2016/07/03 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に世永明晴さんが現れました。
世永明晴 > 世永明晴は夢を見ない。
それは世永明晴にとっては真実に近い。
元々夢は朧だ、朝起きたら見たな、等という感慨を持つ。
だが、“コレ”が始まってからというもの。その経験は全くなくなった。

見ていないのか、それとも覚えていないのか。
それを判断することは出来そうになかったが。

じゅー。
不細工な音。アイスコーヒーを啜る音。テーブル席に居座った。
考えるは、先日の事――もちろんそれだけでもないが。

世永明晴 > アレなに?
手に残った……粘液性の強い、アレなに?

唾液のようだったが、手にべったりと唾液がつく経緯とは一体なんだ。
一端でも、少しでも覚えていて来れば。
動いているのは自分のカラダなのに、記憶がない。

「……ズルイっスよね」

ちょっとぐらい覚えていてくれてもいいだろうに。
そういう思いから、普段より猫背がちなその背をさらに丸め。
酷く縮こまった様にストローを咥え乍ら呟いた。

世永明晴 > 自分がここに来たのはひとえにコレを知るため。そして、制御するため。
ただの病気ではない。そうではない。
そうであったなら、制御など無駄なことだ。
無駄ではない。これは正しく異能の物だ。――それを、制御できないのならば、病気と何ら変わりないのだ。

期限染みたものがある。正確な物じゃあない。

……まぁ。それでも、構わないのかもしれないが。

じゅー。
不細工な音がしている。
あぁ、今日は暑い。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に阿曇留以さんが現れました。
世永明晴 > 「まー……」

進展なしっスけどね。
一人ぼやく。
眠そうな目はどこか呆けている。

制御、制御と来た。
異能は人によって千差万別。その理由も人それぞれ。
だとしても、その根源的なものは繋がってるとでもいうんだろうか。

自分なりのそれを見つけるしかない。ないが……どうにも捗らない。
寝てしまうからに他ならないが。

どうしたもんっスかね。いやしかし。
独り言だ。

阿曇留以 > カフェテラスのお店に入る。
あまり来ることはなく、それゆえに入ってみようと思ったが、どうやら満員のようで、店の人が相席なら、といってくる。

「ええ、大丈夫です」

留以はそのように答え、店員にテーブル席へ連れられていく。



店員『お客様、すみませんが相席でもよろしいでしょうか?』

店員が男性に声をかける。
店員の後ろには巫女装束の女性が申し訳なさそうにぺこりとお辞儀をしている。
>世永

ご案内:「カフェテラス「橘」」に耳かき屋、楢狗香さんが現れました。
世永明晴 > 「は。へ。……あ、俺っスか」

気づいていなかったは理由にならないだろう。
むしろ見逃していた、の方が正しい。

満席であろうとも、声をかけてこなければいいだろう。
そう思っていたとも言う。

「えぇ……まぁ。……えーと」

巫女だ。一般的にはそう見かけない。
……知らないよな。

「……だいじょぶっス」
テーブルの上には荷物はない。そのまま、呆けたように頷いた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」にメルル博士さんが現れました。
耳かき屋、楢狗香 > からん ころん。

