2017/08/27 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「そうそう、そう言うことだよ」と、クスクス笑いながら、シスターの目は相変わらず残念な子を見る目だったとか。
「ほほう、僕のことを多少なり理解してくれているようで嬉しいね。
ふむふむ、なるほどねぇ。意地悪も笑い話ですむなら神様も見逃してくれるさ。
それがアリカ君らしさと言うことなら……はて、そういう態度って何のことかな?
僕にはよくわからないなぁ」
うんうんと頷きながら相槌を打っていたが、最後の言葉は棒読みな挙句、視線は遠くの空を見ていた。
評価は?なんて聞かれると逃避した意識が舞い戻る。
「聞きたいのかな? 泣いちゃうかもしれないよ?」
楽しそうに笑いながら、頬杖をついて言う。
「ああ、お話はしたいね。楽しいおしゃべり――」
付け足すように、または思い出したように言ってテーブルに身を乗り出し。
「でもその前に。
話を戻すようだけれど、アリカ君、今回は君の言葉に甘えておとなしく奢られてあげるとしよう。
でも、次はそうは行かないよ? 君はおとなしく僕の誘いに乗って思う存分奢られると良い。
わかったね?」
念を押すように、人差し指をズイッと彼の鼻先に着きそうなほどに近づけて宣言した。
彼の思惑に乗っかってしまうことになるが、このまま奢られっぱなしなのも面白くない。
そこだけははっきりさせておけば、談笑に花を咲かそう。
■真淨在処 > 「…とはいえ、身近すぎてなぁ。それに、この島じゃあ異邦人…異世界の連中も多いしさぁ?
正直、俺の目と髪の毛の色が赤いからって別に珍しくもねーだろう、っていう思い込みがあったのかもなぁ」
とはいえ、それなりに目立つのは間違いない訳で。血の様な炎の様な赤色。
「けど、ウンメイさんの紫色の瞳もキレーで目立つと思うぜ?修道服の組み合わせ尚更な!」
と、指摘するのも忘れない。まぁそのくらいは彼女は余裕の態度で流しそうだけど。
ちなみに、彼女が棒読みで視線を遠くに向けている間、青年は楽しげにケラケラ笑ってたとか。
評価…は、気にならないといえばならない。けどまぁ聞いてみるのもいい。なので
「んじゃ、その泣きたくなるような評価をお願いしますよシスター」
と、おどけてみせよう。こういう会話はくだらないと映るかもしれないが存外悪くない。
「…お?…おー…っと。そう言われると流石に受けざるを得ないな。
…わーかった。ウンメイさんからのお誘いの時は素直に奢って貰う。それでいーよな?」
そこは譲れないのだろう。わざわざおしゃべりの前に一度話を戻す程度には。
しかも、テーブルからこっちにやや身を乗り出す勢いだ。これは受諾せざるを得ない。
が、「ウンメイさん、そう身を乗り出すと修道服でもスタイル良いのばれまくりなんだぜ?」
と、軽口を笑顔で叩くのは忘れない。ある意味でこの青年も徹底している。
ともあれ、落とし所は定まった。正直言えば、彼女からのお誘いが来るのが今から楽しみでもある。
「んで…この島とかなんか聞きたい事とかあるか?ウンメイさんも事前に調べたりしてるとは思うけどさ?
あ、俺個人の事でもいーぜ?大して面白い話も出来んけど」
と、肩をすくめて笑う。メールでも軽くそういうやり取りがあった記憶がある。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「へぇ、生憎ながら僕は異邦人と呼ばれる族に知人はいないから、良くわからないけれど。
僕みたいな“一般人”から見れば君も十分目立つよ。
と言うか、よほど異形でなければ異邦人とそうでない人間の区別はつきにくいと思うしね。
――それはどうも、ありがとう。
修道服は僕にとっての普段着であり、正装であり、勝負服だからね。
今日の僕はいつも以上に気合が入ってるんだぜ?」
彼の予想通り、軽くかわしながらスカートの裾を摘んで、パチリと左目を閉じる。
どこまで冗談なのかわからないが、嘘は言ってない。
「そうだねー、じゃあ遠慮なく。
初めは『軽薄な優男だけど、ちょっと掴みどころがない』みないな印象だったけれど。
今は『天然、残念、実は策士』ってところかな」
ずばり、バッサリ、ざっくりと感想を並べて答えた。
逆に自分はどう思われているのか、反論はいつでも聞きつけていると余裕綽々の笑みを持って待ち構える。
「うん、わかればよろしい。 素直な良い子は神様も、その信徒である僕も大好きだよ」
強引な念押しは効果があったようで、満足げに頷いて手を引っ込め、軽く椅子に座り直す。
軽口には、照れるでも狼狽するでもなく、むしろ堂々と冗談めいた口調で
「おいおい、この程度で僕を計らないでくれよ。 僕は脱いだらもっと凄いんだぜ?」
とか、笑い返すのだった。
さて、話は進んで――
「うーん……知らないことが多いし、順番に聞いて行くとしよう。
そうだね、まずこの島はけっこう危険な地域があるとか聞くけれど、実際どうなのかな?」
彼自身の実体験も踏まえて聞ければ良いと思いながら尋ねてみよう
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「一般人…かぁ。さて、ウンメイさんはそうとは限らないけどなぁ。
…って勝負服でもあるのか。正装とかならまだしも。あと、ウンメイさん流石に他に私服とかあんだろ?」
まさかマジで修道服だけなのだろうか?という疑問くらいは流石に沸く。
ただ、先の一般人に関しての呟きは、疑いはしないが信じてもいない曖昧さがあって。
もっとも、追求しようが彼女は巧みに自然体でのらりくらりと交わすだろう。
何故かそういう気がした。だって”自分がそうなんだから”。
「ふぅむ…思ったより好評価じゃね?もっとボロクソ言われるならまだしも」
へぇ、とむしろその評価を楽しげに受け止める。いいじゃないか、その評価。
個性も何も無い、つまらない性格と断定されるよりは全然いいだろうさ、と。
ちなみに、こちらからの彼女についての感想だが――…。
「可愛い、面白い、お持ち帰りしたい」。これである。バッサリどころか色々アウトだ。主に最後が。
「神様かぁ。俺は神様よりウンメイさんに好かれるほうがいいわなぁ」
うーむ、と考え込んでからそう述べた。神様より信徒を選ぶタイプ。正直我ながら意味が分からん。
「つまり、ウンメイさんは脱いでくれると。…ここはやっぱ水着か…まだ夏だから間に合うよな…。」
そして、彼女のお言葉に無駄にシリアスな顔で考え込む。既に脱が…脱いで貰うのが前提である。
さて、彼女の質問タイムに何処まで話していいものかかと考え…無かった。
丁度、それぞれのメニューが来たので、店員さんに礼を述べる。
二人の前に注文したメニューがそれぞれ並べ、営業スマイルな店員さんを見送ってから視線をシスターに戻し。
「ん、ぶっちゃけあるぜ?島の地理的には東側になるかねぇ。学生街、異邦人街、あと歓楽街。この辺りは分かるよな?
で、歓楽街よりもっと東側…異邦人街からは北になるかなぁ。
『落第街』っていう無法地帯がある。更にその奥には…『スラム』がある」
と、笑顔だがそれでいて淡々とした口調で語りつつ、サンドイッチを摘んで口に運ぶ。
■時坂運命 > 「さぁて、真実はどうなんだろうねー。ミステリアスな方が素敵だと思わないかな?
