2015/06/24 のログ
朱堂 緑 > 「すいませーん、コーヒーお替りください」
 
そういって、店員にじわりと笑いかける。
店員は一度だけ目を細めて口元を引き結んでから、にっこりと笑ってそれに応えてくれる。
徐々におかわりがくる速度が落ちている気がするが、恐らく気のせいだろう。

朱堂 緑 > 少々乱暴に淹れられている気がするコーヒーをまた一口啜り、作業に戻る。
ここ数日していることはこればかりである。
健全な学生らしいとはいえるが、それにしたって味気ないにも程がある。
男は無為な日常も愛する類の性格ではあったが、それでも連日続く今の状況にはいくらか辟易せざるを得なかった。

朱堂 緑 > 「たまには肉でもくいてぇな……」
 
真横に嫌味のようにずっと置いてあるメニューには見向きもせず、ぼそりとそんなことを呟く。
諸々の理由で高い買い物をせざるを得なくなった男は、生活費に関しては節制をしていた。
そのため、最初に雑になってくるのが食事である。
麻美子がいるときは全く構わないのだが、彼女がいなければ途端に食事事情は見ての有様である。
右腕が使えないため、家事全般は基本的にヘタクソなのだ。

朱堂 緑 > 冷蔵庫には何がまだあったろうと益体のない事を考えながら、死んだ魚の目で課題を消化し続ける。
一つ積んでは己の為、もう一つ積んでは己の為、更に積んでは己の為である。
ただの自業自得であった。
漏れるは自嘲の笑みのみである。
それすら、苦笑交じりの嘆息に近いものだ。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」にアリエンティアさんが現れました。
アリエンティア > 「……Es gibt nicht Ei Benedict!?」

すごい大きな声がした。
制服は高校のものだが、身丈は小さい。
黒と白が特徴的な長髪をなびかせて、
驚きのあまり、ぴょんっと跳ねた

「……ま、間違えた、エッグベネディクトないの!?」

言い直して、日本語で。
それに店員は困ったような顔をしてないですと答えている。

「そんなぁ……」

がっくりと、肩を落として

朱堂 緑 > 「ん……?」
 
突如聞こえてきた大音声の独逸語に眉を顰める。
ふざけるな、そんなものは麻美子が居なければ手を付ける事すらできない課題だと脳裏で呟いたが、己からの返答がない。
どうも自分の課題ではないらしい。
改めて視線を周囲に巡らせれば、肩を落とす色白の幼女が一人。
黒と白のコントラストが鮮やかな長髪を振り乱して、店員に何かいっている。
制服から見るに一応学生のようで、しかも近い学年のようだが、制服を着ていなければとてもそうとは見えない。

アリエンティア > 「……んぁ……えっと……その……はい、ごめんなさい」

はっと我にかえったのかしゅんっとしてペコリと頭を下げて……
気づいた。見られていることに。
そして勉強していることに……

――みるみる顔が真っ赤に染まっていく。

白い肌がリンゴのように紅く灯り。

「はにゃ!? べべべべべ、勉強の邪魔してゴメンなしあっ!?」

噛んだ。すごく痛い

朱堂 緑 > 「あ? ああ、いや、別にかまわねぇよ。元々大してすすんでねぇし」
 
まるで熟れた果実のように真っ赤に染まる少女の顔をみて、男はじっとりと笑う。
汚泥を思わせるような汚らしい笑みであったが、今は目の下に色濃いクマまでこさえているせいで迫力はない。
単純に血色が悪い人の不景気な笑みに留まっている。
 
「随分流暢な日本語だな。
独逸語は巻き舌さえ出来れば日本語と実は発音的には親和性があるとかなんとか聞いた覚えがあるが、そのせいか?」
 
無論、麻美子からの受け売りである。

アリエンティア > 「……そうなの? 進んでないのは構うことじゃないの?」

きょとんっと、してその顔を見つつ、不思議そうに。

「疲れ、頑張りに見合わないと余計に疲れ、溜まっちゃわない?
 ……うん、やっぱいけない。お兄さん、なんかたべる?」

メニューを出しつつ、座っていい? って訪ねながら。
さっきのことをごまかすように笑いつつ。

「……覚えるの大変だったし日本語不自由だよ? でもここにくるのに必要だったから」

ううんっと首を振る。
すれば特徴的な髪がまた揺れて

朱堂 緑 > 「大いに構う事だけど、別にアンタのせいじゃないからな。
ただの自業自得だ。
相席は別にかまわねぇけど、見ての通り手狭だぜ」
 
そういって、左手を仰げば、一面に広がる課題の山。
少女の為に少し退かして、スペースを作る。
混み合い始めた時間でもあるし、これ以上ボックス席を一人締めするのは流石に忍びない。
 
