2015/06/14 のログ
ご案内:「ロビー」に崎守 鐡さんが現れました。
ご案内:「ロビー」に神宮司 ちはやさんが現れました。
ご案内:「ロビー」から神宮司 ちはやさんが去りました。
崎守 鐡 > ロビーをくるくると見回す…どうせ男しか居ないのだが。
今の彼の場合は「目立たない所で本を読みたかった」らしい。
部屋で読めよ、と言われればそれまでなのだが、どう考えても今抱えている本は……
読書するような本じゃなかった。図鑑だった。

誰も気づかないよな―と、酷い慢心をしながら、片隅へ逃げていく。
……その彼は珍しく、ロングコートを装備していなかった。
……流石に暑かったのかもしれない。

崎守 鐡 > 「………部屋で読むにはデカイんだよなぁ、広げにくくて。」
しょうもない理由で慢心しながら自分のコンプレックスである機械の身体を晒して図鑑を捲っているという、酷い学生が居た。

捲っている図鑑も、傍から見ればマニアックかもしれないが、此処の人間からすれば、どうなのだろう。
……表紙には明らかに「日本刀(の刀身)の写真」が乗っていた。
……どう考えても読書には向いていなかった。

崎守 鐡 > 気づけば人の目も気にせずパラパラと捲りながら手元のメモらしき紙にまとめをしていたり。
……周囲が風呂入ったりしているから気づかれずにやり過ごせる……と、でも思っているのだろうか。

慢心は更に深まっている。

ご案内:「ロビー」に頸城 陸さんが現れました。
ご案内:「ロビー」に山吹 冠木さんが現れました。
崎守 鐡 > 「えっと、流石にここまでやれば、良い…か、な…?」
周囲のことなど忘れてバタンと閉じる。

忘れている事があるとしたら、近くにたたんだいつものロングコートを
『まだ着ていない』ことだろうか。普段ならすぐ着るのだが……



……慢心中である。

山吹 冠木 > 「あー……さっぱりした。ジメジメしていけんなー……」

スリッパからペタペタと間の抜けた音を響かせつつ、
何気ない様子でロビーの扉を開ける。
風呂上がりなのだろうか。ほこほことわずかな湯気を身体に纏い、黒髪がしっとりとした湿り気を帯びている。

「ん。先客……なんだ?」
ロビーの中を見て……首をかしげる

崎守 鐡 > 偶然だろうか。扉の方に目を向けてしまった。
人が居ないと思い込んで。
脱いだ状態で。
機械の身体が丸見えの状態で。




「………あっ」
……人を見つけてしまった。


「………どうしようこれ」
今から着るにしても時間は………悲しいぐらいになかった。
誤魔化しようがなかった。

頸城 陸 > 「……うん、やっぱりやってみることが大事だよね」

両手で頬を叩き、廊下を歩いてロビーへと向かう。
いざ、扉を開けて中へと入ろう、と思ったが扉の前に首を傾げる人影が一つ。

「あ、あのー、どうかしましたか?」
思わず、声をかけてみる。

山吹 冠木 > 綺麗に目があった。
色々と不思議なことに出会うことが多いが……
今、目の前にいるのは、どちらかと言えば
ファンタジーよりサイエンスな領域の……

「……ロボ?」

ポロリと、言葉が零れた

山吹 冠木 > 「んあ? あ、あーいや、中に……先客が」

何と表現していいのか分からず、そんな曖昧な表現になってしまう。
入り口を塞いでしまったことに気づき、慌てて扉から離れた。

崎守 鐡 > 「……………見られた……。」

顔を覆った。そりゃ、慢心していたお前が悪いねん。
確かに見てくれはロボだ。明らかにロボだ。否定は出来ない。
ただ、彼の「中身」は人間の精神のソレなのだ。

「………ごめんなさい、ちがうんです、みなかったことにしてください」
……さめざめと、泣き始めた。というか、悲しみから涙が止まらなかった。

頸城 陸 > 「……先客?」
扉の前にいた青年の言葉に首をかしげる。ロビーには学生たちがよく集まると聞く。
先客の一人や二人、不思議なことではないはずだ。
などと、考えていると、青年が扉から離れる。

「あ、ありがとう、ございます」
一例して、扉をくぐる。
そして、ロビーの隅にいた物を見て、呟いた。
「……ロボだ」

崎守 鐡 > 「うう、うう………」
その図体には似合わない落ち込みっぷりを披露しつつ、機械の身体をいつものロングコートで隠そうとするが、手遅れである。
どう考えても。