ん? 私服……ああ、パジャマがあるよ。 あとは替えの修道着が4着ある」
曖昧なものは曖昧なまま、その不透明さを愉しむように言葉を濁す。
互いに仮面を付けて向き合うような感覚も、密かに探り合う会話も全て娯楽だ。
服についてはさらりと答えて、同じようなデザインだから変わり映えはしないけど、と付け足す。
「酷評はしないさ、僕は見ての通りとーっても優しいからね。
まぁ、嘘は言ってないからその評価は信じてもらって構わないよ」
どこか意外そうに言う彼を見て、お世辞ではないと言外に言う。
だが、返って来たまさかの評価には思わずパチパチと瞬きを繰り返し、次の瞬間には――
「ふっ、ふふっ…… あははっ、そっか。 そう、それは……光栄だねっ!」
噴出して笑う。こんなに笑ったのは久しぶりだと、目尻に浮かんだ涙を指でぬぐいながら言った。
一通り笑ったら、大きく深呼吸をして落ち着いて。
「神様が君を好きだから、僕も君が好きってことだよ」
前提条件というか、おまけ程度の感覚でシスターは気軽に言う。
水着に関しては楽しそうに笑うだけでノーコメントだった。
そのシリアス顔はもっと他の場面で使うべきだと密かに思ったのは仕方がない。
質問に対する返答は数秒の沈黙、丁度良く料理が運ばれてきたことで考えがまとまったのかこちらに視線が向く。
美味しそうな甘味に目を奪われながらも、耳だけはそちらに傾けてスプーンを手に取り。
「うん、住んでいる辺りは大体把握できてるよ。
落第街……? その奥、スラム?そんな場所地図にあったかな?」
はて、と首を傾げながら、冷たくて甘いバニラアイスに頬を緩める。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「…確かに、あれこやこれやオープンなのも悪くねぇが、女の子は秘密がいっぱいあると言うしなぁ。
…って、パジャマかい!…いや、待て悪くねぇな?つーか修道服はそれつまり予備が他に3着って事か」
ほほぅ、と頷きつつ。不透明でも曖昧でも大いに結構。所詮は言葉遊び、互いに楽しければそれでいいと。
それに、仮面や腹の探りあいをしても結局、互いにその”底”までは見せないだろうから。
「酷評された方がいいんだけどなぁ。別にドMって訳じゃねーが、そっちの方が慣れてるし。
まぁ、でも評価はマジならありがたく頂戴するとしましょうかねぇ」
ケラケラと笑う。そしてこちらの評価に彼女は…笑い出した。ありゃ?と首を傾げる。
よく分からないが彼女にはツボだったらしい。青年としてはただ真っ向から思った事を述べたまでだが。
「神様とは相性悪いんだけどなぁ俺。…あと、今シリアスな顔をする場面間違えてると思っただろ?
…ウンメイさんの水着はシリアスにならざるを得ない価値があると俺は思うんだ」
と、これまた真顔で言う。が、直ぐにヒレカツサンドを頬張ってホクホク顔に崩れていたが。
「あーー地図には載ってないぜ。むしろ公的には”存在しない”扱いだしな。
まぁ、つまりはお偉いさん方も何故かその場所を存在しないと言いつつも放置してる訳だ。
その細かい理由までは知らんけど…ま、必要悪って感じなのかもねぇ」
光あれば闇がある。それはこの島でも変わらない。表側があれば当然、その影となる暗部もある、と。
彼女は察しが良い…だから、なんとなくその辺りは読み取れるだろう。
「…いわゆる、”触らぬ神に祟り無し”。中身は無法地帯だがそういう場所が確かにあるってこった」
平和なカフェテラスでする内容ではない。だが敢えてそれを話す。
それを彼女がどう思い、どう行動するかは彼女の勝手であるし。
■時坂運命 > 「そう、ミステリアスで何処か影があるのが魅力的な年ごろと言うのがあるのさ。
なんと言ったかな、えーっと……そう、ちゅーにびょーと言う奴だね?
ん? んー、何が悪くないかわからないけれど、君が納得いったなら良いか」
探り合いをしている内に話は少しずれている。
新しい言葉を習ったばかりの子供のように、自慢げに不治の現代病について少女は語った。
「そうなんだ、じゃあ今度からはそうするね。
アリカ君が喜んでくれるなら、僕は喜んで言葉の鞭を撃とうじゃないか。
ああちなみに、お持ち帰りは流石の僕も困ってしまうからお断りだよ」
Mではないと言うのに、それを聞いて何故か嬉々として声を上げS気を見せるシスター。
付け足す一言は茶目っけに溢れた、少し意地悪な声だった。
「と言うか、面と向かってシスターさんにそんなことを言った人間は初めて見たよ。
なに、ある意味で言うところの勇気ある無謀と言う奴だ。 せいぜい落雷には注意することだね」
さらに意地悪な声で告げる一言はどこか恐ろしい予感めいたものを含んでいるかもしれない。
アイスの冷たさを堪能しつつ、柔らかいシフォンケーキを崩しながら口に運ぶ。
「さぁて、君を愛する神様が全うかどうかは僕からは言えないなぁ。
僕の水着姿を想像して現をぬかすような人間を愛する神様……ああ、なんて懐が深いんだろうね」
冗談はこの辺にして、少しだけ真面目な話に戻る。
「ああ、なるほど。 そういう扱いになっていると……。
ふふふっ、学園生活とは思った以上にスリリングなものなんだね、とっても興味深いよ。
――まぁ、危険地帯、触らぬ神になんとやらとまで言われるくらいの場所なら、近づかないのが吉かな。
一般人の僕は気をつけるとしよう」
言いながら、一つよぎった疑問がある。
彼は同じ一年生だがこの街の暗い部分について詳しい、普通の一般生徒がここまで知っているものなのか。
彼は、実際に足を踏み入れたことがあるから……?
疑問はあえて口にせず、少女は涼しい顔でシフォンケーキを堪能する。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「…あー中二病な?まぁ、青少年なら誰しも通る道とゆーか…むしろこの島はそういうのが溢れてるけど。
…しかし、ウンメイさんの普通の私服姿っつーのも見てみたいもんだなぁ。
むしろそこは神様的にもオッケーサイン出すと俺は思う訳よ」
と、言いつつケラケラと楽しげに笑う。言葉の鞭に関しては「おっと、シスターなんだから優しく頼むぜ?」と、言うのは忘れないけど。
お持ち帰りに関しては、まぁそうだろうなぁと頷く。むしろオッケーだったらそれはそれで問題だ。
…しかし、このシスターさん何か嬉々としている。実はサドっ気でもあるのでは?という疑問が沸いた青年である。
「んー…美人をお持ち帰りしたいと願うのは変かねぇ?不純なのは当然として。
ああ、落雷で済むなら安いモンさ。それよりおそろしーのはもっと世の中沢山転がってる」
だから、その神様はさぞ慈悲に溢れているのだろうなぁ、とヘラヘラと笑って。
彼女の言葉は冗談とは思えぬ何かを感じるが、青年はそれでも動じず崩れない。
今度は野菜スティックにバーニャカウダーソースを付けてポリポリと頬張りつつ。
「……と、ゆーか昔さぁ。神様云々ですこーし色々あったもんでなぁ。
ウンメイさんは好きだけど、神様にはちょーーっと思うトコがある訳よ」
僅かに遠い目をしつつ、夜空を見上げて星を眺める。少しだけだが真面目な顔をしており。
「さぁて?一般人だから近づかないって保証も何もねーしなぁ。
ウンメイさんがどう行動するかは俺にゃ与り知らぬって事で。
――ああ、ついでに言うと。俺は落第街にゃちょくちょく行ってるぜ?刺激的だし」
彼女の疑問を見抜いたかの如く、夜空へ向けていた視線を不意にシスターへと戻す。
その顔は笑みで影も裏も無い。ただ明日の天気を口にする感覚であっさり暴露した。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「ほほう、つまりこの街はちゅーにびょーによって蝕まれていると……。
うーん、必要なら揃えるけれど……どんな物を買って良いのか、これは本屋に行って調べないとダメかな?」
神様がオッケーサイン出すのはちょっと想像しがたいが、楽しそうに笑うならまぁいいかと微笑んで流すことにした。
シスターでもやっちゃう時はやっちゃうので、優しくなんて言われても「えへっ」と天真爛漫っぽい笑顔を浮かべるだけだった。
「問題視すべきはそこではないんだけどなー。不純なのは言うまでもないとして。
おっと、意外と人生経験豊富そうな発言が飛び出して来たね。
……あれ?そう言えば、アリカ君はいくつなのかな?」
ふと浮かんだ疑問をそのまま投げかけた。
ヒレカツサンドだけでは補えない野菜分をかじっている姿をじーっと眺めながら、ふむ、と頷き。
短くなり始めたそのスティックを一気に口の中に押し込もうと彼へ手を伸ばす。無論笑顔で。
「ふーん、そうなんだ。神様は苦手……なのかな。
まぁ、無宗教の人に神の教えを押しつけるのは僕の主義じゃないから、君の自由にすると良い。
ただ……そうだね。もし君の気が変わって、神様に祈る時が来るとして。
そんな君に敬虔なる信徒である僕からのアドバイスは『神様を頼りにするな』だよ」
どこを見ているのか、視線の先を追っても見えるのは夜空だけだ。
彼が深いところで抱えているその理由を知らないけれど、軽薄さが薄れていることで詮索は止めた。
アドバイスとは名ばかりの持論を告げて、この話は終わりにしよう。
「うーん、危険だからやめた方が良いよ、と一般人で優等生なウンメイさんは言っておくね。
ちなみに、僕は基本的に花火は遠くの観覧席から見る派なんだ」
口だけは彼の行動を咎めるように言っているが、まったくもって本気ではない。
白々しささえ感じるもの言いで答える。
■真淨在処 > 「むしろ服を買いに行くなら同行させてくれ。あと試着も是非!!」
何故かこういう所だけ無駄にシリアスな顔になっている。残念といえば残念。
シリアスの無駄遣いとはまさにこの事だろう。むしろ肝心の場面でおちゃらける青年だ。
「えーーじゃあ何処が問題なんだよ?…って俺?俺は20歳だよ。
だから喫煙も堂々と出来るし、酒も飲める。ついでに車とバイクの免許もあるぜ?」
と、懐を一度ゴソゴソと漁って。普通自動車免許と大型二輪免許の免許証を取り出して彼女に見せる。
ちなみに、顔写真は何故か普通に黒髪黒目である。理由は単純で『黒染め』だ。あくまで赤毛赤目の方が素なのである。
で、野菜スティックをまた齧り出すが…一気に口に押し込まれた。
流石にコレは予想外らしく、んぐっ!?と、割と本気でヤバい声が漏れたかもしれない。
思わず咳き込みそうになるのを堪えつつ、何とか噛み砕いて飲み込んだ。
「ゲホッゲホッ…え?ああ、神様を頼る気は最初からねーさ。
あと、別に神様を信じてないって訳でもねーんだわ。ただ…なぁ。
うん、シスターの前でこう言うのも失礼だけどさ?『いいから黙って見てろ手は出すな』。
と、俺は神様に言いたいねぇ。天罰モンの不敬なセリフだけどそこは勘弁な?」
ああ、神様は確かに居るだろう。見てもいるだろう。だが余計なお節介は願い下げ。
と、笑顔のままでそう述べる。無神論ではないが神に頼る事はしない。
とはいえ、彼女なりのアドバイスか持論は聞けたし、それで良いとする。
「あーそれは俺も同感。どっちかというと野次馬に紛れ込んで高みの見物が大好きだぜ?
