2015/06/28 のログ
■ビアトリクス > 「かえで先輩……ってあの
胸がでかくて美人のかえで先輩か?」
なんかの副委員長やってる気がしたが思い出せない。
美人の名前は覚えるようにはしているが。
しかし、一緒に自然公園を歩いて、とは。
頭のなかで情報を整理しようとして、
ちはやの身体が密着する。
(待て)
(心の準備が)
(そうじゃなくて)
濡れた肌に肌が吸い付く。感触。温度。
引き剥がそうとして肩に手をかける。はがせない。
彼の顔が近づいて吐息がかかる。
自分の体温までもが上昇していくのがわかる。
「……」
動けない。
片方の手が浴場のタイルにつく。
水色一色だったタイルが、いつのまにか赤と白のトーンに染められている。
■神宮司 ちはや > (聞いているのかいないのか怪しい態度でとりあえずうんうんと頷き)
あのね、かえでせんぱいは美人で綺麗でぼくなんかが横にいたらだめなようなそんな人で、
でも、いつもほんわか笑ってて、それでお花がよく似合ってて……
(はぁ、とまた遠い彼女を思い出したかのような色っぽいため息。
ちはやの長い髪が互いの体に張り付く。一向に自分を押しのけないのだから
そのままビアトリクスにしなだれかかり、肩口に額を押し付ける。
じゅっ。と音がするような気がするほど熱い。)
ひえのさん、ぼく、あたまおもい……きもちわるいです……
(見ればちはやははぁはぁと苦しそうに喘いでいた。一目見て分かるだろう。
どう見ても熱が出ている。
熱 が 出 て い る !!!)
■ビアトリクス > (違う)
(そんなことが聞きたいんじゃない)
(聞きたくもない)
心臓の鼓動が早くなっていくのがわかる。
自分はいまどんな顔をしているのだろうか。
それをちはやに見られていないのは幸いである。
自分の感情の正体がわからない。
とりあえず、侮っていた小動物が
三日会わざるうちに異性といい関係になっていたことに対して
狭量にも腹立たしくなってしまった。
そう解釈して思考を打ち切る。
大した草食動物だよ、お前はと
バンバンと肩を叩いて笑ってやってもいい。
などと考えていたら、押し付けられた額の熱が
尋常ではないことがわかる。
「なんで熱出してるのに風呂に入ってるんだよ!!」
バカなの? 死ぬの? そう言いたくなるのをこらえて
ちはやの身体を担いで脱衣場へと連行する。
汗を拭い、扇風機を回す。
できればバスタオルを巻いて寮の部屋まで連れて行きたいところだが。
■神宮司 ちはや > (担がれた体は見た目通りやはり貧弱で軽かった。
扇風機の風を受け、ベンチに横になると少しだけ気分が楽になったような気がする。
申し訳無さそうに小声でビアトリクスに話しかける。)
うう、ごめんなさい……ごめんなさい……
ぼく、すぐ体調悪くしちゃって……情けなくてごめんなさい……
(病症にあって気が弱っているのかめそめそと顔を覆い始める。)
き、きがえて、部屋、戻ります……
ご迷惑、おかけして、ごめんなさい……
■ビアトリクス > ビアトリクスも服を纏う。例のちぐはくな服装だ。
入浴はあとで改めてしよう。
「うるさい黙れ。
ぼくだってどうせミジンコ並の体力だよ。きみと同じだ」
ため息。苛立ったように吐き捨てる。
「……その、なんだ。
一人で部屋まで歩けるか? なんなら、付き添ってやろうか」
着替えて去ろうとするなら、控えめな様子でそう提案する。
■神宮司 ちはや > (相手を苛立たせるのが感じ取れたなら
またいつものように小動物のような怯えで小さくごめんなさいと詫びる。
慌てて体を起こし、のろのろと服を着る。
シャツが表裏逆だったり、靴下の模様が左右反対だったりするたびに何度も着替え直した。
どう控えめに見ても大丈夫そうに見えない。
が、ふわふわとした眼差しと赤い顔で大丈夫、だいじょうぶと繰り返す。
おふろセットを抱えると申し訳無さそうに頭を下げて)
これ以上ひえのさんに、迷惑かけちゃ、だめですから……
(そう言ってふらふらと大浴場の出入口へと足を向けた)
■ビアトリクス > ごめんなさいと詫びられて、ぐ、と息がつまり、表情が歪む。
いつも自分はこうなのだ。
一時は見送りかけるが、明らかにおぼつかない様子の足取りのちはやに
駆け寄って強引にでも肩を貸す。
「あのなあ。弱ってる時は迷惑とか考えるなよ!