「いや、その、あの、俺、そんなんじゃなくって、あの、その」
パニックでちゃんと説明できない、というか、言葉が崩れていく……

「ロボ違うんです」
……やっぱりちゃんと説明できなかった。

山吹 冠木 > 「お、おい、大丈夫か!?」

泣き出してしまった……というか、泣かせてしまった。
慌てて駆け寄るが、しかし何と言っていいのか。

日本製か……そんなことを聞いてどうする。
逆効果にも程があるだろう。

予想外に過ぎる事態に、思考が混乱してしまう。

崎守 鐡 > 「………いや、見られると、思ってなかったもんで……」
まだ、涙ぐんでいる。

「昔は普通に人間だったんだけど、信じてもらえる気がしなくて」
「なるべく人に見られないように、してたんだけど………」

どうやら、ほぼ自分が原因らしい。

>山吹さん
よく見れば異界言語っぽいのが書いてある。どう考えてもこの身体は日本製じゃなかった。

頸城 陸 > 「……あ、違うの?」
どうみてもロボットにしか見えないが、本人が言うからには違うのだろう。
ならば何なのだろうか、とぼーっと考えている。

「あ、サイボーグ?」
思い浮かんだ言葉を、ポツリと口に出す。

崎守 鐡 > 「……どうなんだろう、でもたぶん、サイボーグとも、違う……」

少し考える。俺がこの身体になった顛末を話せば良いのか?
……でも、これ、信じてもらえるんだろうか。

「うん、ごめん、急に泣いたりして。……この身体あんまり見せたくなくって」
コンプレックスかなにかなのだろうか。
言葉を交わす間も頑なに服を体の前に垂らしてガードしている。

山吹 冠木 > 「元は、こうじゃなくて……人間の体だったのか?」

ちらり、と視線を向ける
文字は良く分からないが……刻まれているのは、
多分異なる世界の言語なのだろう。
何かが起きた……ということなのだろうか?

頸城 陸 > サイボーグとも違うらしい。彼自身にも自分がなんなのかよくわかっていないのだろうか? この話は避けた方がいいだろうな、と考える。

「……ごめん、出来る限り、見ないようにするから」
そう言って、機械の青年から目を逸らす。

などとしていると、扉の前に立っていた青年が質問をしている。自分はしばらく黙っていたほうがいいのだろうか。

山吹 冠木 > >崎守さん
「いや、こっちこそ悪かった。
その、気にしてること不用意に言ったりして」

頭を小さく下げた。

崎守 鐡 > 「本当は、こういうの気にしないほうが良いんだろうけど、良い思い出が無くって、さ」
二人に対し、理由を告げる。流石に理由を詳細に語ると地元での面倒な話まで出さないといけなくなるからそこら辺は省いた。

「気にしてる……と、いうより、気にせざるを得ないような心境にされた、というか。……それで、此処に来たんだ」
比較的ここならそういった壁も少ないだろうし、という理由もあるが。



「よく分からないけど、ある日、これ(と言って身体を指差して)が上から降ってきて……気付いたらこの身体になってた、って言うと、信じるか?」
…ぼそりと、そう言った。

頸城 陸 > 「……そっか」
きっと、つらい過去なのだろう。そう考えながら、ロビーに置かれている椅子へと腰掛ける。

「あー……。漫画とかでよくあるアレ、みたいな?他の人とぶつかって意識がいれかわる展開、みたいな」
本当にあるんだ、と心のなかで思いながら。

ご案内:「ロビー」に霜月 零さんが現れました。
霜月 零 > 「あー、だりぃ……」

気だるげに、ロビーに帰ってくる剣士。

たむろしている中に知り合いを見つけ、手を上げて挨拶する。

「よぉ、崎守。少し振りだな」

山吹 冠木 > 良い思い出がない、という言葉に微かに眉をしかめる。
……あまり触れて良いかは分からないが、
あの反応を見る限り、かなり辛い目にあったのだろう。

「目の前にいる以上、本当だと思うな……」
流石に、この状況で嘘は言わないだろうとも思う

崎守 鐡 > 二人の方を向いていたら……
………別の沈黙が始まった。

「あ、うん…………零のにーさん、一昨日…振り、だっけ」
それでも、機械の身体を必死に前あった時に来ていたコートらしきモノで隠している。


人も増えてきたので無理矢理調子を戻す。
「まぁ、信じて貰えなかったから、大変なことになった、んだよ。
……辛気臭くし過ぎて、ごめんなさい。この話は、また、時間あったら、で」
流石にもう、重い話はしづらくなってきた。

霜月 零 > 「ん、そーだな」

と雑に挨拶するが…その場の重い雰囲気に、やってしまったかと苦い顔をする。

「あー……悪い、邪魔したか?」

山吹 冠木 > 「ん、お疲れ様」

新たに入ってきた人物の言葉に
反射的に挨拶を返しつつ、視線を向ける。
話したことは無かったが……

「……二人は、知り合い?」
キョロキョロと、視線を往復させる

霜月 零 > 「あー、まあな。橘ってカフェあるだろ?そこで少しな」

肩を竦める。

「ついでに、同じ世界出身らしい…奇妙な縁もあったもんだ、って話をしたのを覚えてる」

頸城 陸 > 「あー、気がむいたらでいいと思うよ」
機械の青年に、頭を掻きながら言葉を返す。
誰にだって、言いたくない過去の一つや二つある。勿論、自分にだって。だから、強要はしない。自分だって同じ立場ならきっと言わないだろうから。