それで巻き込まれたりしたら…ま、しょーがない。それこそ自業自得か神様の天罰?」
アイスコーヒーを飲みながら、けど続けて笑顔でこう言おうか。
「”退屈は人を殺す”。刺激が欲しいって気持ちは中々に消えないんだよなぁ」
■時坂運命 > 「え? あ、えっと……僕は構わないけれど。 って言うか……、か、顔が怖いんだぜ?」
あまりの迫力に気押されて頷いてしまったが、果たしてこれで良かったのか。
若干困惑気味になりながら、逃げるように目を逸らしてワッフルにかじりつく。
「シスターってところだよ、生臭な僕が言うのもおかしな話だけど、普通はダメだよ。
へぇ、じゃあ僕より2つほど年上になるわけだ。しかもバイクの免許までも持っているときた。
これはアリカさん、と呼んだ上に敬語まで使って敬うべきなのかな?
――まぁ、そんな特に意味のないことはわざわざしないんだけどね」
もぐもぐ、ごくりとワッフルを飲み込んで、ジト目で突っ込みを入れたり、つらつらと戯言を並べて最後につき崩したり。
見せてもらった免許証をまじまじと眺めながら、色合いが変わるだけでこうも違って見える物なのかと感心した。
野菜スティックの猛威に噎せかけている様子を、ニコニコと笑顔で頬杖をつきながら見守って、何とか危機を脱したのを見ると少し残念そうに息をつく。
「ふふ、それなら良かった。
うん……いや、失礼なんてとんでもない。むしろ人間はそうあるべきなんだ。
だから、そんな啖呵を切れる、君という人間が僕は好きだよ、アリカ君」
それがいかに不敬であっても、そんな些細なことを誰も気にはしないと少女は笑う。
その意思の強さが本物であり続けることを願いながら、どこか満足そうに何度か頷いて、話を移す。
「君も中々に良い性格をしているね。 神様の天罰と言うより、試練のようなものかな。
高みにいられるくらい君が特別なのか、それを試されているのかもしれない……なんてね。
――やっぱり、君は破滅型の人間だよ。」
好奇心とスリルのために危険に飛びこむ、それはまさに破滅の道だ。
■真淨在処 > 「――よし、言質は取った、と。あ、スマホで今の音声録音しといたからシラを切るのは無しでな?」
と、ニッコリ笑顔でスマホを取り出してみせる。で、わざわざ今のやり取りを再生してみせた。
この青年、彼女の評価でもあったが…矢張り策士な面もあるらしい。
まぁ、冷静に考えれば。そこまでして女の子の買い物に同行したいのか?と思う人も多いだろうけど。
「ウンメイさんがシスターってのは疑いはしねーけど、生臭って自称するくらいだから例外ぽくね?
…うわぁ、さん付けとかいらねーわぁ…って、最後にオチがそれかい!!」
と、ツッコミはする。思ったとおり、人を弄ってる時はこのシスター、凄く生き生きとしてるように見える。
まぁ、その分、青年も今さっきの録音といいきっちり反撃はしているのだが。
あと、野菜スティックの押し込みに関しては特に何も言わない。ただコーヒーを飲んで喉の調子を整えるだけ。
「…ウンメイさんってさぁ――…いんや、やっぱ何でもねぇ」
何処か満足そうに頷いている彼女に、何かを言い掛けて…苦笑気味に首を振った。
言ってもただの憶測や詮無き事。口にするのは野暮というものだ。だから言うのは止めた。
「あー破滅型なのは否定しねぇ、っていうかそういう人間だという自覚は流石にあるし?
それを直そうとしない俺はバカなんだろーけど…退屈に殺されるのはゴメンなんだよなぁ。
…ま、結局。平和な学園生活だけで満足出来ないのはどっか破綻してるんだろーさ」
特別かどうかはどうでもいい。それは些細な事なのだ。ヒレカツサンドの残りを頬張りながら一度目を閉じて。
「――で、破滅型のバカ男はシスターにはどう見える?」
右目だけゆっくりと開いてシスターを見つめる。その目は笑っていない。
…が、別に無味乾燥でもなく。ただ真剣にどう見えるのかと。純粋な問いかけだ。
■時坂運命 > 「そ、そこまでするかな普通?! べ、べべ別に一度かわした約束を反子にするつもりはないよ……」
えぇぇ?とスマホと笑顔を見比べながら、何故か追い込まれてしまっていた。
用意周到、ぬかりない徹底さに半ば呆れながら、逃げも隠れも出来ないなと苦笑した。
「確かにそう言ったけれど……いや、僕は例外だと思うし良いのかな? いやいや、良くは無いよ。
うんうん、けっこう良い反応を返してくれるね。 これはポイント高いよ」
何のポイントだとかは深く聞いてはいけない、いいね?
自分でもそれなりに例外だとは思うけど、さすがに認めてはダメだと首を横に振った。
特に何も言わない、怒ってもいなければ、困惑もしない。そう言う態度も悪くないなとにんまり笑みを浮かべながら、話を聞いて。
「――ん? んー……、そう」
何か言いかけてかき消された言葉も、楽しそうに微笑むだけで追及はしない。
次いで彼が語るその生き方は、一般的に言えば異常なのだろう。狂っているとさえ言えるのだろう。
「どう見える……か。そうだねぇ――」
一度、沈黙が訪れる。少女は祈る様に瞼を閉ざし、言葉を選ぶように、ポツリポツリと口にして。
「はっきり言って、とても馬鹿げた生き様だ。狂っている。
けれど……嫌いじゃぁない。だって、それで命を落としても、最後まで妥協しなかったってことだろう?
退屈に生きて天寿を全うするか、派手に散って最後を飾るかは本人が決めることだけどさ。
どちらになったとしても、あるいは第三のエンディングを迎えるとしても、妥協しなければ後悔もしないはずだからね。
僕には、それは一種の幸福のようにすら思えるよ」
スッと閉じた目を開き、無感情な右目と対峙する。
「人は誰しも、幸福になるために生きるんだ」
少女は笑みを崩さずに言い切った。
■真淨在処 > 「ああ、ウンメイさんイイ女だしこのくらいは俺はするけど?
うん、ウンメイさんからのお誘いと私服の買出しに同行か…楽しみですなぁ」
最初の一言を本気の真顔で言い切る。本気でそこまでしますが何か?という顔だ。
そして、ヘラヘラと笑ってスマホを取り上げられる前にササッと仕舞っておこう。
からかわれ、弄られっぱなしでは終わらない。そこはお互い様、対等というものだ。
それに、シスターもそのほうが退屈はしないだろう。苦笑気味の彼女を眺めつつ笑って。
「まーアレだ、公園でもチラッと話した気がすっけど、ウンメイさんの記録にもっとページ残さないといかんしねぇ。
ポイントが高いっつぅのはむしろ願ったり適ったりというやつさね」
どうでもいい、つまらない、そういう無関心に比べたら何とマシな事か。
あと、ポイントについては深くは聞かない事にする。聞いたらいけない圧力を感じる…!
