2015/07/17 のログ
ご案内:「ロビー」にクラスカさんが現れました。
ご案内:「ロビー」にさんが現れました。
クラスカ > (しゃぶっていた空色のアイスキャンディーは、既に棒だけとなって)

(彼から「連絡」が来たのは数日前)
(男子寮へ予定の品を納品するとのことで時刻を指定され、来客を待つことにした)
(平日の昼間だ、他の生徒もおらず、唯一人で冷房の効いた空間を占拠する)

> 「久しぶりの男子寮か……ここは変わらないな」

思わず懐かしくなってしまった。
私が卒業してからもう4~5年くらい前になるのか。
待ち合わせ相手が先に着いていたので私は声をかけ近寄った。

「クラスカ君、待たせてしまってすまない。
 君に頼まれていた道化の面が完成したので持ってきたよ」

右手に持っていた風呂敷を解き、木箱をクラスカ君に手渡す。

クラスカ > (「ハズレ」と小さく彫られた木棒を渋い顔でゴミ箱に放り投げる)
(夏特有の水っ腹も恐れず、次の氷菓を求めに冷蔵庫を漁ろうと立ちあがったところで)

(狐面の男性らしき人物を目にする)
誰ですかあなた?ここは生徒用の寮ですよ?
(眼を細め、露骨に少し後ずさると、すぐに態度は改める)

……なーんて。お待ちしてました。
(当然、相手の素性は知っていた。顔を隠していることは、さしたる問題ではない)

いえいえ、時間をかけた分、相当の逸品になったと勝手に期待します。
(そう大きくない木箱を両手で抱え受け取ると)

すぐ開けても平気です?呪われたりしません?

> 「冗談はよしてくれよ。君も人が悪い。
 ……あまり大人をおちょくると面をそのまま持って帰るよ?」

目を細めながら、こちらも負け時と冗談で言い返す。
ちなみに私が今着けている狐面は前回彼が出会った時のものと同じである。
卒業前に着けていたものとは別の面ではあるが、デザインはあまり変わらないので私の知り合いならばすぐ私と分かってくれるだろう。

「あぁ、すぐ開けてくれても構わないよ。
 むしろ開けて感想を聞かせて欲しい。
 呪われたりしないから安心していいよ」

呪われた面など曾祖父の面だけで十分だ。

クラスカ > あっそれは困ります、すいませんでした。
(月並みでありきたりな謝罪の台詞)
(わたわた手を上げ下げしながら、軽く頭を曲げた)

感想、ですか。いやあ僕は芸術に疎いし、感性が鈍いからなー。
お面屋さんの素晴らしく最先端のデザインを見ても、ちゃんとした評価ができないかも。

(先程の謝罪を忘れたのか、再び態度がふにゃり軟化する)
(それでも芒の視線に気づいて、すぐに背筋を正し、開封に手を賭けた)

開けまーす。
(木箱は蓋を被せる形になっていて、開ければすぐに中の様子が伺えるようだった)
(指を角に引っかけて力を込めると、簡単に秘匿されていた正体が顕わになる)

(果たして―)

> クラスカ君が箱を開けると、私が作った面が現れる。
彼のために作った道化師の面は青白い薄い色をした顔を上半分覆うタイプの面だ。
ほんのり細めて笑ったような目の左目下には彼の瞳の色を模した涙の蒔絵を施してある。
面を留める紐は彼の着ている服と同じ赤色だ。

「道化師の面だ。
 素材は樹氷桂という私の世界にある樹木を使っている。
 寒い場所にしか生えない樹木で、付けてみればわかるだろうけど、木材自体もひんやりとしているはずだ。
 その涙は同じく私の世界にしかなく、深い海の底でしか生息しない深淵貝と呼ばれる貝の裏側を蒔絵として使ってみた」

相手の反応を見る時が最も緊張する瞬間だ。

クラスカ > (現れた面を手に取り、まじまじと眺める)

(髪のベールに隠されている瞳でも、当然面の全容は伺える)
(元々魔術畑の人間、魔術と芸術はある程度関係性が深いとはいえ、そちらの方面には素人同然だ)
(設計思想がどんな文化を元にして、どんな経緯で創造されただとか)
(芒は深い考察をしろとは言わず、ただ「感想」を欲しているだけだ)

そうですね。まず、ほんの僅かな時間で、僕をよく観察して、理解して下さっています。
この、目の下の涙の意匠だとか。他には……。

(軽く指で面を小突く。ひんやりしている、との言の通りに、触るだけで冷気の伝達を感じる)
面自体が、ちょっとドライな点、ですかね。
熱気がないって言うんですか。
僕にピッタリ、だと思います。

(口調は静かに。提示された面の品評は続く)

> ……あぁ、早くその面を着けて欲しい。
そして更なる感想を聞かせて欲しい!

