を調べながらどうにかこうにか、って感じ。
術式の作り方は論理が破綻しないように並べて、つなげれば良いんだけど…私は、結構ベースは勘で組んじゃうから。分かりやすい説明って難しいのよね」
苦笑混じりにそう言いながら術式を記述していく。
見た目大人しそうなくせに、何か凄いことを言いました。
■エリナ > 「私の居た世界でルーンは人間にとって身近な魔術だったのですよ?」
『私は苦手でしたけど』と付け加えてもう一口紅茶を味わう。
ああ、今日も紅茶が美味しい。それに魔術の事で語り合えるだなんて何て幸せなんだろう。
そう思っていたエリナだったが美澄の言葉を聞いて固まった。
いま、なんて……? ベースを……直感で……?
「え、ええっと……その、失礼を承知でお伺いしますが、大丈夫なんでしょうか……?」
■美澄 蘭 > 「ああ…あなたも、他の世界から来た人なのね。
色々、最初は大変じゃなかった?」
異邦人の知人を何人か思い浮かべながら、どこか気遣わしげにそう尋ねる。
…と、自分の言葉で相手が固まってしまったので、一旦手を止めて彼女の表情を伺う。
そして、恐る恐る確認されれば、苦笑して
「破綻してて事故があったら嫌だし、流石に使う前に論理構成のチェックはするわ。
そこまで凝った術式を組んでるわけじゃないし、念のため最初の実験も実習区でやることにしてるから…少なくとも、今のところは大丈夫」
「まあ、変な話よね」と、相手の危惧を慮るように。自覚はあるらしい。
論理で出来上がっている魔術文字を使った魔術を、直感で組み上げているというこの少女。一体、どんな思考構造をしているのだろうか。
■エリナ > 「あ、ああ……そ、それは失礼しました……。」
あはは、と苦笑いしつつも先程の質問に答えるエリナ。
「それはもう驚きの連続でした。見たことのないものに満ち溢れていましたから。」
今でこそメニューを見ずとも注文を出来るようになったが来た当初は何が何だか。
しっちゃかめっちゃかでとにかく大変だったと記憶している。
こうして常世学園に居られる事になったのは幸運だっただろう。
「……でも、直感で魔術を組み上げてしまう気持ちが分かるかもしれません。」
あの少女もだが彼女は彼女で何を言っているのだろうか。
■美澄 蘭 > 「気にしないで。
この文字を教えてくれてる先生には言い辛いくらいには変なことだと思ってるし」
相手の詫びの言葉にも、そう言って笑いながら軽く手を振ってみせる。
獅南蒼二という魔術学教師は、どこまでも個人の資質を当てにしない講義をする人物だから。
寧ろ、「気持ちが分かる」と言われたことの方に驚いて(よほど新鮮だったらしい)、目を二、三度、大きく瞬かせた。
「…あ、分かる?
私の場合は、こう、術式のことを考えてると、時々色々な手順をすっ飛ばして論理構成の完成系がすっと「見えてくる」感じなんだけど。
あなたの感覚も、それに近いかしら?」
この少女の場合、「勘で」組む時の感覚をざっくりとはいえ説明する程度の能力はあるようだ。目の前の女性はどうだろうか。
「そう…文化とか、本当に色々違う世界から来たのね。
多少似通ってても1人だと色々大変だって聞くし…本当に、大変だったでしょうね。
…今は、特に苦労はないの?」
なお、「聞いた」のは自分にとって存在としてはもっとも近い異邦人…母方の祖母のことなのだが、まだそのことについては話さない。
ただ、目の前の相手はだいぶ馴染んだように見えるけれど…断言してしまうのもよくないだろうからと、気遣わしげに声をかけた。
■エリナ > 「そうそう! そんな感じです! でも、私の場合はもう少しおぼろげなイメージに基いて、ですけど。」
自分が魔術を組み上げるイメージをしてみた。
ふむ、なるほど。言われて見れば少女のそれに負けず劣らずのような……と言うよりも『自然とそうなっている』ような。
もしかしなくてもこれは……と思い始めたところで思考を切り替える事にした。
「と、とにかく! この世界の事はとても興味深くて充実した日々を過ごせました。
文化もそうですし、何もかも……ですね! 今も勉強の日々ですけど、大分溶け込めたと思います。実はお母様とも時々お話したりできていますから、平気です。」
■美澄 蘭 > 「私も大して変わらないと思うわ。「あえて言葉にするならこういうこと」くらいの感じだし」
「言葉で説明するって、結構難しいのよね」と言って笑い、自分の飲み物に手を付ける。
…と、相手が何やら慌ただしく話題を変えたように感じたが、その疑問の表出は軽く首を傾げる程度に留め、言及はしない。
とにかく、相手が孤独ではないのであれば、それが一番良いことなのだ。
「そう…充実してるならそれが一番よね。
家族との繋がりも残ってるみたいだし。
私はこの世界の人間だけど…この学園って学べる範囲が広くて、自由度が高いでしょう?
だから、凄く楽しいの。中学校までみたいな変な束縛もないし」
「だから、時々変に難しい講義とかに飛び込んで苦労しちゃうんだけど」と困ったような笑みを浮かべながら、また飲み物を一口。
■エリナ > 「そ、そうですね! むむむ……難しいでしゅ!?」
わたわたと同意するエリナ。
それもそのはず、構築や理を考慮せずに無意識で組み上げていたのだから。
エリナの扱う魔術がここでの魔術に当てはまるとは限らないがそれでも言えない、言える訳がない!