「…成る程、成る程…ふむふむ――ん、やっぱウンメイさんはイイ女だなマジで。」
右目を再び閉じる。彼女の意見を吟味しているのか、ゆっくりと頷きながら…やがて両目を開いて。
間を置いた一言はありきたりのセリフだが、おふざけのない静かな笑顔で一言呟くように。
「――ま、それはそれとして。ウンメイさんは異能とか魔術とかって使えるん?
ほら、一般人といっても、この学園にかよう連中は何かしら背景があったりとかだからさぁ」
と、今さっきの素にも似た静かな笑みを崩してヘラヘラ笑いで質問を。
何かこちらへの質問ばかりもあれだろうし、青年からも質問して見た。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「えぇ? まったく、なんなんだよ君は……」
何でそんな本気なのか、もうそこから全部理解不能だ。
何気にそそくさとスマホをしまう姿に、「だからそこまでしなくても良いと言ってるのに」と頭を抱えたくなる始末だった。
とにかく、深く息を付いたら気を取り直そう。
「はいはい、それなりに濃いキャラとして僕の中ではすでに残され始めているよ、アリカ君」
軽く聞き流しながら、残っているワッフルにラズベリージャムを塗っていた手を一度止めて。
今までとは違うその雰囲気に、眉を顰めて訝しげに首を傾げた。
「なんだい急にあらたまって、僕を褒めてもワッフルの残りを半分分けてあげるくらいしか出来ないんだぜ?
この欲しがりさんめ、そんなに食べたいと言うなら、あーん的なサービスを付けてあげるのもやぶさかじゃないけれど」
ナイフで半分に切り分けたワッフルをちらつかせながら、冗談めいた笑いを浮かべて言う。
真面目な会話は長続きさせない、そう言うような雰囲気がその笑みから漂っていた。
いらないと言うなら、このまま食べてしまおうかとフォークを彷徨わせつつ。
「ん? あー、まぁね。 魔術は一つだけ、異能も使えないこともないけれど、未熟だから制御はしきれないかな。
そう言う君はどうなんだい?」
彼自身が言う通り、彼にも何かしらの背景があるのだろうことは察する。
ここにきて、ほんの少しだけ手札を伏せて腹の探り合いだ。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「んー…ウンメイさんの調子を狂わせる”悪魔”かな?」
お、我ながら良い感じじゃね!?と、凄い楽しそうである。まぁこの分は何処かでしっぺ返しを彼女から食らうだろう。何らかの形で。
ただ、理解不能な存在だとしても濃いキャラとし残されるなら及第点、といった所だ。
勿論、彼女は軽く聞き流し手いるだけだろうが、それはそれで楽しいから問題無い。
「――そこは口移しじゃないと納得できんな!!」
何故かサービスの向上を要求する青年だった。ある意味で大物である。まぁバカだけど。
先ほどの物静かな態度はもうすっかり陽炎のように消えてしまっており。
「あ、でもくれるなら貰うぜ?」と、口移しが無理でも食べたいとは主張する。
「俺?俺はこの島に限れば珍しくはない異能持ちだぜ?んーと、発火能力に一応分類されてる。
いちおー、生まれつき使えた感じで制御とかはまぁ出来てるぜ?」
と、隠すでもなくあっさりと語る。ちなみに魔術は座学はまだしも実技は手を抜いているので未知数だ。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「………………。」
沈黙。圧倒的、沈黙。
遠くから聞こえる学生たちの喧騒すらも消え失せるような沈黙だった。
貼りついたような笑顔が、この蒸し暑い夏の夜で、背筋を冷たくさせてくれることだろう。
「まぁまぁ、そう言わずに……僕がここまでサービスすることなんて滅多にないんだぜ?
それにそれは不可能と言うか――
いや、まぁ。 うん、おとなしく食べると良いよ……ほら、ほらっ!!」
最初は優しく食べさせようとしていたが、いつの間にか強引になっている。
ニッコリと聖母のような笑顔を浮かべていると言うのに、その背後には地獄の業火にも似た炎の幻が見えることだろう。
悪魔はいつだって聖職者の敵なのだ、仕方ない。
「へぇ、発火能力……物を燃やす能力なんだ。 そっか、ちゃんと制御ができるなら安心だね。
ふむふむ、これは野じゅ―― キャンプしたりする時は、かなり便利そう。
あぁ、じゃあ煙草に火をつけるのも異能で出来てしまうわけだね」
どれくらいの火力が出せるのかはわからないが、印象としては「便利そう」だった。
魔術なんかも組み合わせて使えば、更にできることの幅は広がりそうだ。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「…オーケィ。俺がマジ調子乗ってた。素直に謝るからその氷付くような笑顔は勘弁してくれ、な?」
と、引きつった笑顔をこの日、初めて浮かべつつ彼女に頭を下げた。
どうやら調子に乗りすぎたようだ。多分、これ以上怒らせると洒落にならないと直感…多分間違ってない。
「えぇ…ウンメイさん、それつまり”口移し”になんかあるって事じゃん。
…って、いやいや何その強引さ!?シスターはもっとおしとやか…あ、ウンメイさん例外だっけ。
って、刺さる!何かフォークごとこっち刺さりそうな勢いなんだけど!!」
と、シスターの剣幕にたじたじの”悪魔”である。まぁ、これも愉しんでいるのだけど。
「おぅ、『野宿』にも最適だぜ?…ま、異能の制御に悩む連中も多いし俺はマシなんだろうなぁ。
そうそう、ライター要らずってヤツ。冬場は上手く調整すれば暖房にもなるし」
と、ケラケラ笑う。勿論腹の探りあいであり本来の異能に関しては全く口にしていない。
お互い、本来の手札は伏せたままの会話だ。それを見越した上で青年は尋ねる。
「で、ウンメイさんの異能とか魔術ってどんなのよ?ま、話せる範囲でいいから聞きたいっつーか」
と、問いかけつつ。「ま、口移しがマズいみたいだからそれ関係かなー」とヘラヘラ笑い。
■時坂運命 > いかに彼がその頬をひきつらせても、謝罪をしたとしても問答無用である。
「いやいや、根本的に口移しなんて破廉恥な行為をシスターである僕ができるはずがないじゃないか。
shut upだよアリカ君、黙って口を開けなさい。これは君の中の悪魔を追い出すためでね、他意はほんのちょっとしかないんだよ。
大丈夫、僕は君を傷つけたくはないんだ。
……そして、暴れると余計な傷が増えるだけだぜ?
君が静かに夜空の星を数えている内に終わるからっ!」
言っていることはあれだが、ある程度の加減はしておいた。
喉にフォークが刺さるなんて悲劇はきっと起きないだろう。
ちゃんと食べてくれたなら、後は軽く息を付いて椅子に座り直そう。
「うーん、制御しきれない異能なんて、危険極まりない兵器でしかないからね。
冬の暖炉に火をともす時も君がいればあっという間というわけか」
羨ましい限りだと相槌を打って、投げかけられた問いには、ふむ、と腕を組んで。
「いやいや、違うよ。 僕のは一種の占いのようなものさ。
――ここに取りだしますは何の変哲もない一枚のコイン」
楽しげに笑いながら、そう言って懐から取り出した一枚の貨幣をテーブルの上に置き、裏と表を見せる。
「さてアリカ君、一つ賭けをしよう。
勝者には……何か欲しい物はあるかな?」
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > (あっれ!?このシスターさん結構マジじゃね!?)
と、後悔しても後の祭である。あと、口移しが破廉恥とかいきなりシスターぽい発言が出た。
そして英語で「だまらっしゃい!」的な事も言われた。これはあかん。
で、結局「もがぁっ!?もがががっ!?」と、奇声?を上げつつ口の中に突っ込まれた。
…で、まぁ何とか無事に食べた。ちょっと命の危険を感じたかもしれない。
シスター・サダメ…何て恐ろしい子…!!ただし原因は主に調子乗ったこのバカである。
「…うー、フォークが刺さるかと思ったぜ…ああ、まぁ制御は異能者にとって命題?みたいなもんだし。
どんだけ強力でもちゃんと使いこなせないと意味ねぇしさ?
