2018/08/09 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に鈴木竜一さんが現れました。
鈴木竜一 > 青年は窓際の席で,ろくに注文もせずにだらりとしていた。

この学園に入学して丸一年。
何のビジョンも持たず,何の目標も無く,ただ行き場を失ってこの島へ渡った。
何ら得意と言える分野も無く,何ら青春を懸けるような情熱も無く,
日々を平凡に生きた彼は,大きな壁にぶち当たりつつあった。

「……マージで,どーすっかなぁ。」

呟くように漏らした青年。珈琲はもう冷めている。

鈴木竜一 > その壁とは,つまり,今後の生活である。
両親の残した財産や奨学金でだらだらと生活してきたものの,
口座の1つが,この度ついに残高211円を記録した。
記帳していなかったために,残高不足で下ろせなくなり始めて気づく体たらく。
そこで初めて,彼は気づいたのである。

(俺ってビンボーなんじゃね?)

呆れるほどの馬鹿だと思われるかも知れないが,青年はこれまで生活費の計算などしたこともなかった。
当たり前のように両親がおり,当たり前のようにその生活を享受していた。
新しい生活に慣れることに夢中で,その生活を継続するために必要な経費のことなど,想像も付かなかったのである。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に古城 桜虎さんが現れました。
古城 桜虎 > 「隣、宜しいですか?」

 ひょこ、と、声を掛ける少女が一人。
 ……手にはトレー。その上には出来合いと思わしきサンドイッチとコーヒー。
 これから軽食、と言わんばかりのメニューだ。

鈴木竜一 > そして部活動に打ち込んできた彼には,バイトの経験すら無かった。
そも,故郷の街ならともかく,この島ではバイトの求人誌などありそうにない。
……いや,あるかもしれないが,少なくとも見たことない。

なんて考えていたら,突然声をかけられた。
「あれ,ほかに席空いてねーの?ま,構わねーけどもー。」
気の抜けた返事をしながら身体を起こし,貴女の方を見る。

少しばかり,恥ずかしい所を見られてしまった。

古城 桜虎 > 「外の景色が見えるってよくありません?」

 くすっと微笑んでみせてから着席。
 周囲の空き具合は竜一の認識通りだろう。

「それにしても、どうにも元気が無さそうな溜息でしたが……
 ……彼女にでも振られちゃったりしました?」

 むむ、と、眉間にしわを寄せる。
 少々のあざとさが混じった困り顔だ。

鈴木竜一 > 「ま,確かにここは良い席だよな。
 ついつい座っちゃうってーくらいには。」

貴女が座れば,冷えた珈琲を自分の方へ引き寄せる。
続けざまに自分の様子に言及されれば,苦笑して,

「振られる前に彼女が居ねーっていう,さらに悲惨な状況だぜー。」

そんな風に冗談めかして笑った。
いくら何でも「金が無くて困っている」なんて初対面の女の子に言えるはずもない。

古城 桜虎 > 「まだまだこれからかもしれませんよ。なんて。」

 冗談めかして答えられればそのまま軽く流す。
 ……何気なく、サンドイッチの一つを差し出してみせる。
 トマトとチーズのサンドイッチだ。

「……食べます?」