「へぇ、そんな出来んのに不自由に感じるのか。聞いてるぶんには気にならねぇんだけどな。
あと、飯だったら金がねぇからくわねぇよ。
このコーヒーだって今の俺には若干過ぎた嗜好品だ。
それはそうと、メニュー読めるのか?
喋るのは大丈夫そうだが、読むとなるとまた話は別だろう」
 
読んでやろうか、と左手を伸ばす。
中指に嵌められた、銀の指輪が鈍く輝いた。

アリエンティア > 「……いいや、ちゃんと、迷惑かけた責任は取る。淑女(レディ)としての名誉返上」

すぅはぁっと深呼吸。
ようやく火照った体が鎮まってきた。
うんっと頷いて、スペースを作ってくれたことに柔らかく笑って。

「日本語、なかなか伝わらない。主語抜けてる時多いし……
 メニューは、読める。英語で書いてくれてるところもあるし
 お兄さん、お肉とお魚、どっち好き?」

大丈夫、できるもんといった表情で。
そして銀の指輪を見れば……

「魔術礼装? 違うか。お守り?」

適当なことを言ってみた

朱堂 緑 > 「肉」
 
男としては断り切りたいところだが、少女は頑として引く様子がないし、何より男は今肉が喰いたかった。
自己弁護の言い訳を並べ立てるのは後にしようとあっさり肉の誘惑に負け、少女の提案に乗る。
何もかも金がないのが悪い。
さっさとバイトでもいいから仕事を見つけようと内心で決意を固める。 
と、そんな今更な懊悩をしていると少女から声が掛かる。
 
「ん? なんだ、わかるのか。
一目で看破する奴は珍しいな。
察しの通り、お守り(チャーム)の一種だよ。
魔術礼装ってのも間違っちゃいない。契約の媒体だからな」
 
バレているなら隠す必要もない。
実際、男は魔術師としての格は非常に低い。
分かる奴には隠しても無駄だ。

アリエンティア > 「じゃあ、ステーキ1ポンドのやつ! あたしは……お子様ランチ!」

ぱっぱと注文しながら、微笑む。
女を立ててくれる男性だ。とっても嬉しい。
だから自然と笑みになった。
紳士だ、紳士。

「看破したわけじゃなくて、あたし
銀で見たことあるのが、それしか知らないから」

家にあった銀は全て礼装ばっかりだ。
しかし、それには触れない。
家では自分だけ。なんの変哲もないプラスチックのスプーンだった。

「……契約? お兄さん、契約してるんだ……すごいなぁ……」

課題を見て、うん。
すごく頭がいいんだなと思った。
ほとんど、少女にはわからない

朱堂 緑 > 「悪いな、御相伴……いや、「ごちそう」になるよ。
えーと、ダンケシェーン、だっけか?」
 
笑みに対して一応微笑みで返す。
傍目からみれば不気味な笑みなのだが、コーヒー片手に肩を竦める様子と合わさればただの疲弊の笑みである。
 
「見たことあるってことは、お嬢さんも魔術師か。
コイツはその手の媒体としちゃオーソドックスなもんだからな」

欧州ではそう珍しくもないものだ。
元々、男の扱う魔術は向こうが発祥のものである。
本場だったら目にする機会も多いだろう。

「一応、まぁ契約はしちゃあいけるけど……俺は落ちこぼれだからなぁ。
大して凄いわけじゃねーよ。
契約している悪魔だってそんなに爵位が高いわけじゃねぇし」

アリエンティア > 「そうそう、DankeDanke」

辛そうだなと思いながら、いろいろ課題を見てる。
わからないが、面白いのだ、こういうのは。

「……あはは。一個しか使えない、ガラクタだけどね」

ニッコリと笑って言い切って。
その指輪を興味深そうに見る。

「……ぁ、なんだか。うん、ちょっと、共感
でも、爵位が高くなくても、あなたが凄ければ問題ないでしょ
なんか、そんな気がする」

なんでだろう。
落ちこぼれって聞いたのに。
なぜかすとんっと、同じだって言えない。
だからちょっと、困った

朱堂 緑 > 「そんなこといったら、俺だって一個しかつかえねぇよ。
むしろ、悪魔は複数契約できる連中が凄いだけで普通は一体契約とはきくけどな。
それもまぁ、まだ魔術が完全なオカルトでしかなかった時代の話ではあるけどよ」
 
見ている課題は当然ほぼ例外なく日本語で書かれているものだ。
もし読めるなら、あんまり難しい内容でない事はわかるだろうが、読むのが難しければ大量の難解な書類に見えるのかもしれない。
 