さらに追加で異邦の女がそのテーブルへとやってくる。
どういう経緯だったかは、よくわからない。トレイを手に持っている。

「…お隣のよしみで 相席、よろしありんすか?」

どういう意味なのだろう。
その異邦の女は巫女さんをみて、そして少年を見て ふたりに問うた。

メルル博士 > 満員のカフェテラス。
ノートPCを片手に持つメルル博士は店員に、明晴と留以が座るテーブル席に案内された。

店員『申し訳ございません。こちらのお客様も相席でよろしいでしょうか』
白衣を着た少女、メルル博士は無感情に二人を眺める。

世永明晴 > 「…………」

満員御礼。
脳は著しく活動を低下させている。

「……そんな人多かったんスね」
それは悪い事でもしたか、とでも思うかのように。
まぁ、流れで。致し方ないだろう。
ぼんやりとその同席を頷いた。

阿曇留以 > 相席の申し出。
自分の後に続いてきた二人に軽く笑みを浮かべ。

「はい、私は問題ありませんよ」

そのように、二人に返事をする。

耳かき屋、楢狗香 > 「では遠慮なく。」

トレイを置いて席に付く。
トレイの上にあるの歯   二本茶のようだ。

からん。
下半身、足がテーブルの下に見えなくなった。

「そうそう、先ほどの様子…もし、お悩みのようでありんしょうか?」

世永くんの様子を見ていたようで、彼にそう声をかける。

メルル博士 > 「ありがとうございます。
 それでは、失礼します」
メルル博士は席につきつつ、ノートPCをテーブルに置く。

そしてメニューを取り、どれにしようか悩み始める。
「今日はどのパフェにしましょうか」
メルル博士は、表情を変えずに淡々と口にする。

世永明晴 > 席に着く彼女らを眠そうな目で眺める。背は丸まったままだ。

しかし、異様な組み合わせだ。巫女服、着物、白衣。
……むしろ自分が浮いているのではないか。男だし。

「……あ、俺っスか」
着物服の彼女だ。随分遠慮のない人だと思った。むしろそれが普通なのか?
「えーと。もしかして、俺の知り合いでスか?」
寝てる感じの、と付け加えるのを忘れずに。

阿曇留以 > 「私もなににしようかしらぁ……。
サンドイッチと……」
そっと、白衣を着ている女の子を見る。
パフェ、といっていただろうか。しかも今日は、と。
「ねぇ、あなた。
ここのお店のパフェってどれがおいしいとか、わかる?」
と聞いてみる>メルルさん

耳かき屋、楢狗香 > 「…いえ?」

目を細めて微笑んだ表情のまま、異邦の女は世永くんの問いかけに小首をかしげた。
どういうことなのだろう、というように顎に白く細い指先をちょん、とあてて―――
    ・・・・・・
「ああ…ハジメマシテ。いえ、ちょっとした商売人としての、縁会話にすぎやせん。
そう問われると言うことは、もし。記憶に何か、事情でもおありになりんせ?」
と、答えを返した。

巫女のほうはちらりと見る。彼女らは注文をするようだ。
楢狗香も茶だけではどうにもならないのだろう。すこし会話を興味深そうに見つめていた。

メルル博士 > 明晴の言葉。
自分の知り合いであるかを忘れているという事は記憶に障害があるのか、あるいは他に何らかの事情があるのか……。

そんな事を考えていると、巫女の女性にオススメのパフェを質問されたのでそちらに振り向く。
「そうですね……」
少し考える仕草をした後、再び口を開いた。
「このミラクルジャンボアルティメットパフェというのはどうでしょう?
 激甘な事に加え、四人用とも言えるその量はまさしくジャンボでアルティメットと名乗るのに相応しいと言えるでしょう」
メルル博士が勧めるメニュー、それは常人では食べられない程のサイズのパフェであった。
「メルル博士は、このパフェに致します。
 あなたも、是非とも挑戦する価値があるとメルル博士は考察します」

世永明晴 > 「そっスか。ならよかった」

目を細める彼女の顔を少しだけ背を丸めるのをやめて見る。
……なんだか見透かされそうな顔だな、失礼ながら思い。

しかし。……注文を始めた彼女達から聞こえてくる女子力の高そうな事。やはり場違い感。まぁ、仕方ないか。

「あ。はい。はじめましてっス。……商売人?」
首をかしげるが、まぁいいか。
「んー……そうっスね。ちょっとばかし寝てる時の記憶がないぐらい……スかね」
話すつもりがないわけではない。ただ、まぁ。
ちょっとしたジョークとでも思ってもらえればいいだろう。
えらくセンスはないが。

阿曇留以 > 「あら、じゃあそのミラクルアルティメットパフェジャンボにしましょう。
大きいなら四人で分ける事もできそうですしね」
名前を間違えているところはさておいて、どうやら既に四人でわけること前提で頼むらしい。