新たに入ってきた人影へと視線を動かす。
どうやら、彼は機械の青年と知り合いのようだ。

崎守 鐡 > 「……知り合いと、いうか……うん、知り合い。」

「実家的に縁があるみたいらしいけどな。零のにーさんの家と」
詳細は伏せる。なお、手元の(日本刀の)図鑑は閉じられたまま、置かれている。

霜月 零 > 「おう、面白い縁だったな…と、話していいのか?」

鐵が言いよどんでいるのを見て、その縁について話していいのか?と逡巡する。

山吹 冠木 > 「無理に話すことでもないだろうしな」
少年の言葉に同意を示しながら、近くの椅子に腰をおろす。辛い過去を不用意に引き出す必要はないだろう。

二人の様子に、ふーんと頷く。
知り合いが偶然出会うとは、不思議な縁もあるものだ

崎守 鐡 > 「だって、業物の話しても楽しいのそのスジのマニアぐらいじゃねーか?」

分類的には武器職人の息子なのだが、流石に周囲がそういう類の話に食いつくかはまた別かな、と思ったらしい。

霜月 零 > 「あー…否めねぇ」

俺は好きだけどな、と言いつつも、まあ限定的だよなあ、と。

「まあ、アレだ…崎守の実家のご先祖様が、俺の家…霜月家に代々伝わる宝具を作ってたらしい。まあ、そんときゃまだ単なる業物、ってだけだったらしいけどな」

頸城 陸 > 一度、小さく頷いて言葉を放つ。
「じゃあ、凄く昔からの家族付き合いなんだ」

そんな二人が偶然出会う。奇妙な縁だなぁ、と考えながら。

「赤い糸で、結ばれてたりして」
変な言葉が、ぽつりと口から出てしまった。

山吹 冠木 > 「ほー……えーと、崎守……さんの家って、職人の家だったのか」

そう言えば、自己紹介もしてなかったなあと思いつつ、
業物という言葉に身を起こす。
昔は……今も続いてはいるが、刃物を扱う身としては気になる単語だ。

霜月 零 > 「お前は何言ってんだ……」

呆れ顔でボヤく。赤い糸だと恋仲じゃないか。

「言っとくけど、俺にゃそっちの趣味はねーぞ。至ってノーマルだ」

頸城 陸 > 「……あ、ごめんなさい。つい」
最後に入ってきた青年へと軽く頭を下げて謝罪する。

「あ、そうなんだ。……いや、僕もだけど」
残念とか、全然思ってないよと付け足して、手をひらひらと振った。

山吹 冠木 > 「友情の赤ってことにしたら良いんじゃねえか?」

自分の肩から少し力が抜けるのを感じつつ、そんなことを言う。

「良い縁なら、繋がってた方が嬉しいだろ」

崎守 鐡 > 「……………」
陸の方をもの凄いジト目で見る。
「そういうの、好きなのか」
酷い誤解である。(ノーマル宣言貰ったから半分冗談かもしれないが)


「い、一応………実家、刀鍛冶だし……」
その辺りまで聞いて、ああ、だからその図鑑読んでたのね、という察しが付く人もいるのかいないのか。

「見習いだけどな、修行したかったけど、ちょっとほとぼり覚めるまではこっちに居るつもりで。」

「あ、ああ……その、俺は崎守鐡って言う奴だよ。一応………高校1年、でいいのかな」

霜月 零 > 「ま、ちげぇねえ」

いい縁なら繋がってりゃ損はねーわな。と笑う。

「そーいや、まだ名乗ってなかったな。霜月零だ。よろしく頼むぜ」

そして、気だるげに名を名乗った。

頸城 陸 > 「いや、だから好きとかそういうのじゃないって……全然ノーマルだよ。彼女欲しいなー、とかよく思ってるよ、僕」
機械の青年、鐡に向かって両手を振りながら否定する。へんなこと言って誤解されちゃったかな、と考えながら。

気づけば、自己紹介の流れになっていた。深呼吸して、自分もその流れに乗る。
「あ、じゃあ僕も名乗っていいのかな。……え、っと頸城陸、です。よろしく」

山吹 冠木 > 「転校したりすると、すぐ音沙汰無くなることもあるしなー」
故郷の連中はどうしてるかな、等と思いつつ。

「あーと、遅れたが、俺は山吹冠木。こっちも、よろしく頼む」
3人に遅れて名乗りつつ、軽く手を振る

霜月 零 > 「頸城に山吹な、よろしく」

軽く挨拶して、ついでだしと話を振る。

「まあ、俺の実家は退魔師でな。刀に限らず武器類はいつでも要り様になるっつーわけだ。
腕のいい鍛冶からとにかく色々買い付けてるらしいが…そん中に、崎守の家があったっつーわけだな」

まさか、最高の一振りとされてるモンを作った家の奴に合うとは思わなかったけどな。と肩を竦める。

山吹 冠木 > 「刀鍛冶かー……やっぱり業物とかそういうやつは、
質が良いんだろうなあ」
ふと、自分の使う鉈を思い出す。
刀とは異なるが……あれにしたって、ピンからキリまで様々な物がある。だが、上にいくほど値も張るのだ。悲しいことに。

「退魔師……あの、妖怪とか祓うヤツか?」
本職には初めて会ったなー……と呟きながら

頸城 陸 > 「……退魔師……って、あの……怪物と戦ったりする職業だっけ?」
青年の言葉に疑問の声を出す。
自分はここにくるまでそういう物とは無縁だったから、全然知識がない。
なので、質問してみる。

崎守 鐡 > 「二人共さっきはごめんなさい、よろしく頼むよ。」
と、改めて二人の方に頭を下げる。

「音沙汰無しは流石に嫌だから親とは連絡取ってるけど……前の友達とはいろいろあって連絡取りづらいんだよな、……寂しいけど音沙汰無くなってくのかな……」
しょんぼりとする。山吹君の故郷がどういう感じなのかは流石に知らんが、こいつの実家は日本の地方都市である。