「ははは、だったら、尚更凄くねぇよ。
俺は凄くないから、ちっとでもマシになりたくて魔術を修めた。
それだって落ちこぼれだったんだから、大したもんじゃねぇよ。
俺から見れば、魔術を修めても五体満足なお嬢ちゃんのほうがよっぽど上等にみえるぜ」
 
そういって、また左肩だけを竦める。
さっきから見ていると、男は右腕を使っていない。
いや、おそらく……『使えない』のだ。
 

アリエンティア > 「……そうなの? うん、確かに、高位の人はいっぱい持ってるけど
うちの家は、複数の魔術が使えるのが当たり前で
それが、ふつうだったから……」

初めて聞いた話だ。すごく興味深かった。
運ばれてくるステーキとお子様ランチ。
でも、手をつけずに課題を見ながら聞いていた。
そして、読めなくなったのか疑問符を頭の上に浮かべつつ
プシューと湯気を出して、やっとご飯に気づく。

「そう? でも生きてるよ。生きてればすごいし……
なにより、それだけに全く見えないのは、どうして?
それに後天的な才能は、先天性よりもよっぽどの時間と
覚悟がいるよ。……うん、やっぱすごいって、思うな」

なにより女を立ててくれるしとつぶやいて。
その、右腕を見てもう一度。

「生まれ持ってたあたし。それよりも、よっぽど、”かくごがある―すごい―”」

朱堂 緑 > 「男の子は『生まれ持って』のカッコつけってだけさ」
 
そっと水の入ったコップを差し出しながら、やってきたステーキに手を付ける。
右手が使えないので、フォークを直接突き刺して塊のまま齧っている。
男は普段からそうなので、動作だけでは不便そうに感じないが、行儀が悪くはあった。
 
「本当に俺は大したもんじゃあねぇんだけど、もしそう見えるんだとしたら、それだけ上手い事『カッコ』つけられてんだろう。
それはそれで、喜ばしい事だけどな。
男の子にとっちゃ、見栄は大事だからな」
 
そう、自嘲気味に嘯いて、野性的にステーキを咀嚼する。
 
「うまいなこれ」

アリエンティア > 「うん、なんかそんな感じはする」

ふわりと笑った。少女だというのに、どことなく”女”の顔をのぞかせて。

「だから、そのカッコを外すのも、認めるのも、褒めるのも」

――きっと女の子の生まれ持ったものなのかな?

お子様ランチの旗に喜びながら、ワイルドな食べ方に目を天とさせたあと。
足をパタパタさせて、ちっちゃなオムライスを食べていく。

「お兄さんはなんていうか、”わかって”やるんだね。なんでも」

朱堂 緑 > 「そうだよって胸を張っていいたい所だが……生憎、早速目前のレディに看破されちまったからな。
種の割れた手品を自慢する気にはなれねぇな」
 
がつがつと肉食獣のように肉を咀嚼し、嚥下しながら、『淑女』の瞳を覗き込み、口端を吊り上げる。
 
「わかってる事は『知ってる事だけ』だし、やれることは『出来る事だけ』さ。
何でもじゃない。
そんなこといったら、俺の後輩の女傑共の方がよっぽど何でもわかってるし、なんでもやってるぜ」
 
ふと、麻美子やクロノス、ツヅラの顔が脳裏に浮かぶ。
 
「ま、男が女に勝てないのは歴史が示す事実だからな」

アリエンティア > 「……手品かぁ、気づかないのも大事なんだね、覚えておくっ」

うん、勉強になったと口にしながら
目を細めて、子供らしくはむりとスプーンをくわえた。
おいしい。単純なトマトケチャップの味。
それでも、この弾んだ会話がより美味さを引き上げる。

「女傑? 女王様が、高校にはいるの? 同学年かな……」

ほへぇっとつぶやいて。

「それでも。きっと、お兄さんは誰にも負けてない。でしょ……
カッコつけるなら。歴史だろうがなんだろうが、関係ない。だって、これはお兄さんだけしか歩かない”歴史”だ」

なんて。思ったことをそのままに……

「ぁ、でもあれだね? 好きな人がいたりしたらその人だけには頭上がらない、そんなのが、いいな
こう、そういう物語の方が……」

――好きだな……

ポツリとつぶやいた。
恋は知らないし、それに縁があるとも思ってないけれど

「えへへ、そうおもったあたしなのでした」

朱堂 緑 > 「いいや……女には連敗続きだぜ」
 
ステーキをさっさと食べ終え、添え物のソテーを食べながら、渇いた笑いを漏らす。
 
「今だって小さなレディに良いように翻弄されているしな。
ただ、俺の『歴史』は負けたくらいで膝を突くようなもんじゃないってだけのことさ。
『カッコつけ』だからな」
 
少し前傾姿勢になりながら、そう喋る。
そうしないと視線が遠すぎるのだ。
男の上背と少女の背丈では、ただ座っているだけではお互いに首が疲れてしまう。
だから、男は覗き込むように少女の目をみて、口元だけで笑っていた。
 