「そちらのお二人は、パフェは食べられますか?
アレルギーとかなければ、頼んでみようと思うんですけど」

と、二人に振り返ってみる>楢狗香さん、世永さん

耳かき屋、楢狗香 > 「ええ。みみかきやを営んでありんす。
寝てる時に…お会いすることがある、ということでありんしょうか。」

世永くんに向けて お疲れなら、一度是非、と付け加えておくのも忘れない。

「…そちらのお二人も、興味がありんしたら。」
阿曇さんとメルルさんにも振り返って、そう己の生業を宣伝した。ただしチズなどは提示していない。

「分けるんでありんしょうか。
屋号はそれでもかまいやせんが。」

パフェの問いかけに、メルルさんの様子を伺う仕草を見せながらとりあえずは是と答えた。

世永明晴 > 「みみかきでスか。……あったんっスねぇ、そういうの」
では。今度機会があったらと付け加えて。
「あはは。よくわかったスね」
極めて軽くそう笑った。

「へ」
パフェだって?
パフェ……パフェ。
しかしながら、この3人に混ざってつつくのも……。……うぅん。

「あー……」「……じゃあ、食べるっス」

メルル博士 > 「寝てる時の記憶がないのは当然です」
無表情だが、明晴につっこみを入れる。意外とノリが良い。

巫女さんはジャンボなパフェを四人で分ける提案をしているが、
実は一人で完食しようとしていたなんてこの流れでは言えない。
「……名前を間違えています」
名前を間違えている事も思わずつっこんでしまう。

「耳かき屋……ですか」
耳かき屋を名乗る女性に振り向く。
「メルル博士は研究者ですのでいつもこの天才的頭脳を働かせています。なので、耳かきしてもらいたい事もあるかもしれませんね」
さりげなく天才を自称する研究者である。
しかも、耳かきをしてもらう理由もよく分からない。

阿曇留以 > 「あら、耳かき屋ですか。
ずいぶん珍しいお仕事をしてるんですね……」
もしかしたら初めて聞いたかもしれない。
「はい、是非こんどお願いしますね~」
と、当たり障りのない返事をしておく。
もしかしたらほんとにいくかもしれないが。>楢狗香さん

「よかった~。
それでは頼んでおきましょう。
すみません、ミラクルアルティメットジャンボパフェを一つお願いします」
また名前を間違えているが、店員もソレで理解したのか、奥に引っ込んでいく。

「え、あら?名前間違えてました……?
えーと、ミラクルアルティメットジャンボパフェ、じゃありませんでしたっけ……」
女の子のつっこみに、あれ?という顔をして尋ねる>メルル博士さん

耳かき屋、楢狗香 > 「ええ、そのときは是非。
心をこめておもてなしさせていただくでありんす。」

三人に向けて。蜜指ついて、テーブルへ深く頭を下げる。耳元にあたる花がちりちりと揺れて。

 ちりちり  ちりちり。

そうしてすぐに頭をあげた。何か聞こえたなどと言うことはたぶんない。   もしや  きこえてしまったのか?

「…ミラクルグレートアルティメットサスケパフェでありんしたか?」
こちらも間違っている。

世永明晴 > 「案外……寝耳に言葉を吹き込み続けたら覚えてるかもしんないっスよ。あー……いやなんでもないっス」
ツッコミに、眠そうに笑う。しかし……メルル博士か。聞いたことはない。

「丁寧……っスね」
着物を着ているからだろうか。まぁ関係なかろう。
眠そうな目を、少しだけ花にやった。……なんでもなかろう。

「ミラクルハイパーグレードアルティメットジャンボパフェでスよ」
……わざとやった。相変わらずセンスがない。

メルル博士 > 「……間違えています。
 ミラクルジャンボアルティメットパフェです。
 惜しいですけど、微妙に違います。店員には伝わると思いますが」
間違いを指摘する。多くの人からみれば、結構どうでもいい指摘かもしれない。

そしてまたもや間違えている人が続出していた。
「耳かき屋さん……あなたも違います!
 もう一度言います。『ミラクルジャンボアルティメットパフェ』ですよ。
 グレートはともかく、サスケはどこからでてきたのですか!?」
普段無感情なメルル博士が微妙に感情を顕わにしているような気がする。

明晴の言葉に、メルル博士は一度頷いてみせる。
「睡眠学習の事ですね。あれは否定的な意見も多く聞きますが、技術的には可能である事は既に実証済みです。
 メルル博士は天才ですからね」
技術的に可能。この基準は、天才を自称するメルル博士の技術であり、世間一般の技術とはかけ離れる。

「……あなたもですか!」
三人全員がパフェの名称を間違えていた……全滅である。
明晴がわざとである事には気付かない。

阿曇留以 > 「あらあら……」
なにやらノリのよい二人に振り回されている女の子。
くすくすと小さく笑いながら

店員『お待たせしました、ミラクルジャンボアルティメットパフェでございます』

ごん、と運ばれてくる。
ついでに小さなお皿も一緒に。
各自、好きにとっていいのだろう。

耳かき屋、楢狗香 > 口元をくの字に 彼女は微笑んでいる。微笑んでいる。

「そうそう。MJUPでありんした。佐助はニンジャでありんすから、ほら、どこに潜んでいてもおかしくないでありんしょ?」
みみかきやは省略した。しかも変なことを言う。もしかしたら貴方の後ろにも…?