「……流石に退魔師なのは知らんかった。基本的に俺って昔は単なる刀鍛冶の見習い息子だったし」
そりゃー初耳である。

霜月 零 > 「ああ、まんまそうだな。妖怪を払う、怪物と戦う。そういう職業だ」

俺はまあ、実績はあんまりないんだがな。と苦笑する。

「鬼退治なら何代か前の当主がやってるし、俺の親父は妖蛇退治とかやってたな。まあ、それなりに周辺じゃ有名な家っつっても過言じゃねーな」

実はいいとこの出なんだぜ?と笑う。

頸城 陸 > 「……いいよ。全然気にしてないし。こっちこそごめんね……その、色々、いっちゃって」
鐡の謝罪に、言葉を返す。その後、自分も頭を下げた。

鐡の放った友達、という言葉に表情を曇らせる。
「友達、かぁ……。一度、連絡してみたら?」

山吹 冠木 > 「俺が不用意にしたことが原因だし、こちらこそ悪かった。……改めてよろしくな、崎守」
こちらも、頭を下げる。真面目で良いヤツなんだな……そう思いながら。

「あー……手紙とか、そういうのがあるだけでも、
かなり違うしな」
陸の言葉に続きつつ、しまったな、と頭をかきながら。

「なんか、かなり危なそうなことしてるんだな……
そういう仕事も、やっぱ大変なんだな」
いいとこの出、というには、親しみやすい様な雰囲気を感じる

頸城 陸 > 「……へー、じゃあかなり凄いところ、なんだね」
零の言葉に、関心した風な声を上げる。
流石に鬼や妖蛇が強い力を持つ妖怪であることは自分でもわかる。

「……じゃあやっぱり、零君も……そんなのを倒せるの?」
ふと気になって、笑う彼に尋ねてみる。

霜月 零 > 「ま、俺はそん中じゃあんまりでな…妹の方が強いっつー始末だ」

弓と刀、っつー違いはあるがな。と靉靆としてボヤき

「一応、俺も低級な魔物は退治したことがあるぜ。中級以上となると流石にソロはきっついがな」

崎守 鐡 > 「……取り敢えず、やれるだけの範囲はしてみるよ。友達に俺のせいで迷惑かけたくないしな」
こういう騒動という奴は基本受け入れてくれても、親が親だと処理が大変だと、学ばざるを得なかった。

「……おもいっきり武闘派、だよなぁ、職業的にも。イイトコの出というか……んー。」


「なんだっけ、ぶっ飛んでる妹さ」
と、まで言って突然顔を青くして口を閉ざした。
……しまった。

山吹 冠木 > 「十分凄そうだけどな……」
少なくとも、猪や熊よりは強いだろう。
そして、そんな青年よりも強いであろう妹……
弓を使うと言ったが、スナイパーとかそういうのだろうか。
なんとなく、固そうと言うかきつそうなイメージが勝手に浮かび上がり……

「……ん、どした?」
崎守の様子に首をかしげた

霜月 零 > 「…………」

じぃ、と、木の洞のような眼で鐵を見る。

「…………」

目に光がない。

頸城 陸 > 「……うん。頑張って」
親指を立てて、鐡を応援してみる。自分には友達なんていないしできた事もないから、そういう事は全然分からないが……などと考えて、少し悲しくなった。

「……大、丈夫?」
ふと、零の方へと目を向けると、目から生気が消えていた。心配そうに、声をかけてみる。

霜月 零 > 「あ、ああ、ちょっとな……」

額を抑える。ここまで来て、ボカすのもなんだかおかしいだろう。

「その、妹がな……ちょっとどころじゃなく、問題児なんだよ。
エキセントリックっつーか、ネジが緩んでるっつーか……」

妹の事を語る零の目が、死んでいる。

死んだ魚の目である。

崎守 鐡 > 「ごめ、んな、さい」
見た目にとても合っている片言声で零の方に謝る。

知ってたから途中で止めたんだが、やっぱり相当に根は深かったようだ。


……でも何故だろう、零のにーさんの妹さん、あの人と比べると全然まともそうに聞こえるから。
…昨日のことを悲しいぐらいに思い返していた。

頸城 陸 > 「……そう、なんだ」
先ほどまで飄々としていた彼が死んだ魚の眼になっている。
恐らく、それほどまでに色々と凄い妹なんだろう。

……どんな人なんだろう。凄く、気になった。

山吹 冠木 > 「……活発な妹さんなんだな」

ただならぬ様子に、言葉が出ない。
というか目が死んでいる。あれは苦労どころではない目だ。
何があったんだ……いや、これは別の意味で聞きづらい

霜月 零 > 「……お前ら、想像できるか?
起き抜けに、昼の挨拶に、帰りがけ出会ったから。
そんな日常のタイミングで、ハイテンションに弓ぶっ放してくる妹、ってヤツを」