「……まぁ、そうだな。特に頭が上がらない相手ってのは、そういうもんなのかもな。
物語としても、納得がある」
 
そう、曖昧に微笑む。
 
「俺も、それには同意しとこう」

アリエンティア > 「ただでは転ばないってやつだね……なんだっけ……七転よ堕ちよだっけ? あれ違う、確か数字が二つあった言葉だったような?」

???っと疑問符を浮かべて。

「え、あたし勝ったの? いやったー、しょうしゃー、あいうむういんなー!!」

嬉しそうにはしゃぎつつ、目線が一緒になったのをキョトンっとして。
気遣いに気づきながらも”指摘せず”柔らかく微笑んだ。
それも必要だと、今教えてくれて。
それがかっこいいと、そう思ったから。

「うん、いいよね。そういう関係」

しかしずっとそうしていると
なんか恥ずかしくなったのか目線を落として、
ちまちまとお子様ランチを口に運ぶ。
やっぱ少女だからか食べるペースは遅い

朱堂 緑 > 「七転び八起きって奴だな」
 
女の方がやっぱり男より強いな、と『あらゆる意味』を込めて脳裏で嘯き、溜息を一つ。
すっかり空になったステーキのプレートを隅に押しのけて、満足気に息を吐く。
そして、少女の念押しのような一言にも、柔らかく微笑んで、頷いた。
 
「俺も、そういう関係は悪くないと思う」
 
恥ずかしそうに視線を背ける少女を見ながら、コーヒーを一口啜る。
ゆっくりコーヒー飲んでるからゆっくり食えということだ。

アリエンティア > 「七転び八起き……覚えておく
あぁ、そっか。だからだ」

だから、この人は自分と同じじゃないんだと納得する。
奇しくも、目の前の男と思ったことは真逆で

――男(このひと)のほうが強いな。女(あたし)より

「えへへ」

再度の同意に頬を緩めて笑い、足をパタパタ。

「……そういえば、お兄さんは誰と契約してるの?」

ご飯が食べ終わるまでの、話題。
ちょっと気恥ずかしい話題を避けて投げかけてみる

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に道鉄さんが現れました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から道鉄さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からアリエンティアさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」にアリエンティアさんが現れました。
朱堂 緑 > 「悪魔か? そいつはいえないな、『秘密は暴かれるもの』だが、それまでは『秘密』は『秘密』さ」
 
そう、人差し指を口に当てて呟く。
それは、悪魔学を知るものになら分かるかもしれない『暗喩』であった。
 
「そういうお嬢さんはどんな魔術を使うんだ?
後学の為に出来る事なら聞きたいもんだね」

アリエンティア > 「……マナー違反だった。ごめんなさい」

そうだった、そういうものだった。
そういうのがいるのを、よく知っている。

「あたし? あたしは……一体だけ、契約してそれを顕現できる
それだけ……うん。それだけなんだよ」

えへへっと、笑いながら。
なんともちっぽけでしょ? っと続けて。

「だけど、あたしは誰にも負けないの。だって■■■がいてくれるから」

聞こえなかった。確かに名前を呼んだとわかるのに、その声は聞こえない。
それはつまり、”そういうものだ”。
あなたと同じで……名が、暴かれるまでは暴けない。

朱堂 緑 > 聞いてから、ゆっくりと頷く。
男の使役する悪魔は『秘密』と親和性が高い悪魔というだけのことであるが、少女のモノは単純に位階が高いように思える。
格が恐らく違うのだ。
 
「それだけ力のある悪魔を顕現できるなら十分だと思うけどな」
 
少なくとも、そういった諱を一見で隠すだけの力を持った悪魔を使役できるというのは相当な力なのではなかろうか。
男は『君主』一体で片腕がつぶれた。
目前の少女の持つ悪魔と契約したら、どうなるか想像もつかない。

「やっぱり、お嬢さんは落ちこぼれにはみえないぜ?」

アリエンティア > 「えへへ、そうかな? でもね違うんだよ。あたしじゃなくて」

――契約してくれた子がすごいんだよ

そう語る少女の顔は、どこか暗くも見えて、でも明るくもあった。
それでいいと、そう心から思っているように。

「あたしはただの門。付き添い、開くだけ。だから――すごくなくていい
落ちこぼれでいい。でも、負けない。それだけは、決めてる」

だから、間違わないでと付け足して。

「……あたしはすごくないよ。お兄さん」

もぐっと、最後のゼリーを食べ終えて言い切った。

「だって、なんだろう。こう、こう……日本語難しいな。つたわれっ」

ヒラケゴマーみたいに手をばっと前に出して
わーってしてる。上手く言葉が見つからないそういったように。

朱堂 緑 > 少女は、明るい表情を浮かべていた。
その笑みは柔和で、温かく、誰の目にも明瞭な談笑であったが……同時に、それは瑕瑾を覆い隠すヴェールでもあった。
だからこそ、男は、笑いながらそういったのかもしれない。