そうしてやってきたパフェを見る。

「名に違わず大きいでありんすね。」
感心したような感想。少しだけ驚いたような。もしくは驚いて見せたような。

その様子もすぐに鳴りを潜めて。
そっと取り皿をとると、自然な動作で取り分けて世永くんの前に置く。
「丁寧なのは商売柄の性でありやし。さ、どうぞ。」
スプーンをそっと差し出した。 >世永くん

次に自らの皿を確保して。他の二人には…まず、その様子を見るだろう。

世永明晴 > 彼女の微笑みは、なんだか少しばかり冷えた。
目を離す。

「睡眠学習……ね」
「天才? ……天才っスかー」
小さい。自分の背に比べれば、実に小さい。いや、疑う何もないが、信じる物も特にないという奴だ。
ある意味、一番なじみの深い言葉かもしれない。
睡眠時にのみ学習結果が残るのだから、それとはほど遠いものだが。

「言いにくいんでスよー」
存外ノリがいい子だ。少しばかり微笑んでしまっても致し方がない。

「……こんな食べれるもんなんでスか」
「あ、ありがとうございますっス」
初めて見る。そもそもパフェなんて頼むことすらめったにないのだから当たり前だ。少しばかり、手を出すのを躊躇した。
スプーンを受け取り。
取り分けられたそのパフェに、少し興味深そうに眺めるだけで。

メルル博士 > パフェは耳かき屋さんにMJUPと省略されてしまう。
「カフェテラスにも忍とやらは潜入しているのですか……?」
別にカフェテラスに忍者が潜入する理由は、無理やりだったら思いつくが。
例えば、この店の地下にとんでもないものがあるとか、要人が店に来ているとか。

「パフェがきました」
スプーンを握ると、ジャンボでアルティメットなパフェを掬って取り皿にのせていく。
バニラにクリーム、コーン、バナナ、フレークなどが取り皿に揃っていく。
「名称だけではありません。ここのパフェはまさしく、甘さを極めています」

「言いにくいなら、もう耳かき屋さんの提案通りMJUPに略しましょう。
 そちらの方が合理的です」
明晴も言いにくいというので、耳かき屋さんの提案を飲む事にする。
凄さを伝えるためのパフェの名称だろうけど、言い辛いというのはメルル博士にも一理あった。

阿曇留以 > 運ばれてきたパフェをみて、あ、わりといけるかも、とかおもいつつ。
お皿をとって自分の分を取る。
「MJUP……ですか。
分かりやすいですね、それは」
留以も賛成なのか、ふふ、とわらう。
そしてもぐ、もぐと。
「あら、結構あまい……。
夏にはいい感じの甘さですね~」

耳かき屋、楢狗香 > 「…食べさせたほうがよいでありんしょうか?」

異邦の女はやや顔を下に下げ、彼を下から覗き込むような視線を向ける。
その手には己の分も取り分けた跡のスプーンが握られていて。 >世永くん

「ニンジャってそういうものでは?理由がいるでやしょうか。ハンゾウ。」

つまりそれがニンジャであって。きっと。

己の分に手を付けるのは、彼の応えをまってからになるだろう。
日本茶をひとくち、啜る。

世永明晴 > 「それ……店員に通じなきゃ意味ないっスよ……」
MJUP。苦笑。苦笑する。

「……」
よく食べれるなぁ。他人事ながら感じる。
……まぁ、その食べっぷりを見ていたら、少しは食べれる気がしてきた。
ちょっとずつながら、スプーンで手を付けて……。

「はひ?」
覗き込まれていた。いやいや。なんのなんの。ちょっと顔を離す。
驚き。
「あー……大丈夫、っス」
手を振って、自らのスプーンで手を付けた。少しだけ、吐息を漏らす甘さだ。
「……はふ」