俺の妹は、それを年中無休でやってくる。と死んだ魚の目で続ける。

「俺のため、俺のためではあるんだが……方法論がおかしいんだよ、あいつは……!」

崎守 鐡 > 「ええっと、その、なんというか、電波っていうか、その、なんだろう、なんだろう」

「ブラコンに電波を掛けあわせたら大惨事になったっていうか」


「……そんな風だって、きいた、け、ど……」

話す側も吐血しそうだ。
…いや、する血が今の俺の身体に流れてるのかは分からないけど。

山吹 冠木 > 想像してみる。

穏やかな日々の一幕に、突如として飛来する弓矢。
必死に回避する様子。テンションの高い妹。

「愛の鞭……か……?」

雫の言葉に、崎守の評価を混ぜてさらに想像する……
ブラコンはまだ良いとしても、後半は辛そうだ。

どんな人物なのか想像もつかない。いや予想は立ちつつあるが

頸城 陸 > 零の言葉、鐡の言葉から得た情報を、頭の中で混ぜあわせて考えてみる。

数秒考えた結果、安心して日々を過ごせないことは解った。
きっと毎日が死と隣り合わせなのだろう。身内のせいで。

「……大変、だったんだね」
それしか、言葉がでなかった。

霜月 零 > 「愛の鞭、ではあるんだ。いや、元をただせば俺が悪い。
俺が「自分には才能がない」なんてボヤいてたから……
「お兄ちゃんの才能を開花させてあげる!それには危機経験あるのみ!」とか言って弓をぶっ放す猟奇的妹が誕生しちまった……!
いや、でも俺が悪いのか?おかしいのはアイツだろう?
なんでそうなる?特訓に付き合ってくれるとかじゃダメなのか?
なんで「才能がない」への打開策が「日常的に射撃をカマす」なんだ?
おかしいだろう。そうだ、俺は悪くねぇ……!」

ブツブツと死んだ目で呟いている。

……正直、アブない奴にしか見えない光景だ。

山吹 冠木 > 「に、兄ちゃん思いなんだな……」

ああ、麗しき兄妹愛…………と言えれば良いが、
やってることと目の前の兄さん(被害者?)の
状況を目にしてそう言えるだけの度胸はない。
なんか傷口に塩を塗り込みかねないし。

頸城 陸 > 「……お、落ち着いて。ほ、ほらこの話はおしまい。ヤメ!ヤメ」
零の様子を見て、これ以上続けさせるのはマズイ、と直感で理解する。
珍しく大きな声を出し、両手を叩き、話を強制終了させようと試みる。

霜月 零 > 「はっ!」

陸の大きな声を聞き、正気に戻る。

……少し、トラウマに呑まれ過ぎたようだ。

「わ、悪い……」

バツが悪そうに頭を下げる。

崎守 鐡 > 「……やめよう、この話は何の利益も生まない……」
油断した自分が悪いのだが。どうしてこうなった。

ただ、あの奇行が無ければきっと良い兄妹なんだろうな、
とは心の片隅で思っていたとは弁明しておきたい。
……とても言えそうにないけど。

山吹 冠木 > 「あ、あー、そうだ。
雫って、妖怪とか詳しいか?
詳しいなら、ちょっと見てほしいのがいるんだが」

変わりつつある流れに乗るように、少々強引に提案する。
ある意味、専門家に話を聞ける良い機会だ

霜月 零 > 「あ、ああ、なんだ……?」

気を取り直して、と言う風に山吹に向き直る。

頸城 陸 > 何か、どっと疲れてしまった。
大きく息を吐いて、椅子から立ち上がる。
「ごめん、僕先に、部屋に戻るね……」

零と冠木が新しい話を始めたみたいだし、今なら去っても大丈夫だろう。ゆっくりと、ロビーの扉へと歩き出す。

山吹 冠木 > 「故郷から連れてきたというか、ついてきたというか、
ついてきてくれたというか……まあ妙な何かなんだが……」

そう言って、着ている甚平の合わせめを軽く叩く。
すると……音もなく、そこから小さな影が顔を出した。

大きさは、手のひらに乗るくらいだろうか。
全体的にまるっこく……目とおぼしき黄色い2つの丸を周囲に
向けながら、体から飛び出た小さな丸い粒……手だろうか?
をパタパタと振っている

霜月 零 > 「ああ、悪かったな…またな」

少し申し訳なさそうに見送る。何というか、トラウマを想起した姿を見せてしまったのは、流石にマズかったと思う。

そして、そのまま山吹の出した影を見るが……

「んお?なんだこりゃ?」

山吹 冠木 > 「お疲れさん……またな、陸」
小さく手を振りながら、その姿を見送る。
胸元から顔を出した何かも、真似をするように手を振っていた

山吹 冠木 > 「……いや、俺にも何だか分からん。
此所なら、詳しいヤツがいるかと思ったんだが……」

首を捻ると同時に、襟元からえいやっ! というようにそれが飛び出し

「あ」

咄嗟のことに反応が遅れ、そのまま顔面? から床に墜落する。
ぺたぁんという間抜けな音を小さく響かせて……
そのまま、くにゃりとたおれ込んだ

頸城 陸 > 「……うん。じゃあ皆、また」
小さく手を振り、ロビーを後にする。
その後姿は、どこか嬉しそうだった。

ご案内:「ロビー」から頸城 陸さんが去りました。
霜月 零 > 「……」

じー、っとそれを見る。

「あー…?見た感じはスライム系だが、どっちかっつーと自然の権化、精霊的なもんか?」

首を傾げつつ検分する。

「害意はなさそうだが……すまん、パッと見じゃよくわからん」

崎守 鐡 > 「あ、ええっと………お疲れ様………」
陸を見送るように手を振るがなんとなく、申し訳ない気持ちになった。

「……?なにこれ」
山吹君の胸元から出てきたまるっこいのを見て、とある映画を思い出した。
落下してぺにゃってなってるのが可哀想なので拾い上げようとしてみる……
当然ながら手も腕も鋼鉄のソレなので、自然とは一ミリも咬み合って無さそうだが。