なら、能力は弱くても万全に使いこなせるほうが利便性も高いしな」
と、一応真面目に答えつつアイスコーヒーをゴクゴクと飲んで一息。
と、どうやら彼女の異能についてちょっとしたショーが始まるらしい。
興味は引かれるのかほぅほぅとそのコインを眺めつつ。何の変哲も無い硬貨だ。
少なくとも、イカサマの類がこの時点で仕込まれているようには見えない。
「なーんか、もうこの時点でそっちが勝ちそうな気がするんだけどなぁ。
んじゃ、ウンメイさんの水着姿のご披露で」
と、欲しい物に関しては即答した。アリカの名前が示す通り、在処(そこ)はブレない。
■時坂運命 > まぁ、口ではなんだかんだと理由を連ねていたが、実際に一番の理由と言えば「なんかイラッとした」の一言に尽きる。
何はともあれ、ワッフルが無駄にならず、彼が美味しく甘味を食せた……のかはわからないが、鬱憤を晴らせたシスターはもとの調子に戻っていた。
ちなみに、彼が悲鳴?にも似た声を上げた時は、心の底から楽しんでいるような笑顔を見せたが、きっと気のせいに違いない。
「うん、まったくもってその通りだよ。爆弾を抱えたままじゃ普通の生活なんてできないだろうしね。
僕はそれほど危険な力じゃないからいいけど、ちゃんと卒業できるように頑張らないと」
テーブルに置いたコインはどう見ても普通、疑うなら手にとって確認してもらっても良いよと言う程度に自信を持って言った。
「まぁまぁ、そう言ってくれるなよ、僕はこれでも満足に異能を制御できない未熟者なんだぜ?
万が一、君が勝つことがあれば水着でも、メイド服でも、素肌にパーカーでも、何でも着てあげようじゃないか」
と、そんな大見栄を切るのだから、やはり自信はあるらしい。
パチリと片目を閉じて、問いかける。
「さぁ、表か裏か……君はどっちに賭ける?」
■真淨在処 > 勿論、そのイラッとした原因は間違いなくこの悪魔…もといバカであろう。
ただ、今夜だけで彼女のあれこれ表情を引き出せている、という点では大したものかもしれない。
まぁ、バカも流石に命の危機を感じる程度にはヤバい剣幕ではあったが。
そして彼は見逃さなかった。こちらが苦しんでいる時、シスターが心底楽しそうだった事を!
(…うん、やっぱり根がサドなんじゃなかろーかウンメイさん)
と、おぼろげに思う。ちなみにちゃんと食べて飲み込んだが味を愉しむ余裕は無かった模様。
「危険な力じゃない、かぁ。…ん?じゃあ失礼して」
イカサマの類には慣れているのか、硬貨を確かめる手つき、目つきがやたら慣れている。
が、異常が無いのを確認してから硬貨をまたテーブルへと置いて。
「――おーい、それって未熟どころか自信がありありじゃんかよ。
ま、勝ちの報酬は置いておくとして。じゃあ裏でお願いするとしようかねぇ」
ケラリと笑って「裏」を選択する青年。勿論、青年の言動や行動に不審な点は無い。
そもそも、青年の異能はこういう賭けの類に干渉できるものではない。
(なーんか、ありそうなんだよなぁ。俺が勝てる可能性は殆ど無い…そんな気がするぜ)
仕組まれた、とは思わないがこの後の結果は既に決まっているのでは?
ともあれ、裏を選択した青年はあとは結果を待つだけだ。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > いらっとしたり、笑ったり。時々困惑したり、呆れたり。
同年代の若者とじゃれ合い、言葉を交わすのは少し新鮮で楽しい時間だったことだろう。
その陰で彼が命の危険を感じたり、苦しんでいたりすることを知っているのかいないのか……。
むしろ知っているからこその笑顔なのかはわからないが、シスターは微笑んでいた。
「偽物でもないし、勿論加工もしていないよ。
アリカ君はこう見えて意外と鋭そうで、見破っちゃいそうだし、そんな下手はことは僕もしないさ」
戻って来たコインを手に取り、
「うん、アリカ君は裏だね。 じゃあ、僕が表に賭けよう。
さぁ、よーく見ていておくれよ。
……ああけれど少し悪気もするなぁ、」
一度目を伏せて、少女は不敵に笑う。
「 だ っ て 、 こ の 賭 け に 勝 者 は い な い ん だ 」
親指に弾かれたコインは、高らかと宙に舞い上がり裏と表を繰り返し回る。
くるり、くるりと、何度も入れ替わって行く。
少女はそれを真っ直ぐに目で追いながら謳うように告げる。
『神は仰いました、どちらも地に伏せる必要はない。
争い血を流すことは罪であると。
ならば、その罪は神の御業をもって清算しよう――』
鮮やかな紫電の瞳の中に、十字が浮かび上がっていた。
見た目には何も変わらないだろう。だが、勘の良い者ならば、微かな異変を感じ取るのかもしれない。
言い終えると同時に、コインはテーブルの上に舞い落ち、カンッ!と高い音を立てて跳ね、彼の目の前まで飛んだ。
クルクルと回りながら……最後には、ぴたりと止まる。
どちらにも倒れることなく、奇跡のように天文学的な数字の可能性の果てに止まった。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > ある意味で本当の『悪魔』は彼女の方なのかもしれない。
とはいえ、青年がそう感じたかは謎で、彼女が実際どういう存在なのか。
シスターはシスターでしかないのかもしれないし、何か別のモノが潜んでいるのかもしれない。
それは結局分からない。ただ、一つ確かな事はといえば。
(…まー、少なくともさっきの剣幕とかは”演技”では無さそうだねぇ)
それだけ確定すれば十分だ。腹の探りあいはしても、態度までいちいち化かし合うのも煩わしい。
さて、彼女の言葉にただ曖昧に笑って無言を返答としておこう。
鋭いかどうかは別として、イカサマの類は通じない、とは言わないが通じ難いのは確かで。
さて、彼女は表、自分は裏。賭けの行方は果たして――賽は投げられた。
「……?」
一度目を伏せた後、不敵な笑みと共に彼女が口にした言葉に僅かに怪訝そうに。
そして、弾かれるコイン。それは表か裏か。入れ替わり立ち代り、宙を舞うコインを眺め。
(……!)
そして気付いた。勘が鋭いのもあるが…”ヤツ”が反応したらしい。
彼女の瞳、そこに浮かぶのは十字架…勿論、普通は気付けない。彼もハッキリ見たとはいえない。
(『……運…いや、概念干渉か?…言霊をキーワードにしている…いや、早合点か』)
アリカとは違う”何か”が思考する。彼女の言葉が終わると同時、撥ねたコインが目の前に。
クルクルと回るソレは、やがて回転が収まり倒れ――なかった。
どれだけの天文学的確立なのか、表でも裏でもない…直立。
(『…確率操作…それほど単純ではないか。…成る程』)
「……”捻じ曲げた”という訳か。面白い」
無意識に”誰か”の口調でボソリ、と呟く。その瞳はコインではなく、その向こう側を見ているようで。
■時坂運命 > 少女の目はコインを見据えていた。最初から最後まで、見ていた。
だからなのか、コインがはねて彼の目の前へと転がった時、何か別の者と目があったような奇妙な感覚に陥っていた。
目の前にいるのは軽薄でちょっと残念な、けれど時々何か底知れない暗いものを感じさせる変わり者の青年。
危険は無い、害はない……。
そのはずなのに、この違和感は何だろう。気のせいなのか、それとも――
目を向けたのは一瞬で、今は倒れないコインをじっくりと眺めた後、静かに息を吐いた。
「うん、今日はとっても調子が良いみたいだ。神様にしっかりお祈りしてたおかげかな?」
水着姿を見せる羽目にならなくてよかったと、安堵するように笑って顔を上げる。
視線は対面に座る彼を見ていた。
微かに拾ったワードから、探るように会話を繋ぐ。
「捻じ曲げた、はちょっと違うのだけれど。 ほぼ正解かな、鋭いねぇ……」
値踏みするようにじっと見据えながら、深く椅子に座り直し様子を窺っていた。
「まぁ、この通り、僕に出来るのはこんなちょっとした遊びだよ。 魔術か異能かは……どっちだろうね?」
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > こんな時に”ヤツ”が出張ってくるのは珍しいと青年は密かに思う。
コインに例えれば、自分は「表」でヤツは「裏」。基本それは崩さない。
彼女のその感覚は間違いないだろう。今、彼女を見ているのは青年とは別の”何か”だ。
”ソレ”は曖昧で形がなく、それでいて意思があり…淡々と彼女を見ている。ただ見ている。
もっとも、一瞬の交差にも満たない僅かな時間だ。その視線は彼女から逸れる。
今はただ、結果が出たコインに青年の瞳は向けられており。
「んー……異能と魔術の組み合わせ、かな?お遊びにしちゃ特定の手順をしっかり踏んでるし」
口調は既に元に戻り、軽薄なままだが口調は何処か淡々としている。
あくまで青年の推測であり、それが正解かどうかなんて彼女にしか分からない。だが――。
「さっきの言葉はいわばトリガー、もしくはこの結果に傾けさせる為の鍵かな。
つまり、祈りの積み重ね…それが発動の燃料か。と、なれば――…」
…ひたり、と視線がそこでやっとコインからシスターへと向けられて。
「――事象を操作、もとい因果律を歪める…ってトコかな?」
ヘラリと何時もの笑顔で緩い口調で口にした。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 言ってしまえば、幽霊を前にして気味が悪くなる感覚、そう言うのに近いものだった。
一瞬のことで気のせいだと思えばすぐに忘れてしまうが、地味に危機感知が鋭い故に警戒心が残っている。
真っ直ぐに彼の顔を見据えたまま、笑みを崩さずに様子を窺う。