メルル博士 > 「夏には良い甘さと言えば、この店の『ブルーハワイアルティメットパフェ』もオススメです。
 青色のバニラが、夏を想わせてくれます。
 機会があれば、食べてみてもいいかもしれません」
メルル博士は、留以にまた別のパフェを勧めてみる。

「理由無く潜入しているとすれば、忍の任務ではなく趣味の範囲になりそうですが……」
こんな事を真面目に考察してしまうのは、科学者であるが故だろう。
「そういう事にしておきましょう」

苦笑する明晴に目を移して、
「MJUP。広まれば、店員にも通じます」
斜め上な発想。別に広める必要性も皆無である。
そうこう言っている間に、メルル博士はMJUPをかなり早いペースで食していた。

阿曇留以 > 「ブルーハワイアルティメットパフェ……。
すごい名前ですね……それを略したら、B……なんでしょう?。とにかく、今度はそれを注文してみましょうか」
略せなかった。
しかし、おもしろそうなパフェを教えてくれた。
今度はソレを注文してみよう>メルル博士

割と平気な顔でパフェを食べている巫女。
そんなことだから肉がつくのだがそれはそれだ。
ぱくぱくとパフェを食べ続け……ぴりり、と携帯がなる。
それは留以の携帯からなっているもので。
「あら、もうこんな時間…ごめんなさい、私ちょっともういきますんで。
お金、置いときますからすみませんが後お願いします」
そういって、MJUPの代金全てを置いて立ち上がり、去ってしまう。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から阿曇留以さんが去りました。
耳かき屋、楢狗香 > 「あらあら。遠慮せずともよろしゅうありんすのに。
皆美味しそうに食べられるでありんすね。」

大丈夫、と言う言葉にそう言いつつも、手は引っ込めて。>世永くん

己の皿のパフェをコーンとバナナと一緒にすくいとる。もう片手で皿に着物の裾が付かぬよう押さえてながら
肉色の舌を口元から真っ直ぐ伸ばしその上に乗せた。

紅色の唇がスプーンをくわえ込むように閉じられ、はしたないのかもしれないが、その組み合わせを一口で口腔に含む。
ちゅっ、と音を立てて濡れた銀の匙が名残惜しそうに取り出された。

「……確かに。屋号にこのサイズでお客さんに出せないのが心残りでありんすが。
似たものを後ほど探しておきやしょう。」
ひとつ、着物の女は味に納得して頷く。

「あらかじめ潜入しておくのも、ええと…たしか草、というらしいでありんす。
MJUP、流行ると便利そうではありんすね。屋号も胸が高いというもの。」
どことなく胸を張って。

ではまた――と、去る巫女に目線と小さく手を振って。もう一口、パフェを口に含んだ。

世永明晴 > 「羞恥ってのもあるんスよ」
年頃でスからね。眠そうに片手を振った。

「気に入ったんスか? ……それ」
MJUP。周知度を上げるには、ちいとばかり字面がどうだろう。

「あ……はい、ス」
よく食べる巫女で、忙しない巫女だった。
全く縁などなかっただろう存在だが……これもまたある種の縁か。

最初の一口以来そこまで動いていないが、嫌いな味ではない。
まぁ……少々甘すぎるけども。

メルル博士 > 「略すならストレートに、BUPでいいと思います」
略すのはやはり分かりやすいのがいいだろう。

「《草》というと、一般住民に紛れる忍でしたね。
 それならば、任務でこの店に紛れていても不思議ではありません」
だけど、それはそれで意味のある潜入である。

「言いにくい言葉を略してそれが広まっていくのは、合理的というだけです」
無感情でそんな事をいうメルル博士だが、どこかMJUPが気に入っているようにも見えなくはない。

「そろそろ次の実験を始めなければいけませんので、メルル博士もこのあたりで失礼します。
 それでは、また……」
留以と同じタイミングで席を経ち、MJUPの代金を置いてそのまま立ち去る。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からメルル博士さんが去りました。
耳かき屋、楢狗香 > 「BUPも気になるでありんすね。
そうそう…あら?」