「凄い奴に素直に頼れる奴は、凄い奴だと俺は思うがね」
 
食べ終わったのを見届けてから、男は続ける。

「扉に手をかけられること自体がもう凄い事だ。
そこで負けないと豪語できるなら、なお凄い。
まぁ、それが慢心になるからこそ、自戒とするならそれはそれでとも俺は思うけどな」

アリエンティア > 「……むぅ……お兄さん、押しが強いね」

口を尖らせながら、スカートをパタパタして。
静かに。

「……でもなんとなくわかったぞ。
ここでありがとうっていったら、よりレディなんでしょ!」

ずぶしっと指を指して。ふふーんと。
褒められるのは慣れてないからか、頬が赤いのを隠すために
わざと仰々しくポーズを取って。

「……お兄さん、あれでしょ。連戦連敗とかいってたらしってやつでしょ」

いつか大和撫子な女性に教わった意味から合ってるはずだと思いつつつぶやいて。

「んぁ……課題の邪魔しすぎたかな……ごめんなさい」

はっと時計を見れば結構な時間だった。
”二つの伝票を持って”立ち上がる

朱堂 緑 > 「人付き合いがヘタクソなだけさ。
レディの相手は特に気を使ってるぜ」
 
そう嘯いて、静かに笑う。
最初の笑みよりは、いくらか血色もよく、明るく見えた。
肉の力かもしれない。
いや、それとも少女の歓談の賜物か。
 
「邪魔だなんてとんでもない。
人心掌握術とドイツ語のありがたい講義を受けた上に、飯まで奢ってもらってんだ。
感謝の言葉しかねぇぜ」
 
そういって、自分も荷物を片付けてついていく。
 
「まぁ、それにいい時間だからな。
どっちにしろ今日はここまでだ」

アリエンティア > 「……人付き合いが苦手には全く見えないんだけどな……」

その顔をみればにししっと笑いつつ、片付けを手伝って。
そして一緒にレジへ歩いていこうとする。

「じゃあ、あれだ。こうしょーじゅつってやつだ。……うわ、いったら
おにーさんにとっても似合ってるね?」
お代を払って、一息。そして――

「アリエンティア・ルン・エーデルハルト。今日のひと時光栄でした
ジェントルマン。以後、お見知りおきを。ぜひお名前をお聞かせ願いいますか?」

上品なお辞儀をして、そういった

朱堂 緑 > 「人は見かけによらないのさ」
 
冗談めかしていいながら、後をついていき、名乗られ、問われれば、男もまた笑みと共に名乗る。
平時、自分の名を名乗ることは極端に嫌う男なのであるが、その日は不思議と、自然と名が出てきたという。
 
「朱堂 緑と申します。ミス・アリエンティア。
こちらこそ、本日は貴重な御時間と資産を割いて頂き恐悦至極にございます。
またの邂逅を楽しみにしてますよ」
 
そう、礼に合わせて頭を下げ、胸に左手を当ててそう告げる。
そういう演目と思えば、照れもない。
少なくとも『カッコつけ』の男にとってはそうであった。 
 
そのまま、一度だけお互いに笑みを返して、踵を返す。
 
良い邂逅の後ならば、過ぎる滞在は無粋にしかならない。
紳士と淑女の行いに相応しいよう、その日はそれを『演』じた。 
 
驟雨の合間、覗いた僅かな日。
別れの時を折よく示すスポットライトのように、気まぐれな日の光だけが互いの道を照らしていた。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からアリエンティアさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から朱堂 緑さんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 「……ふ、ぁ」

テーブル席を一つ占拠して、眠そうな欠伸をしているのはフードを被った一人の少年だった。

渡辺慧 > テーブルの上に広げられているのは、コーヒーカップ。

オムカレー。
タブレット端末。
携帯。
そして、少年には似つかわしくはなさそうな、紙のノート。


先日、猫になっている間の授業のデータ。
それをタブレット端末に入れて、そしてそれを自分の手でノートにまとめている。
そんなところか。

渡辺慧 > 「……だる」


見るからにツマラそうな顔。頬杖をしてもよさそうな表情だが、左手でタブレットを操作。右手でペンを走らせる。
それにをするに無駄な動作はやれなかった。


とか言いながら、それと同時にオムカレーが机の上に存在するのはいかがなものか。

渡辺慧 > ペンを走らせる手を、たまにオムカレーを口に含む手へ変化させる。その瞬間には顔をほころばせるものの、また、だるそうな顔に戻りながらペンを走らせる。

先程からそれの繰り返し。……気のせいか、店も混みあい始めた。少年がそれを気にする気配はまるでないが。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に磐野 州子さんが現れました。
磐野 州子 > ファミレスに似合わない火傷痕が持った少女が現れる。
店員に人数が一人で言うことを伝えるが、
どうやら席が一杯の為暫く待たなければならない、ということを伝えられてがっかりしている。