……だが、コインから顔を上げこちらを見た彼の目に先ほどの嫌な感じは無かった。
少しずつ警戒心は薄れ、コクリと頷き返す。
「君は優秀だね、こんなに簡単に看破されるとは流石の僕も思わなかったよ。
でもちょっとおしいなぁ……ただ戯れに歪めているわけじゃない、歪めるだけじゃ世界が壊れてしまうよ。
感覚的な表現になるけど、線を纏めて……一つに集約し、無理やり歪めて作った型にはめる。
そんな感じかな? 言語化するのはちょっと難しいね」
説明したものの、やはりというか感覚だけでやっていることを伝えるのは難しいようで、小さく唸り声を上げて悩んでいたが、まあいいやと気軽にさじを投げた。
「まぁそれはそれとして、アリカ君。
僕もちょっとした隠し芸を見せたのだから、君にも何か見せてもらいたいなぁ……なんて」
発火能力なら、線香花火みたいな軽い火遊びとか出来るのかな?と強請るような期待の目が向けられる。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > ソレは彼女に姿を見せない。ここは「表側」だから。ソレは喋らない。もう今は引っ込んでいるから。
――ソレは確信した。この女は―…ブツン、と電源が切れるように意識が”切り替わる”。
(……あーあー…ったく、ウンメイさんとお茶の時間が台無しだぜ、アイツは…)
心の中で愚痴を零しつつ、その視線も口調も、纏う空気もさっきまでの青年と同じになっており。
「んー…ああ、未来(かのうせい)を観測して、それを束ねて望む結果に繋げる…とか、そんな感じかねぇ」
さっきまでのおバカなノリとは少し違うが、雰囲気は彼のままでそう呟くように。
しかし…アレだ。「…ウンメイさんの水着姿が拝めねぇとか…」と、割とマジトーンで凹んでいた。
「…まーでも。それなりの手順は踏まないといけないだろうし、代償も何かしらありそうではあるなぁ。
とはいえ、発火しか能が無い俺に比べたらおっそろしいわなぁ」
苦笑気味に。だが彼女のその力を恐れるとかそんな態度ではない。
むしろ、彼女がそれを今後どう使うのか。そちらの方に興味がある。
と、どうやら今度はこちらの番らしい。大したことは出来ないんだけどなぁ、と苦笑し。
「んーと、ここだとあんまし派手なのは出来ねーし…あ、弁償するからこのコイン貰うぜ?」
と、彼女に断りを入れてからその直立したコインを”ただ見る”。
次の瞬間、一瞬コインが炎に包まれた…かと思えば。跡形もなく”溶けて”消えた。
「ん、まぁこんな感じで。」
笑顔でグッと親指を立てる。全く説明になってないと思う。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「うん、そんな感じ。 ……って、どうしたのかな? なんか暗いような――
僕の水着はそんなに重要なことじゃないと思うんだけど」
やっぱり、察しが良い。頭の回転が速いのだろうか。
簡単に答えに行きついてしまう洞察力に舌を巻きながら、正解だと頷いた。
が、何やら急に落ち込んだ様子に首を捻る。
その姿には、先ほど感じた不気味さも気のせいだったんだろうと思わざるおえない。
「おいおい、僕の使ったあれより君の異能の方が三十倍は人生で役に立つんだぜ?
コインの裏表を左右するより、即座に焚火を付けられる方がよっぽど良いよ。
雪山で火がつかなくて凍死なんて事態に一生ならないんだからさ」
そんな冗談のようなことを大真面目に言って聞かせるシスターは、大したことないなんて謙遜することを許さないらしい。
「いいよ、思い入れもないただの変哲もないコインだか――」
軽く笑って了承するや否や、コインは火に包まれ消えてしまった。
一瞬手品かと疑うようなそれに、言葉が途切れる。
「んー……、失礼するよ」
固まりかけた思考を無理やり再起動させ、コインを持っていた手を見ようとテーブルに身を乗り出す。
叶うなら、手を取ってマジマジと観察したいところ。
■真淨在処 > 「…いや、重要だろ。素直にウンメイさんの水着姿見てーんだよチクショウ…」
と、結構本気で落ち込んでいたが結果は結果だ。それが彼女の力の作用だとしても変わらない。
仕方ない、ウンメイさんの水着は諦めよう、と何とか立ち直り気を取り直す。
その態度は、まぁさっきまで調子乗って彼女にお灸を据えられた青年と変わらぬノリで。
「……ウンメイさん、それマジで言ってるのは引くわー。
手順とか積み重ねが必要とはいえ、因果律を歪めるとか普通にヤバい系統なんだぜ?」
利便性、直ぐに使えるという点では確かに発火能力の方が上だろう。
が、もっと別の視点から見たらどうか?…彼女の力は恐ろしいものだろう。
少なくとも、彼女のソレは”分かる者には分かる”可能性と危険性がある。
だから、彼女が大真面目に口にしてもそうこちらも反論する訳だ。
彼女の力がどんなものだろうと、態度を変えることは青年は絶対にしない。
だが、その力のヤバさを彼女が完全に気付いていないとは思えない。
――さて、コインだが何処にも火傷や焦げ跡の損壊は出していない。
それこそ、今さっきあったコインだけが綺麗に溶けて無くなっている。
問題は、その溶けたコイン…金属のソレすら跡形も無い事だが。
「あー…俺は見ただけで発火が可能な訳よ。んで、コインに焦点を絞ってそこに超高熱を一転集中して焼滅させたって訳。
ちなみに周りに被害が出ないようにちゃんと調整したからそこは大丈夫だぜ?」
と、肩をすくめて気楽に述べる。燃焼もだが恐ろしいのはその精密性…制御能力だ。
彼女の力とは明らかに別ベクトルでヤバいかもしれない。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「うーん、それは……残念だね。 まぁ、希望を持って強く生きるんだ」
彼はバカなのかな?とつい口を付いて出そうになるのを心中にとどめ、口だけは慰めておいた。
仮にもシスターなわけで、煩悩の塊としか言いようのない今の彼も励まさずにはいられない。
元気になってくれるならこちらも一安心だ。
「君こそ何を言ってるのさ、たかが人間一人の力で覆せるほど因果の流れは甘くない。
それに、どこに歪が起きるかもわからないのに、そう簡単に未来を変えていいものじゃないよ。
……見えるからこそ、何も出来ないということだってあり得るんだ」
それは違うのだと首を横に振り、静かに言葉を紡いだ。
さっき言ったことは本当に大真面目で、冗談は半分くらいのものだったのだろう。
今はその冗談も抜きにして目を伏せていた。語り終えると、パチリと目を開き
「――と、僕としたことが珍しくシリアスしちゃったじゃないか、まったくもって君は油断も隙もありゃしないね」
楽しげに笑ってひらひらと手を振った。
消えたコインの行方を捜して、何度も彼の手を見比べたり、机の下をのぞき込んだりしたが燃え尽きたコインが見つかることは無かった。
本当に消えている。火傷の痕も一つもない。つまり、燃え尽きたのか。周囲に被害を出さず、あの一瞬で?
彼が言うことが確かなら、筋は通っているのだが、鉄が融解ではなく燃え尽きる温度となると……
深く考え始めると、表情も険しくなる。
「ねぇアリカ君、この街にいる異能者は、みんな君くらい凄いのかな?」
ありふれた能力だなんて言ってたのに、彼の異能はありふれた種類でも、レベルが異常。
そうであってくれなければ、ちょっとシスターは頭を抱えることになる。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「…あー、励まさなくていーから。どうせ煩悩バカとか思ってるんだろ?そのくらいは読めるぜ。
ま、ウンメイさんからお茶のお誘いとショッピング同行だけでもありがたく思わないとなぁ」
その二つは確定しているのだから!と、己に言い聞かせる。
正直、今夜だけで彼女の中で青年の評価はダダ下がりしている可能性は高い。
まぁ、言い換えれば青年の性格を十分に把握できたとも言えるかもしれないが。
「――その何も出来ない可能性を”覆す”可能性もあるから怖いんだよ…」
と、こちらも静かに口にする。そこだけはやっぱり彼なりのマジトーンで。しかも水着云々とは違って内容はシリアスだ。
けど、お互いシリアスばかりというガラでもないのは確かで。
「俺だってこーゆうのはガラじゃねーさ。ウンメイさんと居ると退屈しなさそーだな」
そこは確かだろう。癖はあるが打てば響く心地よさがある。演技だろうが本心だろうがそれは関係ない。
彼女の言葉に、そうだなぁと一度夜空を仰ぐ。流石に茶化したりふざけた答えは彼女は望んでないと思ったか。
「そもそも、自分の異能を隠匿…学園に申請してなかったり異能を誤魔化してる生徒も多いしなぁ。
さっき話した落第街に至っては無法地帯だから未知の異能者なんてゴロゴロ居るだろーし。
まぁ、自画自賛ぽいから言いたくねーけど、流石に発火能力に限定すれば俺は上位だとは思う。」
つまり、発火能力だけならこの青年レベルはそうそうは居ないと言う事だ。
ただ、他の系統に至っては、そこそ化け物クラスが平然と街中を歩いたりもしているだろう。
「…ま、この島は言い方は悪いが”魔窟”だからなぁ。ヤバい異能者、魔術師なんて表裏問わず結構居ると思う」
と、そこまで真面目に語ってから「あ、時間とか大丈夫か?そろそろ出るか?」
と、確認を取って見よう。何か凄く長く話し込んでいる気がしないでもないし。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「な、何故それを……それがアリカ君の特殊能力?