メルルさんにそう答えつつ、置かれた御代のほうに視線が向く。
先ほど巫女さんがおいて言った全額と、いまメルルさんのおいていった全額。

つまり手元に二倍の代金が残されているわけで。
二人の手でパフェのほとんどが食べ進められているのが多少の救いナ気がした。

「ああ…衆人環視の場ということをわすれてありんした。
ではこの続きは、屋号にて…。」
羞恥との言葉に、そう呟く。>世永くん

片手で裾を押さえながらだからゆっくりにも思える動きで、静かに、そして意外なペースでパフェは食べすすめられていく。

世永明晴 > 「……合理性っスか」
「感情論も結構無視できないもんスよ。存外」

何を知っているわけでもないが、何となく思っただけだ。
別に、大した話題ではない。つまるところ、気にいってるなら気に入ってるでいいじゃないか、という話。

「なんだか忙しないもんっスね」
気づいたらテーブル席が埋まり、気づいたらテーブル席はもう半分になっている。ただ、これが今回はカットされない場面であった、ということもある。

「……どんなからかいでスか」
着物の彼女は、マイペース……いや、そうとも言えないか。

というか……二人いなくなったという事は残りのこれを食べなくちゃいけないという事だ。まぁ、あの二人がほとんど食べてくれてはいたが……。
手を進める。どことなく眠そうに、呆けた様に。

耳かき屋、楢狗香 > 目元を伏せたまま、彼女は口にアイスを運んでいる。
だが、もしその様子を観察することがあればはっきりと、目はこちらを向いていないのに視線を感じるのだろう。

いったいなにがこちらをみているというのか。
見るみないに関わらず、彼女は声をかけてくる。

「時間もずいぶんとたちやし。
ほら、大きいからさほど目立ちやせんが、そのあたりすでに溶け始めているでありんす。」

楢狗香はスプーンでパフェの一部を指し示す。
最初からすれば残り少ないそれは夏の日差しで少し溶け始めているのだろう。

時間はたったし、たっていない。カットされずとも。時の流れは有給で、残酷だ。

「もちろん、無理することもなく。
…さきほどのはからかいになく、お店でのサービスにありんす。望めばみみかき以外にもしてりゃあせ。」

顔を上げた。ふっ と微笑む。

世永明晴 > なんだろう。
自分の感覚はそう鋭い方ではない。ただ……なんだか先程から。
未知の物には、さて。何が正解か。

目線を上げて、彼女を見た。
「……なんなんスかねぇ」
ひとりごちた。

「そんな経ってましたスっけ」
人見知りの気でもあるのかもしれない。大人数に知らず緊張でもしていたか。
「……ほんとっスね」
スプーンでその部分を救って食べた。

「サービス……。……いや、はや。……。随分お高そうっス」
「不思議な人スね。アナタ」

耳かき屋、楢狗香 > 「…なんでありんしょうね。」

微笑んで、小首をかしげる。先ほどと同じ動作。
変わったのはどちらか、それともどちらもか。

「ええ、いつのまにかずいぶんと。
そんなに高くはありやせん。と、自らでは存じてありんすが。」

はっきりとした値段は言わない。30分1000円からではあるのだが。
いまはそうは言わない。

「あらあら。」
うふふ、と。 不思議な人との表現に 異形な異邦の女は口元を隠して ワラった。

世永明晴 > 「不思議なことは多い物っス」

化かされてるとでもいうのか。
誰に? さて。そもそも……大したことは何もない。
ただ、認識か、真実か。そんな役柄じゃない筈なのだが。
実に、実に眠そうな目で、頭を振った。

「……ハッキリ言ってくれないんスね。自分で確かめろと」
苦笑する。さて。自分に未知への探求心は乏しい。
そうならば。

「おっかない、の方がよかったスか?」
どうせ……なのだ。多少の諦めには慣れている。
スプーンですくって口に含んだ。

耳かき屋、楢狗香 > いつしか溶けかけていたはずのパフェのアイスが少しだけ溶けていなかったように見えるかもしれない。
溶けていた?そうだった気もするしそんなはずもない。常識では。じゃあ気のせいなのだろう、と思うこともキミにはできる。