はぁ、とため息をついていそうなぐらいに俯き、ファミレス入り口横の空き待ちの席に座る。
別にこのファミレスを選んだ理由は特にないのだが、
ただ移動する手間も惜しいのか時折時間を気にしながらその場で待っている

渡辺慧 > そんな、少女の視線に。
その少女の境遇を嘲笑うか、というか。煽るかのように。
一人でテーブルをのびのびと使っている少年の姿が見えるだろう。

……そして、奇しくも、その少年は。

以前――まぁ、あれは。完全に気分で、と言っていいのだろうが。――相席をお願いされたその少年である。というのは……フードをすっぽりとかぶっていることや、その雰囲気から分かるだろう。

磐野 州子 > 誰かの視線を感じたからか周りを見渡し、一人で、テーブル席を、のびのびと使用しているのを見かけると店員に一言
「知り合いがいたですから、ちょっとアレと交渉するです」
営業スマイルなのか、どこか引き攣った笑みを店員に向けた後に
いつもとは違う、眼鏡が無く、頭に包帯を巻いた州子は慧のテーブル席に近付き、何の断りもなく席に座る

「ここ、カウンター席あるかはしらねーですけど一人でテーブル席を使うってどういうことです?」
席に座った州子はふんぞり返ってどこか偉そうに慧に語りかける

渡辺慧 > 「ここではおれがるーるーだー…………っと?」

別に、州子だからその返事を返したのではなく。かけられた声に反射的に適当な返事を返し。顔を上げた。

「うわー、混んでるー」

楽しそうな声で周りを見渡すと呟いた。…………随分、集中していたというより。周りを気にしなさすぎだ。

「ところで誰だっけ」

…………まぁ。顔が楽しげに歪んでいることから。冗談だとわかるだろうが。

磐野 州子 > 「なんだかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け…
 ってそういう事じゃなくてですね」
割とどうでも良さそうなノリで答えようとすると見せかけて何も答えない。

「渡辺慧はカワイイと言った人の名前を忘れる最低な奴だったんですね」
この前カフェテラスでカワイイと言われた事は根に持っているので積極的に弄っていく。
慧にとってそれは弄られる事に含まれるかは分からないが

そして慧の目の前に置かれているオムカレーを見て一つ閃き、店員を呼んで注文をする
「すいません。州子にもオムカレーお願いするです」

渡辺慧 > 「それはそれ。コレはコレ」

よくある、それは置いといて。の動作をしながら、タブレット端末、とノートを適当に片す。……まぁ、当然のように堪えていない。

「いやはや。もちろん覚えていますとも。そう、あれだ。州子」

勿論のごとく名前はあやふやだったが、今彼女自身が名乗った名前をそのままリピートさせたのは、まぁわかりやすいだろう。

「んで、なんだい。また暇でもしてんの?」

……以前、声をかけたときは。彼女が閑そうだったから、と言うのも理由にある。今回も、その類――つまり時間つぶし。――なのか、と。適当に推測したのだ。

磐野 州子 > 「あれだ、って言われる州子ってなんですか…
 というよりフルネームで答えるつもりは無いんですね」
まぁいいですけど、と呟きながら店員が持ってきた冷やを両手で持ち上げそれを口に運んでいく

「暇といえば暇ですけど、ただ暇を潰す上で空腹を満たすかつ、気が向いたので最近出来たというここに来た訳です
 そういう渡辺慧はどーなんです。勉強してた風でしたけど」
先程広げていたノートにも目をつけていたのか適当にそれらしい理由を挙げてみる
そもそもファミレスで勉強するぐらいならカフェテラスに行け、とも言われそうではあるが

渡辺慧 > 「別に名前を忘れていたなんてそんなことはござりゃんです」

というか、こちらをフルネームで呼ぶのはそれに対するあてつけだろうか、等と考えて笑う。

「見て分かる通り、俺勤勉なので。暇を見つけては勉強をやっていないと落ち着かない種族なんですよこれがー嘘だけど」

これには語るも涙な事情があってダナ、等と言いながらコーヒーを煽る。――やっぱあっちのコーヒーの方がいいなぁ。

磐野 州子 > 「ホントですかー?州子の呼び方だけで州子って覚えてるだけじゃねーです?」
なんて言いながら袖を口に当ててくすくすと笑っている
そういえばフルネーム名乗ったっけ、などと気にしているがきっと名乗っただろう。きっと恐らく