山吹 冠木 > 「森で見つけたから、自然か何かが関係してそうなんだが……」
流石に直ぐには難しいか、と呟く。

床に落ちた何かはそのまま動かず、
されるままにつまみ上げられた。
つまんでみるとぷにょりと凹み、ぷるんぷるんと震えているのが分かるだろう。
床に当たった部分は平らになっていて、その平面の真ん中あたりに、黄色の丸が並んでいた

霜月 零 > 「うーん……」

じーっと見るが、やはり自然の権化的なものじゃないか、程度の感想しか抱けない。直感も、今回は仕事をしてくれないようだ。

「見たことがねぇからな……守り神的なモンじゃねーかとは思うんだが」

山吹 冠木 > そんなやり取りのさなか…………
ふと視線を動かせば、テーブルのあたりに
いつの間にか似たような存在がいるのに気がつくだろう。

同じではなく<似たような>となってしまうのは……
先程のものが緑であるのに対してこちらは白く、
さらに、全体がふわふわした毛で覆われている為である。

膝下くらいまでの大きさも相まって、クッションか何かにも見えた

霜月 零 > 「……これも、お前が連れてきたやつか?」

その白いのを指さして問い掛ける。

本質的には、同じような感じも受けるのだが……

山吹 冠木 > 「うーん、何なんだろうな……
雫が退治してきたようなヤツと違うってことは、害は無いのか?
守り神……まあ、確かに守るというか、助けてくれることもあるんだが」

そんなことを言いつつも、雫の言葉に視線を向ける。

「あー……多分、呼んだから釣られて出てきたんだと思う。
なんか、色々いるんだよ……似たようなのが」
首をかしげながら告げられた言葉に応えるように、
白い毛玉の様な何かがふわふわと動いた。
どうやら手足は毛の下にあるらしく、ゆっくりとこちらに近づいてくる

崎守 鐡 > 「……なんだろう、精霊とか、なにか……だったり?」
つまんだその子をなでなでと大丈夫か―とばかりに気遣ってみる。
悲しいことに感触は分からないけれど。

「複数種類いるのかな、そのなんというか魑魅魍魎っていうのかどうかはよく分からないけど。」
その辺りはやはり一般人程度の知識だった。

霜月 零 > 「たまーに、土地神なんかに似たようなのはいるんだよ。
基本的に意志表現をせず、のんべんだらりとそこにあって……いざと言う時、土地を守る。
土地神は土地に執着する。土地と、そこにある営みを守ろうとする。
極端な話、その土地さえ無事なら、周囲が焼け野原になろうが関係ねぇ。
その代わり、土地に害をなす存在が現れれば、それを即座に迎撃する。
そういうタイプの土地神が、近い。
……ん、だが」

しかし、違う。と言わんばかりに続ける。

「そういうタイプの土地神は、その土地を離れねえ。
何があっても離れねぇ。そこに営みがなくなっても、ただひたすら「己の土地」に執着する。
当然っちゃ当然だな。なんせ土地の神、なんだから。
つーわけで……俺の知るタイプの土地神とは、そこら辺が噛み合わねえ。
森で見つけたんなら、その森に執着し続けるはずだからな。
で、お前に関係性の薄い場所で見つけたんなら、お前個人の守り神である可能性も薄い。
そういう存在は、もっと近く……家だとかに現れるもんだ。
まあ、俺の知る範囲の知識だから、例外がいねぇとも限らねーが……」

山吹 冠木 > 「やっぱその辺なんかな……良くわからなくてな」
撫でられると、緑のそれは礼をするように、
ぺちぺちと小さな丸い手で触れてくる。
撫でられる度にふよんふよんと揺らぎが体を伝い、
表面が揺らめくのが分かるだろう。

「魑魅魍魎って、確か妖怪の集団だっけか。近そうだよな……」
怖そうではないが、と呟きながら

山吹 冠木 > 「神様も、優しいのか無慈悲なのか分からねえな……」
自然の化身といえばそうなのかもしれないが、中々に厳しいと思う。
近づいてきた白い毛玉を軽く撫でながら、続けられた言葉にうーん、と首を捻る。

「森自体にはよく行ってたが、あくまで猟とか祭りの時位だからなあ。
親しい場所と言えば親しいが、そこまではって感じだ。
例外……ってヤツなのか?」

崎守 鐡 > 「たぶん悪いことしない限りは居てくれるんじゃないか?見た感じだと皆悪い子じゃないと思うし…なぁ」
むしろ飼いたいとか一瞬やましい事を考えた俺を殴りたい。

「流石に俺が持ち続けるのもあれだしなぁ」
とか言いながら山吹君の所に緑色の子を返してあげようとする。
「……俺とか自然って単語と縁なさそうな身体してるから、良くないだろうし」