「ええ。でもただの勘違いなことも多いかと。」

チョコレートの部分をすくいとって口に運ぶ。
確実にパフェの量は減っている。間もなくなくなるかもしれない。

「そうもったいぶった言い方は…あまり得意ではありやせん。
明朗会計、誠実にやっていく性分でありんすゆえ。」

どの口が。

「おっかない…でありんしょうか。」
みみかきやとしては失格でありんすね、と何事もないかのように。答える。

「そうそう…。」

話題を区切る何かを言いかけて、そこで一度言葉を止めた。ぷっくりとした唇をつぐんだ。吐息の音が聞こえる。

世永明晴 > 残念ながら。諦めるというのは存外、受け入れてしまうものなのだ。
だからこそ、それを受け入れた。受け入れはしたが……。まぁ、だから、なんだというのだ。
つまり、気のせいだったのだ。ため息をついた。

「そうで……しょうね」

クリームをすくって口に運ぶ。
なくなってしまうだろう。最後の一口が誰を取るか。

「……そうっスか。それじゃ、期待させてもらいまスよ」
いやいや、なんの。片手を振る。
「魅力的、ということで。分からない物は、こわいもんでスから」

眠そうな目で彼女を見た。
「……なんスか?」

耳かき屋、楢狗香 > 「この御代、どうしゃあせ?」

先ほど気にした二人の置いて言った代金。
パフェを支払うだけなら多すぎるその合計に視線を向けて、そっと白い繊手を載せて…そう問いかける。

どちらが預かるか、と問うているのだろう。おそらく。

「立地上…ああ、異邦人街の近くに居をかまえていんすが。
みみかきが未知、というお客さんもたびたび来られるでありんす。
だから、そういう扱いにも慣れていんし。ただこの場ではもてなしもさほどできやせんから…。」

そう思うのも当然、と言った様子で。いや、普通は当然ではないだろう。
それとも。おっかないと思い込まされているだけなのでは?外見は?彼女の姿ははっきりみたのだろうか。視覚は嘘をつかないのか。


異邦の女はスプーンを置いて、懐紙で口元を拭く。最後の一口には手を出さないらしかった。
「ごちそさん。」

世永明晴 > 「どうぞっス」

お金に困っているわけではない。かといって裕福なわけではない。
お金が必要なのではなく、必要なものにお金がいるのだ。
だから、必要以上は別にいい。

「そういう物言いがスよ」
異邦人街か。余りいかない。ならば逆に覚えやすかろう。
誰だったか。事実などない。認識だけだ、だったか。
それならば、何を疑えと言うんだ。

そして最後の一口は自分だ。
数取りゲームだったら負けであろうが、生憎これはただのパフェだ。
だから。

「……ごちそーさんっス」

耳かき屋、楢狗香 > 「ではお預かり致しやし。」

席の支払いと代金、両方を袖のなかに すぃ と仕舞い。
アア、念のため。布に妙なところはどこにもなかった。布には。

「…なかなか、屋号に宣伝は上手くないのかもしれやせん。」
今までの会話で初めての苦笑。己の領域でない場所でこうも己を出していては、そうなのだろう。
パフェも食べ終えて器も空となった。異邦の女は席を立つ。

ぼとり、と耳の花が落ちた。
冷静にそれを彼女は拾って付ける。彼女のそこに耳はない。混沌だけが見える。それは視覚的なものではない。おそらく。

からん。ころん。

「では、また。
こんどはぜひお客さんとして屋号にいらしてくだし。」

微笑んでななめに傾げ、頭を下げながら。
お代はすべてさっぱり払ってしまってくれるのだろう。

そうして異邦の女は、その場を立ち去った。去ってしまった。

世永明晴 > 「顧客の獲得にはいいんじゃないスかね」
「分からない方が……確かめたくなるのもまた一つ……かもっス」

苦笑。……何に対する苦笑か。ただ……。
眠そうな目を、眠るように閉じて、目を揉んだ。

つまり……自分ごとき、っていう奴なのだろう。
本当に、こういうのは自分の役柄ではない。
「えぇ。そうさせてもらいまス」

夏なのに、冷房がきいてるからかいやに冷えた。
見送った。着物の彼女を。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から耳かき屋、楢狗香さんが去りました。
世永明晴 > 「未知の物は怖い、っスかぁ」

それは理解が及ばないならば、恐怖に足るのか。
ムリムリ。片手を顔の前で振って仰いだ。

オチオチ人生設計も考えさせてもらえないカフェだった。

自分も行かなくては。
氷が溶け切ったアイスコーヒーを飲み干す。
喉の奥に、ないはずの氷が引っ掛かったような気がした。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から世永明晴さんが去りました。