なんて冗談は置いといて。僕はファッションと言うものに疎いから、服は君に選んでもらうことになるだろうねー。
期待してるよ?」
自分を鼓舞するように、または暗示でもかけるように言う彼へ希望をちらつかせつつ、少女はクスクスと笑う。
今夜の会話で紳士と言う評価の代わりに、からかいやすい男子という評価が加わったのは間違いないだろう。
「怖いかぁ……。 僕から見れば、君の方がずっと怖いよ。
力とか、そう言うの関係なしにね」
曖昧な笑みを浮かべながら、肩を竦めて目を逸らした。
あの異様な気配や、強力な異能の力を抜きにして、それこそが怖いと言う。
水着に強い執着を見せていたのもある意味では怖いが、それもまた別だ。
「ふっふっふ、そう言ってもらえると悪い気はしないね。
もっともーっと、君を楽しませてあげられるように努力しようじゃないか」
「――へぇ、そうなんだぁ。 嘘をついたり、隠し事をするのは良くないね、良くないとも。
ふむふむ、だてに落第街を散歩コースにしているだけのことはある、ってところかな。
しかし君が上位の異能者だと聞けて僕はやっと生きた心地がしたよ」
発火能力に限定、という言葉はあえて聞かなかったことにして、ひとまずの平穏を享受する。
綺麗な花火は特等席で見たいけど、面倒事はごめんだと内心で苦笑した。
「ふふ、僕としては平穏無事に学生生活を謳歌したいものだねぇ。
――ん、もうこんな時間か。 時が経つのはあっという間だ……そうだね、長居し過ぎてもお店に悪い」
店内の時計を見て、思った以上に話し込んでいたことに気付く。やれやれと笑みを浮かべながら、帰り支度を始めよう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「やー、俺は自分が煩悩塗れでバカだってのは分かってるし?芸風みたいなもんだなぁ。
けど、例えば俺が今からいきなりクールになっても、ウンメイさんはむしろ困惑するだけだと思うぜ?」
ここまで散々性格を全て、とは言わないが大分曝け出しているのだから。
少なくとも、クールやシリアスは本来ガラではないのは確かだ。
ただ、服装を選ぶ権利にはマジで!?と復活した。ちなみに服選びは意外と真面目に選ぶ可能性大である。
そして、評価が変わったのは良い事なのかどうか…少なくとも青年自身には分からなかった。
「……正直、ウンメイさんに怖がられたり警戒されるの地味にショックなんだよなぁ。
個人的にはなんつーか、割と気が合うっての?そう思ってっからさ?」
うぬぅ、と唸る。流石にシリアスにはならないが、地味にショックなのは本当だ。
とはいえ、こちらの”事情”を彼女に語る訳にもいかない。あちらあちらで色々あるだろうし。
とはいえ、彼女のその言葉も無理は無いと…青年はよく理解していた。
だから、明るい調子で口にする彼女にすこしだけ救われた…と、思いたい。
うん、彼女がどうこちらを愉しませる方向性で努力するか気になるが口にしないほうがいい気がした。
「――ま、この島も外も大してそこは変わんねーよ。異能者だろうが魔術師だろうが人外だろうが。
腹の探りあい、権謀術数、裏切り、対立、何でもありってな?
シスターのウンメイさんにこう言うのもアレだが、嘘なんて日常茶飯事だろーさ」
青年自身がそうなのだから身に染みてもいる。渦中に入りたくは無いが時に巻き込まれる可能性はある。
――自分も、そして彼女も、だ。
「平穏無事、ねぇ?退屈しなけりゃ俺もそれで文句ねーんだけどな。
んじゃ、帰るとしますかぁ。あ、帰りは送るぜ。そんくらいのエスコートはいいだろ?」
と、笑いつつ伝票をヒラヒラ振ってみせる。今夜は勿論彼の奢りだ。
ともあれ、二人してそのまま勘定を済ませて店を跡にしよう。
「――で、今夜は少しは楽しんで貰えたかよ?ウンメイさん」
と、送りがてらそう尋ねたりしつつ、談笑でもしながら帰路に――。
■時坂運命 > 「…………うん、急な高熱にうなされたのかな?とは思うだろうね」
試しにクールな彼を想像する。一瞬で笑みが消えて、何処か深刻そうな声音と真顔でそう答えるのだった。
ちらつかせた希望は現金な彼には抜群だったようで、元気になったなら満足げに頷いて、ちょっと生温かい目で見守ろう。
「うーん、警戒とかそういうことじゃなくてね。
まぁ、あれだ。そう言う“怖い”と思うところが、僕は気に入ってるのさ」
だからそのままで良いのだと、子供を諭すように言い聞かせ笑みを浮かべる。
はっきりとは言葉にしない、出来ないが故に回りくどく少女は生きる。
それは時に人々を、そして彼を楽しませることにもなるだろう。
「それはそれは、スリルがあってよろしいじゃないか。
一歩間違えばゲームオーバーなんて、ドキドキする。
嘘も生き抜くためならば、きっと神様だってお赦しになるに違いないってね。
まぁ平穏なのは大前提だけど」
怖がったり、楽しんだり、笑ったり。冗談っぽく語る声はどこまでも明るく、挑戦的な印象さえもにじむだろう。
そのゲームが楽しいものなら、渦中に飛び込むことさえまた一興。破滅型の人間はそう言う生き物だ。
「うん、ありがとう。 では是非お願いしようかな、アリカ君なら……送り狼なんてことにはなりっこないからね」
今日一日で受けた印象は、確実に警戒心の壁を突破したことには変わりない。
変わりないのだが……、クスクスと楽しそうに笑う小悪魔は、彼の後ろを付いて店を出る。
勘定を済ませた彼に、
「とーっても、楽しかったよ! そして美味しかったし、何よりアリカ君が面白かったね!」
満面の笑みでそう言った。
帰り道、隣を歩く少女の足取りは軽く、時々ステップを踏んでいた――
ご案内:「カフェテラス「橘」」から時坂運命さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から真淨在処さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に烏丸秀さんが現れました。
■烏丸秀 > 烏丸は歓楽街からのある報告を聞いていた。
最近、女性目当ての通り魔が出没しているという報告。
歓楽街の売春などの元締めの一人としては、見過ごせない情報であった。
「ふんふん、女性目当ての通り魔で、顔をぼっこぼこにされて水をぶっかけられた?
またひどい事する奴がいるねー……え、まだ捕まってないの?」
歓楽街でのこの手の事件は、すぐ解決する事が多い。
人通りも多いし、その手の男は目つきや格好で分かる事が多い、のだが……
「自警団も風紀も何やっているんだか……」
カワイイ子なのに、勿体無いと呟きつつ。
とりあえず桃のムースを頼む。
■烏丸秀 > 「困るなぁ、困る。ウリをする子が減っちゃうと、変なのが介入してきちゃうしなぁ――」
ブツブツといいながら、端末を操作する。
とりあえずは、ウリをしてる子たちに注意のメールを流しておく。
『こわ~い通り魔が出没中! みんな注意してね、一人で歩かず、男と一緒に行動する事♪ カラス』
まずはこれでよし。
あとは、犯人だが――
「案外、女の犯人とか?」
いや、それなら逆にもっと簡単に見つかるだろう。
筋肉質の女格闘家など、目立つ事この上ない。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に和元月香さんが現れました。
■和元月香 > ガチャ、とカフェテラスの扉を開いて入店してくる少女。
花を飛ばさん限りのご機嫌な笑顔を浮かべて、軽いスキップまでしている。
(今日は月一のスイーツ日和だからねー!
