2018/03/11 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 夜になっても、それなりの客で賑わうカフェテラス。
その一角、窓際に設けられた席で向かい合う二人の男の姿があった。
方や、年齢に似合わぬカッチリとした服装に身を固めた金髪紅眼の少年。方や、少年と同じ様にスーツに身を包んだ中年の男性。少年に比べると特徴らしい特徴は無く、一見只のサラリーマンといった風合い。

「……最近、スーツが似合う様になりましたね。いっそ転職されては如何です?」

少年が発した言葉に苦笑いを浮かべつつも、その瞳は全く笑みを浮かべていない。
他愛のない世間話を交わしながら、少年は男に封筒を一つ差し出した。

「今どき現物で回収というのもどうかと思いますがね。まあ、確かに安全ではあるかも知れませんが。兎に角、遠路はるばるご苦労さまでした」

少年が差し出した封筒を手早く懐に治めると、愛想笑いを浮かべたまま男は伝票を手にとって席を立つ。
礼儀正しい営業マンの様に立ち去る男を見送りながら、まだ暖かいホットココアを一口すすって溜息を吐き出した。

神代理央 > 最近風紀委員としての任務に精を出す自分に疑念を抱いた父の会社の人間が、直接エージェントを派遣。
表向きは収集した情報の記録媒体を回収という名目だが、要するに自分の動向や情報を調べに来たのだろう。

「別段、彼等に背くような真似はしていないつもりだがね。貰っている金の分は恩義もある。しかし…」

此の島に来て、随分と暴力沙汰にも慣れてしまった。
他に注力すべきは学生の本業である学業と、陰謀渦巻く政財界に打って出る為の政治力や権謀術数といったところか。
地政学や政治について学ぶことは出来ても、実際にそういった場に立たなければ学べぬ事もある。

「とはいえ、金だけで人の心を動かすのは難しいしなぁ。寧ろ、落第街の人間の方がアジテーターが活躍出来る場ではある……ふむ」

カップに半分程残ったココアをスプーンでくるくるかき混ぜながら悩ましげに呟く。
我ながら浮世離れした悩みだとは理解しているが、今更他の学友の様に学生らしい生活を送る事はとうに諦めている事だし。

神代理央 > 「…少し、遊んでみるか。同僚諸氏も、仕事が無くなる程平和になっては困るだろうしな」

かき混ぜていたカップの中身を飲み干し、何事かを決意したかの様に呟いて立ち上がる。
自分の様な年齢で策謀家の様に立ち回る事など出来ない。所詮は、ただの学生のお遊びになるのだろう。

だからこそ、己の行動を遊びと称する。理想も理念も無く、してみたいからするだけのこと。
椅子にかけていたチェスターコートを手に取り、悠然とカフェテリアから立ち去っていった。

自分の他愛ない遊びで何人の死者が出るのか。それすらも、少年にとってはゲームのスコアめいた数字でしかない。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。