2016/08/10 のログ
烏丸秀 > 「それは良かった。まぁ、変な島だからねぇ」

くくっと笑いつつ。
変な島である。
変な人間だらけの島、とも言うが。

「まぁ、でもキミみたいに可愛い子が増えるのは大歓迎。
ぜひ常世島を楽しんでね」

水月エニィ >   
「それは否定しないわ。
 本当、変な島。」

 頬杖を突きながら溜息を付く。
 紛らわすようにストレートティーに刺さるストローを咥えて飲む。
 喉が波打つ。

「……あら、お世辞かしら。
 他の可愛い子と比較すれば可愛い範疇に入らないでしょうに。
 楽しむ、ねぇ……貴方はどうなのか、聞いてもいいかしら。」

烏丸秀 > 「あ、ボク女の子にお世辞は言わないよ。
カワイイ子は無条件にカワイイって言うし、そうでないなら別の所褒めるから」

笑顔は崩さない。
女の子の前ではいつもそうなのだが。

「ボクの楽しみかい?
んー、ボクは人生を満喫してるからねぇ。
美味しいモノを食べて、好きなモノを愛でて、かわいい子と喋って一緒にいて。
時間がいくらあっても足りないよ」

水月エニィ > 「……そう。」

 笑顔も崩さないし、迷う素振りもなく断言していた。
 嘘は言っていないのだろう。当たり前のように言ってのけていた。
 ……少しだけ落ち着かない。
 とは言え、次の話題に移る頃には気を取り戻す。

「本当に満喫しているのね……。
 何というか、羨ましいわ。」

烏丸秀 > さて。
この少女の奥底には何があるのだろう。
何故だかは分からないが、実にそそられる。

「羨ましい?」

微笑みながら、一歩踏み込む。
相手の中へ。

「まるで、キミが人生を楽しんでいないように聞こえるけど?」

水月エニィ >  
「羨ましいわよ。」

 表情から柔らかさが弱まった。
 僅かながら、表情に険しさが混じる。

「それでも含めて、これでいいのかとも思うもの。
 貴方が能天気とか、そういうつもりじゃないわよ。純粋に羨ましいわ。」

 ストレートティーに口を付ける。
 空になってからもストローで吸うような気の紛らし方だ。
 

烏丸秀 > 「なるほど」

こちらは柔らかな笑みを崩さない。
そう、貼り付けたように。

「その物言い、キミは何かを探しているのかな?」

よく、何か当ても無く探す人間がそういう物言いをする。
己の今を肯定しながらも、どこか足りないものを必死に探そうとする。
そういう人間たちを、思い出す。

「ボクの誤解かもしれないけどね。
でも、現状を好ましく思えるけど満足できないのは、そういう事なのかな?」

水月エニィ >  
「ええ。でも。
 探すまでもないわ。」

 笑みを絶やしていない。
 話題の転調にも動じる様子もないし、そのままの笑顔で会話を続けている。
 動じていない・引かれていない事だけは理解した。

 とは言え、探しているものは決まっている。
 
「……そうね。当たらずとも遠からず。
 あまりにも心地良すぎて妥協してしまいそう。
 だから負けてもいいや。そう思いかけているのは確かね。」

 言葉を探しながら答える。
 隠すものではないが、そのまま話せば負担や刺激を掛けるものだ。

烏丸秀 > 「それは大変だねぇ。
何せボク、そういう時にはすぐ放り出して妥協しちゃうから」

けらけらと笑う。
快楽に弱い。というよりも。
快楽を追求する事のみで生きているような存在だからこそ。
その自制心には敬意を表する。

「ボクはそこまでできないなぁ。
あるとすれば――んー、誰かに恋してる時くらいかなぁ?」

水月エニィ >  
「放り投げられたら楽かもしれないわね。
 ……いっそ放り投げてみようかしら?」

 その選択肢を改めて意識すれば、
 冗句のつもりで返しつつ誤魔化すように笑う。
 投げたらどうなるだろうか。そんな思いが脳裏を過った。
 でも、それでいいのか。この欲望と怨嗟はその程度のものなのか。
 そう思えば、自分の言葉に眉を顰める。逃げるようにシャーベットを平らげた。
 飲み物もシャーベットも空っぽだ。

「恋、ねぇ。
 ……ちょっと良く分からないわね。」 
  
 単語を反芻する。かつてこの島の友人と見た恋愛映画を思い出す。
 それでも今一しっくり来ないし、目の前の男の言うものの恋もイマイチ理解できない。
 聞く限り、可愛い子と喋る事は多いみたいだが――。

烏丸秀 > 「はは、そう言ってるうちはきっと無理だよ。
本当に投げる時は、無言で、己すら騙さないと、人間は何も捨てられないから」

笑ったまま。
軽い口調のまま。
彼女の言葉を否定する。
何もかも拾い、そして捨ててきた男の、ある種の悟りのようなものだろうか。

「いいよ、恋は。
ある日突然、相手のすべてが欲しくなる。
全てを求め、全てを欲し、恋焦がれ――その為ならば、あらゆる事ができるようになる」

水月エニィ >  
「――そう。なら当面は平気そうね。安心したわ。」

 否定されれば苦笑いで応える。
 軽い口調ながらも、自分に向けて"断言"された言葉だ。
 相槌より先、質問より先、推察より先。
 どうにも適当なものには思えない。適当だとすれば、髄まで染みついたものだ。

「そんな情熱的な恋をしてみたいわね。
 あらゆることが出来るようになる、と言うのは負け犬の私には実感がわかないけれど――」

 席を立つ。
 食事を終えて、ゆっくりと伸びをしてみせ。

「――さて、休憩も出来たしそろそろ行くわ。また会いましょう。烏丸さん。」

烏丸秀 > 「ふふ、またね」

烏丸もゆっくりと手を振り、相手を見送る。

またね。
そう、再会を匂わせて。

だって彼女はきっと。
また、自分の前に現れるだろうから。

確信のようなものが、烏丸にはあった。

水月エニィ >  
 自分の伝票を手に取って、会計まで進む。

 ……一瞬、妙なものを覚えた。振り返ってみるが変わった事はない。
 誤魔化すように軽く手を振って、その場を後にした。
 
 

ご案内:「カフェテラス「橘」」から水月エニィさんが去りました。
烏丸秀 > しばらくして烏丸も立ち上がり、去って行く。

今日はいい日だ

ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。