鋼鉄って、自然にあるもんじゃないと思ったが故の言葉だが。

霜月 零 > 「魑魅魍魎、で思い出したが……」

そうそう、と。

「さっき言ったタイプの土地神は、その土地が汚染されると狂う。
土地とセットの存在だからな……その土地が汚染されると、土地神も汚染される。
汚染されて、方向性を見失い……その土地ごと全てを食い尽くす。
そういうのの退治も、退魔師の仕事だったりするんだけどな」

まあ、そういうのは上位の奴らがやるもんだが。と肩を竦める。

「神に慈悲は期待しない方がいいぜ。アイツらは基本的に、自分らが守る対象には優しいが、そうでない奴には連れないもんだ。
あくまで、自分らが執着するものにのみ手を差し伸べる。
興味がない奴には、本当になにもしやしねぇ。
まあ、逆に言えば……お前に強い興味を持った何かの神、ってんなら、お前にくっついてんのもわからなくはないんだけどな」

そういう意味では、例外に該当するかもしれねえ。と。

霜月 零 > 「あ?お前何言ってんだ?」

鐵には呆れ顔を向ける。

「金属がどーこーって言うなら……金属は自然に存在する概念だ。
五行、ってあるだろ?アレを見てみろ。
木火土金水……金、あるじゃねーか。
金行を司る霊獣だって存在する。金属は立派な自然物だよ」

山吹 冠木 > 「土地の汚染……環境破壊とかか? 汚水を垂れ流したーとか、山を切り開いたら土砂災害がとかの」
幸か不幸か、そういった物とは……田舎過ぎた為というのも悲しいことだが……縁の無い場所だったが、知らないだけで何かあったのかもしれない。
「神様を退治……か。なんか、呪いとか受けそうだな」

「思い込んだらそれに一直線……みたいな感じか。
結構自由気ままなんだなあ……あーでも、八百万いるらしいしな」
故郷のじい様衆によく言われていた。神様は何処にでもいるから、感謝を忘れるな、と。
「でも、神様ってこう……」
撫でている毛玉に目を向ける。
何と言うか……神様、というには威厳は無さそうだ

霜月 零 > 「開発のし過ぎとかもあるな。調子に乗って雑な開発をした結果、土地神の逆鱗に触れて大打撃を受けた企業もある」

ばっかじゃねぇの、と一家で呆れたがな。と笑う。

「まあ、呪われるってんなら、それこそウチの宝具……凍月も、呪われてるだろーよ。
ありゃあ、「神を殺して星を墜とした、親友殺しの大業物」らしいぜ?
だけど、アレのオーラは神々しいもんだ。神を退治したからと言って、呪われるとは限らねぇってこった」

そういう最後っ屁を残しやがる神も、いるっちゃいるけどな。とボヤき

「まあ、それこそ神は八百万いて、威厳皆無の神だって存在するさ。
付喪神、なんてのもあるしな。そこらの傘やらゲタやらに付いた付喪神なんかは、可愛いもんさ」

子供に大人気だったりする。と笑う。

崎守 鐡 > 「知らんもん。んなこと…」
刀鍛冶の人間だけれども、そういう方面には強くないというか、やっぱり一般人の域出てない。

「普通、自然っていうとこー…人工物の無いのとか、そういうのを想像するんだけどなぁ」
手入れされる自然ってのもあるだろうけど、自然のイメージはそんな感じだった。


「……うぇ?凍月ってそんなんなってたの?…
…いや、作った時も変な逸話があったから、これは時期に名を残すとか言われてたけど全然知らななんだで」
ただの業物でしか知らないと、そういう感想を抱くだろう。普通。

霜月 零 > 「詳しいことはしらねーけどな。神を斬って神域を見たことで、霊剣として覚醒したとかなんとか」

俺にはよくわからん、と肩を竦める。

「まあ、認識としちゃあ「超凄い刀」でいいと思うけどな。それも今じゃ、死蔵状態なんだが」

山吹 冠木 > 「自業自得の後始末ってのも、災難な話だなー……」
汚された土地と狂わされた土地神が災難なのか。
それとも、それを止めなければならない退魔師が災難なのか。
……多分、両方だろう。

「由来だけ聞くとかなり後味が悪そうな話だが……
一概には言えないってことなのか」
神に星はまだ分かるが、親友というのはなんとも物悲しい。

「肝試しで人気をはくしてそうだな……キモカワイイとか」
ちらり、と手元に視線を向ける。
撫でられるままの白い毛玉は、目立った反応を示していない。
興味がないのか、それとも何も分かっていないのか

崎守 鐡 > 「……んー、……あっ、こんな時間だ……」
と、若干時間を忘れてたかのようなリアクションをして、自分の荷物をまとめる。
もう、二人の前で隠す気は無いのか機械の身体は大部分が見えていた。
……服とか要らなそうだと思えるぐらいロボだった。

「ごめん。ありがとう、……俺、先に部屋に戻るから。」
いそいそとそこら辺にまた新しい子が湧いてないか気をつけながら、去ろうとする

霜月 零 > 「ま、その業者にはみっちり厳重注意したけどな。
神も、妖怪も、結局普通の人間に手におえる存在じゃないってことはかわんねえ。
だから、敬意を払う必要があるんだ。
ライオンやチーターと同じだな。人は「道具を使う」と言う一点により生命の頂点に立ったつもりでいるが……その分、個体は弱えぇ。
ライオン、チーター、ゴリラ、挙句小さな蜂でも。
人類は、まともに立ち向かえばまず勝てねぇ。
それを忘れて、自然にある物への敬意と畏怖を忘れた馬鹿が、やらかしやがるんだ」

