2016/09/24 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 「くぁ……」

自分の楽さだけを求めて、資格勉強でも始めていたところだが。
いかんせん何も決まっていない。手あたり次第初めて見たところだが……当然効率は悪い。
まぁ、元より。真面目に勉強だけをするというのが性に合わないのだろう。以前は、むしろそれしかできなかった筈なのに、随分変わってしまった。変わらされてしまったか。

欠伸をしながらそんなことを考え、苦い顔をした。
ひたすら自分勝手な身の振り方を考えたが、現実的にどのような表情で動けばいいかもうまく決まっていない。
ただ、ひたすら明るく何も、それが一番なのかもしれない。

余計なことを考える頭を振り、目の前の参考書を睨んで。

「……わけわかんね」

コーヒー一杯で、どれくらい粘れるか。ある意味一番の勝負になるだろう。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に谷蜂檻葉さんが現れました。
谷蜂檻葉 > 「―――はい、そこの彼と待ち合わせで。」

ぐだぐだと、進む見当さえ付いていない不毛な時間を過ごそうとしている男の耳に聞いたことがあるような無いような。
愛想だけは良い、嘘か本当か聞き分けづらい声が聞こえてきた。

「紅茶でお願いします、ストレートに砂糖だけ付けて」

コツコツと、足音が近づいてくる。
見たことがあるような無いような女が机のすぐ横に立つ。


「お久しぶり。 ”昨年の夏ぶり”ね。」


傍若無人―――いや、明らかに此方を意識しているのでニュアンスが違う。


谷蜂檻葉は、実にスムーズかつ勝手に対面へと相席で滑り込んできた。
とても良い笑顔で、笑ってない目で。

渡辺慧 > 頭をかいて、目の前に思考を集中させていた。
だが、ふと、何かが聞こえた気がして顔を上げて、聞いたような音が聞こえた気がして。

「……あ」

少しだけ硬直。不幸、というべきなのだろうか。それとも、ある意味では。

「……幸先悪いね、しかし」

そんな声を聞こえるか、聞こえないか。近づいてきた彼女へは、意味は分からないだろう。

顔を向け“にっこりと”。

「えぇ。お久しぶりです。ずいぶん経ちましたね」

そう。今更だ。

谷蜂檻葉 > ジッと、覗き込むような視線が向けられる。
しかしそれも長くなく溜息で遮られた。 そのまま、くてっと気の抜けたように頬杖をついて半目で睨みつける。

「……ほんっっと、随分経ったわ。 アレが夏の終わりだったから……普通に1年? 
 
 先月に思い出してからも30日。
 会わない、探しても見つからない、見つけても話しかける隙もない―――なんなの?避けてたの?」

傷つくんだけど。 と、明らかに傷ついていない表情で問い詰める。

渡辺慧 > 「まさか」

そんな訳ないじゃないですか、そういいたげに片手をひらつかせた。

別に、彼女を避けていたわけではない。
そもそも、“誰かと話すことが”億劫になっていただけだ。

しかし。……しかしだ。ある部分が耳についてならなかった。

「……思い出した?」

何をだ。……それを問うのは、余りに阿呆か、鈍すぎるかのどちらかであろう。
本当に……幸先が悪い。余りのそれに、深く息を吐いて。

「傷つけたようなら、すいません。お互い忙しかったんじゃないですかね……きっと」

以前の自分では出るわけが無さそうな返答。それに罪悪感を覚えるには、少しばかり疲れていた。

「……思い出したなら、もういいじゃないですか。……俺は、その。……」

先の言葉が見つからず口ごもった。

谷蜂檻葉 > 「―――取り敢えず、その超他人行儀で全ッ然似合わない敬語やめてよ。」

背筋がムズムズするから。

ぐにゃん、と。 反対側に首が曲がり頬杖の手が切り替わる。
気怠げというには感情が籠り、怒りと言うには覇気のない、意味の入り混じった視線が口元に注がれる。


「まだ、半分ぐらい……三割?
 取り敢えず『0』ではなくなったわ。慧君がボッチ推奨委員会に入ってることぐらいは思い出した。

 いい感じに青春の夏を無駄にしたな―って感覚も、思い出した。」


店員が、紅茶を運んできたのを遠目に見て姿勢を正し。
『有難うございます♪』なんて猫を被って店員をちょっと照れさせて追い返し、見えなくなってまた頬杖をついて睨めつける。


「友達以上は、何で駄目なの?」

言葉の出なくなった慧に、被せるように問いを投げる。

渡辺慧 > 「いやです」

それじゃ、前と同じじゃないですか。
そう言って、その欲求をはねた。前と同じではダメだったのだ。
なにも、苦しさはとれなかった。

怒りを向けられた方が、分かりやすかっただろう。
だが、どうにも。彼女の視線の質の意味が分からなくて。頬をかく。

「俺も人の事言えませんけど。先輩も、結構な自分勝手ですよね」
「……きっと、残りを思い出してもあまり意味はないですよ」

心情も知らず、勝手にそう告げる。考えたくなかった。
コーヒーを啜る。

「俺が器用じゃないからです。一つの事にしか集中できないのに……まぁ、わがままだったんですよ」

谷蜂檻葉 > 「イヤじゃない。」

凄いムズムズするから早く止めなさい。

「……ええ、最近自覚したわ。
 ついでに言えば、そのほうが楽。 身を引くとか、そういうの馬鹿みたいだと思わない?」

ねぇ?