私は出来るだけ興奮を抑えながら冷静を装って落ち着いた口調で話しかけた。

「よかったらその面を着けてみせてくれないかい?
 多分、私が面の効果を口頭で説明するよりも、直接その面を着けてみた方が理解出来ると思うよ」

クラスカ > それに顔全体を覆うつくりじゃないし、風の通りも良さそうですね。
この時期だと蒸れは大敵になりうるから―

(軽く触って、表裏)
(辺をなぞったり、深く目を凝らして覗きこむうちに、丸まった背中に声がかかった)

え、いいんですか?じゃあ折角デザイナーの前だし、お披露目しようかな。
(言葉を丸飲み。面に取って食われることもないだろうと楽観視し、装着に入る)
(前髪を上げ、鼻を木面の窪みに当てると、一旦視界を確認する)
(面を後頭部で括る紐は長く、蝶結びにしても、大分端が余った)
(長さを調整して、顔を上げると、しっかり前方を視界に捉えられる構造になっている)

どうです?
(面を装着した姿を、彼に見せて)

> 薄いひんやりとした感触が貴方の肌に触れる。
まるで誰もいない銀世界にいるかのようなひんやりとした冷たい感触は、否定的な寒さを感じさせるものではない。
冷たくもかまくらの中にいるような温かい包み込むような感触を貴方は得るだろう。

銀世界に一粒の雫が落ち、静かなる世界に穏やかで優しく波紋が広がる。
その波紋は優しい心地良さを感じさせてくれるだろう。

冷静さは心の焦りからは生み出すのは難しい。
人を楽しませようとする心があっても、自分の心にゆとりがなければ難しい。

> それ故に、この面は包み込むひんやりとした温かさで、まず着けた者の心落ち着かせる。
そしてその波紋を持って、心に潤いを持たせるのだ。


        * * *

力がある者が見れば、青白く優しい光が彼の面から見えるだろう。

「うん、悪くない」

ぼそりと呟く。
補助程度にはなるだろうが、恐らく仮面の効果はさほど強くはないだろう。
しかし、一度きりではない。
恐らく壊れなければ何度でも使える。

クラスカ > (面を被ることで生じた変化)
(肌に張り付いてくる冷気は、人工的に送られてくるエアコンの風とは異なる)
(違和感なく染み込んでくるそれは、冬に造られる自然の寒気に近い)

(道化を演じるために必要なものは)
(己の心にすらも糸をつけて操ること)
(本心を悟られず、氷の仮面を被り、役職に成りきって)

(今の自分は、どうだ)
(一人の生徒。生活委員。その役割を逸脱し、それ以上を求めていないか)
(少し、自問する)


(仮面を外せば、揺れる髪の毛の下で、両の蒼色の瞳がまたたいた)


いいですね、気に入りました。
頭が沸騰しそうな時に、いい抑えになってくれそうだ。

(そう言って、年相応にてへへ、笑う)

重ね重ね、ありがとうございました。

> 面を着けた彼の反応をみる。
あぁ、この瞬間……この瞬間が見たいが為に私は面を作るのだ。
仮面の下の私の顔は恐らく満面の笑みを浮かべているだろう……幸か不幸かクラスカ君には見えないが。

なるべく興奮を悟られないようになるべく落ち着いた口調で答える。

「気に入ってくれたのなら何より」

あぁ、そうそう忘れていた。

「……ところでお代なのだが、お金でなく物でも構わないよ」

たまに私は興奮のあまりお代を貰い損ねることがたまにある。
自給自足の生活をしているので普通に生活する分にはあまり困らないが、流石にそこから材料費を捻出するのは難しい。

クラスカ > (仮面は単にスイッチの一種だとか、気分として求めたもの)
(しかし副次効果を得られる品を渡されたことは、僥倖だった)

(より深く。より冷たく。より孤独に)
(クラスカ・シェリダンと向き合い、自覚するため)

(自分こそが、題名のない演目に居る、道化師であると)


物ー?夏の風物詩、アイスキャンディーくらいしかないですよ。
(しかも、誰かが冷蔵庫に貯蔵してくれている所有者不明の)

んー、お面屋さんの創作意欲を刺激できそうな希少な素材も持っていないので。
無難にキャッシュでどうぞ。
(小さめの、中身が膨らんだ茶巾袋を渡す。受け取れば、ずしり、重みが響く)

> 「流石にアイスキャンディーはちょっと」

思わず苦笑する。

「あぁ、キャッシュで頼む。すまない……ん?」

巾着袋を受け取る。
意外と重いなと思い、巾着袋を開けて中身を確認する。

クラスカ > (袋の中身は全て常世島で流通している硬貨。なお硬貨より価値のある紙幣は一枚たりともない)
(お面一つの支払いにしては、明らかに比重が高い)
(それでも素知らぬ顔で、どうぞどうぞと持ち帰りを促す)

気持ちですよ。きもち。態々届けて下さったんですしね。
あっ汚いお金じゃないです。ちゃんと生活委員の仕事をして得た、正当な労働の対価ですよ。

> ……これは対価としては多いと思うのだが。
それを指摘しようと口を開こうとした瞬間にクラスカ君に先手を打たれる。
労働の対価としても額がおかしい気がしなくもない。
しかし、むげに謝礼を半分返すのも失礼だと思いそのまま受け取ることにした。
次の面の制作費として大事に使わせてもらおう。

「……ありがとう。
 君の気持ちとして受け取っておくよ」

貰ったお金を少々重いが私は懐に入れた。

「用事も済んだし、私はこれで失礼するよ
 また出会うことがあればよろしく頼むよ」

クラスカ君に一礼し、懐かしの男子寮から私は立ち去った。

ご案内:「ロビー」からさんが去りました。
クラスカ > (仮面一つに馬鹿げているとしても、それだけの価値はある)
(価値がある、と考えれば相応の見返りは得るべきだ)

(「また頼むかもしれないし、ね」)

(したたかな下心は、内に秘めて)


はーい、ありがとうございました。
(去ってゆく芒へ、仮面を持った手をひらひら揺らして、端を握って改めて掲げて透かしてみる)


(相変わらずの低温が指を支配すると、木箱の中に仕舞って)


いつか、僕と一緒に戦ってくれよ。
お前の出番も、きっと来る。

(そう語り掛けて、自室へと帰る)

ご案内:「ロビー」からクラスカさんが去りました。