今日は何を頼もうかなぁ)
んふふっと締りのない笑い声を堪えられない。
にこにことしたまま空いた席を探す。
「.....あれ。珍しい」
ふと、1人の男子生徒?の姿が目に留まる。
なんと、着物を着ている。
もしかしたら初めて見かけただけかもしれないが、
興味津々さを隠さずに、じっと見つめてしまう。
(...なんか、妙な内容の呟きも聞こえたし。気のせいかな)
■烏丸秀 > そうとは気付かずこの男、スイーツを堪能中。
桃のムースの出来栄えは上々。
美味しそうにほうじ茶と合わせながら。
「んー、でも、女の子の顔をここまでボコボコにするって事は……まぁ、ぶっさいくな男なんだろうなぁ」
大方、美人に顔が原因で振られたとかそういう事だろう。
ブサイクはブサイクらしく、引き篭もっていればいいのにと思う。
「あ、おねえさん今日もカワイイね。そろそろボクとのデート、考えてくれた?」
ナンパもいつもどおりいなされ、一人でお茶中。
■和元月香 > (とりあえず席は...と。うわ)
一旦席に着こうかと思って
周りに目をやったが、殆どの席が埋まっている。
少し悩んだ末、月香は顔を上げた。
思い切って、1人でお茶する相手の前に立つ。
「へいお兄さん」
真顔で手を振って、ダメ元で誘いをかけてみる。
「相席、よろしいですかね。
席空いてなくて」
■烏丸秀 > にっこりと笑って頷く。
かわいい子はいつでも大歓迎である。
「どうぞどうぞ。座ってよ」
嬉しそうにしながら、桃のムースを食べ終わる。
他にも何か食べようかなぁと目を通しながら
「ボクは烏丸秀。君は、一人でお茶かい?」
■和元月香 > (...あ。マジで1人なんか)
なんかあっさり受け入れられた。
ちょっと驚きながらも、素直に礼は述べておく。
「ありがと」
何だか嬉しそうな相手に釣られて笑顔を浮かべれば、
よっこいせと小さく声を上げながら席に着く。
「私は和元月香、よろしくー。
...まぁ、そんなもんですよ...」
一緒にお茶する友人はいるにはいるが。
なんとなく寂しさを覚えながらもへらりと笑う。
「烏丸...さん?も1人なんだねぇ。
さっき店員さんナンパしてたし」
■烏丸秀 > 「うん、そうそう。いつも一人なんだよねぇ、寂しい限り」
などとヘラヘラ言いながら。
嘘ではない、ここに来る時は大抵一人である。
ダメイドは一人に換算しない事とする。
「月香ちゃん、ね。女の子が一人はちょっと珍しいね?」
ここは何でも美味しいから、一人で来たくなるのも分かるけどー、といいながら。
追加で梨のコンポートを選択。
■和元月香 > 「そっかー。寂しい人なんやね」
真顔で失礼にしか値しない事を言う。
だが、軽い物言いながらも月香はじっと彼を見つめながら。
(それにしてもなんかこの人うさんくさいなぁ...)
...そんな印象を覚えたりしている。
だからと言って別に敵意は向けない。
「...そうかなぁ...。
別に1人でもいいんじゃないかなぁって...。
まぁこう言ったら私も寂しい感じだけど」
ははっと乾いた笑み。
オードソックスなチョコレートパフェを注文し、
お冷をぐいっと飲み干す。
「...ぷはっ。
でも烏丸さんは、なんかモテそうな感じはするんやけど。
普通にかっけーし。その着物とか」
純粋に不思議そうに、首を傾ける。
恋人のひとりやふたりはいそうなものだ。
■烏丸秀 > 「ん、でもまぁ、キミみたいな子に出会えるから、そんな寂しくないかなぁ」
けらけらと言いながら、軽い物言い。
まぁ、本当に寂しくない。この男、寂しいと死んでしまう類のアレである。
「あ、そう? 嬉しいなぁ、着物好きなんだよね。昔から着てるし」
でも恋人は居ないよー、などと言い。
事実である。一人の恋人は作らない主義なのだ。
■和元月香 > 「あらまぁおじょーず」
そんなことを言いながら同じくけらけら笑う。
寧ろ独りの時間の方が多い月香の寂しい気持ちと、彼の寂しい気持ちは違うんだろうと考える。
多分こっちは、所詮上辺だけの気持ちだ。
「へー。そうなんだ。
着物似合う人ってなんかこう、いいと思う」
しゅみいーね、などと言ってみたり。
しかし、恋人がいないと聞いてそうなの?と意外そうに目を丸くする。
「...正直意外だなぁ」
■烏丸秀 > 「あ、そう? 嬉しいなぁ、かわいい子に褒められるのは」
てらいも無く言ってのける。
着物が似合うというよりかは、着慣れているので自然に振舞えるおかげだろうか。
「居ないよ。んー、なんというか――ボク、壊しちゃうんだよね、恋人になっても」
あえて何を、とは言わない。
関係性ともとれるが、本当は恋人自身を壊してしまうのが彼のサガなのだが。
■和元月香 > 「息をするように褒めるね、君。
...なんか流石に恥ずかしいっす」
慣れないものを連続で食らいさすがに照れて、わざとらしく後ろを向く。
丁度後方からチョコレートパフェを届けに来た店員が現れたので、丁度いい口実にはなりそうだが。
「.......。
何をって聞いちゃダメかな?」
(関係とか、生易しいもんじゃなさそーだ)
これは半分勘、あと彼の瞳の中で一瞬ちらついた仄暗い何か。
目ざとく見つけて、思わずそう問いかける。
...この豊富すぎる好奇心と探究心、ちょっと直したい。
■烏丸秀 > 「本当のことなんだけどなぁ」
そう、本当の事だから始末に負えないのだ。
彼は心から、貴女の事をカワイイと言っているのだから。
チョコレートパフェも美味しそうだな、とちらりと思い。
「ん――恋人になった子をね、壊しちゃうんだよねー」
あ、暴力を振るったりはしないよ、と明るく言いながら。
「好きになればなるほど、愛すれば愛するほど――その対象を、壊したくなるんだよね。
壊れれば、二度とは元に戻らない。永遠にボクのものになってくれるでしょ?」
さらっと、言ってしまう。
女の子に嘘はつけないし、そもそも嘘をつくのは苦手なのだ。
■和元月香 > チョコレートパフェを受け取り、スプーンを入れる。
なんとまぁキザな奴か、と呆れながら。
「...容姿については、自覚はしてる...。
でも褒められたのは、数える程しかないんよ...」
いい部類ではあるだろう。
だが周囲から何かと浮きやすく、
真正面から褒められたことはあまり無い。
慣れないから、素直に照れてしまうのだ。
「...エッ」
そして告られた言葉に、思わず刮目して声を上げる。
何となく予想はしていたが、濁すことなくはっきり言われるとは。
(しかも暴力を振るわないで壊すって、)
心しかないじゃないか。
思った以上にやばいやつなのか、と警戒心が芽生える。
「...壊れれば、元には戻らない、か。
確かにそうかもね...」
独り言のように呟きながら、自嘲の笑みを浮かべる。
だが、表情をきゅっと引き締めて月香は一言こう言った。
「ごめん、さっきの訂正させて。
烏丸さん、ちょっと趣味悪いね!」
否定はしないけど、と付け加える。
が、はっきり言ってあまり認めるべき嗜好ではなさそうだ。
■烏丸秀 > 「あ、ちょっとショック」
趣味が悪いといわれれば、ちょっとシュンとする。
いやまぁ、自覚はあるけど。けれども、それが烏丸の起源なのだから仕方が無い。
「まぁ、しょうがないよね。ボク、多分こうしてしか生きられないからね」
ふぅ、と溜息を吐き。
ご馳走様、と手を合わせる。
「ありがとね、月香ちゃん。おかげで楽しい時間になったよ」
にっこり笑い、またねと手を振り。
そのまま会計へと向かう。
こっそり彼女の分も支払い、カフェをあとにする。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から烏丸秀さんが去りました。
■和元月香 > 「...謝んないよ!」
不快げに少し頬を膨らませる。
恋愛について【趣味が悪い】輩には何人か会ったことがある。
彼はその典型的、しかしながら厄介なタイプと見た。
かつての親友も、似たような趣味だったが。
「...改めろとは言ってませんよー」
ふてくされたようにチョコレートパフェを頬張っていると、
どうやらもう彼は帰るらしい。
「こっちこそ。またね」
だが、きちんと別れの挨拶には手を振って返す。
チョコレートパフェを頬張り、ついでにいちごタルトを平らげていざ帰ろうとした時。
チョコレートパフェ代を払ってくれた彼に、掌を返したように感謝する事になるだろう。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から和元月香さんが去りました。