2018/11/23 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」にΛ1icθさんが現れました。
Λ1icθ >   
”ソレ”は扉の鈴を鳴らすこともなく
いつものようにいつの間にかそこに居た。

まるで求める人がそこに居ると知っているかのように
一瞬たりとも迷う事無く、けれど周囲の人物の視線の空白を縫いながら
目的の人物の傍へ空中を漂うように音もなく近寄ると
首元に腕を絡めようとゆっくりと手を伸ばす。
仮にその場面に目を向ける人がいたならまるで突然その場に現れたように見えるかもしれない。

神代理央 > 不意に首元を擽る感触に、思わず腰に下げた拳銃に手が伸びかける。
だが、首元に―というより、まるで己という存在に絡みつく様な少女に気が付くと、安堵と疑問が入り混じった様な何とも言えない溜息を吐き出すだろう。

「……せめて声くらいはかけろ。仕事中だ」

随分昔から知っている様な、つい最近知り合った様な。
邂逅の記憶さえ曖昧な少女に視線を向けると、僅かに呆れた様な口調で声をかけた。

周囲の人間の反応に視線を向けた後、深い溜息を吐き出して僅かに首を振った。

Λ1icθ >  
「こーえー?ふふー」

拳銃に僅かに伸びる腕に僅かに目を向けるも
意に介した様子もなく
フィナンシェがいくつか乗った皿をココアの横にそっと置きつつ
体を寄せたまま耳元に口を寄せて

「撃っても、いーょ?」

くすくすとくすぐるような声で耳元で囁いて。

神代理央 > 「弾の無駄遣いはしない主義だ。……というか、耳元で喋るな。擽ったい」

僅かに身動ぎし、彼女の声によって伝わる振動を逃がそうとする。
テーブルに用意された焼き菓子に手を伸ばし、その甘さに満足気に目を細めた。

「…それと、公衆の面前で余りくっつき過ぎるな。注目されすぎると話辛い」

彼女の存在そのものが、己を狂気に堕とすモノ。それは、衆人集うこの場所でも全く変わらない。
とはいえ、流石に此処で理性を失う訳にもいかない。
首元に絡みつく彼女の腕にそっと右手を重ね、囁き返す様に言葉を紡いだ。

Λ1icθ >   
「はぁぃ」

口ではそう言いつつもそのまま離れず、再度机に手を伸ばす。
その手の中には貸ロッカーのカギ。

「これ、ね、届けに来たの」

くすくすと笑いつつ転がすように空いた皿にのせる。
ちりんと軽い音とともに置かれたそれには「eat me」と書かれたタグ。
後ろから抱き着いたままパタパタと足を躍らせる様はまるで甘える子供のよう。
けれど……

「みぃんな欲しがってーるぅ……甘ぁくないお砂糖、かなぁ?」

くすくすと笑いながら告げるそれは何を指しているのか
囁かれた本人にはきっとわかる事だろう。

神代理央 > 「届けに?……珍しい事もあるものだ。どういう風の吹き回し――」

皿の上に置かれた鍵を見て、言葉を止める。
少女の手から零れ落ちるには余りに現実的な物体に、一瞬怪訝そうな表情で少女に視線を戻すだろう。

だが、耳元で囁かれた少女の言葉に獣の様に僅かに目を細めた。

「―…成る程。まさか、お前からこれを受け取る事になるとはな。有り難く受け取っておくが…俺に一体何をさせたいんだ、アリス?」

掌で鍵を弄びながら、愉快そうな笑みと共に首を傾げる。
傍から見れば、兄妹の戯れ。或いは、学生らしいボーイミーツガール。年長者であれば、微笑ましい光景に映るかもしれない。

だが、己と少女とで交わされる会話は、甘ったるくも穏やかでは無い。
ソレに気付く者は、幸運な事に存在し得ないだろう。

Λ1icθ >   
「別にぃ?」

一瞬きょとんとしたあと、ふわっと破顔する。
フォークに手を伸ばすと半分独り言のような調子で
囁きながらクルクルと指で遊ばせるとそっと皿の上へと戻して

「んー、強いて言うならぁ、……嫉妬?
 別にねぇ、貴方の願いを変えようとか、そういうのは考えてないんだぁ」

まるで家族や恋人に悪戯を見つかった時のような
くすぐったそうな声色で小さく笑い声をあげる。

「要らなかったらねーぇ、捨てても、いーよぉ?」

使いたいように使えばいい。
そんな言葉を言外に漂わせつつゆっくりと離れる。

「ただね、届けようと思っただけ。
 ……それだけ」

だって、なんだか別の誰かの願いに動かされてるように見えたんだもの。
そう小さく呟くとゆらりと景色に溶け込む様に滲んでいく。
慈しむ様な笑みだけを残してゆらゆらと、ゆっくりと消えていく。

神代理央 > 「……嫉妬?………随分と人間らしい事を言うじゃないか。だが、まあ、そういうのも嫌いでは無いが」

何というか、想定外の答えに一瞬言葉に詰まる。
耳元から聞こえる軽やかな笑い声に、釣られる様に僅かに頬を緩めつつ―

「殊勝な心意気だ。貞淑と言ってやっても良い。…だが、侮るな。俺が、この俺が、そう簡単に闘争を捨て去る訳が無かろう。それだけは、誰にも譲らぬ俺の本性なのだからな」

返す言葉は何時もの様に尊大に。消え行く少女に向けた笑みは、相も変わらず傲慢で獰猛なものだったのだろう。
そして少女が空間からかき消えた後、不思議そうに此方を見やる周囲の客を一顧だにせず、制服を翻して店から立ち去っていった。
掌には、少女からの"プレゼント"をしっかりと握りしめて―

ご案内:「カフェテラス「橘」」からΛ1icθさんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。