苦い顔をしてボヤく。どうやら、生まれが生まれなだけあり、そういったことに関しては多少敏感なようだ。

「凍月に関しちゃあ、あまり詳しいことはわかんねぇ。遣い手が一人しかいなくて、その使い手が詳しいことを話さなかったらしい。
……で、まあ……ソイツは、なんかこう、マスコット的に再現したら人気でそうだよな」

それこそ、キモカワイイとやらで。

霜月 零 > 「あー、もう結構な時間だな」

時計を見てボヤく。結構話し込んだな、と。

「んじゃ、お休み、だな。またな」

軽く手を振って、鐵を見送った。

山吹 冠木 > 「随分と時間が経ってたんだな……またな、崎守。こちらこそ、すまなかった」
みおくりながら、小さく手を振る。

緑色の何かも、床からその姿を見送っていた……三体に増えていたが

霜月 零 > 「……なぜ増える」

呆れ顔で三体目を指さす。

崎守 鐡 > 「それじゃあ、また、何処かで………」
ロビーを出る前にばさり、とコートを羽織り、普段通りの彼の姿に戻る。

「……それじゃあ、おやすみ。」
機械の身体に睡眠は必要なのだろうか。
…どちらかと言えば彼の心の安寧の為だろうか。
……彼にもよく分かっていないだろうが。

そしてそのままロングコート姿になった彼は三体目を見遣って、くすり、と笑った。

ご案内:「ロビー」から崎守 鐡さんが去りました。
山吹 冠木 > 「俺が聞きたい」

額を押さえながら、呻くように呟く。

姿はほぼ同じだが、大きさが僅かに異なっていた

霜月 零 > 「あー…分身?分裂?」

首を傾げながら、そっと手を伸ばす。

ぷに。

ちょっと突っついてみた。

山吹 冠木 > 「自然への畏怖を忘れるな、か」
故郷で何度も聞かされた言葉を思い出す。
地域や世界は違っても、自然は偉大ということなのだろうか。

「マスコットにするには、もう少し意思疏通ができねえとなあ」
そう言って、苦笑いを浮かべる。

指でつつかれると、丸いからだがその分だけ柔らかく凹んだ。
プヨプヨした柔らかな手応えは、それが実体であることをゆうべんに物語っていた

霜月 零 > 「そーいうこったな。自然はいつだって、人に牙を剥ける。
それを忘れちゃあいけねーよ」

気だるげにぼやいて、ぷにぷに。

「確かに実体だなあ、コイツ…」

意思疎通は出来そうにねえが、と苦笑い。

山吹 冠木 > 「手痛いしっぺ返しにあうのはゴメンだしな」
昔のことを少し思い出す。
雫の経験とはまた違うだろうが、何度も痛い目にあったことがある。その度に、ひどく後悔したものだ。

ぷよんぷよん、ぽよんぽよん。
指でつつかれる度に、その輪郭が柔らかく震える。

「言葉を喋らねえからな……文字も書けないしな」

霜月 零 > 「ま、触らぬ神に祟りなし、ってやつだな」

結局はそんなもんさ、と。

「しっかしまー…意思疎通が丸で出来ないのも、正体不明を助長してやがるよな」

なんか喋ったりせんかねコイツは、とぷにぷに。

山吹 冠木 > 「一年かけて意思疏通ができないか試したが、分かったことは
パントマイムの才能は無さそうってことだな」

つつかれて体を波打たせながら、
小さな手を伸ばして指をつかもうとしている。

霜月 零 > 「そりゃあ、マイムする手がこれじゃあなあ」

ぷにぷにしつつ、小さな手にそのまま指を差し出してみる。

山吹 冠木 > 豆粒の様に小さな手が、はっしと指を掴み……
そのまま、ぷらーんとぶら下がる。

指一本で支えているにしては、妙に軽いことに気づくだろうか

霜月 零 > 「んー、かっるいなー…」

上下にちょっと振ってみたり。

「なんかこー…なんだ?質量があるけど、寧ろ魔力の塊とかなのか?」

首を傾げる。

山吹 冠木 > 「重いやつは重いんだがな……漬け物石くらいはある」

抱え上げる様な仕草をしつつ、ふと時計に目をやる。

「ん……と。大分時間が経っちまったな。
そろそろ部屋に戻るわ……色々ありがとうな、雫」

霜月 零 > 「なんだろうなあ、その違い…」

首を傾げながら

「まあ、また今度考えればいいか…じゃあな、山吹」

山吹 冠木 > 「おう……またな」
手を振りながら、ロビーを後にするだろう。

ふと視線を向ければ、先程までいた筈の白い毛玉は
姿を消しており……
指先に捕まっていた緑のそれも、バイバイをする様に小さく手を動かすと……
音もなく、その輪郭が虚空に薄れ始め……やがて、影も残さず消え去ってしまった

ご案内:「ロビー」から山吹 冠木さんが去りました。
霜月 零 > 「……不思議な存在だったな」

世の中にはまだまだ知らないことが多い…と学んで、また零もその場を去って行った

ご案内:「ロビー」から霜月 零さんが去りました。