同意を求めるように傾いた流し目で瞳を射抜く。

「一つの事に……。」

少し、傾いた頭が元に戻る。
戻ったついでに、砂糖をドバドバと紅茶に流し込んでくるくると混ぜ出す。


「――――慧君が何かに集中してたとか、到底想像できないんだけど。」

なんか言っておけば良いと思って、適当言ってない?

混ぜたまま飲まず、混ぜていたスプーンで顔を指した。

渡辺慧 > 「イヤ……です」

二度目の要求に、語尾は弱まり、視線をそらしてそっぽを向いた。

「……知りませんよ。一度身を引かれたことしかありませんから」

そっぽを向いたまま、その向けられた視線を流す。
何かを揶揄するように、どこか皮肉にもとれるように吐き出した。

向けられたスプーンに、ため息をついて真正面から見据えた。

「でしょうね。俺も、それを忘れるためにいろいろやってみたんですけど」

じっとりとした、ねめつけるような目で。

「……なんだか、うまくいかなくて破綻しちゃったんですよね」

なんででしょう。
とぼけたような言葉。だが、暗に、「あんたのせいだ」とでも言いたげな。

もちろん。それは八つ当たりだ。いろんな要素が混じって。
結果的に自分で破たんさせてしまったのだから世話はない。

谷蜂檻葉 > 「止めなさい。」

トーンが一段下がった。 そっぽを向いた方へ、また頭がカクンと追うように傾く。


「何よそれ。―――ハ、普段から気ままそうにしてたし、もしかしなくても我慢した覚えとかないって訳?」

スプーンをソーサーに戻して、一口。
飲みやすく甘ったるい。

「……どういう意味よ。」

一瞬怯むが、姿勢を正して睨み返す。

「破綻、って何したの。」

睨む瞳に、不安そうな色が混じる。

渡辺慧 > 「…………」

もはや無言で、その問いを黙殺する。
もはや我慢比べにも似た様相を呈しているが、気には出来ない。

「だから言ったでしょう。器用じゃないって。そうするしかわからなかったんです」

不安そうな瞳に、しばし。……躊躇してしまった。
元より八つ当たりだ。睨む目にも力はなくなる。

「……大したことじゃないんです。ただ忘れたかったんです。なんにも気にしたくなかったんです」

ただの子供の様な呟きを少しだけ目線を落としながら零す。

「苦しいのは嫌だったんです」

谷蜂檻葉 > 「……敬語、やめてよ。」

小さく溜息を付いて、視線を移した。


それから、慧はただ自分にある言葉を吐いた。
断片的で、何か彼の中で大事なことについてその器についてだけを話す。

彼らしいと言えば彼らしい、宙に浮いたような言葉。


「そ、」


そんな、疲れきった言葉に


「相談ぐらい、聞くから。 苦しいなら……少しぐらい愚痴言ってくれても、いいじゃない。」


顔を伏せて、愚痴を吐いた。

渡辺慧 > 「……すいません。でも……やめたら、また同じことを繰り返すだけかなと思ってしまって」

敬語だけでは何も変わらないだろう。それぐらいは理解している。
でも、それでもただの気休めでも。

その言葉を聞いて、しっかりとした笑顔で答えた。
それは取り繕っているようにしか見えないだろうが。それでも。

「ただの思い込みで苦しいんだから、世話ないんですよ」

暗に。愚痴にしたところで理解も、共感も。
そして、自分自身が納得しなければ意味がないことを指していて。

「……兄貴がいたんですよ。出来のいい兄貴が」

ふと、少しだけ漏らして。
机の上の荷物を片付けて、さっと立ち上がった。
「払っておきますね」

それじゃ。と一つ頭を下げて、立ち去った。
ひどく重いため息がつきそうになるが――。
後をむくこともなく。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から渡辺慧さんが去りました。
谷蜂檻葉 > 言っておいて、彼は応えないと思っていた。
そういう人だから、"そうだった"と思っていたから。

けれど、予想よりかは少しだけ。 0の予想で1つだけ。
彼は、もののついでのように愚痴にならないある事実を述べて去っていった。

「ぇ―――」

顔を上げたときにはさっさと立ち上がり頭を下げ、伝票をそそくさと抜き取ってレジにまで移動していた。


「あ、ちょ ……っと……。はっや……。」

本当に、風みたいな奴だと思う。
記憶より空気具合が増してる気がする。 これは、意味が違う気がする。


「兄、ねぇ。」

冷めた紅茶を啜る。
甘いはずなのに、どこか苦味を覚えた。

ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から谷蜂檻葉さんが去りました。