「真面目に勤勉ならこんなところで勉強する必要なんて無いと思うんですけどー…って嘘ですか!」
慧の言う事情なんてどうせ大した事情じゃないだろうと、高を括っている。
丁度その時に注文したオムカレーがテーブルに置かれて新しい領収書が慧の領収書と重ねられてしまう

渡辺慧 > 「きのせーだろ州子」
シシシ。いつもの笑い。
「というかフルネームで呼ぶのめんどくさくない?」

残り少なくなった、オムカレーをぺろり、と食べ終わる。

「ここのメインはオムカレー」
勉強はついでみたいなもの、とでも言いたげだ。……まぁ、あまり間違っていないように思えるのは、この少年だからか。

「いやはや。三日ほど行方不明的なものをやらかしましてねー。その間の分ぐらいはやっとかないとって奴」

なにやら。聞く人が聞けば割とアレな事情を軽く言う。

「そっちこそなんだ。あー……うーん。……喧嘩でもした?」
おんなのたたかい? なんて。……まぁ。少年なりの気づかい、ということにしておこう。答えなくてもよさそうな雰囲気、それが必要だと。

磐野 州子 > 「州子は大体人のことを呼ぶ時はテメーですからどう呼べばいいか分からねーです。
 ただそっちがそう呼ぶならこっちも慧って呼ぶですよ。」
オムカレーを平らげた様子を見てもう食べたのか、という驚きの表情を浮かべながら州子もオムカレーに手をつけ始める

「まぁ、それなりに美味しいです。
 ファミレスと言うだけはあるですね」
そんな事を言いながらゆっくりと一口ずつ味わうようにオムカレーを咀嚼していく。
カレーの辛さと玉子のとろみは相性が良い。
というよりオム部分が大体のものと合うのが原因だろう

「三日も行方不明って人攫いにでも遭ったんです?
 それにしては…無傷というか普通にいるですけど」
勉強ならある程度見てやることは出来るですけど、と呟きながら特に傷を負っている様子もない慧の顔を見ている

「まー、喧嘩みたいなもんですね。
 ちょっと公安に見つかっちまったもんで、殴られたです」
特にどうでも良さそうな様子でそのままオムカレーを食べていく。
廿楽に殴られたコレは私刑で、州子自身もこれで終わったと思い込む事にしたようだ

渡辺慧 > 「君の呼びやすいように。どう呼んでくれても俺の呼び方が変わることはないけどね」
それとも州子ちゃんとかの方がよかったり?
眼にはからかいの光。


「……だろ」
初めて食べたのは、猫の時。――そして、今食べたのは、人の時。あぁ。実においしいものだった。

「いいや。しいていうなら……猫攫い、かな」
思案気に呟く。ふんわりとした言葉。まぁ、この少年の言葉のことごとくが、つかみづらいと言われる所以なのかもしれない。
「オォ。勉強得意そうな顔してるよね。白衣とか」



「……………食い逃げ?」
ついにやっちゃったかー、みたいな顔。

磐野 州子 > 「そんな呼び方したらその小憎たらしい顔を吹き飛ばすですよ?」
にっこりと良い笑顔で、慧のからかいの光を上回る程の輝きだろうか

「…は?」
猫攫いと聞いて言葉のインパクトにオムカレーを掬ったスプーンを落とし、食器の音がファミレスに響く。
「いや、いや慧は猫じゃないです。
 もしかして今まで隠してたけど猫人でしたーとかそういうドッキリなんです?」
そのパーカーは猫耳を隠す為…とかだったら納得はするのだろうが、
少なくともニャーと言っている慧を予想出来ないのか州子にしては珍しく狼狽えている。

「これでも授業はしっかり出てたですよ。
 ここ三日は出てねーですけど」
そんな事を呟く。
落第街やら異能チェッカー君の件もありここ暫く学校に顔出せていないのは事実ではある

「食い逃げでこんなにされるですかね…」
いやその発想はおかしい、と言った様子でため息をつく

渡辺慧 > 「意外と似合う気がするけど」
あくまで楽しそうな顔は変わらず。
まぁ。いつか痛い目を見る類、とかいう奴だろう。


「にゃぁ」
唐突に飛び出す猫の鳴きまね。
実際に猫になっていたからか……まぁ。それは、結構うまくなっていた。

「なんてね。さて、どうだろう」


「その時を同じくして、ってかい。んー……州子は、んー」

なにか、言葉にしようと考えて。

「真面目そうで真面目じゃなくてちょっと真面目な、あれ、そういえばメガネ無くした?」
少なくともこの少年よりは真面目だということが通じる発言だった。

「食の文化に熱い公安さんとか……」

磐野 州子 > 「似合う以前に愉快不愉快の問題ですけどね」
相変わらず掴み所が無いというか、
こういうことは喜んで口に出す奴だな、等と心の中で呟きつつオムカレーの大凡半分を食べ終わる。