せっかく付き添ってやろうって言ってんだから人の厚意を受け取れ!」
吠える。
(まるでぼくの言うセリフじゃないな)と内心で皮肉りながら。
■神宮司 ちはや > (ぐいと貸された肩と自分を支えてくれるビアトリクスに目を丸くして見つめる。
それでも今弱っている体にはとてもありがたい申し出だったから、素直に厚意を受け取った。
額に汗を浮かべながらそれでも嬉しそうに微笑んで)
えへ、ひえのさん、やっぱりやさしい……。
ありがとうございます。
(そう言って相手の手を借りながら連れ立って歩く。
自分の部屋へたどり着いたならまた、ありがとうございますとお礼を言うだろう。)
■ビアトリクス > 微笑みを向けられれば、やはり目をそむける。
「別に優しくなんて。……その、なんだ。
かえで先輩と……ええと、うまくやれよ」
ぎこちなくそう言って、開かれた扉に押しこむように
ちはやを部屋に入れて、扉を閉める。
「……」
扉から少し離れたところで、
無表情にぼうっと、何かを考えている様子で佇んで……
しばらくした後、ちはやの熱をうつされたかのような
幽鬼のような足取りで、自分の部屋へと去っていく。
ご案内:「大浴場」からビアトリクスさんが去りました。
ご案内:「大浴場」から神宮司 ちはやさんが去りました。
ご案内:「部屋」にビアトリクスさんが現れました。
■ビアトリクス > 「…………」
■ビアトリクス > 「どうして少しでもほしいと思ったものは、
みんな全部お手つきなんだろうな」
■ビアトリクス > 自室で大の字になって横たわっている。
「考えてみれば当然の話だ」
口に出してみる。
「ぼくみたいな奴にかまってくれる連中が、
他の連中に好かれないわけないものな」
■ビアトリクス > 罰か。
ほんの僅かにでも嬉しくなってしまった罰なのか。
ほんの少しでも欲しくなってしまった罰なのか。
そんなつもりはなかったのに。
人斬りには勝てない。
美しい才媛にも勝てない。
挑まずともわかる。
自分はなにかに勝ったことなど一度もないのだ。
奪われたなどという傲慢を言うつもりはない。
単に打ちのめされてしまっただけだ。
あまりにも弱すぎて。
投げ出された手から床に黒いものが速やかに染み渡り、
調度、壁、天井、窓、そのすべてを光を跳ね返さない闇に変える。
ひどく静かになった。
今夜はきっとよく眠れるだろう。
ご案内:「部屋」からビアトリクスさんが去りました。
ご案内:「部屋」に霜月 零さんが現れました。
■霜月 零 > 「…………」
かれこれ数時間か。
カフェから戻ってから、ずっと座禅を組んでいた。
「…………」
それは何のためか……自分の中の気持ちを、しっかり整理するためである。
■霜月 零 > 「(…………俺は、アイツが)」
いや、恐らくは整理するまでもない。もう自分の心は決まっている。
……スマートフォンが鳴るのを待ち望むこの心の動きが、何よりそれを雄弁に物語っている。
だから、いま必要なのはそれを整理し、受け入れる事だ。
ご案内:「部屋」にウィリーさんが現れました。
■ウィリー > KnockKnock!
静寂を破って、硬くドアを叩く音。
「俺だ。いるか?」
■霜月 零 > 「(……正直驚いた)」
自分でも驚きの方が勝っている状態だ。実際に話すようになって数日、しかも相手は妹の友人。
どうかしているのかとすら思う。
それでも、顔を思い出すたびに赤くなる自分の顔を鑑みるに、間違いない。
そんなことを思っているとドアが叩かれた。
「……ウィリーか。なんだ?」
座禅を解いて立ち上がり、そのままドアを開ける。
■ウィリー > 「いや、背中を一押しに来ただけさ」
ドアが開くやいなや、コーヒーの缶を投げ渡して。
「それが新しい道への第一歩か、それとも崖からの跳躍につながるかは知らんが」
「凡そ、言いたいことはわかるよな……時間はあるか?」
■霜月 零 > 「(……流石の慧眼だな、ったく)」
呆れた顔をしながらコーヒーを受け取る。
「時間なら、保証はしねぇぞ。いつ呼び出しが来るかわからん状況でな」
それが氷架から、であるとは口にはしないが。
■ウィリー > 「連絡があれば、それを優先してくれて構わない」
それが誰であれ、危急には違いないだろう。
「これから言うことはまあ、しょうもない戯れ言だと思ってくれ」
自分の缶を開けて、口を湿す。
「お前が女性からのアプローチにウブな様子を見せてたのは、何度か見てきた。
ああ、別にストーキングしてたわけじゃないぞ? 手合わせを申し込もうとするたびにそうなってただけでな」
からかうように目を細めて。
「でも、選ぶからには……もう、受け身ではいられない
わかるよな? 全てだ。お前が戦いに身を置くというなら、尚更に
守らなきゃならんもんが増える」
■霜月 零 > 「……分かってるよ」
戦うという事は、死に臨むという事。
もし、この話がもう一段解先へ進むようなことがあれば……自分に敗北は許されない。
今でも十分許されないが……それ以上に、許されなくなる。
……それで、間違いなく泣く人がいるはずだから。
兵法は平法なり、と言う教えの意味も今ならよくわかる気がする。
いくら鍛えても所詮武術は手段であり方法論。100%を約束してはくれない。
そして、もし事が進んだ場合、零に求められるのは「100%の帰還」だ。
となればもう、戦いそのものを避ける方向性を、視野に入れる他ない。
「軽々には、戦えなくなるな」
無論、事が先に進めば、であるが。
■ウィリー > 「ただの冴えない学生に戻るか?