「時々家族に会いたいとは思いますけど……ふふっ。
確かにこの学園は様々な分野の授業がありますよね。それこそまだ私が知らないものもあったりしそうです。」
家族の事を話すエリナは少し寂しそうに笑い、紅茶をもう一口。
その頃には紅茶も温くなっているだろうか。
■美澄 蘭 > 「…?どうしたの?」
相手が露骨にわたわたしだすので、こくりと首を傾げて様子を伺う。
「………そうね…話が出来る程度にはつながってても、直に会えないのは…ね」
そう言って目を伏せる。
本土に帰れば家族にすぐ会える蘭は、相手にかける言葉を見つけることが出来なかった。
…が、講義の話には楽しげな微笑を浮かべ。
「ええ…色んな分野があって、時間割は凄く悩むわ。フルで講義のコマを突っ込んだら、他に何も出来なくなっちゃうし」
「だから今年は第二外国語を諦めたの」と言って笑いながら、小振りなフィナンシェを一口でぱくり。
10代半ばの少女のはずだが、受ける講義の水準が一般的な同年代の学生からは離れているように感じられるかも知れない。
■エリナ > 「い、いえ……。」
少し落ち着いただろうか、何とかはぐらかそうと努めて冷静を装う。
「ふふっ……ダメですよ、そんな事聞いておいてそんな表情をしていては。」
めっ、と人差し指で額をつんっと突っついた。
実際寂しいものの、それ以上に今を楽しんでいるのだ。それを同情か、哀れみかは分からないがそういう目で見てもらいたくはない。
少なくともエリナはそう思った。
「あらあら……私は魔術関連が多いですね。魔導機学ですとか、魔術理論ですとか……。」
実行する際に構築やら理やらを無視している割にはしっかり授業を受けているところはさすがと言うべきか……。
目の前の少女に負けず劣らずの見る人が見れば『渋い』と評価されるラインナップである。
■美澄 蘭 > 「…???」
相手が必死にはぐらかそうとしている様子に、頭の周囲のクエスチョンマークが増えていくが…とりあえず、聞くのは切り上げることにした。
「…あっ」
額を突かれれば、そのままのけぞる。不意打ちだったらしい。
「…ごめんなさいね。
ちょっと、他人の境遇を比べちゃう自分の浅さについて、反省してたっていうか…そんな感じ」
突かれた額を軽くおさえながら、そう弁解した。
「…魔導機学?魔術と、機械工学を合わせたみたいな感じ?」
魔術文字をそれなりに扱う割に、魔術にまつわる分野についての知識はあまり広くないようだ。
首を傾げて、目の前の女性に問う。
■エリナ > 「ふふっ……でも、そう聞いてしまう気持ちも分からなくはありません。
だからと言って聞いておいてそんな顔をしていては相手に失礼にもなりますからね?」
優しく諭す。そう事言えた立場ではないがとりあえず何かしらフォローは入れておきたかった。
「ええ、何でも昨今のエネルギー不足解消の為に──とかなんとか……結局のところ魔導を動力にする機械工学みたいです。」
そしてふとカフェの時計を見やり『いけない!』と言って慌てて立ち上がるエリナ。
どうやらそろそろ帰らなければいけないようだ。
■美澄 蘭 > 「………気をつけるわ」
相手に優しく諭されれば、神妙な顔で頷き。
こういうところはまだまだ未熟なようである。
「魔導を動力に、か…」
「そもそも魔導って何なのか」とか、色々聞きたいことは湧くが…どうも、相手が時間らしい。
「…そう、残念ね…
機会があったら、その辺りのお話、聞かせてもらってもいい?」
と言ってから…
「…っと、名前も知らないのに機会を作るのも無理よね。
蘭。美澄 蘭よ」
お互いに名乗っていないことに気付いて、まずは自分から名乗ることにしたのだった。
■エリナ > 「あっ……失礼しました!」
ペコっと頭を下げて、笑顔と共に彼女も名乗る。
「私はエリナ・ハークライトと申します。気軽にエリナと呼んで下さい。美澄さん、よろしくお願いします!」
そして今度こそ行ってしまった。
『ここはお礼に』と二人分の会計を済ませて。
ご案内:「カフェテラス「橘」」からエリナさんが去りました。
■美澄 蘭 > 「エリナさんね…それじゃあ、また」
相手にも名乗ってもらい、その美貌とともに記憶したところで、にこやかに見送ろうとしたところで…
「………あ」
何か、先に会計を済まされてしまった。
■美澄 蘭 > (………これで返せてないの何人目だっけ………)
微妙に渋い顔をしながらアイスティーをすすり、記憶を蒸し返す。
獅南先生に宿題を出されつつご馳走になった。これはまあ、逆だと色々まずいが宿題を頑張る形で返せたと…思う。
マリアがお金を置いて先に席を立った時の、自分の分のお代とお釣りはちゃんととっておいて持ち歩いている。会えばすぐ返せる。
烏丸におごられた分は…会った時に返そう。正直あまり会いたいタイプの人物ではないのだが、借りっ放しは流石に精神が咎める。
そして、今日のエリナ。
(…「お礼」って言ってたけど、私の方こそ、色々もらったようなものなのに…)
なんだかなぁ、と思いながらも、ここの焼き菓子は美味しい。
そんなこんなで、術式構成とか、その他の勉強とかを少し粘ってから、カフェテラスを後にしたのだった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から美澄 蘭さんが去りました。