それはどこか軽蔑しているような引いているようなそんな視線を慧に送りつける
「男がにゃーって言っても何の需要もねーと思うんですけど、
 慧はもしかしてそーいうのが好きなんです?」
個人の趣向なんて人それぞれだし、州子も腹筋好きというあまり人に言えない趣向を持っているので五十歩百歩である。

「眼鏡は割れたです。
 なので新しいのが出来るまではこの目つきが悪い顔で慧のことを睨んでやるです」
なんてそんな冗談を呟きながら
「食文化に熱い公安…まぁ、いるにはいると思うですけど、そんなの大体料理人とかになってるんじゃねーです?」

渡辺慧 > 「不愉快ならいたしかたない。やめておこう」
実に残念だ、と。まるで残念そうじゃない顔と口調。

「……………………………」
今までまるでそういう反応は見せなかった彼が、初めて見せた反応。……それは、うん。羞恥だった。
あー、やっちまったー。と言う顔をして、少し視線、というか顔そのものを横に向ける。

「……まぁ、忘れて」
別に彼は、それが好きなのではなく……まぁ。それを言うのは野暮なのだろうが。

「じゃあまぁその目つきの悪そうな顔にかわいいと言ってやる」
横を向きながら冗談に答えた。

磐野 州子 > 「ほんと掴み所ねーですね」
その顔と口調が正反対な様子を見て面倒くさそうな顔をしている
慧らしさといえばそこまでなのだが別にそこまで憎たらしい訳ではない。

「ここですかさず州子が機転を利かせて慧のにゃぁ、を録音したボイスレコーダーをー…」
まぁ、無いんですけど、と不安を煽るような言い方をして意地悪そうな笑みを浮かべた後にお冷で口を潤していく。

「あの時見たいに照れると思わねーことですよ。
 そもそも今包帯があるですから可愛さの欠片もないでしょうし」
冗談でも真面目に言葉を返す。
州子は皮肉はある程度扱うが、冗談に対してはどこからどこまでが冗談か判断しにくさがある為でもある

渡辺慧 > ふぅ……と言いながら、ようやくまえへ向き直ると。
「お気楽なだけ」

照れを流し込むようにコーヒーを飲んだ。

「やめい」
本当に猫になってたせいか。それとも気が緩んだのか。ぽろり、と出たその猫の鳴きまねは、自らの羞恥を煽るのには十分だった、という話。勘弁してくれ、とでもいうような顔で、片手をふらふらと揺らした。


「ん。……あれ照れてたの?」
それは面白いことを聞いた、とでも言う顔。
別に、あの時の言葉は、照れさせるための意図ではなく……。
……まぁ、気紛れ、気分。ただ、その時の感想、意見。自分の本音。何となく言いたくなっただけ、それだけの話だ。

磐野 州子 > 「適当なだけ、じゃねーです?」
慧なら適当という言葉が似合いそうという一心でそう指摘する

「それは州子にとっては面白いので別にもっとやっていいんですよ?
 小動物っていうのは何かと癒やしになるです。
 所謂アニマルセラピーって奴です」
慧の様子を見てケラケラと笑いながら残ったオムカレーを全て平らげる。
ここまで慧を弄れたとなれば中々の戦果だろう。ほぼ慧の自爆だが

「ったりめーです。
 大体の女子はカワイイって言われると照れるか急所を蹴り上げるかの二択ですよ?」
後者じゃなくて良かったですね、と言ってテーブルに備え付けられてあるピッチャーを使って自分のグラスに冷やを注いでいる

渡辺慧 > 「そっちの方がいいかもな」
それもそうだ。と頷き、猫のように笑う。


「……いや、いや。俺は小動物じゃぁないから癒しにはならねーと思うがね」
してやられた、と思いながら、コーヒーを飲みきる。

……さて。


「すげーな女子。アクティブだな。こえーよ」
初めて知る事実だ。別にこれから先言う予定は思いつかないから大丈夫だとは思案するが……。……なんてことを考えた矢先。

既にまとめられていた荷物を肩に下げ。
水を飲んでいる州子をしり目に伝票を二つとも持ち立ち上がる。


「さて、と。そんじゃな」
カワイイ州子ちゃん、等と、先程の意趣返しのつもりか。
後で殴られそうな言葉を吐きながらレジへ早足で歩きながら手を振った。