それとも、大切に想う女を放って血で血を洗う戦いに身を投じるか?
大小を挿したマヌケな侍学生を演じ続けるか、それとも正しく刀を奉じる剣士として生き抜くか?」
いささか辛辣な物言いだが、選択は自身の意志ではっきりとなされねばならない。現実を突きつけた。
「……大前提として、まずは相手の心をガッチリ掴んでからの話なんだが」
肩をすくめる。恋敵がどう動いているのかまでは知ったことではない。
「……何もかもが手遅れになる前に、ケリをつけろ。
もしも、もしもだが好いている相手が共に戦う道を選ぶというなら
これまで以上に、遠慮なく俺を頼れ」
「それだけだ。言いたい放題言って、すまないな」
■霜月 零 > 「はっ……」
笑う。そもそも、自分に血で血を洗う修羅の道も、立派に剣に殉ずる剣聖の道も似合わない。
自分に似合うのは……
「ただ、あるがままさ。知ってんだろ?俺は昼行燈なんだよ」
暗に告げる、無理はしないと。日常を守るためなら、日常に帰るためなら、剣士であることすら質に入れてやると。
「ま、いざって時は頼らせてもらうぜ。
……悪いな、何もかも」
全てを見透かした上で釘を刺しに来た上で、協力まで言い出してくれたのだ。
これほどまでにありがたい友人も、そうはいまい。
■ウィリー > どこぞの悪鬼じみた男を思い出した。
その身は思いつく限りの全ての恩寵を受け、その上貪欲に力とつく全てを求める修羅。
仮に、力を求めることだけを見れば、修羅である。
仮に、研鑽を続けることだけを見れば、求道者である。
つまりあれは、バケモノだ。
だが、あれとは――この左手一本をくれてやったバケモノと、零は
はるかに違う。この男は、自らの身の処し方を知っているのだ。
「そうだったな、お前はそういう奴だった」
最初から、のらりくらりと。それは適当にやり過ごすためではなく、
動くべき時に動くための在り方なのだと、ウィリーは思っていた。
「礼を言われることなんかしちゃない。
ああ、あと学生も悪くはないぜ。こう見えて模範学生の俺を見習うといい」カカカ、と笑って。
「邪魔したな。お前の選んだ道に、祝福があることを祈る」
用がなければ、このまま立ち去るだろう。
■霜月 零 > 「は、模範ねえ」
くつくつと笑う。なんとなくだが、単なる模範とは違う生き方をしているように思える。
が、それもまた、些末事と言える。
「おう、ありがとうよ。じゃあな」
そのまま見送る。過剰にああだこうだ言う必要はないだろう。これだけで、互いにとっては十分のはずだ。
■ウィリー > 「ではまた、できればいい結果を聞かせてくれ」
扉を閉めて、そのまま去っていく。
「いやはや、じじ臭い説教をしてしまったな……」
などと言いつつ。
ご案内:「部屋」からウィリーさんが去りました。
■霜月 零 > 「おうよ、事が済んだら話してやる」
肩を竦める。
さて、いよいよもって覚悟を決めねばなるまい。
……これから待っているのは、下手な死合より重要な事なのだから。
■霜月 零 > 「……まあ、あまり構えるのもアレか」
腹は括った。もし駄目でも、それはそれで受け入れよう。
あくまで気軽に、気楽に。
の、割にはそわそわと、スマートフォンを見つめて待ち続けていた。
ご案内:「部屋」から霜月 零さんが去りました。